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第3章 夏休み編
第9話 ズルい女?
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夏休み……
小学生にとっては待ちに待った夏休み……
でも私にとっては何だか複雑な夏休みでもある。
はぁ……この夏休み、私はどう過ごせばいいのかしら?
私が本当の小学一年生なら友達とたくさん遊ぶことができて凄くワクワクするのだろうけど、今の私は中身が十五歳……七歳の子達と遊んでも楽しめるのかしら?
この数ヶ月、私は学校以外で友人達となるべく遊ばない様にしていた。
理由は楽しいと感じる事ができないという事と油断しちゃうと思わず十五歳のお姉さん口調になってしまう恐れがあるからだった。
でもさすがに約四十日もの間、家の中にジッと閉じこもっているのもおかしいしなぁ……それにそんな事をしていたら両親が心配しそうだし……学校でいじめられているのでは? 何て勘違いされても面倒だしなぁ……
「おーい、浩美~?」
あっ、お父さんが呼んでいるわ。何だろう?
私は二階にある自分の部屋を出てお父さんがいるリビングへと向かった。
「お父さん、どうしたの? 私に何か用なの?」
「いやアレだ。浩美は夏休みだろ? それでだな、八月七日の日曜日に浩美が前から行きたがっていた『エキサイトランド』に行こうと思うんだけど、どうかな?」
「えっ? 『エキサイトランド』に?」
ん? 私、前から『エキサイトランド』に行きたいなんて言ってたっけ?
もしかしたら私が幼稚園の頃に言ってたのかな?
「どうだ、浩美?」
お父さんは少し不安そうな顔をしている。
恐らく私が嫌がるのではないかと思っているのだろう。
まぁ、そう思っても仕方が無いと思う。だって私は少し前まで日曜日の度に散歩という名目で彼の家の近所をグルグル歩いてお父さんと一緒に遊ぶっていうことが無かったから……
だから……たまには……というか、『前の世界』でもあまりお父さんと一緒に遊ぶことって少なかったし……
「うん、行く!! 私、とっても楽しみ~っ!!」
「おーっ!! そっかそっか、浩美がそんなに喜んでくれてお父さんも嬉しいよ。お母さんと、学《まなぶ》や詩織《しおり》はお留守番だけど、それでもいいかな?」
私には生まれたばかりの双子の弟と妹がいる。
「えっ、みんなで行かないの? うーん、でもいいよ、お父さんと二人でも……」
私の言葉でようやくお父さんは安堵の表情を浮かべる。
すると横からお母さんが、ある提案をしてきた。
「それだったら、浩美のお友達も誘ってみたらどう? 大勢で遊園地に行った方が楽しいでしょ? お父さんの車は五人乗りだから、あと三人は乗れるわよ」
「えっ、お友達……?」
私と二人きりで行きたいはずのお父さんの顔は少し曇っていたけど、私はお母さんからの提案を聞いてある友達の顔が浮かんでしまった。
五十鈴君と遊園地に行きたい……
その日の夜、私はまず順子に電話をした。
順子はとても喜んでくれて『絶対に行く』と言っていた。
そして次に私は久子にも電話をした。正直なところ本当は今の久子と一緒に遊園地に行く気分では無いのだけれど、五十鈴君と遊園地に行く為には同じクラスの久子の協力が必要だと思った私は仕方が無いと自分に言い聞かせた。
「遊園地かぁ……うん、私も行きたいなぁ……それで後は誰が一緒に行くの?」
「順子ちゃんも一緒に行くよ。それでお父さんの車で行くからあと一人乗れるんだけど、久子ちゃんはあと一人、誰がいいと思うかな?」
私が久子にそう質問すると数秒間の沈黙が流れる。
そして数秒後、受話器越しに久子が『うーん……あのね……』と何か言いたげな声が聞こえてくる。
私は久子が何を言いたいのか分かっていた。というか、言わせたかったのだ。
だから私は続けてこう言った。
「久子ちゃん、声が小さくて聞こえないわ。久子ちゃんは誰と一緒に行きたいの?」
「い、五十鈴君……かな……」
よしっ!!
