空のない世界(裏)

石田氏

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16章 最後の戦い

03

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 そこは黒だった。正確には、暗いというべきか。周りには何もなく、遠くは薄い霧があるだけで他に何かあるというわけでもない。
「ここがあの世?」
想像したものとさほどハズレたわけでもないが、いかんせ周りは殺風景過ぎた。唯一、この風景に目の保養となるとしたら、目の前にある二階建の建物くらいか。
「……やっぱ、あの中に入った方がいいんだよね」
真紀は自分がここに来た本来の目的を思い出した。

ヨハネを足止めする。

 あの世とこの世の扉は開いたまま。再びそのゲートを閉じるには、扉を開けた本人である巫女の少女を殺すこと。しかし、それは悪魔と契約したのが仇となり悪魔に無惨に殺され、それは結果的に達成されている。あとは、扉を閉じる儀式をするだけである。
 儀式には、扉を開けた者の血液と、その者とは違う人間の骨と、オイル、銀の器が必要となる。まず、銀の器に血液とオイルを入れ、人間の骨を砕き粉々にしたものをその中に入れて、巫女の少女が作った魔方陣の上に置き、呪文を唱える。これが、ヨハネの黙示録の書に書かれてあった、扉を閉める儀式である。
 儀式の際、扉を開けるには特別な血筋の者だと限られるが、閉じる際には血筋は問われない。ただし、開ける時と閉じる時とはやり方が異なり、閉じる際に呪文ややり方に少しの間違いがあった場合、その者の魂はあの世へと送られるとされている。
 つまり、失敗は許されなかった。呪文はヨハネの黙示録の書に記載されているが、問題は儀式に必要な物である。血液は床に撒き散らされたものをかき集め、人間の骨は申し訳ないが巫女の少女に殺された大臣の死体から頂戴することになる。これは、アイザがやってくれるとして、あとのオイルと銀の器はその場にはないため、それを用意する時間が必要となる。しかし、そうこうしてる間に開かれた扉からひょっこりヨハネが顔を出した瞬間、世界は終わってしまう。その為の時間稼ぎが必要だった。そして、それを誰がやるかという点について、おそらくそんな議題を出したら、その場にいた自分を含む三人が揉めていただろう。だからこそ、真紀は相談せずに一人魔方陣を通じてあの世へ単身で突っ込んだのだった。
 真紀は、残った二人がうまくやっていることを祈りながら、とても怪しい建物の中へと入っていった。


ーーーーーー


 扉を開けるとその中も暗く、明かりがなかった。それでも、真っ暗とは言えず何とか物の配置が見えるぐらいは認識できた。
 真紀は、とりあえず建物の一階をぐるっと回った。部屋はそれぞれキッチン、バスタブ、リビング、それと家具の何もないひと部屋があるくらいだった。それは、どこにでもありそうな一軒家にも思えた。まぁ、実際に外から見た建物事態が一軒家に見えたのだから、それが普通なのかもしれないが、それでもこの世とは違いあの世に来ていることもあってか、必ずしも常識通りとは限らないわけで、そのへんの警戒は怠らないでいた。
 一通り見終わり、再び玄関辺りに戻った真紀は、入り口直ぐにある階段の手すりに手を伸ばした。
 ゆっくり、下から上の様子を見ようとするが、特に様子が分かるというわけでもなく、そこもやはり二階に行って全部屋を回るしかなかった。
 正直、怖い系が苦手な真紀はため息をつきながら階段をのぼった。一段のぼるごとにギシギシ鳴り、そっと一段のぼろうとしてもやはり音が響いた。真紀は諦め、いっそのことと思いきって階段を走ってのぼった。当然、バカみたいに音は響きわたり、おそらくこの建物ののどの部屋にいても聞こえるくらいだった。
 そのあとの真紀は、ほぼなげやりな感じで少し涙目になりながら、部屋の扉をあちこちバンバン開きながら「ヨハネ、いるなら相手になる!」とかなんとか言いながら全部屋を回った。
 そして、最後のひと部屋が残り真紀はどうせと、あんなに騒いだんだと躊躇せずに最後の扉を開けた。

ビクッ!

