幼馴染の彼に想いを伝えれないまま死んだはずの私がタイムリープで幼稚園児となり人生をやり直す。

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第6章 運動会編

第31話 前哨戦

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【運動会当日】

 雲一つ無い青空の元、遂に運動会が始まる。
 私の両親や弟達、そして祖父母も応援に来てくれている。

 今朝、出掛ける前にお父さんが私に「浩美は今年もリレーに出るんだろ? さすがはお父さんの子だ。思いっきり大きな声で応援するから頑張るんだぞ!?」と、朝からプレッシャーをかけてくれた。

 そしてお母さんも「今年も順子ちゃんとリレー対決をするらしいわよ。でもまぁ、浩美が勝つと思うけどね」と、ニヤリとした顔で私に言ってくる。

 本当にうちの両親は面白い人達だ。っていうか『前の世界』の時よりも性格が明るいような気がするのだけど……まぁ、暗いよりかは全然良いよね……


『選手宣誓!!』

 開会式が始まった。そして選手宣誓はなんと立花部長であった。

 私達は驚いた。

「立花部長、選手宣誓をするなんて何も言ってなかったよな?」

 私の近くに立っている高山君が後ろを振り向き後ろに立っている彼に聞いてきた。

「あ、うん……何も聞いてなかったな……」

 そして立花部長は透き通った大きな声で堂々とした態度で選手宣誓をした。

「宣誓!! 私達選手一同はスポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦うことを誓います!! 昭和五十五年十月十日!、選手代表六年一組、立花香織!!」

 運動会会場は割れんばかりの歓声がおこる。

 私達も手が痛くなるくらいの大きな拍手をした。

 やはり立花部長は凄いなぁ……
 カッコいいなぁ……ほんと何をやっても絵になる人だなぁ……

 私は心の中でそう思っていた。

『続いてプログラム一番「ラジオ体操」です!』

 放送部の人がそうアナウンスをすると、壇上にはこれもまさかの演劇部で陰の副部長、高田瑞穂さんが立っている。

「オイオイオイッ!? た、高田さんも何も言ってなかったよな!? 一体どうなっているんだ、うちの演劇部は!?」

 高山君が再度、興奮気味に彼の方を振り向き、目を大きくしながら両手を伸ばしラジオ体操がやりやすい位置に移動していった。

「ほんと、うちの演劇部の人達って凄いわね? 逆に運動部の人達は何やってるの? って感じがするわね?」

 私が彼に小声でそう言うと彼も『ほんとだよな』と微笑みながら両腕を伸ばし移動していくのであった。


『プログラム二番、一年生による五十メートル走です』

「 「 「頑張れーっ!!」 」 」

 全校児童が大きな声で一年生を応援する。

 私達の通う小学校の運動会は学年関係なく一組から四組の競技の点数で争うことになっていて点数が入る競技は以下の通りになっている。

 各学年の五十メートルから二百メートル走
 各学年毎の特別競技(四年生なら障害物リレー)
 低学年による玉入れ
 三、四年による棒倒し
 五、六年による騎馬戦
 そして最後に各学年の代表による四百メートルリレーから八百メートルリレー

 そしてこれ等の競技を盛り上げるために、各組代表で六年生が応援団長、五年生が副団長を務め、その他各学年から応援団員を数名募り各学年の同じ組の人達を応援することになっていた。

 一組の応援団長は先程、素敵な選手宣誓を行った立花部長、そして副団長が五年の福田さんであった。それだけでも驚きなのに、二組の応援団長は元バスケ部で現在は演劇部の六年時田さん、三組の応援団長は陰の副部長高田さん、副団長は次期部長で五年の佐藤さん、四組の副団長が五年の堤さんであった。

 まさか各応援団の団長、もしくは副団長にこんなんにも多くの演劇部員がいるだなんて……私達は驚きを隠せないでいた。
 
 しかし私達一組の応援団長が立花部長であるということは凄く嬉しいし、安心感もあるので本当に良かったと思う。

 いずれにしても先輩達の応援と全児童の応援が入り混じり、一年の五十メートル走から六年生の二百メートル走まで大いに盛り上がった。

 二年生の五十メートル走では彼の妹の奏ちゃんは三位だったけど去年、奏ちゃんはビリだったので彼も満足そうな表情をしている。
 
 逆に高山君の妹が去年の一位からビリになっていたので高山君は一人凹んでいた。

 ちなみに運動会前に急遽一緒に練習を行った二人……

 高山君は二位、森重君は三位だったけど、二人とも去年よりも順位が一つ上がったので練習の成果は出た形となったし一組としても良い結果になったのでこれもクラスの『マドンナ』久子のお陰だなぁと思う私であった。
 
