空のない世界(裏)

石田氏

文字の大きさ
14 / 73
《第1幕》1章 名も無き世界

04

しおりを挟む
 

銀髪の少女「私の名前はライ」
金髪の少女「私の名前はレム」

そして、二人は宣言する。

金髪&銀髪「「さあ、殺戮を始めましょうか」」





 さて、戦いは始まったと宣言されたが、それは人間の負けを同時に宣言されたようなものだった。
 まず、銀髪の少女の能力『不死』。それは不死身のことを意味するのに間違いはないだろう。もう、その時点で勝ち目はない。ゲームで言うラスボスが不死身で倒しても生き返る、無限ループをクソゲーと言うなら、この展開も同じだろう。今でいうなら詰みだ。
 次に金髪の少女の能力『破壊』。絶対的攻撃力を誇る、史上最強のチート。同じくゲームで例えるなら、相手の守備力関係なく問答無用で木っ端微塵にされるパターン。せっかく、最高級の装備を用意しようが、回復手段があろうが、攻撃を直撃したら、即ゲームオーバー。
 そんな二人が揃えば、結果は自ずと見えてくる。
「無理だ……」
僕、東はそう口にした。だって、そうじゃないか。無限ループに反則なみのチートを攻略してクリアーしてくださいと言ってるものに、終わらないものを終わらせろと無理難題を押しつけられた人間は、2つしか選択肢はない。ゲームオーバーか、リセットボタンを押すことだ。ゲームオーバーはそのまま死を意味する。リセットボタンは、終わらせることはできるが、解決はされない。つまり、放置。この場から退散し、少女攻略を諦めるか。
 死ぬか、逃げて諦めるか、どちらかの選択肢。


銀髪の少女「かかって来ないよ、あいつら」
金髪の少女「勿論、逃がすつもりはありませんよ。まぁ、かかって来ないなら、こちらから来るだけですけど」 
銀髪の少女「私、私をいじめたあいつら殺りたい」
金髪の少女「あらあら。じゃあ、私の相手は一人だけ?…………チッ、調子に乗るなよライ」
銀髪の少女「ひぃぃ~~…………ッチ、うぜぇ」
金髪の少女「何だと!」
銀髪の少女「何やと!」
二人は互いに睨み合い、銀髪の少女はステッキを上にあげ、金髪の少女は右手を床に向け

金髪の少女      「    破壊の蛇マサライ     」


銀髪の少女      「      隕石大群衆         」
                    (メテオ・ランチャー)
      