 心臓が飛びはのそうになったのをおさえながら、部屋の奥にいる人らしき影を見た。
(本当にいたよ!!)
人らしき影は見えるが、暗くてそれ以上は見えなかった。
「あなたがヨハネ?」
真紀は思いきって聞いてみた。
「そうだ、私がヨハネだ。君らの世界では、私を死神だと言う者もいるようだが、どちらでも構わない」
(答えがきたよ!!)
どうしようと、動揺をなんとかおさえる真紀は次なる質問をした。
(呼び捨てしちゃったけど、さん付けしたほうがいいよね)
「ヨハネさんは……その、死神なんですよね?」
「死神には見えないのも当然だ。君らの世界の住人が想像するのと、私がかつて人として生きていた頃の想像からも、同じようにそう思うだろう。例えば、死神の外見は骸骨で黒いボロボロの服みたいなのを着ていて、それで大きな鎌を持っている。それで、人間の魂を刈るとか。しかし、実際は違う。死神の役割は生き物の死をあの世から見届けるだけだ。死は自然か運命によって勝手に訪れる。つまり、自然の摂理で誰かの死に干渉することはない。ただ、傍観するだけだ。無駄な役割だと思うが、それでも稀に自然の摂理から外れた死にかたをする者がいる。あの巫女もそうだな」
「それって、どうなるの?」
「何もしない。ただ、傍観するだけ。あぁ、またかと思うぐらいだ」
「そ、それはまた……」
「何度も人の死を見るとそうなる。最初は、この役割を与えたのは神だと思った。しかし、私が想像した神はそこにはいなかった。そこで初めて証明されたのだ。自身の神は人それぞれの脳内にしか存在しないと。私はイエスと共にあつい信仰をしたというのに、それが無駄だと知った時は絶望した。では、何故私は死後、役割を受けたのか。今思えば、空想ばかりでこの世で私はたいしたことをしてこなかった。その天罰だと思っている。神はいないが」
「その、死神は神じゃないんですか?」
「違うようだ。こんな人の死ばかり見る神などいないだろ。いて欲しくもない。もしいたら、それは悪趣味な神だろうな。しかし、この傍観の役割も悪くないと最近ながら思ったことがある。人の死以外にも、この世の様子を見れるからだ。多分、おそらく一番映画の作品を見ている人物だと思う。因みに、これはギネスに登録されるのか?」
「えーと、この世の人だけです。多分」
「はぁ……」
(なんか、この世に馴染んでる?)
「あの、巫女の少女はどうなるんですか?その、自然の摂理から外れた死にかたをすると」
「あぁ、そうだな。悪魔と契約した者は死後、そやつも悪魔になる。簡単に言えば子孫を増やす活動の一環と思えばいい」
「え?悪魔と契約したら、死後地獄に落とされるんじゃなくて?」
「死んだら何も残らない。地獄も天国もない。あるのは無だけだ」
「じゃあ、死んだら魂はどこ行くの?」
「魂なんて最初からないからどこも行かない。人間にあるのは魂じゃなくて寿命だけ」
「……なんか、現実むごいね」
「むごい…ね。まぁ、そうなるのかな?とにかく、悪魔は人間に契約を持ちかけ子孫を増やそうとする。もし、人間より悪魔の数が上回った場合、そちらの世界の主導権は悪魔の手にわたるだろう。
 君も気をつけろ。悪魔は君に目をつけたようだ。君が悪魔と契約すると思い込んでるようだ」
「私を?んん……まぁ、気をつける。それより、ここ本当にあの世なんだよね?でも、魂はない。なら、この世界はなんなの?」
「正確には、ここはあの世じゃない。君がこちらに向かおうとしたものだから、私が仮に作った世界だ。もし、あのままあの世に向かっていたら、君は再び現実世界には戻れなかっただろう」
「え、そうなの!?」
「世界を行き来するなんて普通は出来ないものだということくらい分かるだろ。それに、あの世は君が想像するものより過酷だ。君らの想像する煉獄のように辺り一面が燃え盛り、息をすれば肺と喉に焼けるような痛みをあじわうことになる。それを、永遠にさ迷うはめになっていた」
真紀は思わず唾を飲み込んだ。
「本当のあの世には私と同じように役割を与えられた同士がいる。言わば死神の住みかだ。その世界は特別で、他の世界とは違いそこだけ死という概念が存在しない。故に我々は永遠に傍観者として死を見届けることができる。つまり、君は苦しくても死ぬことが出来ない。と、まぁこれくらい言えば、二度とあのような愚かな真似はしないだろう」
真紀は強く頷いた。
「我々は息もしないし、熱も感じないから問題ないが、普通の人間がさ迷ったらどんなものか」
真紀はそれを言われ、想像しようとしたその時、突然ガタガタと地震のように建物全体が大きく揺れた。
「どうやら時間のようだ」
「時間?何の時間」
「丁度、君らの世界にある魔方陣の前にいる二人は、ようやく扉を閉める準備が出来たようだ。ここは仮に作った世界だと言ったが、それも長くはもたない。今、他の死神達が君の存在に気付き、こちらに向かっている」
「他の死神!?」
「その死神達は、君が悪魔に目をつけられていることを知っている。どうも、君が悪魔と契約すると決めつけその前に殺しにかかるようだ」
「どうして、私が死神に狙われなきゃいけないのさ。まだ、契約すらしてないのに」
「契約した後では遅いからだ。契約はあとからでは取り消すことは出来ない。だからもし、君が悪魔と契約をしてしまえば悪魔の数はまた一歩主導権へ近づくわけだ。今、世界の人口と悪魔の数の差は人口減少によりどんどんつまってきている」
「そんなに悪魔がいるの!?」
「そうだ。世界構築の少女にも会って、警告された筈だ。死神には気をつけろと。死神は一人じゃないぞ」

