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11章 蟲
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突然だか今、真紀は拘置所にいた。
「何でこうなったのやら………」
真紀は一人ボソッと呟きながら、鉄格子とにらめっこしていた。
ーーーーそうなる数時間前のこと
真紀は固まった。
「お、おじさん……」
真紀は宇宙エレベーターの一件で証人としてアメリカの長期滞在を余儀なくされ、ホテルでの生活を送っていた。しかし、当然ことながらホテルには服を洗濯する手段、洗濯機がない。故に、コインランドリーに来ていた真紀だったのだが………
「おじさんが回ってる………」
そのドラム式洗濯機の中に服ではなく、おじさんが中に入って洗濯されていた。
真紀は洗濯機のスイッチを止め、ドラム式洗濯機の扉を開けた。しかし、既におじさんの顔は青白かった。
ーーーーーー
真紀がコインランドリーで通報してから僅か、ブライアン刑事が最初に現れた。
「おじさんが洗濯機の中で洗濯されたってのは本当だったのか」
「うん」
「これ、自殺か他殺か区別しにくい事件だな」
「え?これってもしかして殺人?なら、私第一発見者ってこと?」
「まぁ、そうなるな。だが、ここには監視カメラがあるんだ。すぐに原因が分かるだろう」
「良かったぁ~」
真紀は一息つく。
これは真紀の思い込みだが、第一発見者=犯人にされると考えていた。まぁ、刑事ドラマの見すぎでそう思い込んでしまうのだが、刑事のセリフにある「第一発見者を疑え」や噂の「第一発見者を警察内部は容疑者候補に入れて捜査している」みたいな感じで、もしかすると誰しもが自分が第一発見者になった時、疑われるかもしれないから通報しようかどうか迷うかもしれない。まぁ、迷っても通報するんだろうし、通報しなきゃいけないし、そこまで思い詰めることはないんだろうが、結局それでも第一発見者にはなりたくないものである。
しかし、見事な悪運に真紀はその第一発見者として事情聴取を受けるよう言われ、警察と共に署まで同行することとなった。
ーーーーそして、現在に至る。
「だから、私じゃないってば」
「いや、お前だ。お前しかいない」
「刑事さん、監視カメラを見てよ。私じゃないのが分かるから。私が来た時にはおじさんは洗濯されてたんだって」
「あぁ、見たさ。確かにお前さんは何もしてなかった。だが、あのコインランドリーはいつも使っているそうじゃないか」
「へ?」
「何かの仕掛けを用意する時間はあったんじゃないのか?」
「いやいや、私おじさんとは初対面。知らないって」
「嘘つけ。あのおじさんはよくあのコインランドリーを使っていた。過去の監視カメラの映像に一度出くわしてる」
「えっ……そうだっけ?でも、殺す動機ないし、私があのおじさんのこと知らないのは本当だよ」
「いや、貴様はあのおじさんからパンを貰ったことがある。お前が腹をすかせてヨダレを垂らしながら、コインランドリーのベンチで朝食をとっていたおじさんを、ずーと見ていた。空気読めよクソジジイとか言ったんだろ」
「言ってないよ!」
「おじさんは心優しく、クソジジイと言われても笑顔でお前に自分の朝食をあげたんだ」
「もう一度言うけどクソジジイなんて言ってないからね。ハゲジジイって言ったんだからね」
しばし二人は無言になる。
「分かったよ、認めるよ。と言うより思い出したよ。でも私じゃない」
「まだ否認するのか。お前は先程動機がないと言っていたが、動機ならある」
「え?」
「とぼけるな。おじさんからパンを貰った翌日、お前は腹を壊し、おじさんに『よくも腐ったパンよこしたな』と喧嘩してたじゃないか。そこで怨みをもったお前はおじさんを殺害する計画をたて、コインランドリーに罠を仕掛けた。おじさんはいつも同じ洗濯機を使っていた。そして、あの日実行にうつした!」
「違う!あの日は飲んでて……いやいや、まずお腹壊して人を殺すとか、あり得ないでしょ」
「あり得る。何故なら、お前がその最初の事例になるからだ」
「そんな!」
「自供したらどうだ?そうすれば、お前さんの刑期は少しは軽くなる」
「だから、私はやってないって!」
「いつまでそう言いはるつもりだ?このままいけば裁判は陪審員によってお前は死刑が確定するぞ」
「あれ?……アメリカって死刑制度あったっけ?」
「何をとぼけている」
