『恋愛戦国』~陰キャオタクの俺が学園の美少女達にモテだしたのには何か理由があるはずだ~

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第9章 中間テスト編

第55話 伊達魔冬

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 中間テストが終わってから一週間が経ち、この一週間で全ての答案用紙が返って来た。

 俺の点数は上々、あとは学年で十位以内に入っているかどうかだ。

 あれだけ勉強したんだし、あいつ等にもかなり助けてもらったしなぁ……
 お礼の為にも結果を残したいなぁ……


 しかしアレだな。

 この一週間、俺の周りは怖いくらいに平和だったよな。

 これは徳川一派が俺の護衛をしてくれているからなのか、織田会長達が俺の事を諦めてくれたからなのか……それとも今日の昼休みに『学年ベストテン』が貼り出されるまで待っているのか……

 うちの学園は中等部の時もそうだったが、毎回テスト終了後に学園一位から十位までが貼り出されるシステムになっている。

 ちなみにそれ以外の人達で自分の順位を知りたい時は教室にあるパソコンに自分のIDを入力すると順位が分かる様になっている。


 ガヤガヤ……ガヤガヤ……ガヤガヤ……

 さすがに中等部の時もそうだったが『学年ベストテン』が貼り出される日は学園一階にあるホールの壁付近は賑やかだ。

 俺はこんな人混みに近づきたくはないが、今回は自分の順位がめちゃくちゃ気になるので恐る恐る、順位が貼り出されている壁に近づいて行く。

 ちなみに昼休みが始まると同時に教室にあるパソコンでも確認はできるが、確認の順番待ちができていたので俺は直接ホールで確認する事にしたのだ。

 まぁ、十位以内に入れていなかったら自分の順位なんていつでも調べればいいからな。


 そして俺は貼り出されている紙の前の人混みの一番後ろに立つ。

 すると俺の前にいた女子が人混みに押されて俺のところに吹っ飛んで来た。

「キャッ!!」

「うわっ!?」

 ガシッ!!

 俺は咄嗟に彼女を受け止めたが、その拍子にまたしても俺のメガネが吹っ飛んでしまった。ほんと勘弁してくれ!!

 いつか、マジで壊れてしまうぞ……

 だが、そんな事を言っている場合では無いので吹っ飛んで来た女子に声をかけた。

「だ、大丈夫……?」

「うん、ありがとう……えっ? も、もしかして……竹中君……?」

「ああ、そうだけど何で……ん? ああ、君だったのかぁ……俺の事、憶えてくれていたんだね?」

「メガネをしていなかったから直ぐには気付けなかったけど、声と髪型で何となくそうかなって……」

 あっ、そうか……この子も俺がメガネを外した時の顔は知らなかったよな。

 でも、声はともかく髪型で俺に気付くってことは、かなり俺の髪型はダサすぎて憶えやすいってことなんだろうなぁ……


 彼女の名前は『伊達魔冬だてまふゆ』といって俺と同じ一年生だ。

 何故、この俺が珍しく女子の名前を憶えているかと言えば、中等部一年生の時に同じクラスだった女子だからだ。

 それも伊達と俺は名前が『タ行』なので出席番号が近く、二人一組で何かをする際はよく伊達と組んでいたからだ。

 恐らく伊達は俺みたいな『陰キャオタク』と組むのは嫌だっただろうなぁと今更だけど思ってしまう。

 彼女の身長は百五十五センチくらいで小柄な子だがスタイルは抜群だ。

 目がとても大きく左目の下に泣きボクロがあるのが特徴的な色白美人だ。

 髪は薄い紫色のセミロングで軽くパーマがかかっていた。
 勉強も運動も出来てクラスの男子からは絶大な人気があったのを憶えている。

 まぁ、俺は別に……きょ、興味は無かったけどな。

 当時の彼女は口数が少なく女友達はあまりいないように思えた。
 まぁ、友達ゼロの俺が言うのもおかしな話だが……

 だからそんな彼女なので会話をあまりしたくない俺にとっては彼女と一緒に組む事は意外と精神的に楽だった様に記憶している。

「そういえば……俺のメガネは……」

「はい、どうぞ……」

 伊達は床に落ちているメガネを拾い、そして俺に手渡してくれた。

「あ、ありがとう……ほんとメガネが無いと何も見えないというか……」

「ううん、こちらこそありがとう。『仙石集会』で織田会長が竹中君にメガネを外してって言った意味がなんとなく分かった気がするわ……」

 えっ!? どういう意味だ!?

「だ、伊達さんもあの場にいたんだね?」

 全然、気付かなかったぞ。
 ってか、あの時は周りを見る余裕なんて無かったしな。

「うん、いたよ。私は一年五組の『クラス委員長』だからね……でもあの時は竹中君のメガネを外した顔をちゃんと見れなかったから……」

「い、いやあの時はめちゃくちゃ恥ずかしかったよ……ほんと何で織田会長はいきなりメガネを外せって言ったんだろうね……ハハハ……」

「……なんか竹中君とお話していたら中一の頃に色々と助けてもらった事を思い出してきたわ。また今度、ゆっくりお話ししてくれないかな?」

「えっ、俺とお話!? べ、別にいいけど……」

 俺なんかと話をして楽しいのか?

「フフ、ありがとう。また私から声をかけるわね? それじゃまた」

「えっ? 順位は見なくていいのかい?」

「ええ、もう見たわ。それでさっきは人混みから出て帰ろうとしていたところだったの……フフフ……ではまたね」

 伊達はそう言うと自分の教室に帰っていくのだった。


 そして俺は人混みをかき分けて順位表の前まで行く事ができた。

 とりあえず怖いので一位から順に確認することにしよう……

 まず一年生トップは徳川だろうと思いながら順位表を見ると一位に徳川の名前は無かった。

 えっ? 徳川が一位じゃないのか?

 よく見ると徳川は二位だった。

一位には一年五組『伊達魔冬だてまふゆ』と書かれていたのだ。


―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。

自分の順位を確認しようとホールに行く颯だったが、人混みから吹っ飛んで来た女子を助ける事に。

しかしその女子は颯が中等部一年の時に同じクラスの伊達魔冬であった。

そんな彼女は何故かまたお話をしようと約束をしてその場を立ち去る。

そして颯が貼り出されている順位表を確認すると一位のところには徳川の名は無く、伊達魔冬の名前が書かれてあった。

次回で中間テスト編最終話となります。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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