ガタガタガタガタ……

ヨハネと話してる最中、揺れはどんどんと強くなっていく。
「さぁ、行くんだ。もう、君を匿っている時間はない!扉に向かい扉を開けるのだ。そうしたら光があらわれる。そこに飛び込めばこの世に出られる」
「うん、分かった」
「それと、これだけは言っておこう。私が君を庇った理由だ。一つは君が悪魔と契約なんてしないと信じているからだ。それと、これは言うべきことか迷ったが、君の家族についてだ」
真紀は家族のことを何一つ知らなかった。何故、自分だけ名字がないのか。私はどこの家系に産まれたのかすら分からなかった。
 しかし、私の目の前にいる死神ヨハネは、その真実を知っており、その家系の末路を語った。


ーーーーーーーー


「何だ、何が起きてる?!」
白い光が魔方陣から飛び出し、議会全体を真っ白にした。
 眩しく、目を開けられない二人は必死に叫んだ。
「真紀!」
「真紀ちゃん!!」
「何?」
まさかの本人からの返事に二人は驚き思わず目を開けた。
 すると、先程までの白い光はなく、かわりに真紀が立っていた。
「どうしたの?目を塞いじゃって」
「そんなことはどうでもいい。それより、戻ってこれたんだな」
真紀は頷いた。
「よし。じゃあ山吹、あの世のゲートを閉じる儀式をとっとと始めてくれ」
「うん、分かった。それと」
山吹は真紀に振り向くと
「後で、ちゃんと説明してよ」
そう言うと、門を閉じる儀式を始めた。
 魔方陣に、血と骨とオイルが混ざりあった銀の器をそこに置き、呪文を唱えた。
「フィーニス!」

ドンッ!

