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第44話 エピローグ

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 いやーひどい目にあった。
 あれから地上に戻ったはいいが、そしたら逮捕されてしまった。
 んで二十日間みっちり勾留されて刑事さんに尋問されまくってしまった。
 ま、人を殺しちゃったんだからしょうがないよな。
 ちなみに多香子は一応しばらく入院していたんだけど、探索中の出来事でPTSDになっちゃって自傷行為を繰り返し、その後単科精神科病院の閉鎖病棟で一生を暮らすことになった。かわいそ。

 あと、西村はそのまま病院に運ばれて一命はとりとめたけど半身不随になってそれから十六年間後遺症の痛みに苦しみ抜いてから結局誤嚥性肺炎になってあがきながら死んだんだけど、俺の人生にはもはや関係ないからどうでもいいや。

 小針浜さんは両腕を永遠に失った上に裁判で死刑宣告受けてた。まあ警察署を襲撃して殉職者出してるししょうがないよな。執行されたのかどうかまでは知らない。

 で、俺は西村の件は不問だったんだけど、一応オオカミの空の戦闘員を殺しちゃったことについては取り調べを受けたってわけ。
 警察署を襲撃したオオカミの空への官憲のヘイトもあるし(警察権力を敵に回したこのテロ組織は徹底的につぶされてた)、その上世論のあとおしもあって、結局俺は書類送検後、嫌疑不十分で不起訴処分でおわったのでめでたしめでたしということになったのだった。
 
 ミャロは正当な手続きで俺がテイムしたモンスターということで俺のところに返ってきた。
 白猫の姉ちゃんの方、名前はなんだっけかな、あ、そうだ、ピュロイターム・コポコポ・ツッッテンペンタン・ンョッポ・キャランツーノ・クワランパッタ・ンッポ・ンッパ・トロンパーナは一度そのままダンジョンの中に潜んでもらってから、釈放された俺が改めて手順を踏んでテイムしてやった。

 なんでも、こいつらの種族は身体からマナが生成されるんだが、その大量のマナのせいで自らの健康までむしばんでしまうらしい。
 姉のピュロが病弱だったのも、それが原因らしい。ミャロよりも自分が作り出すマナへの耐性が低かったそうだ。
 ので、俺が定期的に吸ってやる必要があるのだった。
 まあ吸った分のマナを俺が適当に魔法でブッパすればなんてことはない。
 これでずっと姉妹で暮らせるな、うむ、よかったよかった。
 
 ただひとつ。
 問題が残っている。
 そう。
 借金である。
 残り二百万円の借金からは、そして毎日必要なだけの生活費からは、どうしても逃れることはできないのであった。
 
 そして今。
 俺は、じゅんさい池の前に立っている。
 それも、二匹の猫を両手に抱いて、だ。

「いいか、お前ら、ちゃんとやってくれよな」
「みゃあ」
「みゅう」

 二人の猫はちゃんと返事してくれる。
 よし。
 もう、これしかないのだ。
 どうしても、俺はお金を稼がなきゃいけないのだっ!

「よし、行くぞ!」

 俺は二人の猫を思い切ってじゅんさい池の中へと投げ入れた。
 ボチャンッ!
 といい音がして、黒猫と白猫が池の真ん中に落ちる。

「みゃみゃみゃみゃあ~~~~っ」
「みゅみゅみゅみゅみゅううう~~~っ」

 ばしゃばしゃと溺れる二匹の猫。
 俺はそれに向けてスマホのカメラを構える。

「あーー! 猫が溺れてるっ! たすけなきゃ!」

 棒読みで叫び、バシャバシャと池の中に入っていく俺、そして二匹だか二人だかまあどっちでもいいけど、助けようとした瞬間――。
 ポムッ!
 コミカルでポップな音とともに、猫が少女の姿へと変化した。

「ばか! なんで変身するんだよ!」

 思わず叫ぶと、

「だってだっていままじで溺れるところだったにゃですよ?」
「んだんだ! こっちの恰好だばおぼれねもん! コーキさん、おれだぢのごど、殺す気であんめぇ?」

 二人で俺に抗議する猫少女。
 っていうか。

「……なんで姉ちゃんの方は若干なまってるんだよ……」 
「だってよぉ、ちっちぇころおれだ、田舎のばあちゃんちでくらしったさげ」
「そのころは私はちっちゃかったので方言は知らないのにゃですよ?」

 ……うーん、その話は今はどうでもよかったわ。
 問題なのは。
 二人の少女、今真っ裸なんだよなあ……。
 今立っているところは池の中でも浅いところで、膝上くらいまでの深さしかないから、二人とも全身丸見えだ。
 黒髪のミャロに銀髪のピュロ。
 背が低くてけっこう肉感的なミャロにすらっとしていてスレンダーなピュロ。
 なんていうかさ、すごくエロいけど、うーん、さすがにこれは動画にできんわ……。
 アカBAN間違いなしだ。
 いや待てよ、ポルノパブにこれでアップしてさー、マネタイズを……。

「あー! 今コーキ、ろくでもないこと考えたにゃですよね?」
「そいだばだめだー。そのスマホ、ちょっとかしてくんねが、動画消すさげ!」

 二人同時に俺に襲い掛かる裸のワーキャット、

「やめ、やめろ、おい、くそ、おい……」

 三人でまさにキャットファイトが始まってしまった。
 ばしゃばしゃと池の中で暴れる裸の少女二人と俺、やばいやばいスマホが水没するぞ、やめろこら、やめろ!
 あれ?
 なんか、遠くから……。
 サイレンの音が……。
 ……。
 …………。
 ………………。
 こうして、殺人の罪は不起訴になった俺だが、今度は市の条例違反で逮捕されたのであった。

 ってか借金どうしよう!?
 近所の住民の好奇の目にさらされながらパトカーに押し込まれつつ、俺は金策に思いをはせるのであった……。

※ なおこのあと地上でも治癒魔法を使えることを利用して大儲けするのだが、それは別のお話である。
                                 【完】
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