「だって、日本の社会の授業で、アメリカは死刑制度を反対してるって」
「死刑制度を廃止した州はあるが、そんなの僅かしかない。まだ、死刑制度を採用している州が圧倒的さ。そして、お前は死刑になる」
「いやあああああああああ」
真紀は頭を抱えて叫んだ。
「さぁ、自供する気になったか?」
「ブライアン刑事を出して下さい」
「ブライアン刑事は君らにとって身内同然だ。ブライアン刑事は捜査から外れている。ブライアン刑事に合わせる訳にはいかない」
「そんな!……じゃあ、弁護士呼んで下さい」
「あぁ、いいだろう。よく弁護士と相談して自供する気になったら言ってくれ」
そう言って、担当刑事は取調室から一旦出ていった。
「完全に警察は私が犯人だと思い込んでるよ。どうしよう……」
真紀は一人残され、最後の希望を待った。
ーーーーーー
その頃山吹は、真紀が逮捕されたことを知り、ブライアン刑事とファミレスで打ち合うことになった。
「お待たせ」
一人待っていた山吹の向かい席に座り込んだ。
「それで真紀についてだが、警察は犯人は真紀だと決めつけたようだ」
「どうして?真紀ちゃんはそんなことしません」
「分かってる。だが、警察はめぼしい容疑者がいないんだ。あれを事故だと判断することは出来ない。だから、自殺か他殺かのどちらかになるが、家族は自殺はないと主張している。それは警察も同じ意見だった。彼の生活に自殺する要因が見られなかったのも一つあるが、彼には新しい家族が産まれたばかりなんだ」
「家族?」
「彼の娘さんが妊娠して、つい事件が起きる3日前に出産した。おじさんは大喜びしていたというのが家族の主張だ。そんな奴が突然自殺する理由はない。そこで警察が考えたのが他殺という線だ。しかし、彼に怨みを持っている人間は見つからなかった。真紀を除いては」
「どうして真紀が怨みをもってると警察は判断したんですか?私にはそのおじさんが誰なのか分かりません」
「あぁ、当然真紀も記憶がないだろう。お前ら、俺がいない間に酒を飲んでだな?」
「びくっ!」
「お前らは本当に仲がいいのか、コインランドリーの監視カメラの映像には真紀が酔ってそのじいさんと喧嘩している映像があった。警察はその映像を動機の証拠とするつもりさ」
「でも、監視カメラじゃ真紀はやってないんですよね?」
「あぁ。映像だと真紀が来た時にはおじさんは既に洗濯機の中だった」
「なら!」
「だが、おじさんが洗濯機の中に入っていった映像なんだが、かなり不自然だったんだ」
「そう言えばブライアンさんは捜査から外れてるのに監視カメラ映像は見れるんですね」
「俺にはコネがあるからな。それより映像だが、おじさんがコインランドリーに来ていつも通り洗濯する為、ドラム式の扉を開けたんだ。すると、何かに引っ張られるような感じで、おじさんは洗濯機の中に入っていったんだ。そして、勝手に洗濯機が動いた」
「はっ!」
「気づいたか。ドラム式洗濯機で自殺は出来ない。中に入ったらスイッチは押せない。そもそも洗濯機で自殺しようとする奴がいるか?」
「でも………」
「コインランドリーにあるドラム式洗濯機にタイマーはなかった。警察はどうして勝手に洗濯機が回ったのか分からないでいる。だが、これは他殺で間違いはない。だから、唯一の容疑者である真紀に自供をさせようと必死なんだ」
「でも、自供がなきゃ真紀を犯人には出来ない」
「それが………」
「何?」
「検察は起訴することに決定したらしい」
「………え?」
「検察は状況証拠だけでいくらしい。どうやって犯行したのか分からないのにな」
「どういうこと」
「分からん。だが、この事件は不思議以外に何かあるようだ。とにかく、俺はこの事件の担当を外されている。この件は独自でやる必要がある」
「どうするんですか?」
「一様警察には内密にやらないといけない。俺は悟られないよう独自のネットワークで調べてみようと思う」
「私は何をすればいい?」
「とりあえず調べが終わるまで待ってて欲しい。恐らく、その後お願いすることがあるかもしれない。その時は頼んだぞ」
「任して!真紀ちゃんを絶対取り戻そう」
「あぁ」
ーーーーーー
場所は変わって警察署、面会室。
「私は君に呼ばれて来た。君の見方で君を守る、言わば国選弁護士だ」
「私、どうなるんですか」
「まず、今の現状について話そう。その前に確認だけさしてくれ。君は真紀さんでよろしいかな?」
「はい」
「よし。では次に、君はやったのか?」
「いいえ、やってません」