 突然、二人の仲が悪くなり、いきなりお互いに攻撃し出した。銀髪の少女が繰り出した隕石は、ビッグサイトの周辺に墜落し、他は天井に直撃した。ビッグサイト天井は瓦礫と化し、落下してきた。
それを見てキャプラが叫ぶ。
「おぉ……やべぇ、逃げろ皆!」
しかし、金髪の少女の技が更に襲う。地中から突然水が吹き出し、まるで蛇のようにうねり、ビッグサイトの柱を破壊していった。
 モリスは皆を避難するため誘導をとった。
「ここはもう駄目だ。外へ逃げるぞ」
崩れゆくビッグサイトを背後に、全員脱出した。
「何なんだあいつら。急に喧嘩しやがって」
呆れるモリスに皆同意する。
「だが、今がチャンスなんじゃないのか?おい、東。何か作戦ないのか?」
キャプラの声かけにしかし、東は答えなかった。否、答えれなかった。
(作戦がうかばない。攻略法が分からない)
顔色の悪い東に、さくらちゃんは心配して声をかけた。
「東さん、どうかなさったんですか?」
しかし、東は答えない。キングはそっと、さくらちゃんの肩に腕をおいた。
「さくらちゃん、東は答えが分からないんじゃないのか?」
「キングさん、答えが分からないってどういうことですか?」
「多分、あいつらに敵わないと思ったんだろう。普通、能力があれば相手に教えず、隠していた方が、相手に戦略をうたれる心配が少しは減るってもんだ。逆に能力を教え、相手を絶望させ、やる気を削ぐ効果もある。
 答えが分からないのは、このままじゃ勝てないから退散し、少女攻略を諦めるか、勝てないと分かっていて戦うかの選択に迷ってるんだろう。勿論、作戦がうかばないってのもあるだろうが」
「そんな……」
さくらが暗い顔をしたのを見かねたキャプラは、舌打ちして東の襟元を掴んで叫んだ。
「指揮官がそんなんじゃ、誰が指示を出すんだよ!」
しかし、東は唇を噛むだけで何も言えないでいた。すると、モリスが、
「ここからは私が指揮をとる。問題ないな、東」
「はい……」
「じゃあまず、アレスとキャプラは銀髪の少女を狙撃してくれ。できるだけ、頭か心臓部を狙うんだ。いくら、不死だからと言って弱点がないとは限らない。それに、本当に不死なのか疑問に思え。敵の言うことをうのみにするな。
 それ以外の奴は、俺と一緒に金髪をやる。金髪の攻撃に注意してくれ。作戦は、まずさくらが幻術をかけ、敵を錯乱させて出来るだけ近づく。俺が狙撃援護して、キングはそのまま金髪に向かって大剣、ドラゴン・キラーを奴にぶつけろ。あいつはドラゴンじゃないが、普通の武器よりかは効くかもしれない。
 キャプラ達は、銀髪について何か分かったら随時無線で連絡しろ。二組で何とかあの二人を離し、距離をとって戦う。以上だ。何か質問あるやついるか?」
「分かりやすい説明でよく分かったよ。この作戦がいかに無茶ってこともな」
「キャプラ、黙れ。これは、遊びじゃない」
「な、何だよ。遊びじゃないことくらい分かってるさ」
すると、アレスが手をあげた。
「モリス、質問いいかな?」
「何だ」
「東はどうするのさ?こんな状況じゃ、彼が真っ先に死ぬよ」
「おい、そんな事いうなよ」
キャプラが声をあげて言った。しかし、アレスは
「事実を言っただけさ」
「だからって、言っていいのかよ!」
「私も、お兄ちゃんに賛成。今のアレスさん、何か恐い」
「さくらちゃんには関係ないでしょ」
「どうしてですか」
「だって君、人間じゃないじゃん」
キャプラはそれを聞き、怒り、思いっきりアレスを殴った。
「てめぇ!さくらにそれを言って傷付かないと思ったのか!」
殴り飛ばされたアレスは顔を少しあげ、言った。
「あぁ。だって人間じゃないんだから傷付くとかあるのか?心なんてそいつには本当にあるのか?」
「何だと、てめぇ!」
「だって、そうだろ!そいつは、人間をたくさん殺して何とも思わない少女が生み出した化物なんだからよぉ!」
「殺してやる!」
キャプラとアレスがぶつかり合う寸前で、キングが止めに入った。
「こんな時に、お前らまで喧嘩してどうする?」
「邪魔だ、キング。そこをどけ」
「キングは止めに入らなくていい。キレやすいキャプラには、しつけが必要なんだよ!」
それを見かねたモリスは大声をあげた。
「やめろーー!お前らいい加減にしろ。東は他の所へ避難させる。アレスも、少し反省しろ。いちいち余分なんだよ言うことが。キャプラも突っ掛かるな」
しかし、キャプラは怒りがおさまらなかった。
「悪いが、こいつとは一緒にやれねぇ。間違って、こいつを笑顔で殺しちまう」
「俺もこいつとは組みたくない」
「分かった。キャプラは俺と代われ。それで文句ないな。だから、もうこれ以上問題を増やすな」
 モリスは何とかこれ以上の関係悪化を防いだ。しかし、終盤というところで、仲間の関係が急に崩れたことに、モリスは東が指揮をやめた直後と知る。
「俺にはチームをまとめる力がないというのか……」
モリスもまた、東に嫉妬していた。
 今、まさに関係修復は望める状況じゃなくなった。それでも東は、ただ抜け殻のように無気力になっていた。




 皆が少女攻略に向かい、東だけ一人、避難した。自分でもみっともないと思っている。しかし、頭がまわらなかった。攻略もそうだが、例え少女攻略に成功したとしても、残された人類に希望は薄かった。それでも、少女攻略に自分は行動した。だが、今は何故行動したのかが分からない。無意味ではないのか?攻略を終えて他に何があるのか?この世界に、わずかな生き残りの人類ができることはない。では、どうしてそれでも敵に挑むのか。ひっそり、あの島で生きていけば良かったじゃないか。何故、行動したのか。それが分からなくなった。
 近くで爆発音が聞こえる。おそらく、皆戦っている。アレスさん、キャプラさん、モリスさん、さくらちゃん、キングさん。皆、いったい何のために戦ってるんだ!?


