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第三章 舞踏会編
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「第一王子オスカー様、並びにキャンベント侯爵家ご令嬢、レミリア様ご入場ーー!!」
進行役が入場の合図をすると、一斉に貴族達の目がこちらに向けられる。王子を見るやいなや黄色い声が聞こえてくると共に隣を歩く私に敵意を向けてくるような目や、好奇心の様な視線も感じ取れた。
勝手に手が震える。するとオスカー様がキュッと私の手を握り返してくれた。
「安心しろ。大丈夫だ。堂々としていろ。」
隣にいる私に伝わる声で囁き、その言葉に安心したのか震えは止まっていた。
メインの階段を降り切って1度立ち止まり、手を繋いだままカーテシーを行う。
その様はとても9歳の少女には見えない気品があった。
そのまままた真っ直ぐ歩き、玉座の前でまた一度カーテシーをしたまま立ち止まる。
「国王陛下、王妃殿下、ご入場でございます!!」
その言葉を合図にこの場に居る全ての貴族がカーテシーを行う。
「皆のもの、よく集まってくれた。今宵のメインはデビューした子息令嬢達である。我の息子オスカーもめでたくデビューした。
そしてこの場を持って、キャンベント侯爵家令嬢レミリア嬢を婚約者候補として発表する。」
この場にいる令嬢達からはどよめきが起こり、大人達からはやはりと言う声が密かに広がる。
あんなに大々的に入場した手前分かりやすかったのだろう。
「皆短い時間だが舞踏会を楽しんでくれ。」
そう告げると王は王妃と共に玉座に座る。
どこからともなく音楽が流れ始め、私達はファーストダンスを踊るため会場の中央へと進む。
曲は簡単でゆっくりめなワルツだった。
緊張も解れていた甲斐があったのかミスもせずに踊りきった。
貴族達からは拍手が送られ、素晴らしかった。お綺麗でしたわ。などと褒められたが9割がご機嫌取りだろう。
そしてそのあと、王と王妃が立ち上がり上座から降りて来る。
「まさか両陛下が踊られるとは。」
「王太子時代以来なかったことですわ。」
「それだけオスカー殿下とレミリア侯爵令嬢の仲をお認めになっているということか。」
などという憶測がチラホラと聞こえてくるが、陛下が半分は妃殿下のためにと踊っていることを知っているのはレミリアだけであった。
「陛下、久しぶりでございますね。」
「いつ以来になると思っているんだ…。」
「私も女ですもの。たまには踊りたくなるのですよ。」
「そういう事にしておこう。」
「あら、他に理由があるとお考えで?」
「マリーが考えているのはレミリア嬢の事だろう?身分は申し分ないがあの娘の秘密を知るのは我々2人と侯爵家、並びにシャーリィー夫人の実家公爵家のみだろう。」
「そうですわね。先手を打たないと周りの貴族が何かと探り始める。それならいっそ、王族自体が認めていると表してしまう方が早いですから。」
「恐れ入ったよ、我が妻よ。」
「お褒め頂き光栄ですわ。」
なんていう話を踊りながらしているとはレミリアは露ほども知らないで、2人のダンスを夢中になって見ていたのだった。
進行役が入場の合図をすると、一斉に貴族達の目がこちらに向けられる。王子を見るやいなや黄色い声が聞こえてくると共に隣を歩く私に敵意を向けてくるような目や、好奇心の様な視線も感じ取れた。
勝手に手が震える。するとオスカー様がキュッと私の手を握り返してくれた。
「安心しろ。大丈夫だ。堂々としていろ。」
隣にいる私に伝わる声で囁き、その言葉に安心したのか震えは止まっていた。
メインの階段を降り切って1度立ち止まり、手を繋いだままカーテシーを行う。
その様はとても9歳の少女には見えない気品があった。
そのまままた真っ直ぐ歩き、玉座の前でまた一度カーテシーをしたまま立ち止まる。
「国王陛下、王妃殿下、ご入場でございます!!」
その言葉を合図にこの場に居る全ての貴族がカーテシーを行う。
「皆のもの、よく集まってくれた。今宵のメインはデビューした子息令嬢達である。我の息子オスカーもめでたくデビューした。
そしてこの場を持って、キャンベント侯爵家令嬢レミリア嬢を婚約者候補として発表する。」
この場にいる令嬢達からはどよめきが起こり、大人達からはやはりと言う声が密かに広がる。
あんなに大々的に入場した手前分かりやすかったのだろう。
「皆短い時間だが舞踏会を楽しんでくれ。」
そう告げると王は王妃と共に玉座に座る。
どこからともなく音楽が流れ始め、私達はファーストダンスを踊るため会場の中央へと進む。
曲は簡単でゆっくりめなワルツだった。
緊張も解れていた甲斐があったのかミスもせずに踊りきった。
貴族達からは拍手が送られ、素晴らしかった。お綺麗でしたわ。などと褒められたが9割がご機嫌取りだろう。
そしてそのあと、王と王妃が立ち上がり上座から降りて来る。
「まさか両陛下が踊られるとは。」
「王太子時代以来なかったことですわ。」
「それだけオスカー殿下とレミリア侯爵令嬢の仲をお認めになっているということか。」
などという憶測がチラホラと聞こえてくるが、陛下が半分は妃殿下のためにと踊っていることを知っているのはレミリアだけであった。
「陛下、久しぶりでございますね。」
「いつ以来になると思っているんだ…。」
「私も女ですもの。たまには踊りたくなるのですよ。」
「そういう事にしておこう。」
「あら、他に理由があるとお考えで?」
「マリーが考えているのはレミリア嬢の事だろう?身分は申し分ないがあの娘の秘密を知るのは我々2人と侯爵家、並びにシャーリィー夫人の実家公爵家のみだろう。」
「そうですわね。先手を打たないと周りの貴族が何かと探り始める。それならいっそ、王族自体が認めていると表してしまう方が早いですから。」
「恐れ入ったよ、我が妻よ。」
「お褒め頂き光栄ですわ。」
なんていう話を踊りながらしているとはレミリアは露ほども知らないで、2人のダンスを夢中になって見ていたのだった。
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