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第43話 二人ともテイムしちゃうぞー

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「け、誰がお前なんかに……」
「うん、じゃあちょっと待っててね」

 俺はそう言って、カメラをミャロの方へ向ける。
 ミャロはまだ全裸のままで姉の白猫にほおずりしていた。
 カメラがその姿をばっちり映しだす。
 いやほら、今から法に触れそうなことやっちゃいそうだからさ、なんというかリスナーのみなさんにはナイスボート的にこの美しい情景を見ていてもらおうかと。

〈おおさすが〉
〈いいカメラの位置〉
〈主は天才〉
〈六回目に挑戦するわ〉

 馬鹿どもは放っておいて、俺は落ちていた西村の剣を取ると、それを西村の股間にあてた。
 プレートアーマーってやつは、股間も守れるようになってはいるけど、まあそこの防具は外すのが困難なほどガチガチに覆われてはいない、関節だし、小便もしなきゃだからな。
 だからそこに剣先をあて、

「ねー、リーダー、教えて?」
「三崎ぃ、てめえが俺に」

 ブスッ! 
 俺は剣を突き刺した。
 あっという間に西村の股間から血が噴き出て床を濡らす。

「ま、待て、みさk、待て……」

 グリグリグリッ!
 剣先をねじるとブチブチとなにかがちぎれる音。

「いってええええええええええ! やめろ、やめてくれ、三崎、やm」

 ズン! と剣先を三十センチほど突き刺す。
 間違いなく内臓をえぐった感触があった。

「あばばぁぁ……」

 爬虫類みたいなハゲ西村がみじめな顔で失神する。

「おっとあぶない、殺しちまうぜ、小治癒《ヒール》小治癒《ヒール》小治癒《ヒール》小治癒《ヒール》小治癒《ヒール》小治癒《ヒール》!」

 ……もうこうなったら中治癒くらいは使ってやってもいいんだけど、俺も楽しくなってきてるからさー。

「うむ、リーダー、よかったね、治ったよ。さてもう一回聞くね、パスワードは? 言えば金玉残しといてやるよ」
「……約束するか……?」
「もちろん。リーダー、俺が約束破ったこと、今までになかったでしょ?」
「204381……だ」
「全部数字かよ、リテラシー足りねえなあ……あ、声で認証だっけか。おい、ミャロ、姉ちゃん連れてこっち来な」
「はいにゃですよー」

 トテトテとミャロが白猫を持ったままそばに来る。

「よし、じゃあ西村、えい!」

 俺はもう一度西村の股間に剣を突き刺す。
 うん、いい手ごたえ、これは玉に刺さったな。俺の魔法はすごいな、さっき破壊してやったのにもう復活してる、玉は二つあるからブスブス! と二回刺してやって、じゃあもう一度グリグリグリッ! 
「あああああああああぃぃぃいいいいいてええええええ!! てめぇ、三崎、なにをしやがるぅぅぅぅ~~~~~!」
「いやだって、嘘ついて締め付けて殺す方のパスワードを言われたら困るじゃん。西村、てめえが約束守ったの、見たことねえからな。だから、ほら。ちゃんと拘束を外したら魔法で治してやるから。拘束を外さなかったら一生タマなしで生きていけばいいんじゃないかなあ? あ、ついでに肛門もぶっ壊しておくか、あとアキレス腱と両手首もきりおとしてやるからな、聞いてんのかこらくそがっ!!!!」
「わ、わかった、外すから、外すから、わかった、すまん、たのむよ三崎君……三崎さん……。14365818!」

 さっきと数字が違うじゃねえか、やっぱりクズ西村の野郎、嘘を言いやがってたな。 
 西村が数字を叫んだ瞬間、白猫をグルグル巻きにしていた革ひもがあっというまにゆるんで床に落ちた。

 その途端に、白猫がポムッ! というポップな音とともに人間の姿へと変わった。
 腰まである長い銀髪の美少女。
 ミャロより背が高く、その分ミャロより華奢な体型。

〈こっちも裸だー!〉
〈最高だ〉
〈今度忘れてなかったら投げ銭してやるからな〉

「お姉ちゃん!」
「ミャロイターナ・ピッピチトンガロ・ビョビョビョュッポ・タンチンッピドンチンヌハッ・コハイナファーナ・イシリラル・ペッンヲコポー!」

 美少女姉妹が裸で抱き合う美しい姿。

「いやちょっと待って、ミャロの名前ってどこまでがファーストネームでどこまでがファミリーネームなの?」

 思わず尋ねると、

「ミャロイターナ・ピッピチトンガロ・ビョビョビョュッポ・タンチンッピドンチンヌハッ・コハイナファーナ・イシリラル・ペッンヲコポー・ンッポ・ンッパ・トロンパーナのうち、ミャロイターナ・ピッピチトンガロ・ビョビョビョュッポ・タンチンッピドンチンヌハッ・コハイナファーナ・イシリラル・ペッンヲコポーまでがファーストネームなのにゃです! だからンッポ・ンッパ・トロンパーナがファミリーネームなのにゃですよ?」

 あ、そう。
 まあいいや、うんうん。
 細かいことは抜きにして、姉妹仲良きことは美しきかな。

「うう……三崎さぁん、そろそろ治癒魔法をお願いしますぅ……」
「うん、そうだな、ご褒美にちゃんと治してやるよ。大治癒《スーパーヒール》!」

 俺は最大の治癒魔法を西村にかけてやった。
 うん、これで西村は完全回復だな、よかったよかった。
 大団円だなー。
 うんうん。

「あのー、三崎さぁん……治ってないですけどぉ……?」
「そりゃまあミャロを吸った分の魔力は使い切ったし、もう一回ミャロを吸えば魔力も復活できるけどさー、ほら、あの白い方見てみろよ、首輪してないじゃないか?」

「そ、それは今俺が外したからぁ……」

「いやいや、拘束システムの外れたモンスターに魔力のない俺が近づいたら危険だろ? 危険だよな? だから残念だよ、俺が魔法を使えれば西村、お前を治療してやれたのになー。危険だからなー。残念だなー」

「頼むぅ~、三崎さん、頼む、玉が二つともこわれちゃってるんだよぉ、一つだけでも戻してくれぇ~~~」

「うーん、でも首輪もしていないモンスターに近づけないよ、ほんと残念だよ西村さん。ん、なんか喉につまってるなーごほんごほん、カー、ペッ!」

 そんなつもりはないけど俺の吐いたタンが西村の顔にべとっとついた。

「いやーごめんごめん、でもやけどした皮膚にはいいかもよ?」

 そんな俺に、裸の美少女二人が駆け寄ってきて、抱き着いてきた。
 すっげえいい匂いがした。

「コーキ、ありがとなのにゃですよ! えへへ!」
「コーキさん、妹の手助けをしてくれてありがとうございます」

 二人の女の子に肌をぴったりくっつけられて、その体温がダイレクトに俺に伝わる。
 俺を見上げてくる二つの美少女の顔、うっすら上気していてトロンとしている。
 うーん、いいじゃんいいじゃん、もー俺、二人ともテイムしちゃうぞー!

「あのー三崎さん、今吸ってますよね? 猫さんを吸ってますよね? あの、魔力回復してますよね?」

 股間からだらだら薄汚ねえ血を流しながら情けない声でそういう下痢クソハゲ爬虫類の西村の声を無視して、俺は二人の姉妹をぎゅっと抱きしめてやった。


 こうして俺とミャロの二人での初めての探索は終わったのだった。


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