「やってないか……ここでの話しは他には漏れたりはしない。本当のことを話して欲しい」
「私はやってません」
「では、警察の主張を否認し、無実を訴えるというんだね」
「はい」
すると、弁護士は鞄から資料を取りだし、それを並べ一つ一つ確認しながら真紀を見た。
「今、君が拘置所にいる理由は分かるかな?それは、君を逮捕されたことを意味する。当然、流れとしてはこのまま検察にいき、起訴するかどうかを判断するんだが、先程検察から起訴することを決定した」
「え?」
「当然、検察が起訴するとなるとこの先は裁判で争うことになる。
本来、君が第一発見者かつ唯一犯行現場にその日いた人物。また、被害者と騒動を起こした過去が監視カメラに証拠として残っている点、全てが状況証拠しかないにもかかわらず起訴した例は異例と言えよう。
勿論、状況証拠しかない状態では検察が不利であることに変わりはない。だが、検察と警察で独自に君がどうやって殺したかを色々模索し、恐らく見つけたのだろう。しかし、それがどんなやり方であれ、その供述には無理があるんだ。それをやったという映像が監視カメラに映し出されていないからだ。例え、検察が監視カメラの死角をついて仕掛けたんだと言っても、どう考えたって検察に勝ち目はない。無論、検察が情報公開以外で何かを掴んでいるとしたら別だが、何か隠し事はないか?」
「いえ、ありません」
「よし、その言葉を信じよう。だが、警察も検察も、君の犯行だと考えている。確かに、この事件は奇妙だ。警察は君を自供するよう言ってくるだろうが、何も言わなければ勝てるさ」
「本当ですか」
「あぁ。すぐに自由になれるさ」
「ありがとうございます」
弁護士は話を終えると、資料を鞄に戻し立ち上がった。
「では、私は裁判に向けた準備をしますので」
「はい。よろしくお願いします」
ーーーーーー
そして、裁判当日。ブライアンと山吹は傍聴席で真紀の裁判を見守っていた。裁判は、陪審員制度の適応された裁判だった。
「真紀ちゃん大丈夫かな?」
そわそわする真紀の姿を見て山吹は言った。
「裁判なんだ。判決次第で運命が別れるんだ。誰もが緊張するさ」
ブライアンは山吹の不安を少しでもなくそうと、山吹の肩に手を置いて「大丈夫さ」と言った。
山吹も少し落ち着き、自分より不安であろう真紀に同情する。
そして、裁判官があらわれ、全員が着席した。最初に検察が容疑の供述が始まった。
「被告、真紀は事件前日に事件現場であるコインランドリーに行き、被害者のネビルさんがいつも使用するドラム式洗濯機に近づき仕掛けをし、事件当日に現れたネビルさんがドラム式洗濯機を開けた時、その仕掛けに気づいたネビルさんは洗濯機の中に顔を覗かせた。その際、被告はネビルさんを後ろから押し、ネビルさんを洗濯機の中にそのまま入れ、ふたを閉めると洗濯機を作動した。水と、ぐるぐる回る洗濯機の中でネビルさんは溺死した。被告はネビルさんを洗濯機の中に入れ、溺死させた凶悪な殺人をおこなった容疑があります」
傍聴席からざわめきが起きる。
「バカな、監視カメラにそんな映像はなかったぞ」
「どうなってるの?」
当然、真紀も混乱していた。
「傍聴席は静粛に。被告人、今の検察の供述に異議はありますか?」
「あります!私はやってません」
「弁護人は何かありますか?」
「はい。まず、検察側の供述ですが矛盾があります。監視カメラの映像では、真紀さんはネビルさんに近づいたどころか、ネビルさんが洗濯機の中に入った後にコインランドリーに来ています」
その主張に裁判官は頷きながら納得する。それは、陪審員や傍聴席も思っていたところだった。しかし、検察は弁護人の主張に異議を唱えた。
「裁判官、監視カメラの映像に偽造が見られました。よって、監視カメラの映像は証拠として提出しましたが、取り下げたいと思います」
「なんだって!?」
これには弁護人も驚いた。
「えーと、検察官その偽造と言うのは?」
「実は監視カメラの映像はコインランドリーの裏事務所で管理していました。しかし、実は事件前日の夜に警報が鳴ったと、管理人からの通報があったことが分かりました。その事務所に盗まれた形跡はありませんでしたが、そこでは監視カメラの映像をチェックすることができるようになっています。そこで考えられたのは、今まで監視カメラを重要な証拠として今まで、裁判で判決の左右を大きく決めていました。もし、犯人が計画的に行うとしたら、監視カメラの偽装工作はあり得る話しです。我々は犯人の思惑通り、監視カメラを真に受け、殺人者をそのまま見逃すところでした」