 一人、悩み苦しむ。





その頃、

 【ビッグサイト跡地】

 
 モリスとアレスサイド。銀髪を相手に交戦中だった。
 アレスは銀髪交戦に今、12発目を当てたがすぐに相手の傷は癒えた。
「くそ、弱点はないのか?」
心臓部、脳の損壊あっても復活し続けた。
「諦めるな、アレス。どこに弱点があるのか探すんだ」
「だが、弾丸にも限りはある。もう、ここまで来るにだいぶ武器を消費した。物資補給が見込めない今、無駄な消費を避けたい」
「分かっている。どこの軍の基地もやられて、満足な補給ができなかったのは知っている。だが、ここで消費をケチったら勝てないぞ」

銀髪の少女「なに言ってるの?勝てないのは当たり前。現に武器を沢山持っていた軍がやられたんでしょ。人間に、数と武器を与えて勝てなかったのに、今更数に頼るとか、君ら学習しないね。
 強者とは数じゃない。実力と戦略を持った個だよ。無意味で無謀な作戦は、戦略とは言えない。だから、君らは私にやられるのよ」
 銀髪の少女ライは、ステッキを振りかざした。



銀髪の少女  「      重力世界        」
                (グラビ・ワールド)



 急にアレスとモリスは、全体重が急に重くなったのに気づいた。
 アレスは言った。
「そのステッキは、触れなくても対象の重量を変えられるんだな。まさに魔法のステッキだよ」
銀髪の少女「そうでしょうよ。この武器は、他の少女が持つ武器より最強なんだから」
それを聞いたアレスは質問する。
「それが最強の武器なら、金髪の子は何の武器を持っているんだい?」
銀髪の少女「レムに武器はないわ」
「え?他の少女にはあるのに?」
銀髪の少女「レムは武器じゃなくて、防具なの。見えない鎧がそうよ。重量もないから気軽だし、その上頑丈よ」
つまり、金髪の少女レムは、最強の能力に最高の防具持ち。攻撃力高く、守備も高い。無敵に思えてしまう敵だが、武器以外に防具が存在したのは驚いた。しかし、金髪の少女についても攻略が絶望的だった。





【ビッグサイトより離れた廃墟】


 キャプラ、キング、さくらサイド。金髪の少女レムと交戦中だった。
 さくらの幻術に、キャプラの援護射撃、キングの大剣のコンビネーションはまずまずだった。しかし、キングの大剣からの斬撃をもっても、レムは無傷だった。
金髪の少女「もう終わり?……、案外つまらないわね」
そう言って、両手を上へと向けて叫んだ。



金髪の少女 「     北の業火・スルト   」



 突然、上空から地獄の炎があらわれた。
金髪の少女「この炎は、水を使用しても消えることはない。焼かれれば、無限の苦しみを与える」
 少女は炎を操り、そこらじゅうを火の海にした。逃げ場のない状況に、キャプラは舌打ちをしてぼやく。
「くそ!」



【東サイド・とあるビル屋上】

 どちらも、追い込まれ窮地に立たされていた。本当はこんな所にいないで、皆を助けに行かなきゃいけなかった。
「何やってんだ俺は……」
 皆を助けに行くにも方法がうかばない。いつも頭の中でうかぶのに……。その時、自分の頭に声が聞こえる。それは少女の声だった。


「考えるより、行動しろ」


 その言葉で思い出す。いつも無茶な作戦ばかりだった。作戦ともいえなかったが、その無謀に皆、協力してくれた。結局、少女攻略はほとんどが土壇場だった。いつも、頭の中で考えたこと以上のことがおきて、パーカーの少女はキャプラさんとさくらちゃんの大活躍や、突如二人の少女が現れた時は、キングさんは一人で、相手の弱点を見つけた。土壇場の中、皆必死だった。
 僕が少女攻略に出たのも、それが残された人類の希望だと思ったからだ。それが、無益であろうが、無意味だろうが、そんなことは考えなかった。行動してから考えればいい。出来てから、未来のことを考えればいい。


