女怪盗アクア 電子の監獄

司条西

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33:屈服②

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「キャァァァッッ!!」

葉月国際美術館の地下2階、怪盗アクアは犬型ロボットに追いかけられていた。

「ひ、ひいっ!」

悲鳴をあげたアクアの目に、ゴム弾を構える人型ロボットが現れる。
振り返ろうとする彼女の背中に、十字のゴムが命中する。

「あうっ!!」

レオタード姿の身体が前のめりにゴロゴロと転倒する。
急いで逃げなければならないのに、息が詰まって呼吸すらできない。

「ぐっ、うぐぅ」

近くに部屋を見つけたアクアは、這うように逃げ込んで扉を閉めた。
扉にもたれかかりながら、ガクガクと身体を震わせる。
そんな彼女の背中に、無慈悲なドローンのローター音が聞こえて来る。

「い、いやぁっ!」

恐怖の混じった悲鳴を上げるアクア。
振り向くと、天井から3機のドローンが襲ってきた。
恐怖に顔を強張らせるアクアに、容赦ないテーザー銃が発射される。

「ギャァァァァァァッ!!」

電極となっている針を受け、電気ショックに悲鳴を上げる。
だがロボット達による暴行はまだ終わらない。
膝を折った女怪盗の前で勢いよく扉が開かれ、今度は人型ロボットが襲いかかってきた。

「がはっ!」

勢いをつけたパンチを鳩尾に受けたアクアが、レオタードに包まれた身体をくの字に身体を折り曲げ吹っ飛ぶ。
背中から弾んだ身体は、ゴロゴロと転がって奥の壁に叩きつけられた。

「うぐぅ、あああっ」

暗い部屋の中でアクアは悶えた。
呼吸が完全に止まり、地獄のような鈍痛が動きを縛る。

「こ、降参……大人しく捕まるわ、だからもうロボット達を止めて」

監視カメラに向けて敗北宣言をする怪盗アクア。
だがそれを見る葉月は降伏を許さない。
今日は屈服するまで徹底的に痛めつけるつもりだ。

「きゃ、きゃぁぁぁぁぁっ!」

人型ロボットが女怪盗の身体を軽々と持ち上げる。
そして頭の上まで上げた所で思い切り床へ叩きつけた。

「がふっ!」

ボディスラムに肺の中の空気を吐き出す。
もはや身体を起こす事すらできず、床に伸びきったまま身動きが取れない。

「ゆ、許して、ペナルティなら大人しく受けるから、あうっ!」

哀願の言葉はロボットの強烈なキックに阻まれた。
脇腹を蹴られたアクアの身体がゴロゴロと転がる。
その先には別のロボットがいて、更にアクアの腹を蹴った。

「ぐふっ!」

口から涎を垂らしながら、アクアの身体が元の場所へと飛ばされる。
更にロボットはレオタード姿の女怪盗を蹴り飛ばし、別のロボットへとパスをする。
怪盗アクアはまるでサッカーボールのように床をゴロゴロと転がり続けた。

「た、助けて! 助けて!」

監視カメラから見つける葉月の耳に、恥も外聞もなく助けを求める声が聞こえる。
モニターに映る女の姿には、警察を翻弄していた女怪盗の面影はもはや無い。
口元を吊り上げた葉月は、彼女へゆっくりと語り掛ける。

「だったら私のモノになると誓い、名前を言うんだ、そうしたら止めてあげるよ」

「そ、そんな、いやぁっ!」

這って逃げようとしたアクアの足が掴まれ、人型ロボットに引きずり戻される。
人型ロボットはアクアを羽交い絞めにして無理矢理立たせると、胸に掌底突きを打ち込んだ。

「がふっ!」

一撃で呼吸を困難にさせる衝撃が、レオタードの薄布の上から豊かなバストを押しつぶす。
急所へ強烈な打撃を受けた女怪盗は、涙を流しで悶絶した。

「がはっ! ぐふっ! あがっ!」

ロボットによる掌底の連打がアクアの胸へ打ち込まれる。
屈辱と重い鈍痛が残る打撃は、女怪盗の矜持を砕くには十分すぎた。

「ひ、ひぎっ! あぐっ! も、もうやめてっ、あなたのモノになると誓うから、許してっ!」

掌打を受ける怪盗アクアの口から、隷属を誓う言葉が吐かれる。
その言葉に関心の笑みを浮かべた葉月は、ロボット達に暴行を止めるよう命令した。

「うぅ……あうっ」

羽交い絞めが解かれ、アクアの身体が床に崩れる。
もはや虚勢を張る余力さえ無いのだろう、目からは涙が流れていた。
世間を騒がす女怪盗も科学と圧倒的な暴力の前では、もはやただの小娘にすぎない。

「君の名前も教えてくれる気になったかい?」

監視カメラのマイクから聞こえて来る葉月の声に、アクアが首を縦に振る。
周りでロボット達が威嚇の動作をすると、ビクッと身体を震わせた。
逆らう気力はもはや根こそぎ奪われていた。

「弥生よ、天海弥生」

「ほぅ、いい名前じゃないか」

葉月はそういやらしい声で言うと、ロボット達に弥生を連行するよう命じた。
両腕を後ろ手にして電磁石の枷で拘束された女怪盗は、ロボット達に掴まれてゆっくりと立ち上がる。

「名前以外のことは、これからじっくりと聞かせてもらおう。もう君は私から逃れることはできないぞ、はははははは」

頭を垂れて連行される弥生の耳に、葉月の息切れするような哄笑が聞こえてきた。
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