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その2
神様への贈り物
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シーン1
クリスマスイブの日、いくら待ってもジュディは約束の場所には来ませんでした。
ジュディを心配したベルモンドは翌日のクリスマス当日、彼女の為に描いた絵のキャンバスを持ってその自宅を訪ねて見る事にしたのです。
今まで彼女の家を訪ねた事はありませんでしたがうろ覚えの住所を頼りに近所の人たちに何度も聞いてやっと彼女が住んでいるという家を見つける事ができました。
それは貧民街に所狭しと並ぶ掘立小屋の一軒でいかにもみすぼらしい家でした。
ベルモンドはその家のドアをノックしましたが返事はありません。
不吉な予感がしたベルモンドは思い切ってそのドアを開けて見ました。
ドアに鍵はかかっておらずギィーッという軋むような音とともにそれは開きました。
そしてその扉の先の一つしかない殺風景な部屋の中にはベッドが置いてありその上にジュディが瀕死の状態で横たわっていたのです。
「ジュディ!!」
慌ててジュディの横たわるベッドに駆け寄るベルモンド。
ベルモンドが枕元に近づくとジュディがうっすらと目を開けて彼を見ました。
「来てくれたのねベルモンド。ありがとう」
「いっ、一体どうしたんだ!?ジュディ!!病気なのか!?」
動揺して上ずった声で尋ねるベルモンドにジュディが横になったままで頷きました。
「ごめんね。実はちょっと前から熱っぽかったの。こないだあなたと別れてから急に苦しくなってそれからずっと寝込んでいたの。昨日は逢いに行けなくてごめんなさい」
ベルモンドは激しく頭を振りました。
症状から見て彼女は今、世の中を騒がせている恐ろしい流行病にかかったと思われました。
ベルモンドはベッドに横たわるジュディの手をギュッと握りしめて言いました。
「謝るのは僕の方だ。寒空の下でモデルなんかさせて君に負担をかけてしまった。でも体調が悪いなら何で言ってくれなかったんだ」
ジュディはベルモンドのその言葉を聞くと恥ずかしそうに目を伏せてから彼に答えました。
「あなたの役に立ちたかったから。だってわたしあなたに何もしてあげられなかったし」
するとベルモンドは感極まった様にウゥッと呻いてうつむきました。
しかしやがて顔を上げきっぱりとした口調で彼女に言いました。
「とにかく君の病気を治さなくては。待っててくれ。すぐに医者を呼んでくるから!」
しかしジュディは悲しそうに首を振ります。
「駄目よ。お金が無ければこんなところにお医者さんは来てはくれないわ」
そしてベルモンドの気持ちを少しでも慰めるためでしょうか、彼が持ってきた白い包みを見て言いました。
「それ、あなたが描いてくれていた絵でしょう?わたし見てみたいわ」
しかしベルモンドはその言葉を聞くと何かを思いついた様子で彼が持ってきた白いシーツに包まれた絵のキャンバスを再び抱え上げ彼女に向かって言いました。
「そうだ、ジュディ。俺、今から街に行ってこの絵を売ってくるよ。自信作なんだ。きっと高く売れると思う。そしてそのお金で医者を連れてくる。ジュディ少しの間待っていてくれ。なるべく早く戻るから!」
ジュディは心配そうな顔をベルモンドに向けます。
「そんなに上手くいくかしら。それよりもベルモンド、わたしあなたに側にいて欲しい」
しかしジュディの病気を治したい一心のベルモンドは熱心な口調で彼女を説得しようとします。
「大丈夫だ。僕を信じてくれ!必ず医者を連れて戻るから!それよりジュディ他に何か欲しいものはないか!?食べ物とか?何でも言ってくれ!」
ベルモンドの必死な様子を見てジュディもとうとうコクリと頷きました。
そしてか細い声で彼に伝えました。