 あと、彼、田尾君、村瀬君、大石君、新見さん、夏野さん、そして私のリレー組は堂々の一位だったけど久子は二組の深井薫さんに負けて惜しくも二位だった。



 そして順調にプログラムも消化していき午前中最後の競技

 三、四年生男子だけによる『棒倒し』が始まる。

 棒倒しはまず一組と二組が対戦し、そのあと三組と四組が対戦をする。
 そして勝った組同士で決勝戦を行うという流れだ。

 私達の一組と三組が順当に勝ち上がっていき、決勝戦は一組対三組となった。
 三組には学年で女子に一番人気で足の速い木口達也《きぐちたつや》君と学年一やんちゃで足も速い平田克也《ひらたかつや》君がいる。彼等はリレー選手でもある。

 まさに棒倒しの決勝戦はリレー対決前の『前哨戦』という形になってしまった。

 棒倒し一組の大将は村瀬君、三組の大将は木口君となり、これもまたリレーのアンカー同士である。

 ただ一つ問題なのは三組には喧嘩も強い平田君がいること……
 幼稚園の頃は私に泣かされた事もあったけど、今はあの頃の様なことはない。

 一組には平田君のことを怖がっている子も数名いるし、三年生からすれば恐怖しかないかもしれないなぁ……私が男の子だったらなぁ……って思ったりもするけど、それじゃ私、彼に恋ができなくなるからそれは困るわ。

 『前の世界』での一組は一回戦で負けちゃったけど『この世界』ではまたしても違う未来になっている。でもこの方が見ていてワクワクもするけど怪我が怖いからハラハラもしてしまう。

 とりあえずみんな怪我だけはしませんように……


 パン!!

 ピストルの音が鳴り棒倒しが始まった。

 予想通りスタートの合図と同時に平田君が鬼の形相で一人突っ込んできただけで一組の数名の児童は逃げ腰になり、それにつられて三年生の児童達も平田君に近づこうとしない。

 彼や田尾君、大石君はまだ気が強い方なので平田君にタックルしたいとう気持ちはあるのだろうけど、始まる前に『リレー前に怪我はしたくないよなぁ』って言っていたからなかなか平田君の前に行けないように見える。

 その様子を見て、俄然調子の出てきた平田君は棒を守っている大将村瀬君めがけて突進してくる。

 それを見ていた高山君と森重君はなんか開き直った感じで『うぉおお!!』と叫びながら平田君めがけて突進してくれた。

 そして平田君は二人に突進されて倒れてしまった。

 けど、何故か平田君の顔は笑っていた。

「しまったーっ!!」

 彼がそう叫んだと同時に両サイドから三組のリレーメンバーの山本君と岡本君が村瀬君めがけて突進してきた。
 
 実は平田君は『オトリ』だったのだ。
 
 二人に飛びつかれた村瀬君は大きな体を活かして耐えているけど山本君と岡本君も必死に村瀬君を棒ごと押し倒そうとしている。

 さすがに彼や田尾君、大石君も後方から村瀬君を助けに行こうと走り出した。

 しかし、その瞬間!!

 倒れていたはずの平田君が突然、高山君と森重君を跳ねのけながら立ち上がり、村瀬君めがけて一気に走り出したのだ。

「しっ、しまった!! これも作戦だったんだ!!」

 彼がそう叫んだけど『時すでに遅し』……

 両サイドから二人に押されて、そちらに気を取られている村瀬君の身体のど真ん中に後のリレーの事など何も考えていないと思わせる様な力強さで平田君が激しく突進してきたのだ。

 ドシ――――――――――――ンッ!!

「グハッ!!」

「村瀬ーっ!!」

 さすがの怪力村瀬君も三人がかりの力には勝てず、棒を離さないままではあったけど遂に倒れこんでしまった。

 その姿を唖然としながら私達は見ていた。
 横にいた久子や他の女子達は泣いている。

 三組サイドは大歓声があがり、逆に一組サイドはため息が聞こえてくる。


 リレー対決の『前哨戦』は一組の完敗に終わってしまう。




――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。

今回から『運動会編』となっております。
立花部長の選手宣誓で始まった運動会
演劇部員達の活躍が目立つ中、四年生はリレー前の前哨戦とも言われている『棒倒し』が始まる。
しかし隆達一組は三組の作戦にはまってしまい完敗する。

果たして隆達男子はこの雪辱をリレーで返せるのか?
そして浩美達女子チームはリレーで一位を取れるのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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