この異世界であなたを守るために

日妻武士

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馬車

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 石畳の道は想像以上に膝に来た。
 安堵からくる空腹もさらに足を阻む。
 そんなこんなで道端で空を見上げて一息つく。
 微笑がこちらに向けられることに気付くと、少女は口を開いた。
 
「何故こんな立派な道なのに人が通らないのでしょうね?」

「何故でしょう。もしかするとこの世界はあなたと私二人だけかもしれません。そして悠久の時をここで過ごすのです」

 私は疲れていたのか夢心地だったのかはわからないが、突飛で情けない閉鎖的な思い付きを口に出した。
 恥ずかしいものだ。

「意外と悪くないかも知れませんね?」

 予想外の返答に戸惑い、その微笑みに何か異常に惹きつけられるものがあってさらに戸惑った。 

 暫くして唐突に現実に戻されるような出来事がやってきた。
 向かいから馬車がきたのだ。
 積荷が積んである木製の馬車だ。
 操っているのは若い女だろうか。
 少しの頭痛を我慢し、止まれ、と叫び両手を広げ行く手を阻む。
 馬は驚きすぐに止まったが馬車は急には止まれず、馬を押して私の目の前でちょうど止まった。
 
「我々は怪しいものではない、事情があるので町まで乗せてもらいたい」

 女は警戒している様子だ。
 しばし私を積荷の武器に手を当てながら、鋭い眼光でなぞる。
 洞察力に優れている蛇みたいに。
 女はふと目線を少女に向けた。
 少女は相変わらず何故か微笑んでる。 
 睨みを微笑みで返す不思議な空間は程なくして終わり、女は馬車を降り警戒を解いた様子だ。

「□□□、□□□□□?」

 まずいぞ、言語が違う
 私はとにかく敵意が無いこと、馬車に載せてほしいことを全身全霊をかけた身振り手振りで伝えた。
 正確に伝わったかは知る由もないが、女がひとことふたこと話した後、我々は馬車に乗ることが許された。  
 どこに向かうのかはわからないが、このまま歩き続ければ白骨化してしまう。
 今は流されよう。
 もし彼女に何かあっても、


私が守るから
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