幼馴染の彼に想いを伝えれないまま死んだはずの私がタイムリープで幼稚園児となり人生をやり直す。

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第6章 運動会編

第32話 まさかの行動

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 総合得点

 一組 260点 
 二組 255点 
 三組 275点 
 四組 230点

 運動会も最終局面に入り、現在各学年代表によるリレーが始まっている。

 一年生の200メートル 二年、三年生の400メートルリレーが終了し、いよいよ四年生からはトラック一周200メートルの800メートルリレーが始まる。

 遂に私達の出番が来てしまった。

 スタート地点に集まる私達……

 さすがに『前の世界』でも経験をしているとはいえ、やはりリレーというのはとても緊張する競技だわ。久子や新見さん、夏野さんなんかは顔が少しこわばっているし……

 そんな緊張感漂う中、順子が私に話しかけてくる。

「浩美、今年は負けないからね!?」

「何を言ってるのよ、私はアンカーで順子は三番走者でしょ? 今年は順子と勝負できないじゃない!」

 私がそう言い返すと順子は、

「ちっ、違うわよ!! チームで勝つってことよ!! 去年も浩美のチームに惜しいところで負けちゃったしさ。でも今年は薫(深井)がいるからうちのチームは最強よ!! 絶対に一組には負けないんだからね!!」

 日頃は私に対して優しい口調の順子だけど、勝負になると強気の口調になってしまう順子が私にそう言ってきたので、

「そんなことを言えるのは今だけよ!!」

 私も負けずに言い返してしまう。

「まぁまぁ、二人ともそれくらいにして、今日は正々堂々と勝負しましょう」

 久子がいつもの可愛らしい微笑みをしながら間に入ってくれたので私達の言い合いはおさまった。

 私は久子の耳元で『ありがとね』とお礼を言うと彼女は『どういたしまして』とだけ言うと三番走者の待機場所に向かって行った。

 はぁ、私何してるんだろ?

 十五歳の私が十歳の女の子と言い合いになるは、それを十歳の女の子に助けられるなんて……私もまだまだ子供なんだなぁ……

 私が反省をしていると後ろ方にいた彼が私に声をかけてくれた。

「石田頑張れよ。あれだけみんなで練習したんだ。石田達なら絶対に大丈夫だから!!」

「あ、ありがとう……」

 私はそう言うと彼に笑顔で手を振りアンカーの待機場所へと向かった。



 そしていよいよスタートである。

 よーい……

 パンッ!!

 ピストルの音が鳴り響くと同時に各チームの第一走者が走り出す。

 一組の第一走者は私と同じ演劇部で小柄な夏野さん。
 各チーム横並びで走っている。

 そして彼女達はあまり差がつかない形で、そのまま200メートルを走り抜き第二走者にバトンを手渡した。

 続く一組の第二走者は久子と同じ家庭科部の新見さん。
 新見さんの長い脚で走る姿はとても素敵だったけど、三組の女子が先頭に躍り出る。

 そして三組がト先頭のまま第三走者にバトンが渡った。新見さんは惜しくも二位で走り終える。

 一組の第三走者はクラスのマドンナの久子。
 そして現在三位の二組の第三走者は順子……

 二人は抜きつ抜かれつの走りでじわじわと先頭の三組に近づいて行った。

 二人とも速い!!

 私は二人の走る姿を見て興奮してしまった。

 遂に二人は三組に追いつき、そして追い越した。

 最後のカーブを曲がればあとは直線!!

 その時、私は順子の顔が少し歪んだ様に見えてしまい「順子!?」と思わず声を出してしまう。
 
 あの子……もしかして……最後のカーブを曲がる時に足をくじいたかもしれない……

 おそらく私の予想は当たっていると思う。
 久子との差がどんどん開いてしまったから……

 そして久子は順子に10メートルほどの差をつけてアンカーの私にバトンを託した。

「浩美、あとはお願いね!?」

「オッケー!!」

 私は久子からバトンを受け取り走り出す。
 数秒遅れで順子もギリギリ二位をキープし、二組のアンカー深井さんにバトンを託したみたいだ。

 深井さんの走りは凄かった。前で走っていても凄い威圧感を感じる。
 まるで走るために生まれてきたのではないかと思わせるくらい速い。
 少しでも気を緩めると追いつかれてしまう。

 しかし瞬く間に深井さんは第二コーナーあたりで私の背中に手が届きそうなところまで追いついてきた。

 私も追いつかれまいと必死に走る。

 絶対に負けない!
 中身が十五歳の私が負けるはずが無い!!

 私は歯を食いしばり必死で走った。

 しかしその時!!

「あっ!!」

 私は一瞬、身体が宙に浮いた感じになった後、全身に衝撃を受ける。

 バターーーンッ!!!!

 私は転んでしまい足を擦りむいた。

 私が足の痛みで立ち上がれない間に深井さんは私を抜き去って行く。

 そして私が擦りむいた足の痛みを我慢しながら立ち上がろうとしていた間に三組、四組の子達にも次々に抜かれていった。

 悔しい……恥ずかしい……悲しい……

 色々な感情が出てきたけど最後に出てきた感情……

 最後まで走らなくちゃ一緒に練習を頑張った久子達や必死に応援してくれている彼達に申し訳が無い……

 私は足元に落ちていたバトンを拾い、そして立ち上がり、足を引きずりながらゴールを目指し歩き出した。

「浩美頑張れ――――――っ!!」

 真っ先に励ましてくれたのは敵チームである親友の順子であった。
 それに続き彼達一組のみんな、また会場の観客全員が私をを応援してくれている。

 私はみんなに大きな拍手で迎えられ無事にゴールすることが出来た。

 彼達の前まで来ると私は両手で顔を隠しながらしゃがみ込んでしまった。
 そして目から涙が溢れ出す。

「み、みんな……ご、ごめんね。せっかく久子が一位でバトンを渡してくれたのに……グスン……あれだけ練習頑張ったのに……ほ、ほんとごめんなさい……うう……」

 涙が止まらない私は顔を隠したままみんなに謝った。

 すると突然、誰かが私の前に立ち、そしてしゃがみ込む。
 そして私の頭に手をソッとのせてこう言った。

「石田はよく頑張った……」

 えっ、五十鈴君!?

「ほんとよく頑張った。足も痛いはずなのに最後まで諦めずよく頑張ったよ。俺達、石田のお陰で勇気を貰えたよ。だから謝らなくていいし、泣かなくてもいいよ。相手は違うけどかたきは俺が絶対取ってやるからさ」

 彼の突然の行動に驚き私の涙は止ったけど、彼に頭を撫でられているのが恥ずかしくて彼の顔がまともに見る事ができないでいた。

 それに今、私に言ってくれた言葉って……彼が幼稚園の頃に言われた言葉……
 そう思いながらも私は彼にこう聞いた。

「ほんとに……ほんとに私のかたきを取ってくれるの?」

「ああ、勿論さ。約束するよ」

「う、うん……分かった。五十鈴君ありがとね……」

「ハハハ……お礼を言うのはまだ早いよ、石田。俺達が勝ってから石田にはいっぱいお礼を言ってもらうからさ。ハハハハ……」

「うん……頑張ってね……」

 私は彼の行動、言葉、笑顔、全てに救われた気持ちになると同時に胸がとても熱くなった。

 分かっているけど……

 分かっていることだけど、私は彼のことが心の底から大好きでたまらない……




――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。

残念ながら転んでしまった浩美だったが、そのあとの隆の行動に驚くことに。
そして改めて彼の優しさに胸がキュンとなる浩美であった。

果たして隆は浩美との約束を、敵を取る事ができるのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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