怪物と呼ばれたモノ

神崎 詩乃

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第一章 占領

龍の話

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 リンデンバルク湖の戦いから一夜明け、レジスタンス幹部一同は会議場として使っている広間に集合していた。

「さて、龍について…だね」

 ルチルは苦々しい笑みを浮かべるその隣にはザックが居て、いつも以上に殺意を放っている。

「そう言えばあたしも龍についてはざっくりとしか説明されてないよね?」
「ま、まぁね」
「俺にも黙っていたよな?」
「順番に話すから!取り敢えず今はまだあの子レティシアには伏せておいて。」
「時期を見て話す。」
「分かった。」

 一同が沈黙し、視線がルチルに集まる。
「……。龍種は大昔の言葉でドラゴンって言うんだ。環境の変化とかつて起きた対戦で絶滅したと言うふうにアカデミーでは教えているようだけど、それは違う。龍種は特殊な生物なのさ。」
「……。それだけか?」
「まぁ、そう慌てなさんな。龍種ってのはね、それそのものが現象なの。」
「現象?」
「そう、現象。火だったり、雨だったり、嵐だったりね。だからこの世界が壊れない限り消えることはないし、何かで死ぬこともない。」
「……。レティシアは…雪?」
「雪龍は既に存在している。それに、雪龍なら眼は青くなるはずだ。レティシアのように白髪赤眼は例がないな。」
「でも、色々凍結させてるよ?」
「……。謎だ。」
「因みに…一つ聞きたいんだが…」
「何だ?カトリ」
「レティシアについては分かった。じゃあそんなことを知っているザックは何者なんだい?」
「闇を司る龍種だ。まぁ、現象的には『夜』だな」
「レティシアとはどういったご関係で?」
「レティシアは我々龍種の中で異質な存在なのだ。本来、龍種が人型になるには二百年程時間がかかる。だが、レティシアは生まれつき人型。種別も分からん。だから、それを見極めるのが俺の役目。それに、立場もあるしな。」
「立場?」
「レティシアは王家の血筋なのだよ。」
「……。質問だ…ザック……。」
「聞こうか」
「レティシアが龍種の王家の血筋なのは分かった。ならば何故彼女をこんな危険な所に放置する?郷に連れて帰ったほうがいいんじゃないか?」
「それだと決着がつかない。」
「決着?」
「あぁ。レティシアは呪いを受けている。その呪いは帝国の魔術師が掛けたものだ。レティシアの母親もな。我々としては龍種に喧嘩を売ったそいつ等を八つ裂きにしなければなるまい?」
「だからって……まだ子どもだぞ?」
「自分にかけられた呪い位自分で祓わねばこの先生きて行けんさ。龍種の素材は高く売れるからな。」
「なら、なぜ僕らに託した?僕らが彼女の身の上を知って彼女を売り払ってしまうかもしれないだろう?」
「一つ、我々龍種の郷には人間に対していい思いを持っているやつは少ない。そんな奴らが人里を侵さぬのはがあるからだ。その契約者は語り部のルチル…だ。」
「あたしの眼の事は皆も知っているだろう?あれが契約の証。破れば彼らの郷が現界して、龍種と人の戦争が始まってしまう。」
「……。分かった。彼女は丁重にお預かりしよう。」
「頼んだぞ?人間」
「それじゃ、ここらで次の作戦を説明しよう。実は円卓騎士から打診があった。今回の一件で我々、黎明の翼を傘下に入れたいらしい。だが、その前に力を見たいらしい。」
「ほほう…。」
「だから次の作戦は都市の奪還…だ。円卓騎士も参加する。気を引き締めてくれ。」
「決行日時は?」
「後で連絡する。」

 都市の奪還。それはレジスタンスの存在意義でもあり、なんとしても成し遂げたいことである。
「皆で都市を取り戻すぞ!」
「「おう!」」

 一方、レティシアは割り当てられた部屋で独り奮戦していた。
 部屋に着いた途端右腕が純白の龍の腕に変化してしまったのだ。それと同時に身体を巡る血が熱を持ち、意識が混濁し始めた。
「あ…これ…やばい…。」
 混濁した意識に急激な身体の変化、そして眠気…。
 レティシアは倒れる様に寝台に横になった……。
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