検察は陪審員に向かって主張した。それを言われた陪審員はかなりの動揺が見られた。
弁護士もかなり頭を悩ましていた。検察側が出した証拠品を自ら取り下げることに異議は唱えられなかったからだ。しかし、弁護士は諦めなかった。
「異議あり。事件前日に侵入者がいたからと言って監視カメラの映像を偽装されたされていた証拠にはなりませんし、真紀さんが偽装工作した証明がありません。この件は、全く無関係です」
「異議あり。全く無関係ないですって?事件前日に侵入者がいたのが偶然だと言うんですか?それに、何故コインランドリーの事務所が狙われたんですか?とても無関係とは言えません」
「異議あり。それは状況証拠にしか過ぎません」
しかし、裁判官の意見は弁護士とは違った判断をした。
「弁護人の異議を却下します。検察の要望、監視カメラの証拠品の取り下げを認めます」
「裁判官!」
「監視カメラの映像が証拠品として成立するかどうかは監視カメラの映像を審査した上で改めて証拠品として認めるかどうかを判断します。それまでは証拠品としては認めません。弁護人、疑いのある証拠品を認める訳にはいきません」
これで、真紀が犯人でないという証拠にもなり得た監視カメラの映像が消えた。ますます、現場にいた真紀が疑われることになる。だが、検察の攻撃はやまなかった。
「また、被告人は事件の前から被害者のネビルさんと同じコインランドリーで揉めていたことが分かっています。被告人はその日から被害者のネビルさん殺害の計画をねっていました」
「異議あり。揉めごとの後にネビルさんとは和解しています。それだけでは動機になりません。
いいですか、陪審員の皆さん。お腹をすかしていた真紀さんにネビルさんが渡したパンが実は腐っていたことで人を殺しますか?確かに、それでお腹を下せば怒る人もいるかもしれません。しかし、その際も真紀さんは酒をたしなんで酔っていただけで、本当は怒るつもりなんてなかったんです。お願いですから、パンで人を殺すなんて発想はやめて下さい。検察側の主張はどれも状況証拠しかありません。これで、罪のない人を裁くつもりですか?」
「異議あり。状況証拠だけではありません」
「え?」
この検察側の発言に、弁護士は首をかしげる。
「裁判官、実は今日新たに証拠品が見つかりまして、事前申請していないのは重々承知の上で新たに証拠品を提出を申請を要求します」
まさに、誰もが唖然だった。証拠品を取り下げたかと思えば、今度はいきなり新たな証拠品提出ときた。最早、やりたい放題の検察と言っていいだろう。だが、これ以上裁判をややこしくすると陪審員の判断もせっかくの真紀の無実の可能性が揺らいでしまう。決して、認める訳にはいかない。
「異議あり。事前の申請なしでの証拠品は認めません」
「うむ」
これには裁判官も認めるだろう。事前の申請なしの証拠品は基本認められない。しかし、実は例外もある。
「検察官、その証拠品とは何ですか?」
「被告人が泊まるホテルで家宅捜査した所、今回の事件の計画らしきメモ書きが見つかりました」
「え?」
山吹は思わず声が出てしまった。それもそのはず、ホテルの部屋に捜査なんて聞いていなかった。
ブライアンは小声で「どうやら、俺達がホテルを出たあとに捜査したらしいな。だが、それにしても裁判当日になってやるか?」
確かに、ブライアンの言う通りだった。何かおかしい。さっきから、検察のやり方が変で仕方なかった。それでも、とにかく二人は見守るしかなかった。
「見せて頂いても?」
「はい」
そう言って、透明の袋に包装された証拠品を裁判官に見せた。すると、裁判官の顔色が変化する。
「証拠品として認めます」
例外は、弁護士がそれを認めたこと。それ以外にアメリカの裁判では事件において重要な証拠品として認められ、かつ事前申請に間に合わなかった相応の理由である。見つかったのが今日であるなら事前申請は確かに無理だった。しかし、普通家宅捜査は裁判が起きる前に行うはずである。何故なら、その間に証拠品を処分してしまう可能性があるからだ。
裁判官が証拠品を認めたことで傍聴席は再びざわめきだした。
「静粛に」
裁判官はそう言うが、今まで検察側に勝ち目なんてないと思われていた裁判が、これで一気に真紀が追い込まれたかたちになったのだ。これで、裁判の行方はますます分からなくなったのだ。