久子には見えないけど私は今、ガッツポーズをしている。
「五十鈴君ね? うん、いいわよ。五十鈴君なら私も知っているし全然いいよ。でも久子ちゃんに一つだけお願いがあるの」
「えっ、何かな?」
「私は五十鈴君と同じクラスじゃないし誘いづらいから五十鈴君には久子ちゃんから誘ってくれないかな?」
「えーっ、私が五十鈴君を誘うの~!?」
「む、無理かなぁ……?」
どうする、久子? でもあなたは……
「むっ、無理じゃ無いよ。お母さんに五十鈴君の家の電話番号を教えてもらって電話してみるね?」
「う、うん、ありがとう久子ちゃん。それじゃまた五十鈴君が行けるかどうか教えてね?」
「うん、分かった……それじゃまたあとでね……」
チン……
ゴメンね、久子……あなたを……あなたの気持ちを利用してしまって……
でも、久子も五十鈴君に私を理由に電話もできるし、それに五十鈴君には自分しか連絡できないんだって少し誇らしげな気持ちにもなれるでしょ?
私ってズルい女なのかな……?
別にズルくてもいい。私だって五十鈴君と一緒に遊園地に行きたいんだから。
少しくらいズルくてもいいわよね?
数十分後……
今度は久子から結果報告の電話があった。
ワクワクしながら結果を待っていた私だったけど、久子の言葉にショックを受けてしまった。
その日、彼は大事な用事があり朝から出かけるそうだ。彼がどこに行くのかは知らないけど久子が言うには絶対に予定を変えたくない用事らしい……
それと何故か、彼は自分が遊園地に行けない代わりとして同じクラスの高山君を推してきたそうだ。
五十鈴君が行けない事を知った久子はショックのあまり彼の話をまともに聞いていなくて、高山君と一緒に行くのを『うんうん』と承諾してしまったらしい。
まぁ、高山君が行くかどうかは五十鈴君からまた連絡があるらしいけど……
そういう事で結局、『エキサイトランド』には私と二人で行きたかったお父さんと、五十鈴君と一緒に行きたかった私と久子、そして何故か彼に推薦された高山君と順子の五人で行く事になりそうだ。
おそらく順子だけが心の底から楽しめるんだろうなぁ……
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
五十鈴君と一緒に遊園地に行く為に色々と知恵を絞った浩美だったが、残念な結果に終わる。
八月七日、この日は五十鈴君にとっても大事な日らしいが、浩美はその日、五十鈴君がどこに行くのかは知らない。浩美がソレを知るのはもう少し先になることになる。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
小学生にとっては待ちに待った夏休み……
でも私にとっては何だか複雑な夏休みでもある。
はぁ……この夏休み、私はどう過ごせばいいのかしら?
私が本当の小学一年生なら友達とたくさん遊ぶことができて凄くワクワクするのだろうけど、今の私は中身が十五歳……七歳の子達と遊んでも楽しめるのかしら?
この数ヶ月、私は学校以外で友人達となるべく遊ばない様にしていた。
理由は楽しいと感じる事ができないという事と油断しちゃうと思わず十五歳のお姉さん口調になってしまう恐れがあるからだった。
でもさすがに約四十日もの間、家の中にジッと閉じこもっているのもおかしいしなぁ……それにそんな事をしていたら両親が心配しそうだし……学校でいじめられているのでは? 何て勘違いされても面倒だしなぁ……
「おーい、浩美~?」
あっ、お父さんが呼んでいるわ。何だろう?
私は二階にある自分の部屋を出てお父さんがいるリビングへと向かった。
「お父さん、どうしたの? 私に何か用なの?」
「いやアレだ。浩美は夏休みだろ? それでだな、八月七日の日曜日に浩美が前から行きたがっていた『エキサイトランド』に行こうと思うんだけど、どうかな?」
「えっ? 『エキサイトランド』に?」
ん? 私、前から『エキサイトランド』に行きたいなんて言ってたっけ?
もしかしたら私が幼稚園の頃に言ってたのかな?