「わたしあなたと前に食べた屋台のパンケーキが食べたい。ほら、覚えてる?お祭りの時に。すごく美味しかったー」
ベルモンドはジュディの言葉を聞くとキャンバスの白い包みを抱えてスクッと立ち上がって言いました。
「わかったパンケーキだな!必ず買ってくるよ!それから医者も!!ジュディ待っててくれっ!!」
けれどもベッドに横たわるジュディは相変わらず心配そうな表情をしていました。
彼女にはそう簡単にベルモンドの言うとおり上手くいくとは思えなかったのです。
「ベルモンド無理しないでね」
ジュディはベルモンドを気遣う様に言いました。
「大丈夫だジュディ!すぐに戻るから!!」
そう叫ぶとベルモンドは絵の包みをしっかりと抱えジュディの視線を背中に受けながら部屋から出て冬の街へ飛び出して行きました。
後に一人残されたジュディはベッドに横たわりながらベルモンドの出ていった部屋の扉をじっと見つめます。
「ベルモンド、早く帰って来て」
彼女の声がガランとした部屋に響きました。
シーン2
絵を売る為に脱兎の勢いでクリスマスで華やぐ冬の街に飛び出したベルモンドでしたが現実はなかなか彼の思う通りには行きません。
知り合いの画商を何人も訪ねて自信作である件の絵を見せたもののその絵を高値で買ってくれるという者は一人もいませんでした。
中には絵を気に入り買ってもいいという画商もいたのですが提示された買い取り価格は非常に安価で医者をジュディの為に呼ぶという彼の目的をとても満たすものではありませんでした。
何時間も絵を売るために街中を駆け回ったベルモンドは疲れ切ってとうとうある街角の道路の隅に座り込んでしまいました。
街の路地に座り込み絵の白い包みを抱えこんでクリスマスで浮き立つ街の様子を眺めるベルモンド。
ときおり彼の前を幸せそうな恋人達や家族連れが通り過ぎていきます。
彼は悔しさと情けなさのあまり歯をギリギリと食いしばりました。
(何で俺たちはこんなにみじめなんだ。何も悪いことはしていないのに。一生懸命に生きているのに。なぜ?)
ベルモンドの脳裏に病気で苦しんでベッドに伏せるジュディの姿が浮かびます。
彼はいっそのこと泥棒でもしようかと思いましたがそんな事をしたらジュディはきっと悲しむに違いありません。
それに彼が警察に捕まったら死にかけている彼女の世話を誰がするのでしょう。
彼女には頼れる家族も親類もいないのです。
「くそっ!!」
ベルモンドはとうとう怒りに任せて持っていた絵を無造作に足元に置くと今度は画家にとって命の次に大事な利き腕である右腕の拳を地面に叩きつけました。
「くそっ!!くそっ!!」
彼は天を呪い地に怒りを叩きつけました。
固い地面に何度も叩きつけたせいで彼の拳は傷ついて血だらけになっていました。
「くそっ!!くそっ!!何でっ!?」
そうして絶望と無力感に打ちひしがれながら街角の道路の隅にうずくまるベルモンドでしたがそんな彼の背後に立つ一つの人影がありました。
そしてその人は地面に伏せる彼に背中から話しかけました。
「お取り込み中のようだがちょっといいかね。君の持っているその絵を買いたいのだが」
「えっ!!」
ベルモンドが驚いて振り返るとそこには立派な身なりの初老の紳士が立っていました。
思わず地面に置いてあった自分の絵の包みを持って立ち上がりその紳士と向かい合うベルモンド。
彼は半信半疑の口調でその紳士に聞きました。
「絵を買ってくれるって本当ですか!?でもこの絵は事情があって安くは売れないんです」
するとその紳士は肩をすくめて言いました。
「君の事情など知らないよ。でもこれでどうかね」
そう言うと紳士は懐から分厚い札束を出してベルモンドの土と彼自身の血で汚れた手に差し出しました。
「こ、こんなに!」
ベルモンドはその紳士から手渡された札束の金額を見て驚きました。
それは彼が必要としていた額の十倍以上の大金だったのです。