結局、その日の裁判の行方は別の日に持ち越された。次の裁判は、監視カメラの映像に工作があったのかどうかが判明したあとになった。
「何でこうなったのやら………」
真紀は一人ボソッと呟きながら、鉄格子とにらめっこしていた。
ーーーーそうなる数時間前のこと
真紀は固まった。
「お、おじさん……」
真紀は宇宙エレベーターの一件で証人としてアメリカの長期滞在を余儀なくされ、ホテルでの生活を送っていた。しかし、当然ことながらホテルには服を洗濯する手段、洗濯機がない。故に、コインランドリーに来ていた真紀だったのだが………
「おじさんが回ってる………」
そのドラム式洗濯機の中に服ではなく、おじさんが中に入って洗濯されていた。
真紀は洗濯機のスイッチを止め、ドラム式洗濯機の扉を開けた。しかし、既におじさんの顔は青白かった。
ーーーーーー
真紀がコインランドリーで通報してから僅か、ブライアン刑事が最初に現れた。
「おじさんが洗濯機の中で洗濯されたってのは本当だったのか」
「うん」
「これ、自殺か他殺か区別しにくい事件だな」
「え?これってもしかして殺人?なら、私第一発見者ってこと?」
「まぁ、そうなるな。だが、ここには監視カメラがあるんだ。すぐに原因が分かるだろう」
「良かったぁ~」
真紀は一息つく。
これは真紀の思い込みだが、第一発見者=犯人にされると考えていた。まぁ、刑事ドラマの見すぎでそう思い込んでしまうのだが、刑事のセリフにある「第一発見者を疑え」や噂の「第一発見者を警察内部は容疑者候補に入れて捜査している」みたいな感じで、もしかすると誰しもが自分が第一発見者になった時、疑われるかもしれないから通報しようかどうか迷うかもしれない。まぁ、迷っても通報するんだろうし、通報しなきゃいけないし、そこまで思い詰めることはないんだろうが、結局それでも第一発見者にはなりたくないものである。
しかし、見事な悪運に真紀はその第一発見者として事情聴取を受けるよう言われ、警察と共に署まで同行することとなった。
ーーーーそして、現在に至る。
「だから、私じゃないってば」
「いや、お前だ。お前しかいない」
「刑事さん、監視カメラを見てよ。私じゃないのが分かるから。私が来た時にはおじさんは洗濯されてたんだって」
「あぁ、見たさ。確かにお前さんは何もしてなかった。だが、あのコインランドリーはいつも使っているそうじゃないか」
「へ?」
「何かの仕掛けを用意する時間はあったんじゃないのか?」
「いやいや、私おじさんとは初対面。知らないって」
「嘘つけ。あのおじさんはよくあのコインランドリーを使っていた。過去の監視カメラの映像に一度出くわしてる」
「えっ……そうだっけ?でも、殺す動機ないし、私があのおじさんのこと知らないのは本当だよ」
「いや、貴様はあのおじさんからパンを貰ったことがある。お前が腹をすかせてヨダレを垂らしながら、コインランドリーのベンチで朝食をとっていたおじさんを、ずーと見ていた。空気読めよクソジジイとか言ったんだろ」
「言ってないよ!」
「おじさんは心優しく、クソジジイと言われても笑顔でお前に自分の朝食をあげたんだ」
「もう一度言うけどクソジジイなんて言ってないからね。ハゲジジイって言ったんだからね」
しばし二人は無言になる。
「分かったよ、認めるよ。と言うより思い出したよ。でも私じゃない」
「まだ否認するのか。お前は先程動機がないと言っていたが、動機ならある」
「え?」
「とぼけるな。おじさんからパンを貰った翌日、お前は腹を壊し、おじさんに『よくも腐ったパンよこしたな』と喧嘩してたじゃないか。そこで怨みをもったお前はおじさんを殺害する計画をたて、コインランドリーに罠を仕掛けた。おじさんはいつも同じ洗濯機を使っていた。そして、あの日実行にうつした!」
「違う!あの日は飲んでて……いやいや、まずお腹壊して人を殺すとか、あり得ないでしょ」
「あり得る。何故なら、お前がその最初の事例になるからだ」
「そんな!」
「自供したらどうだ?そうすれば、お前さんの刑期は少しは軽くなる」
「だから、私はやってないって!」
「いつまでそう言いはるつもりだ?このままいけば裁判は陪審員によってお前は死刑が確定するぞ」
「あれ?……アメリカって死刑制度あったっけ?」
「何をとぼけている」
「だって、日本の社会の授業で、アメリカは死刑制度を反対してるって」
「死刑制度を廃止した州はあるが、そんなの僅かしかない。まだ、死刑制度を採用している州が圧倒的さ。そして、お前は死刑になる」