考えるより、行動しろ。


 まさにそれだけだった。単純なこと。なのに忘れていたこと。変に責任を感じ、策を考えようとして、うかばなく一人バカみたいに悩んだだけだった。
「俺って、バカだな……」
思わず涙をポロポロ流す。そして、無線を手にする。


東「皆、聞いてください」
キャプラ「東?」
さくら「東さん!もう、大丈夫なんですね」
アレス「ふぅ、待ちくたびれたぜ。男に待たされるとか勘弁してくれ」
モリス「まったくだ」
キング「東、早く戻って来い!」
東「皆さん……」
東は涙をぬぐう。
東「皆さん、僕が不在で皆さんに迷惑をかけて、すいませんでした。それでも!それでも、僕にもう一度指揮をとらせてはくれませんか」
キャプラ「何か策があるのか?」
東「ありません」
キャプラ「なっ!?」
キング「はははっ、いいんじゃないのか」
さくら「はい。東さんが戻って来ただけで私はそれでいいです」
アレス「こうもハッキリ、ありませんって言われると、少し笑っちゃうけどね」
モリス「東、俺からも頼む。俺はお前が今までついていた役職(指揮官)がこんなに大変なことに、今更気づいたんだ。こんな個性豊かなメンバーは、俺じゃあまとめるのは無理だ。チームとして成り立ったのは東、お前がいたからだ。このチームにお前は欠かせない。だから、戻って来い、東!」
東「はい!」





「それでは皆さん、作戦はありませんが、作戦名だけ思いついたので言います」
それを聞き、キャプラが「なんだそりゃ!?」と一言ツッコむ。それに、皆笑った。もう、さっきまでの揉め事が嘘みたいに、チームはまとまった。
「作戦名は、『二人の少女に、拳骨ラーメンで天誅!』です」
それを聞いて、
「その作戦名はまともなのか?前よりまともになったような……気がしねぇよ!」
まぁ、実際に最強二人に拳骨とかあり得ない。
 しかし、モリスは賛成した。別の意味で。
「まぁ、俺はラーメン好きだからいいが」
「そういう問題か?」
「お兄ちゃんはラーメン嫌いなの?」
「いや……好きだけどよ、今関係あるか?」
「東さんがこれ終わったらラーメン奢るみたいですよ。因みに僕は味噌ラーメンで」
「何、アレスはちゃっかり頼んでるんだよ。俺は醤油で」
「お兄ちゃんも頼んでるんじゃん!私も、私も!キングさんは何がいいんですか?」
「豚骨で」
「皆、違うメニューかよ!仲いいのか悪いのか分からねぇよ!モリスはどうすんだ」
「そうだな、チャーハンで」
「ラーメンじゃないのかよ……さくらはどうする?」
「私、ケーキ!」
「最早、ジャンルちげぇ!」


「皆さん、そろそろいいですか?これより、少女攻略、第二ラウンドいきます!」
「「了解!」」



【ビッグサイト跡地】


 銀髪の少女・攻略サイド。
 モリスは言う。
「東がさっき言ってた、物理的ではない弱点。何も作戦内容は無いとか言ってたくせに、しっかりあるじゃねぇか。全く憎いぜ。こいつのアドバイスはいつも的中するんだから」
「全くだよ。東が復活したとたん、形成が逆転したんだから」
そう言いながら東を天才だと思う二人の手には、火炎放射器が握られていた。
 東のアドバイスは不死身に対する弱点について、例えで空想のドラキュラ等の弱点のように、体のどこかが弱点ではなく、特定のものに弱点があるのでは?と。例えば、十字架、太陽、清水、そして火。
 それを聞いたモリスは、火炎放射器を用意し、ライに向けて放った。




 結果、ライは火だるまになり、叫び、苦しみ、もがき、倒れた。
銀髪の少女「おの……れ。貴様ら……」
 燃え尽きる少女を二人は見届けた。再生の予兆がなく、また、炎を消すすべを持たない少女は、焼け消えた。




