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プロローグ
輝く卵
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かつて、永遠の都と謳われたバッハシュタイン王国は、一六〇四年もフーゲンベルク大陸の北側にある領土を多く支配していた。そうして、フーゲンベルク大陸で一番長く栄えた王国だった。
しかしこの王国は、常に龍族との争いが続いていた歴史でもあった。知能が高く魔力が強い龍は、人間にも姿を変える事が出来る。東を守るように生息していた龍族と、領土の境界線を巡って争っていたのだ。
しかし、突如その争いが終わりを迎えることになった。それを解き明かすには、バッハシュタイン王国の勇敢王と呼ばれたアンスガー・エクムント・ラルフ・ケーニヒスペルガーが、とある古龍と交渉した。と書かれた文献が、必要だった。
『百年に一度魂の美しい人間の女を一人捧げれば、王国に攻め入らない。また、手に負えない魔獣を始末しよう』
古龍は、王とそう約束をした。王国側は古龍に、約束通り百年に一度美しい女性を届けていたと書物には書かれていたとの事だ。
捧げられた乙女たちは聖なる乙女として称えられた。だが、大半が貧しい家庭の中から見目の良い娘が、金と引き換えに選ばれたらしい。王国を護る為の、悪しき風習だった。とも書かれている。
そんな中、最後の生贄となったのはなんと王家の姫だった。第三王女のヴェンデルガルト・クリスタ・ブリュンヒルト・ケーニヒスペルガーだ。姫は「王家を護る為だけに、民の命を差し出すのはおかしい」と王に進言して、自ら丁度百年目に当たる一六〇〇年に自分が古龍の元に行くと宣言した。王女が十四歳になる春の時だ。
王や臣下たちは反対したが、王女は侍女一人だけを連れて古龍の元に向かった。
姫は柔らかな長い金の髪に薄い青い瞳。瞳が大きく笑顔は華のように可憐で愛らしい人だったらしい。金の髪であることから、稀有な治癒魔法を使えたという。
迎えに来た古龍は、王女の姿を見ると満足したように姫と侍女を連れて消えた。
『もう、乙女を私に捧げなくてよい。彼女が、最後だ』
古龍はその言葉と共に、王女と侍女を連れて東に去って行った。
王家は嘆き悲しんだが、今更どうあがいても王女は帰って来ない。喰われたのだろうと、半ば諦めていた二年後の秋だ。
領土の一番東の端の山の中で、古龍の死骸を発見した。それを見つけたのは狩りに来ていた、ゲープハルト・ハイノ・フンベルト・アインホルン辺境伯だ。彼は野心家で、爵位を受け継いだ時より王位を狙い密かに協力者を集めていた。
古龍がいなくなれば、怖いものは無い。すぐに挙兵して王都に攻め込んだ。まさか謀反が起こると微塵も思っていなかった王家は、一年も経たぬ内に滅んでしまった。
バシュミーデ皇国の誕生である。
それから、二百年後。古龍の住処であった場所を探索していた騎士たちが、崩れ落ちた崖の中より人より少し大きな光輝く卵の様な石の塊を見つけた。どんなに叩いても壊れぬその卵を、騎士たちはどうしたものかと悩み、判断を委ねるべく皇国に連絡した。
『ならば、皇都に運ぶべし』
との連絡を受けると、その輝く卵を馬に曳かせて戻って来た。物珍しい光り輝く石に国民たちは喜び、それが城に運ばれるのを見る為に列を作った。
帝都にいた様々な人物が、色々なものでその卵を叩き割ろうとしたがそれは叶わなかった。表面に薄く浮かび上がる文字は誰も読めず、長い間その石は埃をかぶる事になった。
しかしこの王国は、常に龍族との争いが続いていた歴史でもあった。知能が高く魔力が強い龍は、人間にも姿を変える事が出来る。東を守るように生息していた龍族と、領土の境界線を巡って争っていたのだ。
しかし、突如その争いが終わりを迎えることになった。それを解き明かすには、バッハシュタイン王国の勇敢王と呼ばれたアンスガー・エクムント・ラルフ・ケーニヒスペルガーが、とある古龍と交渉した。と書かれた文献が、必要だった。
『百年に一度魂の美しい人間の女を一人捧げれば、王国に攻め入らない。また、手に負えない魔獣を始末しよう』
古龍は、王とそう約束をした。王国側は古龍に、約束通り百年に一度美しい女性を届けていたと書物には書かれていたとの事だ。
捧げられた乙女たちは聖なる乙女として称えられた。だが、大半が貧しい家庭の中から見目の良い娘が、金と引き換えに選ばれたらしい。王国を護る為の、悪しき風習だった。とも書かれている。
そんな中、最後の生贄となったのはなんと王家の姫だった。第三王女のヴェンデルガルト・クリスタ・ブリュンヒルト・ケーニヒスペルガーだ。姫は「王家を護る為だけに、民の命を差し出すのはおかしい」と王に進言して、自ら丁度百年目に当たる一六〇〇年に自分が古龍の元に行くと宣言した。王女が十四歳になる春の時だ。
王や臣下たちは反対したが、王女は侍女一人だけを連れて古龍の元に向かった。
姫は柔らかな長い金の髪に薄い青い瞳。瞳が大きく笑顔は華のように可憐で愛らしい人だったらしい。金の髪であることから、稀有な治癒魔法を使えたという。
迎えに来た古龍は、王女の姿を見ると満足したように姫と侍女を連れて消えた。
『もう、乙女を私に捧げなくてよい。彼女が、最後だ』
古龍はその言葉と共に、王女と侍女を連れて東に去って行った。
王家は嘆き悲しんだが、今更どうあがいても王女は帰って来ない。喰われたのだろうと、半ば諦めていた二年後の秋だ。
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バシュミーデ皇国の誕生である。
それから、二百年後。古龍の住処であった場所を探索していた騎士たちが、崩れ落ちた崖の中より人より少し大きな光輝く卵の様な石の塊を見つけた。どんなに叩いても壊れぬその卵を、騎士たちはどうしたものかと悩み、判断を委ねるべく皇国に連絡した。
『ならば、皇都に運ぶべし』
との連絡を受けると、その輝く卵を馬に曳かせて戻って来た。物珍しい光り輝く石に国民たちは喜び、それが城に運ばれるのを見る為に列を作った。
帝都にいた様々な人物が、色々なものでその卵を叩き割ろうとしたがそれは叶わなかった。表面に薄く浮かび上がる文字は誰も読めず、長い間その石は埃をかぶる事になった。
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