魔方陣は煙のように消えた。
「今ので終わった筈よ」
すると、アイザは窓に向かい外を見た。厳密には、月を。
「あぁ、確かに終わったようだ」
月は既に元の姿に戻っていた。


ーーーーーー


『国会議事堂の襲撃事件から三日がたちました。未だ、犯人を特定することはできず、現在も警察は全力で捜査にあたっています』

ブチッ

 テレビを消した真紀は鞄を持ち、部屋を出た。
 あれからテレビが言っていた通り、あの事件から三日がたっていた。
 その一日前に裁判所からの宇宙エレベーターの一件の証人を終えていた。当然、鎧武者や鬼武者についてはふれずにうまく話した。そして、長期化するであろうこの事件もこの後は全て外交にまかされることになった。ただ、その件をきっかけにトップを一時失ったとある国々は、アメリカとは距離をおくようになる。
 そしてその数年後、今までにない程の各国との緊張感が起きる。それは、歴史上の冷戦とは比べものにならないものだった。ほとんどの国が核を持ち、ロシアでは核を越える反物質爆弾を作ろうとするのだった。
 とにかく、それは未来のいずれ起こり得る話で、現在ホテルを出た真紀達に知る余地はなかった。
「真紀ちゃん、遅い」
「ごめん、ごめん」
既にホテル前で、タクシーをつかまえ待っていた山吹に誤った。
「やっと日本に帰れるんだね」
「うん、そうだよ。こうしてみると、本当に長いアメリカ滞在だったと思う」
「だね。もう、アメリカは懲り懲りかな」
「いえてる」
「それで、このあとそのまま空港に行くの?」
「ううん、帰国する前にもう一度ケイティに会ってこうと思って」
「それって、ブライアンのこと?」
「うん」
シュタインがあの教会で言っていた、指名手配になったブライアンを、逃亡中に狙撃し命中。アメリカ市民からは街の外に出る恐怖から救ってくれたと、数多くから感謝が送られたが、同僚であったブライアンを自らの手で殺したことに、事件解決に素直に喜べないどころか精神的に参っているはずだ。本来、友人なら声をかけて慰めるところを、色々あったことを理由にまだ何も話が出来ていなかった。
「そうだね。帰る前に友達として挨拶したいし」
「じゃ、決まりだね」
二人はタクシーに乗り込むと、ケイティの住所を運転手に伝え、目的地へと向かった。


ーーーーーー


ブーー (チャイム音♪)

「はーい」
チェーンと鍵を開ける音がした後、ドアが開いた。
「真紀ちゃん!どうしたの、急に?」
「今日、これから日本に帰るところなの。その前によりたくて」
「あぁ、そうだったんだ。家に入る?」
「あ、うん。お邪魔します」
玄関入った二人は、そのままリビングに向かい、そこにあるソファーに座った。
「今、何か飲み物持ってくるね」
そう言って、ケイティはキッチンに向かって、台所の棚を開け紅茶の茶葉を取り出した。
「そう言えば二人はまだ会ってないんだっけ?」
「会ってるよ。その……ブライアン刑事がいなくなった後、ケイティさんが代理になったでしょ」
「あぁ、そうだったね……」
そんな二人の会話を聞いてたケイティは思わず笑った。
「あはは、二人は本当不器用だね。てっきり、真紀さんだけだと思ってたけど」
「え、私不器用なの?」
自覚のない真紀が首をかしげた。
「ブライアン刑事のこと、気にしてるんでしょ?」
「はい、実はそうなんです」
ケイティはマグカップに入った紅茶を二人に出してから、自分も向かいのソファーに座った。
「ブライアン刑事のことは正直よく分かってないの。ただ、もしかすると彼の出したある問題を解ければ分かるんじゃないかと思ってるの」
「問題?」
「そう言えば、あの時の問題結局分からずじまいだったなぁ」
「あっ!」
ようやく思い出した山吹は、かつての英雄キングが立ち上げた『キングスワーク』のことを思い出した。確かに、その時ブライアンから遊びとして問題を出されていた。その最後の問題に、山吹と真紀は答えられず結局諦めたのだった。しかし、それのことなのか?しかし、疑問は残る。どうして、ケイティさんにも同じ問題を出したのかという点である。確かに、最後の出題には意味ありな発言をしていたような記憶はあるものの、あれはてっきり遊びの一つ、クイズ感覚だと思っていた。
「あの、それって数字の問題のことですか?」
「えぇ、そうよ」
「でも、そしたら何故ケイティさんにも同じ問題を?」
ケイティは自分の紅茶を口に含み、僅かな合間をあけて答えた。

「それはーーー」
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