「どうだ、浩美?」
お父さんは少し不安そうな顔をしている。
恐らく私が嫌がるのではないかと思っているのだろう。
まぁ、そう思っても仕方が無いと思う。だって私は少し前まで日曜日の度に散歩という名目で彼の家の近所をグルグル歩いてお父さんと一緒に遊ぶっていうことが無かったから……
だから……たまには……というか、『前の世界』でもあまりお父さんと一緒に遊ぶことって少なかったし……
「うん、行く!! 私、とっても楽しみ~っ!!」
「おーっ!! そっかそっか、浩美がそんなに喜んでくれてお父さんも嬉しいよ。お母さんと、学《まなぶ》や詩織《しおり》はお留守番だけど、それでもいいかな?」
私には生まれたばかりの双子の弟と妹がいる。
「えっ、みんなで行かないの? うーん、でもいいよ、お父さんと二人でも……」
私の言葉でようやくお父さんは安堵の表情を浮かべる。
すると横からお母さんが、ある提案をしてきた。
「それだったら、浩美のお友達も誘ってみたらどう? 大勢で遊園地に行った方が楽しいでしょ? お父さんの車は五人乗りだから、あと三人は乗れるわよ」
「えっ、お友達……?」
私と二人きりで行きたいはずのお父さんの顔は少し曇っていたけど、私はお母さんからの提案を聞いてある友達の顔が浮かんでしまった。
五十鈴君と遊園地に行きたい……
その日の夜、私はまず順子に電話をした。
順子はとても喜んでくれて『絶対に行く』と言っていた。
そして次に私は久子にも電話をした。正直なところ本当は今の久子と一緒に遊園地に行く気分では無いのだけれど、五十鈴君と遊園地に行く為には同じクラスの久子の協力が必要だと思った私は仕方が無いと自分に言い聞かせた。
「遊園地かぁ……うん、私も行きたいなぁ……それで後は誰が一緒に行くの?」
「順子ちゃんも一緒に行くよ。それでお父さんの車で行くからあと一人乗れるんだけど、久子ちゃんはあと一人、誰がいいと思うかな?」
私が久子にそう質問すると数秒間の沈黙が流れる。
そして数秒後、受話器越しに久子が『うーん……あのね……』と何か言いたげな声が聞こえてくる。
私は久子が何を言いたいのか分かっていた。というか、言わせたかったのだ。
だから私は続けてこう言った。
「久子ちゃん、声が小さくて聞こえないわ。久子ちゃんは誰と一緒に行きたいの?」
「い、五十鈴君……かな……」
よしっ!!
久子には見えないけど私は今、ガッツポーズをしている。
「五十鈴君ね? うん、いいわよ。五十鈴君なら私も知っているし全然いいよ。でも久子ちゃんに一つだけお願いがあるの」
「えっ、何かな?」
「私は五十鈴君と同じクラスじゃないし誘いづらいから五十鈴君には久子ちゃんから誘ってくれないかな?」
「えーっ、私が五十鈴君を誘うの~!?」
「む、無理かなぁ……?」
どうする、久子? でもあなたは……
「むっ、無理じゃ無いよ。お母さんに五十鈴君の家の電話番号を教えてもらって電話してみるね?」
「う、うん、ありがとう久子ちゃん。それじゃまた五十鈴君が行けるかどうか教えてね?」
「うん、分かった……それじゃまたあとでね……」
チン……
ゴメンね、久子……あなたを……あなたの気持ちを利用してしまって……
でも、久子も五十鈴君に私を理由に電話もできるし、それに五十鈴君には自分しか連絡できないんだって少し誇らしげな気持ちにもなれるでしょ?
私ってズルい女なのかな……?
別にズルくてもいい。私だって五十鈴君と一緒に遊園地に行きたいんだから。
少しくらいズルくてもいいわよね?
数十分後……
今度は久子から結果報告の電話があった。
ワクワクしながら結果を待っていた私だったけど、久子の言葉にショックを受けてしまった。
その日、彼は大事な用事があり朝から出かけるそうだ。彼がどこに行くのかは知らないけど久子が言うには絶対に予定を変えたくない用事らしい……
それと何故か、彼は自分が遊園地に行けない代わりとして同じクラスの高山君を推してきたそうだ。
五十鈴君が行けない事を知った久子はショックのあまり彼の話をまともに聞いていなくて、高山君と一緒に行くのを『うんうん』と承諾してしまったらしい。
まぁ、高山君が行くかどうかは五十鈴君からまた連絡があるらしいけど……
そういう事で結局、『エキサイトランド』には私と二人で行きたかったお父さんと、五十鈴君と一緒に行きたかった私と久子、そして何故か彼に推薦された高山君と順子の五人で行く事になりそうだ。
おそらく順子だけが心の底から楽しめるんだろうなぁ……
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
五十鈴君と一緒に遊園地に行く為に色々と知恵を絞った浩美だったが、残念な結果に終わる。
八月七日、この日は五十鈴君にとっても大事な日らしいが、浩美はその日、五十鈴君がどこに行くのかは知らない。浩美がソレを知るのはもう少し先になることになる。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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