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第一章 占領
レジスタンス狩り
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ローエン帝国第5支部所属都市攻略第1部隊隊長トーマス・アストラルは地に転がり、命乞いを繰返す王国民を見下し、引き金を引いていた。
撃つ、部下が片付ける、また撃つ、部下が片付ける。
何人撃ったか数える気を失った頃、副隊長から制止が入った。
「今日の予定人数に達しました。お疲れ様です」
「そうか。」
トーマスの部隊が捕らえた王国民は皆「レジスタンス」として活動していたとされている。真偽はどうでもいいがレジスタンスであった方が都合がいい。
トーマスが気にしているのは『黎明の翼』とかいうレジスタンス連中だけだった。彼らはトーマスがこの街に来て仕掛けた仕掛けを見事にすり抜け今日も逃げ回っている。どこかにアジトがあるはずだがその痕跡すら見つけられていない。
ここまでなんの情報もないレジスタンスなど他にはない。寧ろ、そろそろ存在を疑っても良さそうな気もする。
蒸気機関都市なだけあり雪は積もらないが下手に町中で銃撃戦を繰り広げると高温の蒸気を浴びる可能性がある。これまでのレジスタンス達もゲリラ的に蒸気を部隊員に浴びせ、何名か死傷者が出ている。
そういったゲリラへの対策と何時襲われるか分からない恐怖が兵士の心を蝕んでいる。トーマスもその一人で最近軍医に言って数日前から睡眠薬を服用している。
「例のゴミ共、今回はなんと言ってきた?」
トーマスは近くにいた兵士にそう問いかけた。
「はっ人質との取り引きを打診して来ました。」
「そうか。ならば寛容なる我らは取引に応じよう。盛大に出迎えてやろうではないか。」
「はっ、準備させておきます。」
「よろしく頼むぞ?」
「お任せを!」
薄暗い路地を何かが走る。ネズミか…それともほかの生き物か、判別できない速度で何かは走る。そして、追跡者を振り切った事を確認しとある廃ビルに入っていった。
何かは地下エレベーターを使い、地下深くまで潜る。そして、またどこかへと行ってしまった。
何かは入り組んだ地下通路を抜け、外に出た。
雪が降り積もる中、公園のような広場で口笛を吹く。
暫くして、なにかの上に黒い鳥が降り立つ。そして黒い鳥は何かの上で軽く礼をすると言葉を発した。
「合言葉『血より』」
「『濃い家族』」
「よし、話せ。」
「連中、動きました。書状が、こちらです。」
「分かった。引き続き、用心しろ。」
「分かりました。」
黒い鳥の脚に書状をしっかり括り付けると、鳥は灰色の雲が覆う空へ飛びたった。
その頃、都市攻略部隊本部ではトーマスが紫煙をくゆらせながら部下に指示を出していた。
「招待状の現在地は?」
「現在地より北北東工場団地へ向かって高速移動中です。そ…空を飛んでいるものかと思われます。」
「ふむ…工場団地に人員の2割を派遣しろ。罠の可能性もある。十分注意せよ。」
「了解であります。」
黒い鳥は灰色と赤錆の浮いた街を飛翔していた。脚には追跡術式がかけられた手紙が括りつけられているが気にする様子もなく廃ビルの中へ入っていった。そして、器用に括りつけられた手紙を解き、机の上で視線を走らせる。
「ほう…。」
黒い鳥は手紙を机の上に置いておくと、来た時と同じように空へ飛び立っていった。
私が今いる場所ってどんな所なんだろう…。
ふと、そんな他愛もないことを思いついた。自分が人間ではないという衝撃的な事実を知った事で現実逃避しているのかもしれない。
「あ、いたいた。おーいレティシアー」
「あぁ、エレン。」
昨日の夜の出来事のせいでなんとなく気まずい気もしたがその話を私自身は知らない事になっているのでここで気づかれるわけにはいかない。
「ルチルとカトリが第1班に招集かけてるみたいだから一緒に行こう」
「……うん、分かった。」
二人がルチル達のいる部屋へ入ると扉が閉められ、有無を言わさぬ雰囲気を感じとれた。
「今、協力者から連絡があった。実は前々から帝国軍とコンタクトを取っていてねその返事がやっと届いた。」
ルチルが大型モニターに手紙を映し出す。
「捕虜数名の解放を要求したんだ。こっちは建前、本当の目的は敵部隊をおびき出して殲滅する。」
「質問、良いですか?」
「何かな?エレン」
「敵の数は?」
「未確定だ。現在取引場所には既に敵の部隊が潜伏していると踏んでいる。」
「場所は?」
「リンデンバルク湖の畔にあるログハウスだってさ。」
「まずい所に指定してきたね…全く。」
「あぁ。全くだ。これでは我々が死にに行く様なものだね。ただ、安心して欲しいのは今回救助する連中は科学技術者だ。連中もそう簡単には殺しまい。」
「作戦は今ここにいる第1班にやってもらう。まず、あたし、エレンとルーゲル、ヨミ、クレインは小人を使って偵察。カトリ、エミリー、サトクリファ、レティシアは後方でサポート。そんな流れで行く。」
「了解ッ」