「いやあああああああああ」
真紀は頭を抱えて叫んだ。
「さぁ、自供する気になったか?」
「ブライアン刑事を出して下さい」
「ブライアン刑事は君らにとって身内同然だ。ブライアン刑事は捜査から外れている。ブライアン刑事に合わせる訳にはいかない」
「そんな!……じゃあ、弁護士呼んで下さい」
「あぁ、いいだろう。よく弁護士と相談して自供する気になったら言ってくれ」
そう言って、担当刑事は取調室から一旦出ていった。
「完全に警察は私が犯人だと思い込んでるよ。どうしよう……」
真紀は一人残され、最後の希望を待った。
ーーーーーー
その頃山吹は、真紀が逮捕されたことを知り、ブライアン刑事とファミレスで打ち合うことになった。
「お待たせ」
一人待っていた山吹の向かい席に座り込んだ。
「それで真紀についてだが、警察は犯人は真紀だと決めつけたようだ」
「どうして?真紀ちゃんはそんなことしません」
「分かってる。だが、警察はめぼしい容疑者がいないんだ。あれを事故だと判断することは出来ない。だから、自殺か他殺かのどちらかになるが、家族は自殺はないと主張している。それは警察も同じ意見だった。彼の生活に自殺する要因が見られなかったのも一つあるが、彼には新しい家族が産まれたばかりなんだ」
「家族?」
「彼の娘さんが妊娠して、つい事件が起きる3日前に出産した。おじさんは大喜びしていたというのが家族の主張だ。そんな奴が突然自殺する理由はない。そこで警察が考えたのが他殺という線だ。しかし、彼に怨みを持っている人間は見つからなかった。真紀を除いては」
「どうして真紀が怨みをもってると警察は判断したんですか?私にはそのおじさんが誰なのか分かりません」
「あぁ、当然真紀も記憶がないだろう。お前ら、俺がいない間に酒を飲んでだな?」
「びくっ!」
「お前らは本当に仲がいいのか、コインランドリーの監視カメラの映像には真紀が酔ってそのじいさんと喧嘩している映像があった。警察はその映像を動機の証拠とするつもりさ」
「でも、監視カメラじゃ真紀はやってないんですよね?」
「あぁ。映像だと真紀が来た時にはおじさんは既に洗濯機の中だった」
「なら!」
「だが、おじさんが洗濯機の中に入っていった映像なんだが、かなり不自然だったんだ」
「そう言えばブライアンさんは捜査から外れてるのに監視カメラ映像は見れるんですね」
「俺にはコネがあるからな。それより映像だが、おじさんがコインランドリーに来ていつも通り洗濯する為、ドラム式の扉を開けたんだ。すると、何かに引っ張られるような感じで、おじさんは洗濯機の中に入っていったんだ。そして、勝手に洗濯機が動いた」
「はっ!」
「気づいたか。ドラム式洗濯機で自殺は出来ない。中に入ったらスイッチは押せない。そもそも洗濯機で自殺しようとする奴がいるか?」
「でも………」
「コインランドリーにあるドラム式洗濯機にタイマーはなかった。警察はどうして勝手に洗濯機が回ったのか分からないでいる。だが、これは他殺で間違いはない。だから、唯一の容疑者である真紀に自供をさせようと必死なんだ」
「でも、自供がなきゃ真紀を犯人には出来ない」
「それが………」
「何?」
「検察は起訴することに決定したらしい」
「………え?」
「検察は状況証拠だけでいくらしい。どうやって犯行したのか分からないのにな」
「どういうこと」
「分からん。だが、この事件は不思議以外に何かあるようだ。とにかく、俺はこの事件の担当を外されている。この件は独自でやる必要がある」
「どうするんですか?」
「一様警察には内密にやらないといけない。俺は悟られないよう独自のネットワークで調べてみようと思う」
「私は何をすればいい?」
「とりあえず調べが終わるまで待ってて欲しい。恐らく、その後お願いすることがあるかもしれない。その時は頼んだぞ」
「任して!真紀ちゃんを絶対取り戻そう」
「あぁ」
ーーーーーー
場所は変わって警察署、面会室。
「私は君に呼ばれて来た。君の見方で君を守る、言わば国選弁護士だ」
「私、どうなるんですか」
「まず、今の現状について話そう。その前に確認だけさしてくれ。君は真紀さんでよろしいかな?」
「はい」
「よし。では次に、君はやったのか?」
「いいえ、やってません」
「やってないか……ここでの話しは他には漏れたりはしない。本当のことを話して欲しい」
「私はやってません」
「では、警察の主張を否認し、無実を訴えるというんだね」
「はい」
