幼馴染の彼に想いを伝えれないまま死んだはずの私がタイムリープで幼稚園児となり人生をやり直す。

NOV

文字の大きさ
5 / 83
第2章 再会編

第5話 突然、彼は現れた

しおりを挟む
 入学してから二週間程経ったある日、一組の『寿久子ことぶきひさこ』が私のクラスを訪ねて来た。

 久子も私と同じ幼稚園に通っていた子で、順子と三人でよく遊んでいた。
 背は低くショートヘアでとても肌がとても白くて目がクリっとしてる、私から見ても完璧な美少女……幼稚園時代から男の子に大人気だった。

 順子はそんな久子の事を羨ましく思っていたけど、私はあまりそんな事は気にしたことはない。

 やはり順子が言う様に私が男の子っぽい性格だからなのかなぁ……
 『この夢の中』ではもっと女の子らしくしなくちゃいけないわね。

 じゃないと、『あの人』に振り向いてなんかもらえないし……

 影で『鬼姫』なんて言われている場合じゃないわ。

「ねぇねぇ、浩美ちゃん?」

「ん? なぁに?」

「あ、あのねぇ……浩美ちゃんに聞きたいことがあるの……」

 久子は少し顔を赤くしている。

「久子ちゃん、私に何を聞きたいの?」

「う、うん……えっとねぇ……私のクラスに五十鈴君って子がいるんだけど……幼稚園の時ってどんな子だったのかを聞きたくて……」

 えっ!?

 私は驚いた。まさか久子の口から『五十鈴君』の名前が出てくるだなんて……

「な、何で私に聞くの?」

「だって浩美ちゃんは幼稚園で五十鈴君と同じクラスだったから、どんな子か知っていると思って……」

 だから何で久子がいきなり五十鈴君の名前を出すのよ!?
 とは言えず私は優しい口調で話し出す。

「で、でも久子ちゃんは同じクラスだし、家も近所じゃなかった? 久子ちゃんの方が五十鈴君のことはよく知っているんじゃない?」

「ううん、私、今まで五十鈴君とお話したことがないの……だから、どんな子なのかなぁと思って……」

 久子はそう言いながら更に顔が赤くなっている。

 そんな久子の姿を私は内心焦ってしまう。

 この子、もしかして……

 私は勇気を振り絞って久子の問いかける。

「な、何で五十鈴君の事が知りたいの?」

 久子は少し間を開けてから私の質問に答えだす。

「あのね、五十鈴君ってね、凄く『不思議な子』なの。私と同い年なのに色んな事を知ってるのよ。漢字も凄く知ってるし……それに男子達が喧嘩していても五十鈴君が直ぐに止めに入って何か言っているんだけど、みんなアッサリ五十鈴君の言う事を聞いちゃうのよ。凄いと思わない?」

「う、うん、そうねぇ……」

「それにね、うちの担任の井上先生って、この学校で一番怖い女の先生で有名なのに……みんな怖くてあまり近づかないのに、五十鈴君は毎日、井上先生に勉強で分からない事を質問しているの。それであの怖い井上先生がニコニコしながら勉強を教えているのよ。凄いと思わない?」

「そ、そうなんだぁ……」

 私は久子が五十鈴君に興味があるのは好意ではなく何かと不思議な感じの五十鈴君に珍しいものを見るような感覚で興味があるのだと思い、少しホッとした。

 それに毎年毎年、クラスの『マドンナ』的存在で男子達からいつもチヤホヤされている久子が、まさか五十鈴君に好意を持つはずは無いなぁとも思った。

 しかし……

 それにしても私は久子の話を聞いて驚いた。

 まさか、あの五十鈴君がクラスの中心的な人になっているだなんて……

 幼稚園の頃はあんなにも大人しくて引っ込み思案で、いつも先生にべったりしていた子が……こんなにも変われるものなのかしら?

 というか『現実の世界』での五十鈴君はこんな感じでは無かったと思う。
 まず、久子がこんな事を私に聞いてきたことなんて無かったし、私の見る限り、久子は五十鈴君のことなんて中学生になっても眼中には無かったはずだから……

 これも『夢の世界』ならではの展開なのかな?
 
 まぁ、私はどちらの五十鈴君も素敵だと思うから別にいいんだけどね。


「それで、浩美ちゃんは五十鈴君がどんな子だったのか知っているの?」

 えっ!?

「ああ、そうだったよね? 私、まだ久子ちゃんの質問に答えてなかったよね? ゴメンゴメン……でもね、私も五十鈴君とは幼稚園の時、全然お話していないのよ。だから、どんな子かは知らないの。逆に今、久子ちゃんのお話を聞いて驚いちゃったくらいなのよ……」

「そ、そうなの? そうなんだぁ……」

 久子は少しガッカリした表情をしていたが、仕方の無い事だ。
 だって本当に私も『低学年』の頃の五十鈴君のことは『現実世界』の頃だって全然知らないんだから……

 話が終わると久子は私の教室を出て行こうとした。

 その時……


 ガラッ、ガラガラッ

 一人の少年が慌てて私の教室に入って来た。

「いっ、石田!!」

「えっ!?」

 私を大きな声で呼ぶその子は……

「いっ、五十鈴君!?」

 私の頭の中はもうパニック状態になっている。

 な、な、何で五十鈴君が急に教室に来て、何で大きな声で私を呼ぶの!?

 私同様に久子も驚いた顔をしながら彼を見つめている。

 そして私達を驚かせている張本人は少し焦った顔をしながら私にドンドン近づいて来る。

 えっ? 何? 今から何が起こるの!?

 彼は私の前に来たと思うと自分の頭を掻きながら少し恥ずかしそうな顔をしながらこう言った。

「石田、悪いけど国語の教科書貸してくれない? 俺、今日忘れちゃったんだよ。頼むから貸してくれないか?」

 彼はそう言うと少し頭を下げてきた。

「えっ!? べ、べ、別にいいけどさぁ……」

 何で私なの? 何で私に教科書を借りに来たの!?

 私の頭の中はそんな言葉が駆け回っていたが、なんとか『元演劇部』の力を振り絞り、冷静な顔を無理矢理つくって、机の中に入れている国語の教科書を取り出し、『はい、どうぞ』と言いながら彼に手渡した。

 すると彼は『有難う、助かるよ!!』とだけ言い残して足早に自分の教室へと戻って行った。

 そんな彼の後ろ姿を茫然と見ていた私に久子が近づき耳元でこう呟く。

「浩美ちゃん、いいなぁ……私も二組だったら良かったなぁ……」

 その言葉に私は苦笑いをするだけで精一杯だったけど、心の中ではこう叫んでいた。

「私は彼と同じクラスの久子の方が、めちゃくちゃ羨ましいわよ!!」と……


 一時限目の授業が始まり私は先程の彼とのやり取りを思い出しながら、緩んでくる顔を何とか必死で抑えていた。

 でも次の業間休みの時に彼がまた教科書を返しに来てくれるんだと思うと更に顔が緩んでしまい、この時間の授業は何一つ頭に入って来なかったのは仕方が無いことよね……




――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

友人の久子からの話で五十鈴君が『現実世界』の頃と性格が変わっていることに驚く浩美。

しかしこれは『夢の中』だからと納得するのだった。

そんな浩美のところへ突然、五十鈴君が現れ、そして教科書を貸して欲しいと言ってきた。

こんなやり取りだけでも浩美の心の中はウキウキ気分
そりゃぁ授業どころじゃ無いですよね(笑)

ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

処理中です...