ある独りの侯爵令嬢は精霊に愛される。

玲藍

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第三章 舞踏会編

4 オスカー

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 「オスカー様、レミリア様がご到着なさいました。」

「ああ、分かった。もう少ししたら迎えに行こう。」

 今日は初めての、そしてレミリアを僕の婚約者候補として発表される特別な舞踏会になる。陛下にお願いしてレミリア用に部屋を用意して貰った。
 多分緊張しているだろう。これから王族になるかもしれないと厳しい政治の世界に巻き込んでしまうからだ。
 
「僕はちゃんとレミリアを支えられるだろうか…。」

しんとした部屋に独り言が大きく響いた気がした。だか、しゃんとしなくては。レミリアを守る為に。そう決意した僕は部屋を飛び出した。

レミリアのいる部屋に辿り着くと、騎士が扉を叩く。侯爵家から共に来ている侍女が出てきた。

「王子様、大変ご機嫌麗しゅうございます。本日はデビュタントお祝い申し上げます。」

「ああ、ありがとう。君は…」

「キャンベント家レミリア様専属侍女アンナでございます。」

「レミリア専属なのだな。アンナか、覚えておこう。レミリアは支度出来ているだろうか。」

「ただいま確認してまいります、しばしお待ち下さいませ。」

そう言って侍女はレミリアの元へ確認しに行く。少しするとまた扉が開いた。

「お待たせ致しました。どうぞお入りくださいませ。」

そう言われ、開かれた扉を通った。
レミリアは青いドレスを着ていて、嬉しくなった。
 僕の衣装にもレミリアの瞳の色があしらわれている。


「レミリア、久しぶり。そ、そのなんと言うか、そのドレス、すごく似合ってるよ。」

「オ、オスカー様。ありがとう、ございます。嬉しいですわ。」

恥ずかしがるレミリアを見てこちらもつられて赤くなる。めちゃくちゃ可愛い。と心だけが踊っていた。

(((私たちのお仕えするレミリア様オスカー様が可愛い。)))

2人の初心な態度は、この場にいる騎士と侍女のハートを掴んだのだった。




「オスカー様、まもなく入場のお時間になります。」

「ああ、分かった。」

時間だと告げられ僕はレミリアに手を差し伸べた。

「レミリア、僕の初めてのエスコートを受けてくれるかい?」

「はい、もちろんですわ。よろしくお願い致します、オスカー様。」

そう言って差し伸べた手に手が重なると指先に軽くキスをする。
お互い向き合った状態で顔を上げると目があってしまった。キスをしたことでで自分の体温が数度上がった気がした。視線が交わるとレミリアは、恥ずかしそうにすぐ目を逸らした。そこまで表情が見えていた訳では無いが、耳が赤くなっていることに気がついた。
 レミリアが可愛い。改めて愛おしいと思うと顔が熱くなった。

((しばらくオスカー様レミリアの顔を見れませんわ。が見れない。))

 「行こうか、レミリア。」

「は、はい。」

 短い言葉だけを交わして足を進め始める。
レミリアが転ばないようにゆっくりと歩いていく。
 舞踏会には主催の王族はもちろんのこと公爵から子爵まで幅広い貴族が集まっている。
 レミリアは色んな視線を当てられることだろう。それでも少しでも自分といる時間は守ってやりたい。絶対にだ。

レミリアとの入場は、他の子息令嬢達の入場が終わった後に一緒に入場する事になっている。その後、両陛下が入場し席に着かれると、舞踏会開始のファーストダンスを僕達が踊る
つまり大役。今日の主役メインという事だ。

「緊張しているかい?」

レミリアの手が少し震えていた。

「緊張していないと言ったら嘘になりますわ。でもオスカー様が隣にいて下さるんですもの。頼りにしていますわ。」

「責任重大だな。」

「そうですわ。責任重大ですの。」

 ふっと軽く笑い行こうかと胸をしゃんとする。彼女を横目に見ると、大人びた顔をしていてとても綺麗に見えた。
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