呆然としているベルモンドに向かってその紳士は淡々とした口調で言いました。
「実はさっき街で君が画商にその絵を見せているところを見かけてね。なんだかその絵が気に入ってしまったんだ。よければ私に譲ってくれないか?もっと金が必要かね?」
「とんでもありません、充分です!!あ、ありがとうございますっ!!」
ベルモンドはそう叫び、紳士に持っていた絵の包みを渡すと、頭が地面につくほど深くお辞儀をしました。
そして紳士からもらった札束を握りしめて街の中心部に向かって全速力で走っていきました。
もちろん大切なジュディの為に医者を呼びに行ったのです。
クリスマスの人出でにぎあう街の十字路の向こう側へと彼の姿はあっという間に消えて行きました。
後に残された絵を買った紳士はベルモンドの姿が見えなくなると何故か彼の走り去った方向とは反対側の街はずれにある裏通りの方へとゆっくりと歩いていきました。
やがて紳士はほとんど人の通らない場末の薄暗い路地裏へと辿り着きました。
紳士は周りに人がいないかキョロキョロと辺りを見回します。
そして路地裏に人気が無いのを確認すると安心した様にニヤリと笑い持っていた白い包みからベルモンドの描いた絵を取り出すと改めて見直します。
そして満足そうに微笑んで言いました。
「これはいいものを手に入れたぞ。この絵なら神様も喜んでくれるに違いない」
その時、不思議な事が起こりました。
誰も見ていませんでしたが件の紳士の身体が金色の眩しい光に包まれたのです。
そしてその光が消えた時、路地裏にはその紳士の姿は無く代わりに大きな白い翼を持つ一体の天使が立っていました。
そう今日は神様の誕生日ー。
実はその紳士の正体は神様に渡す為のプレゼントを探すため地上にやって来た天使だったのでした。
天使はベルモンドの描いた絵を大事そうに抱えると白い翼を羽ばたかせ神様のいる天国へ帰るため空に昇っていきました。
絵を抱えた天使は天高く昇りやがてその姿は蒼穹の彼方へと消えていきます。
しばらくして空からベルモンドの絵を包んでいた白いシーツが街の教会の高い屋根にフワリと落ちてきました。
[続く]
クリスマスイブの日、いくら待ってもジュディは約束の場所には来ませんでした。
ジュディを心配したベルモンドは翌日のクリスマス当日、彼女の為に描いた絵のキャンバスを持ってその自宅を訪ねて見る事にしたのです。
今まで彼女の家を訪ねた事はありませんでしたがうろ覚えの住所を頼りに近所の人たちに何度も聞いてやっと彼女が住んでいるという家を見つける事ができました。
それは貧民街に所狭しと並ぶ掘立小屋の一軒でいかにもみすぼらしい家でした。
ベルモンドはその家のドアをノックしましたが返事はありません。
不吉な予感がしたベルモンドは思い切ってそのドアを開けて見ました。
ドアに鍵はかかっておらずギィーッという軋むような音とともにそれは開きました。
そしてその扉の先の一つしかない殺風景な部屋の中にはベッドが置いてありその上にジュディが瀕死の状態で横たわっていたのです。
「ジュディ!!」
慌ててジュディの横たわるベッドに駆け寄るベルモンド。
ベルモンドが枕元に近づくとジュディがうっすらと目を開けて彼を見ました。
「来てくれたのねベルモンド。ありがとう」
「いっ、一体どうしたんだ!?ジュディ!!病気なのか!?」
動揺して上ずった声で尋ねるベルモンドにジュディが横になったままで頷きました。
「ごめんね。実はちょっと前から熱っぽかったの。こないだあなたと別れてから急に苦しくなってそれからずっと寝込んでいたの。昨日は逢いに行けなくてごめんなさい」
ベルモンドは激しく頭を振りました。
症状から見て彼女は今、世の中を騒がせている恐ろしい流行病にかかったと思われました。
ベルモンドはベッドに横たわるジュディの手をギュッと握りしめて言いました。