すると、弁護士は鞄から資料を取りだし、それを並べ一つ一つ確認しながら真紀を見た。
「今、君が拘置所にいる理由は分かるかな?それは、君を逮捕されたことを意味する。当然、流れとしてはこのまま検察にいき、起訴するかどうかを判断するんだが、先程検察から起訴することを決定した」
「え?」
「当然、検察が起訴するとなるとこの先は裁判で争うことになる。
本来、君が第一発見者かつ唯一犯行現場にその日いた人物。また、被害者と騒動を起こした過去が監視カメラに証拠として残っている点、全てが状況証拠しかないにもかかわらず起訴した例は異例と言えよう。
勿論、状況証拠しかない状態では検察が不利であることに変わりはない。だが、検察と警察で独自に君がどうやって殺したかを色々模索し、恐らく見つけたのだろう。しかし、それがどんなやり方であれ、その供述には無理があるんだ。それをやったという映像が監視カメラに映し出されていないからだ。例え、検察が監視カメラの死角をついて仕掛けたんだと言っても、どう考えたって検察に勝ち目はない。無論、検察が情報公開以外で何かを掴んでいるとしたら別だが、何か隠し事はないか?」
「いえ、ありません」
「よし、その言葉を信じよう。だが、警察も検察も、君の犯行だと考えている。確かに、この事件は奇妙だ。警察は君を自供するよう言ってくるだろうが、何も言わなければ勝てるさ」
「本当ですか」
「あぁ。すぐに自由になれるさ」
「ありがとうございます」
弁護士は話を終えると、資料を鞄に戻し立ち上がった。
「では、私は裁判に向けた準備をしますので」
「はい。よろしくお願いします」
ーーーーーー
そして、裁判当日。ブライアンと山吹は傍聴席で真紀の裁判を見守っていた。裁判は、陪審員制度の適応された裁判だった。
「真紀ちゃん大丈夫かな?」
そわそわする真紀の姿を見て山吹は言った。
「裁判なんだ。判決次第で運命が別れるんだ。誰もが緊張するさ」
ブライアンは山吹の不安を少しでもなくそうと、山吹の肩に手を置いて「大丈夫さ」と言った。
山吹も少し落ち着き、自分より不安であろう真紀に同情する。
そして、裁判官があらわれ、全員が着席した。最初に検察が容疑の供述が始まった。
「被告、真紀は事件前日に事件現場であるコインランドリーに行き、被害者のネビルさんがいつも使用するドラム式洗濯機に近づき仕掛けをし、事件当日に現れたネビルさんがドラム式洗濯機を開けた時、その仕掛けに気づいたネビルさんは洗濯機の中に顔を覗かせた。その際、被告はネビルさんを後ろから押し、ネビルさんを洗濯機の中にそのまま入れ、ふたを閉めると洗濯機を作動した。水と、ぐるぐる回る洗濯機の中でネビルさんは溺死した。被告はネビルさんを洗濯機の中に入れ、溺死させた凶悪な殺人をおこなった容疑があります」
傍聴席からざわめきが起きる。
「バカな、監視カメラにそんな映像はなかったぞ」
「どうなってるの?」
当然、真紀も混乱していた。
「傍聴席は静粛に。被告人、今の検察の供述に異議はありますか?」
「あります!私はやってません」
「弁護人は何かありますか?」
「はい。まず、検察側の供述ですが矛盾があります。監視カメラの映像では、真紀さんはネビルさんに近づいたどころか、ネビルさんが洗濯機の中に入った後にコインランドリーに来ています」
その主張に裁判官は頷きながら納得する。それは、陪審員や傍聴席も思っていたところだった。しかし、検察は弁護人の主張に異議を唱えた。
「裁判官、監視カメラの映像に偽造が見られました。よって、監視カメラの映像は証拠として提出しましたが、取り下げたいと思います」
「なんだって!?」
これには弁護人も驚いた。
「えーと、検察官その偽造と言うのは?」
「実は監視カメラの映像はコインランドリーの裏事務所で管理していました。しかし、実は事件前日の夜に警報が鳴ったと、管理人からの通報があったことが分かりました。その事務所に盗まれた形跡はありませんでしたが、そこでは監視カメラの映像をチェックすることができるようになっています。そこで考えられたのは、今まで監視カメラを重要な証拠として今まで、裁判で判決の左右を大きく決めていました。もし、犯人が計画的に行うとしたら、監視カメラの偽装工作はあり得る話しです。我々は犯人の思惑通り、監視カメラを真に受け、殺人者をそのまま見逃すところでした」
検察は陪審員に向かって主張した。それを言われた陪審員はかなりの動揺が見られた。
