初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

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第6章 七夕編

第32話 初恋の人に叫ぶ

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 俺は非常に戸惑っている。

 勿論、寿が俺の事を好きなのは知っていた。
 それでも俺はこの五年間、寿に告白だけはさせないように努力をしてきたつもりだった。

 しかし、その努力は報われず、遂に寿に告白されてしまった……

 俺が告白をさせないようにしていたのは、『つねちゃん』の事が好きだから、結婚したいからではあるが、実はもう一つ理由があった。

 それは『過去の世界』で俺は振られた数は山ほど有るが、一度も女性から告白などされた事の無い男だ。自慢にはならないが……

 故に俺は『女性を振る』という経験がない。

 俺はどうやって寿を傷つけずに振る事が出来るのか?

 その事ばかりをこの数日間、『七夕祭り』の当日まで考え込んでしまっていたのだ。

 『この世界』にタイムリープをしてからの俺は『過去の世界』の経験を活かして、ある意味『人気者』と呼ばれる存在になってしまった。

 しかし、さすがの俺も『経験した事が無い』事はどう考えても無理な話だ。
 寿に対して『振る設定』を色々とシュミレーションしてみたが、どのパターンも寿を傷つける事になってしまう。

 『振る』という事はそういう事なんだろ......

 でもやはり、俺としては『学年一のマドンナ』である寿を傷つける訳にはいかない。いや、傷つけたくないんだ……

 『過去の世界』では絶対あり得なかった『学園一のマドンナ』から告白された……いや、告白してもらえたんだ。俺としては嬉しく無いはずは無い……

 それどころか俺は寿にとても感謝している。
 だから余計に彼女を傷つけたくないという気持ちが大きくなっていた。

 まぁ、今になって思えば、そんな俺のモテた事の無い故の『中途半端な優しさ』がこの事態を招き、結局自分自身を苦しめているのである。


「おーい、五十鈴? 最近なんか元気が無いよなぁ? 今日が『七夕祭り』だってのに大丈夫なのか?」

 高山が珍しく俺の事を心配してくれている。

「あっ、ああ……別に何も無いよ。ちょっと風邪気味なのかもしれないけど……」

「えーっ、風邪ひいてるのか!?」

「だから、『風邪気味』なだけで風邪を引いている訳じゃ無いから、あまり大きな声で言うなよな!!」

 俺はなんとなく寿に聞かれたくないという思いで高山にそう言った。

 しかし、寿には聞こえていなかったみたいだが、石田には聞こえていたみたいだ。

「えっ!? 五十鈴君、風邪気味だったの? こないだの買い物の次の日からなんだか元気が無かったから何かあったんじゃないかって凄く気にしてたのよ……」

 俺は石田のセリフを聞いて、つくづく女子は男子よりもしっかりしていて、『勘』が鋭いよなぁ……と思わず感心してしまう。

「石田も心配してくれて有難う。俺は大丈夫だから。それに買い物とかが理由で元気が無かった訳じゃ無いからさ……」

「だったら良いんだけどね……なんか久子もあの次の日から元気が無い様な感じだったからさ……」

 そうだったのか?

 俺は頭の中が『寿をどう振るか』で一杯だったので、肝心の寿の様子を分かっていなかったのだ。

「まぁ、昨日くらいから久子も元気になってきたし、もう心配はしてないんだけどね。それに今日は私達、『お芝居』の裏方をやらないといけないんだから、気合い入れて頑張らないとね!?」

「そ、そうだね……俺も風邪気味なんて気にせずに今日は裏方を頑張るよ」


 そして俺達が『七夕祭り』のメイン会場となる学校の体育館に向かっている道中、知っている声が俺達を呼んでいる。

「おーい、隆君達~っ!!」

 志保さんが『園児達』を連れてうちの学校にやって来たのだ。

 そして園児達が歩いている列の一番後ろには『つねちゃん』もいた。

 『つねちゃん』は俺に気付き、ニコッと微笑んでくれた。
 その微笑みがこの数日間、悩み疲れていた俺にとってはとても癒しになるのであった。

「隆君、チョットいいかな?」

 珍しく『つねちゃん』が俺を呼び止めたので、俺はみんなに先に言っててと言い、通路から少し逸れた場所に移動をする。

 その様子を寿は複雑な表情で、高山や石田は不思議そうな顔をしながら先に体育館に向かって行くのであった。


「隆君、こないだはちゃんとお買い物はできた?」

「えっ? うん……ちゃんと買えたよ……」

「そうなんだ。良かったわ。先生、本当は隆君達と一緒にお買い物が出来なくて少し心配だったというか、残念だったわ……」

「お、俺も本当はつねちゃんと買い物がしたかったんだけどさ……でも寿が……」

「分かってる……寿さんからすれば先生は『お邪魔虫』だもんね。寿さんは隆君の事がとても大好きみたいだし……」

「そっ、そんな事は……」

 『つねちゃん』がまさかそんな事を言ってくるとは思わなかった俺は少し焦ってしまった。

「隆君、前に遊園地で言ったけど、もし隆君に好きな子が出来たら先生の事なんて気にしないで無理せずに、その子の事を好きになって良いんだからね……」

 俺は『つねちゃん』のその言葉に少し苛立ちを感じてしまい、大きな声で叫んでしまう。

「俺はつねちゃんが好きなんだ!! つねちゃんしか好きにならないって決めたんだ!!」


 俺は大きな声を出し過ぎて息遣いが荒くなり、そして『つねちゃん』は頬を少し赤く染め、瞳は潤んでいる様に見えた。


 そんな俺達の様子を偶然にも見ている人がいた事を俺達は知らなかった……




――――――――――――――――――


お読みいただきありがとうございました。

思わず学校内で『つねちゃん』に叫びながら愛の告白をしてしまって隆......

その様子を見ていた謎の人物......
果たして誰が見ていたのか?

という事で次回もお楽しみに(^_-)-☆
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