「謝るのは僕の方だ。寒空の下でモデルなんかさせて君に負担をかけてしまった。でも体調が悪いなら何で言ってくれなかったんだ」
ジュディはベルモンドのその言葉を聞くと恥ずかしそうに目を伏せてから彼に答えました。
「あなたの役に立ちたかったから。だってわたしあなたに何もしてあげられなかったし」
するとベルモンドは感極まった様にウゥッと呻いてうつむきました。
しかしやがて顔を上げきっぱりとした口調で彼女に言いました。
「とにかく君の病気を治さなくては。待っててくれ。すぐに医者を呼んでくるから!」
しかしジュディは悲しそうに首を振ります。
「駄目よ。お金が無ければこんなところにお医者さんは来てはくれないわ」
そしてベルモンドの気持ちを少しでも慰めるためでしょうか、彼が持ってきた白い包みを見て言いました。
「それ、あなたが描いてくれていた絵でしょう?わたし見てみたいわ」
しかしベルモンドはその言葉を聞くと何かを思いついた様子で彼が持ってきた白いシーツに包まれた絵のキャンバスを再び抱え上げ彼女に向かって言いました。
「そうだ、ジュディ。俺、今から街に行ってこの絵を売ってくるよ。自信作なんだ。きっと高く売れると思う。そしてそのお金で医者を連れてくる。ジュディ少しの間待っていてくれ。なるべく早く戻るから!」
ジュディは心配そうな顔をベルモンドに向けます。
「そんなに上手くいくかしら。それよりもベルモンド、わたしあなたに側にいて欲しい」
しかしジュディの病気を治したい一心のベルモンドは熱心な口調で彼女を説得しようとします。
「大丈夫だ。僕を信じてくれ!必ず医者を連れて戻るから!それよりジュディ他に何か欲しいものはないか!?食べ物とか?何でも言ってくれ!」
ベルモンドの必死な様子を見てジュディもとうとうコクリと頷きました。
そしてか細い声で彼に伝えました。
「わたしあなたと前に食べた屋台のパンケーキが食べたい。ほら、覚えてる?お祭りの時に。すごく美味しかったー」
ベルモンドはジュディの言葉を聞くとキャンバスの白い包みを抱えてスクッと立ち上がって言いました。
「わかったパンケーキだな!必ず買ってくるよ!それから医者も!!ジュディ待っててくれっ!!」
けれどもベッドに横たわるジュディは相変わらず心配そうな表情をしていました。
彼女にはそう簡単にベルモンドの言うとおり上手くいくとは思えなかったのです。
「ベルモンド無理しないでね」
ジュディはベルモンドを気遣う様に言いました。
「大丈夫だジュディ!すぐに戻るから!!」
そう叫ぶとベルモンドは絵の包みをしっかりと抱えジュディの視線を背中に受けながら部屋から出て冬の街へ飛び出して行きました。
後に一人残されたジュディはベッドに横たわりながらベルモンドの出ていった部屋の扉をじっと見つめます。
「ベルモンド、早く帰って来て」
彼女の声がガランとした部屋に響きました。
シーン2
絵を売る為に脱兎の勢いでクリスマスで華やぐ冬の街に飛び出したベルモンドでしたが現実はなかなか彼の思う通りには行きません。
知り合いの画商を何人も訪ねて自信作である件の絵を見せたもののその絵を高値で買ってくれるという者は一人もいませんでした。
中には絵を気に入り買ってもいいという画商もいたのですが提示された買い取り価格は非常に安価で医者をジュディの為に呼ぶという彼の目的をとても満たすものではありませんでした。
何時間も絵を売るために街中を駆け回ったベルモンドは疲れ切ってとうとうある街角の道路の隅に座り込んでしまいました。
街の路地に座り込み絵の白い包みを抱えこんでクリスマスで浮き立つ街の様子を眺めるベルモンド。
ときおり彼の前を幸せそうな恋人達や家族連れが通り過ぎていきます。
彼は悔しさと情けなさのあまり歯をギリギリと食いしばりました。
(何で俺たちはこんなにみじめなんだ。何も悪いことはしていないのに。一生懸命に生きているのに。なぜ?)