弁護士もかなり頭を悩ましていた。検察側が出した証拠品を自ら取り下げることに異議は唱えられなかったからだ。しかし、弁護士は諦めなかった。
「異議あり。事件前日に侵入者がいたからと言って監視カメラの映像を偽装されたされていた証拠にはなりませんし、真紀さんが偽装工作した証明がありません。この件は、全く無関係です」
「異議あり。全く無関係ないですって?事件前日に侵入者がいたのが偶然だと言うんですか?それに、何故コインランドリーの事務所が狙われたんですか?とても無関係とは言えません」
「異議あり。それは状況証拠にしか過ぎません」
しかし、裁判官の意見は弁護士とは違った判断をした。
「弁護人の異議を却下します。検察の要望、監視カメラの証拠品の取り下げを認めます」
「裁判官!」
「監視カメラの映像が証拠品として成立するかどうかは監視カメラの映像を審査した上で改めて証拠品として認めるかどうかを判断します。それまでは証拠品としては認めません。弁護人、疑いのある証拠品を認める訳にはいきません」
これで、真紀が犯人でないという証拠にもなり得た監視カメラの映像が消えた。ますます、現場にいた真紀が疑われることになる。だが、検察の攻撃はやまなかった。
「また、被告人は事件の前から被害者のネビルさんと同じコインランドリーで揉めていたことが分かっています。被告人はその日から被害者のネビルさん殺害の計画をねっていました」
「異議あり。揉めごとの後にネビルさんとは和解しています。それだけでは動機になりません。
いいですか、陪審員の皆さん。お腹をすかしていた真紀さんにネビルさんが渡したパンが実は腐っていたことで人を殺しますか?確かに、それでお腹を下せば怒る人もいるかもしれません。しかし、その際も真紀さんは酒をたしなんで酔っていただけで、本当は怒るつもりなんてなかったんです。お願いですから、パンで人を殺すなんて発想はやめて下さい。検察側の主張はどれも状況証拠しかありません。これで、罪のない人を裁くつもりですか?」
「異議あり。状況証拠だけではありません」
「え?」
この検察側の発言に、弁護士は首をかしげる。
「裁判官、実は今日新たに証拠品が見つかりまして、事前申請していないのは重々承知の上で新たに証拠品を提出を申請を要求します」
まさに、誰もが唖然だった。証拠品を取り下げたかと思えば、今度はいきなり新たな証拠品提出ときた。最早、やりたい放題の検察と言っていいだろう。だが、これ以上裁判をややこしくすると陪審員の判断もせっかくの真紀の無実の可能性が揺らいでしまう。決して、認める訳にはいかない。
「異議あり。事前の申請なしでの証拠品は認めません」
「うむ」
これには裁判官も認めるだろう。事前の申請なしの証拠品は基本認められない。しかし、実は例外もある。
「検察官、その証拠品とは何ですか?」
「被告人が泊まるホテルで家宅捜査した所、今回の事件の計画らしきメモ書きが見つかりました」
「え?」
山吹は思わず声が出てしまった。それもそのはず、ホテルの部屋に捜査なんて聞いていなかった。
ブライアンは小声で「どうやら、俺達がホテルを出たあとに捜査したらしいな。だが、それにしても裁判当日になってやるか?」
確かに、ブライアンの言う通りだった。何かおかしい。さっきから、検察のやり方が変で仕方なかった。それでも、とにかく二人は見守るしかなかった。
「見せて頂いても?」
「はい」
そう言って、透明の袋に包装された証拠品を裁判官に見せた。すると、裁判官の顔色が変化する。
「証拠品として認めます」
例外は、弁護士がそれを認めたこと。それ以外にアメリカの裁判では事件において重要な証拠品として認められ、かつ事前申請に間に合わなかった相応の理由である。見つかったのが今日であるなら事前申請は確かに無理だった。しかし、普通家宅捜査は裁判が起きる前に行うはずである。何故なら、その間に証拠品を処分してしまう可能性があるからだ。
裁判官が証拠品を認めたことで傍聴席は再びざわめきだした。
「静粛に」
裁判官はそう言うが、今まで検察側に勝ち目なんてないと思われていた裁判が、これで一気に真紀が追い込まれたかたちになったのだ。これで、裁判の行方はますます分からなくなったのだ。
結局、その日の裁判の行方は別の日に持ち越された。次の裁判は、監視カメラの映像に工作があったのかどうかが判明したあとになった。
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