「さぁ、皆!?とっとと科学技術者共を回収してやろうじゃないか!」
「おう!」
こうして、私がが初めて参加する作戦が始まろうとしていた。初めての作戦、初めての戦闘、言われぬ不安でなんとも眠りにくい夜が来そうな予感がした。
撃つ、部下が片付ける、また撃つ、部下が片付ける。
何人撃ったか数える気を失った頃、副隊長から制止が入った。
「今日の予定人数に達しました。お疲れ様です」
「そうか。」
トーマスの部隊が捕らえた王国民は皆「レジスタンス」として活動していたとされている。真偽はどうでもいいがレジスタンスであった方が都合がいい。
トーマスが気にしているのは『黎明の翼』とかいうレジスタンス連中だけだった。彼らはトーマスがこの街に来て仕掛けた仕掛けを見事にすり抜け今日も逃げ回っている。どこかにアジトがあるはずだがその痕跡すら見つけられていない。
ここまでなんの情報もないレジスタンスなど他にはない。寧ろ、そろそろ存在を疑っても良さそうな気もする。
蒸気機関都市なだけあり雪は積もらないが下手に町中で銃撃戦を繰り広げると高温の蒸気を浴びる可能性がある。これまでのレジスタンス達もゲリラ的に蒸気を部隊員に浴びせ、何名か死傷者が出ている。
そういったゲリラへの対策と何時襲われるか分からない恐怖が兵士の心を蝕んでいる。トーマスもその一人で最近軍医に言って数日前から睡眠薬を服用している。
「例のゴミ共、今回はなんと言ってきた?」
トーマスは近くにいた兵士にそう問いかけた。
「はっ人質との取り引きを打診して来ました。」
「そうか。ならば寛容なる我らは取引に応じよう。盛大に出迎えてやろうではないか。」
「はっ、準備させておきます。」
「よろしく頼むぞ?」
「お任せを!」
薄暗い路地を何かが走る。ネズミか…それともほかの生き物か、判別できない速度で何かは走る。そして、追跡者を振り切った事を確認しとある廃ビルに入っていった。
何かは地下エレベーターを使い、地下深くまで潜る。そして、またどこかへと行ってしまった。
何かは入り組んだ地下通路を抜け、外に出た。
雪が降り積もる中、公園のような広場で口笛を吹く。
暫くして、なにかの上に黒い鳥が降り立つ。そして黒い鳥は何かの上で軽く礼をすると言葉を発した。
「合言葉『血より』」
「『濃い家族』」
「よし、話せ。」
「連中、動きました。書状が、こちらです。」
「分かった。引き続き、用心しろ。」
「分かりました。」
黒い鳥の脚に書状をしっかり括り付けると、鳥は灰色の雲が覆う空へ飛びたった。
その頃、都市攻略部隊本部ではトーマスが紫煙をくゆらせながら部下に指示を出していた。
「招待状の現在地は?」
「現在地より北北東工場団地へ向かって高速移動中です。そ…空を飛んでいるものかと思われます。」
「ふむ…工場団地に人員の2割を派遣しろ。罠の可能性もある。十分注意せよ。」
「了解であります。」
黒い鳥は灰色と赤錆の浮いた街を飛翔していた。脚には追跡術式がかけられた手紙が括りつけられているが気にする様子もなく廃ビルの中へ入っていった。そして、器用に括りつけられた手紙を解き、机の上で視線を走らせる。
「ほう…。」
黒い鳥は手紙を机の上に置いておくと、来た時と同じように空へ飛び立っていった。
私が今いる場所ってどんな所なんだろう…。
ふと、そんな他愛もないことを思いついた。自分が人間ではないという衝撃的な事実を知った事で現実逃避しているのかもしれない。
「あ、いたいた。おーいレティシアー」
「あぁ、エレン。」
昨日の夜の出来事のせいでなんとなく気まずい気もしたがその話を私自身は知らない事になっているのでここで気づかれるわけにはいかない。
「ルチルとカトリが第1班に招集かけてるみたいだから一緒に行こう」
「……うん、分かった。」
二人がルチル達のいる部屋へ入ると扉が閉められ、有無を言わさぬ雰囲気を感じとれた。
「今、協力者から連絡があった。実は前々から帝国軍とコンタクトを取っていてねその返事がやっと届いた。」
ルチルが大型モニターに手紙を映し出す。
「捕虜数名の解放を要求したんだ。こっちは建前、本当の目的は敵部隊をおびき出して殲滅する。」
「質問、良いですか?」
「何かな?エレン」
「敵の数は?」
「未確定だ。現在取引場所には既に敵の部隊が潜伏していると踏んでいる。」
「場所は?」
「リンデンバルク湖の畔にあるログハウスだってさ。」
「まずい所に指定してきたね…全く。」
「あぁ。全くだ。これでは我々が死にに行く様なものだね。ただ、安心して欲しいのは今回救助する連中は科学技術者だ。連中もそう簡単には殺しまい。」
「作戦は今ここにいる第1班にやってもらう。まず、あたし、エレンとルーゲル、ヨミ、クレインは小人を使って偵察。カトリ、エミリー、サトクリファ、レティシアは後方でサポート。そんな流れで行く。」
「了解ッ」
「さぁ、皆!?とっとと科学技術者共を回収してやろうじゃないか!」
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