ベルモンドの脳裏に病気で苦しんでベッドに伏せるジュディの姿が浮かびます。
彼はいっそのこと泥棒でもしようかと思いましたがそんな事をしたらジュディはきっと悲しむに違いありません。
それに彼が警察に捕まったら死にかけている彼女の世話を誰がするのでしょう。
彼女には頼れる家族も親類もいないのです。
「くそっ!!」
ベルモンドはとうとう怒りに任せて持っていた絵を無造作に足元に置くと今度は画家にとって命の次に大事な利き腕である右腕の拳を地面に叩きつけました。
「くそっ!!くそっ!!」
彼は天を呪い地に怒りを叩きつけました。
固い地面に何度も叩きつけたせいで彼の拳は傷ついて血だらけになっていました。
「くそっ!!くそっ!!何でっ!?」
そうして絶望と無力感に打ちひしがれながら街角の道路の隅にうずくまるベルモンドでしたがそんな彼の背後に立つ一つの人影がありました。
そしてその人は地面に伏せる彼に背中から話しかけました。
「お取り込み中のようだがちょっといいかね。君の持っているその絵を買いたいのだが」
「えっ!!」
ベルモンドが驚いて振り返るとそこには立派な身なりの初老の紳士が立っていました。
思わず地面に置いてあった自分の絵の包みを持って立ち上がりその紳士と向かい合うベルモンド。
彼は半信半疑の口調でその紳士に聞きました。
「絵を買ってくれるって本当ですか!?でもこの絵は事情があって安くは売れないんです」
するとその紳士は肩をすくめて言いました。
「君の事情など知らないよ。でもこれでどうかね」
そう言うと紳士は懐から分厚い札束を出してベルモンドの土と彼自身の血で汚れた手に差し出しました。
「こ、こんなに!」
ベルモンドはその紳士から手渡された札束の金額を見て驚きました。
それは彼が必要としていた額の十倍以上の大金だったのです。
呆然としているベルモンドに向かってその紳士は淡々とした口調で言いました。
「実はさっき街で君が画商にその絵を見せているところを見かけてね。なんだかその絵が気に入ってしまったんだ。よければ私に譲ってくれないか?もっと金が必要かね?」
「とんでもありません、充分です!!あ、ありがとうございますっ!!」
ベルモンドはそう叫び、紳士に持っていた絵の包みを渡すと、頭が地面につくほど深くお辞儀をしました。
そして紳士からもらった札束を握りしめて街の中心部に向かって全速力で走っていきました。
もちろん大切なジュディの為に医者を呼びに行ったのです。
クリスマスの人出でにぎあう街の十字路の向こう側へと彼の姿はあっという間に消えて行きました。
後に残された絵を買った紳士はベルモンドの姿が見えなくなると何故か彼の走り去った方向とは反対側の街はずれにある裏通りの方へとゆっくりと歩いていきました。
やがて紳士はほとんど人の通らない場末の薄暗い路地裏へと辿り着きました。
紳士は周りに人がいないかキョロキョロと辺りを見回します。
そして路地裏に人気が無いのを確認すると安心した様にニヤリと笑い持っていた白い包みからベルモンドの描いた絵を取り出すと改めて見直します。
そして満足そうに微笑んで言いました。
「これはいいものを手に入れたぞ。この絵なら神様も喜んでくれるに違いない」
その時、不思議な事が起こりました。
誰も見ていませんでしたが件の紳士の身体が金色の眩しい光に包まれたのです。
そしてその光が消えた時、路地裏にはその紳士の姿は無く代わりに大きな白い翼を持つ一体の天使が立っていました。
そう今日は神様の誕生日ー。
実はその紳士の正体は神様に渡す為のプレゼントを探すため地上にやって来た天使だったのでした。
天使はベルモンドの描いた絵を大事そうに抱えると白い翼を羽ばたかせ神様のいる天国へ帰るため空に昇っていきました。
絵を抱えた天使は天高く昇りやがてその姿は蒼穹の彼方へと消えていきます。
しばらくして空からベルモンドの絵を包んでいた白いシーツが街の教会の高い屋根にフワリと落ちてきました。
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