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一章、人喰い狼
四、調査
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「すみませーーーん!!」
がらがらと引き戸が左にずれていく、そして中年らしき男性が気だるそうに応答する。
『何の用だ』
「この村で狼が出ましたよね?」
『あぁあぁ、つけさんの旦那と、とくさんの娘さんがやられたって話な』
「え、二人ですか?」
『おう、気の毒にな』
「とくさんの娘さんはいつ頃やられたんですか?」
『一緒だよ、つけさんとこと』
「えっとじゃあ、その娘さんの死体は……」
『無かったよ』
「……無かった?」
『あぁそうさ、布団に血だけ大量に残して消えたのさ。ありゃあ狼が子供に持ってったんじゃねぇかな』
「そうですか……」
『奥さんかなり辛そうだったな……』
「ん?とくさんにご家族は?」
『ちょうど出稼ぎ行っててさ、あのでけぇ家に一人で暮らしてたぜ』
帰って来たらきっと悲しむだろうな……
「あなたは恐くないのですか?」
『そりゃおめぇ!こんなむさ苦しい男喰いてぇか!?』
がはははと大声で笑っているが、爺さんやられてんだぞ……
『でもな、ここらみんな貧しくて、ここ以外住めねぇんだわ。狼に喰われた方が幸せなのかもしんねぇな……』
「そんなに貧しいのですか?」
『あぁ、でもわしは、つけさんとこの大根が楽しみで生きてたようなもんだ。』
「へぇ!美味しいんですね!」
『あぁ!絶品さ!おめぇも一度は食ってみるといいさ』
「狼を退治できれば貰うことになってはいますよ?」
『かぁぁ!いいねぇ!わしなんて年に一度食えたらいいほうだべ!』
「簡単には貰えないんですか?」
『いいや、そうじゃなくてなぁ……』
どうやら、作物と交換するらしいのだが、いつ漬け物が出来上がるのかが分からないため、収穫時期とずれていると、もう他の農家と交換してしまっているらしい。そんな稀なご馳走をいただけるのは、かなり楽しみだ。
話は逸れてしまったが、もう一人の犠牲者について知ることができたし、これ以上、狼についての情報は無さそうだったので、中年男の家を後にした。
それ以降、刃物女に言われた通り、左にずらっと並んだ家に、一軒ずつ狼について聞き回ったが、結局目新しい情報はなかった。
最後の一軒も特に情報は無く、その家から立ち去ると、目の前に彼女がいた。
『どうだ』
「どうやらとくさんのむす
『聞いた』
「その死体は消えてい
『聞いた』
「つけさんの漬け物はかなりおいし
『聞いた』
「……以上です」
『そうか、ご苦労』
……あんたのせいだ。
「山に向かいますか?」
『いや、とくさんの家に泊まる』
「え、あ、はい」
『いや、私だけだ』
「え?」
『おま……嘔吐物は隣の家を見張っていろ』
お前でいいじゃん……
「はい、わかりました」
逆らうことはできないので、そうすることにしよう。
「あ、血」
『どうした』
「どこかに水があったのですか?」
『ん?どうしてだ』
「いや、死体触ったときに血付いちゃって、あなたの手には無いのでどこかで洗ったのかなと」
『あぁ、どこだっけな、家の人に水を借りたぞ』
「どこのですか?」
『覚えてない。また一軒ずつ訪ねてみるといい』
「……はい」
面倒なので、それはしなかった。
そして、狼を見たらすぐに呼べと言い残し、彼女はその家に入っていった。
もう辺りは真っ暗だ……もうおれも寝てよくないか?
そう思ったときだった
向こう側からゆっくりと近づいてくる何かに気がついた。
がらがらと引き戸が左にずれていく、そして中年らしき男性が気だるそうに応答する。
『何の用だ』
「この村で狼が出ましたよね?」
『あぁあぁ、つけさんの旦那と、とくさんの娘さんがやられたって話な』
「え、二人ですか?」
『おう、気の毒にな』
「とくさんの娘さんはいつ頃やられたんですか?」
『一緒だよ、つけさんとこと』
「えっとじゃあ、その娘さんの死体は……」
『無かったよ』
「……無かった?」
『あぁそうさ、布団に血だけ大量に残して消えたのさ。ありゃあ狼が子供に持ってったんじゃねぇかな』
「そうですか……」
『奥さんかなり辛そうだったな……』
「ん?とくさんにご家族は?」
『ちょうど出稼ぎ行っててさ、あのでけぇ家に一人で暮らしてたぜ』
帰って来たらきっと悲しむだろうな……
「あなたは恐くないのですか?」
『そりゃおめぇ!こんなむさ苦しい男喰いてぇか!?』
がはははと大声で笑っているが、爺さんやられてんだぞ……
『でもな、ここらみんな貧しくて、ここ以外住めねぇんだわ。狼に喰われた方が幸せなのかもしんねぇな……』
「そんなに貧しいのですか?」
『あぁ、でもわしは、つけさんとこの大根が楽しみで生きてたようなもんだ。』
「へぇ!美味しいんですね!」
『あぁ!絶品さ!おめぇも一度は食ってみるといいさ』
「狼を退治できれば貰うことになってはいますよ?」
『かぁぁ!いいねぇ!わしなんて年に一度食えたらいいほうだべ!』
「簡単には貰えないんですか?」
『いいや、そうじゃなくてなぁ……』
どうやら、作物と交換するらしいのだが、いつ漬け物が出来上がるのかが分からないため、収穫時期とずれていると、もう他の農家と交換してしまっているらしい。そんな稀なご馳走をいただけるのは、かなり楽しみだ。
話は逸れてしまったが、もう一人の犠牲者について知ることができたし、これ以上、狼についての情報は無さそうだったので、中年男の家を後にした。
それ以降、刃物女に言われた通り、左にずらっと並んだ家に、一軒ずつ狼について聞き回ったが、結局目新しい情報はなかった。
最後の一軒も特に情報は無く、その家から立ち去ると、目の前に彼女がいた。
『どうだ』
「どうやらとくさんのむす
『聞いた』
「その死体は消えてい
『聞いた』
「つけさんの漬け物はかなりおいし
『聞いた』
「……以上です」
『そうか、ご苦労』
……あんたのせいだ。
「山に向かいますか?」
『いや、とくさんの家に泊まる』
「え、あ、はい」
『いや、私だけだ』
「え?」
『おま……嘔吐物は隣の家を見張っていろ』
お前でいいじゃん……
「はい、わかりました」
逆らうことはできないので、そうすることにしよう。
「あ、血」
『どうした』
「どこかに水があったのですか?」
『ん?どうしてだ』
「いや、死体触ったときに血付いちゃって、あなたの手には無いのでどこかで洗ったのかなと」
『あぁ、どこだっけな、家の人に水を借りたぞ』
「どこのですか?」
『覚えてない。また一軒ずつ訪ねてみるといい』
「……はい」
面倒なので、それはしなかった。
そして、狼を見たらすぐに呼べと言い残し、彼女はその家に入っていった。
もう辺りは真っ暗だ……もうおれも寝てよくないか?
そう思ったときだった
向こう側からゆっくりと近づいてくる何かに気がついた。
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