【ビッグサイトより離れた廃墟】


金髪の少女「はっ!ライ!!まさか……」
金髪の少女は、はるか遠くのビッグサイトの辺りを、目をこらして見た。その瞳にうつったのは、焼けこげるライの姿だった。
金髪の少女「てめぇら!ぶっ殺す!」
怒りが頂点に達したレムは、それをそのまま反撃のエネルギーにかえるかのように、すざましいオーラを放つ。


金髪の少女「   イシュ・チェル      」



 突然、どこからか水が吹き出し、辺りが水に浸かり、その水位が上がった。
 その光景を見てキングは言った。
「洪水・・・・」
それを聞いたキャプラは「はっ?洪水」と聞き直した。
「そうだ。イシュ・チェルは破壊神の名で、洪水をもたらす」
「キングさんは神話に詳しいんですね」
「まぁな」
「しっかし、技の名前が破壊神の名前とか、まさに能力が破壊なだけあるな。とにかく、これが洪水なら、早く上に上がったほうがいいぜ。あの近くのビルに向かおう」
皆、キャプラの指示に納得し、ビルへ向かった。
「エレベーターは当然使えねぇから、非常階段を探すんだ!」




【東サイド・とあるビル屋上】


 ビル屋上で、廃墟の街が水にのみこまれているのに、気づく。
「これは!?……確か、モリスからの無線連絡で、銀髪の少女を倒した連絡があった直後だから、金髪の少女レムの仕業か」
「そうだよ」
それに返事をした張本人が、空を飛んできた。
「金髪の少女・・・・」
金髪の少女「レムでいいよ」
「レム、これは君の仕業なんだね」
金髪の少女「さっき、答えただろ」
「なぜ、こんなことをする?」
金髪の少女「それは、世界を滅ぼすと言ったことか」
東は頷く。
「何の為に世界を滅ぼすんだ!」
金髪の少女「それは『空のない世界』が誕生してから決まっていることだ。『空のない世界』が現れたら、それは世界の滅びの前兆。あのお方の意思であり、我々少女はそれに従うだけだ。この地に降臨したのもあのお方の指示だ」
「あのお方?」
金髪の少女「あのお方は黒だ。『空のない世界』の王であり、我々少女の指揮官だ」
「つまり、その黒は君たちと同じ少女だと?」
金髪の少女「どうだろうな?あの『空のない世界』事態があのお方なのかも知れない。見ろ、空の色を。真っ黒だろ。まるで闇だ」
「あれが、君たちの王!?」
金髪の少女「少女には、色と色無しがいる。君らの仲間にも少女がいたはず」
「さくら!」
金髪の少女「その少女は色無しだ。色無しは色のある少女から生まれる。パーカーの子、レイチェルの色はピンクだ。色ありの少女。さくらという子は、レイチェルによって生まれた色無しの少女にあたるわけだ」
「色ってどういう意味なんだ?」
金髪の少女「色を持つ少女は、色無しより強い能力を持っている。色は王から授かり、能力を得る。だから、色持ちは限られている。君らは、その色持ちの少女・・紫、ピンク、赤、白を倒した。そして、今君の目の前にいるのは金だ。私の知る限りでは他に、黒(王)、青(No.2)、茶、黄、橙、緑だ。つまり、君らが頑張ったところで、他にもいるってことだ。どうだ、人間。絶望したか?」
「いや、絶望はしてない。がっかりはしたけどね」
金髪の少女「ふふ……面白い。こいつらに、ライはやられたのか。では少年、いずれ黒に挑むと?」
「そうなるね」
金髪の少女「なら、その手助けをしてやる。私は、ライがやられて今、短気なんだ。だから、『空のない世界』に今からお前を投げ飛ばす!死んでも知らん。いや、あれは虚無だから死ぬだろうな。それでも、投げる。そして、早く戻らなきゃ、君らの仲間は溺れ死ぬだろうな」
「いや、ちょっ、ちょっと待とうか!」



金髪の少女「待たない!!」


そう言って、東を投げ飛ばした。暗闇の空に向かって。


「ぎゃあああぁぁぁーーー!!」



一章   完。      


次回    新章突入


2章     新世界編
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...