初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

NOV

文字の大きさ
33 / 133
第6章 七夕編

第33話 初恋の人と毎日笑顔で……

しおりを挟む
 俺は『つねちゃん』に叫びながら愛の告白をした。

 それに対し、『つねちゃん』は笑顔で俺に近づき、そして俺の頭を優しく撫でながら

「先生、隆君を怒らせちゃったみたいね。ほんとゴメンね……先生、バカだったわ。隆君の気持ちを考えずにそんな事言ってしまって……これからは隆君にそんな事は言わないようにするから……本当にゴメンね。そして隆君……先生の事をそこまで思ってくれてありがとね……」

 『つねちゃん』はそう言うと、もう時間が無いという事で、俺に手を振りながら『また後でね』と言い残し、志保さん達のところへ行くのだった。


 俺もまた、急いでみんなの所へ戻ろうと体育館へ向かう途中にある大きな柱の前を通り過ぎようとした時に人影が見えて驚いた。

 そこには俺以上に驚いた顔をした石田が立っていたのだ。

「いっ、石田!? どうしたんだ? みんなと一緒に体育館に行ってたんじゃなかったのか!?」

 マズイ!!

 もしかしたら今の『つねちゃん』との会話を聞かれたんじゃないのか? と、不安な気持ちを抑えながら俺は石田に問いかけた。

「うっ、うん……体育館に向かっていたんだけど、久子が『裏方』は『演者』よりも早く行って準備をしないといけないから、もし五十鈴君が遅れちゃったら困るから私に呼び戻して欲しいって頼まれて……」

 何で寿は自分では無く、石田に行かせたのか……
 その理由は何となく分かるので俺はあえて言わずに何とかこの場を誤魔化す為に石田にお礼を言った。

「石田、わざわざ呼びに来てくれて有難う……」

「えっ? べ、別にお礼なんて言われる事なんか……そっ、それよりも早く体育館に行こう!! みんな待ってるわ!!」

「そ、そうだな……」

 俺と石田はこの後、何も会話をしないまま体育館まで走って行った。

 しかし、俺の心の中は尋常では無い。

 もしかしたら石田は俺達の会話を聞いていて、あえて黙っているのではないか?
 『七夕祭り』が終わってから石田に問い詰められるんじゃないのか?

 そんな不安を抱きながら、『七夕祭り』どころでは無い俺は今から『七夕祭り』に参加しなければならいのであった。



 体育館の中は大勢の人でひしめき合っていた。

 そんな中、俺達『六年一組』は舞台の上で芝居をやらなくてはいけない。
 といっても俺は『裏方』の『照明係』なんだが……

 俺は高山と一緒に体育館の二階端にある西側の照明を担当している。
 ちなみに反対の東側は寿と石田が担当していた。

 体育館の中は暗く、寿や石田の表情はうかがえない。
 だから余計に俺は不安だった。

 もし石田がさっきの話を聞いていて寿に『告げ口』なんかしたらどうしよう……

「おい、五十鈴!? 最初の照明の色は青色だぞ。お前が照らそうとしているのは赤じゃないか?」

 高山が小声だが慌てた感じで俺に言ってきた。

「あっ、ほんとだ!! あ..、危ないところだった。気付いてくれて助かったよ……」

 色々考え過ぎて集中力が欠けていた事を俺は反省した。

 よしっ、今は『裏方』に集中しよう……

 俺は無理矢理ではあるが気持ちを切り替える事にした。



 俺達のクラスが行う芝居は『七夕』にちなみ『織姫と彦星』

 愛する二人が一年に一度しか会えなくなる悲しい話……

 元々、『織姫』は寿が演じる方向で進んでいたが、俺が『裏方』をやるって決まった途端に『織姫役』を断り、石田と一緒に『裏方』をやる事になった。

 自分で言うのもなんだか恥ずかしいが、寿は俺に『彦星』を演じて欲しかったのだろう……でも俺は出来るだけ『この世界』で目立ちたくは無いので、そんな『主役』なんてするはずがなかった。


 そして芝居は順調に進んでいる。
 平静を取り戻した俺も順調に『照明係』をしている。

 いよいよ、シーンはクライマックス……
 会場は静まり返っている。

 織姫と彦星の夫婦があまりに仲が良すぎて、二人で遊び惚けたあげく、二人共全然働くなり、それが民達に迷惑をかける事となり、そして最後には神の怒りを買い、罰として二人は『天の川』を挟んで離れ離れに暮らす事に……そして神様の情けで年に一度の七月七日だけ会う事を許された二人……

 俺だったら『愛する人』の為に必死で働くけどなぁぁ……と、『つねちゃん』の顔を思い浮かべながら俺は『愛する人』の事を考えていた。


 無事に六年一組のお芝居が終わり、会場は割れんばかりの拍手の音が鳴り響いている。

 「ふぅぅ……なんとか終わったなぁ……」

 俺は大きく息を吐き、窓から見える校庭に立っている何本もの大きな笹を眺めていた。

 そのうちの一本の笹に結ばれた俺の短冊にはこう書かれている。


 『大切な人と毎日笑顔で過ごせますように……』


 『つねちゃん』は短冊に何て書いたのかなぁ……



 『私の事を大切に思ってくれている人と結ばれますように……』




――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

これで『七夕編』は終わりです。
次回から『新章』が始まります。

隆とつねちゃん、二人の願いは叶うのでしょうか?

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。  入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。  しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。  抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。  ※タイトルは「むげん」と読みます。  ※完結しました!(2020.7.29)

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。  後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。  香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。  一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。  しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

処理中です...