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ハイリューン・ヒルデガルド 再び

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 -ハイリューン・ヒルデガルド 再びー 
 
 すっかり常連となったわたくし、どうにか!どうにかして店主である稀人様、そう八意斗真様とお知り合いになりたい。 
 
 どうすれば、こんな数々の料理が出て来るのか知りたい。 
 
 そして出来る事なら我が里に斗真様を招待したい! 
 
 この感動を私だけで消化するのは、もったいないと同時に同族に教えてあげない事は罪ではないかしら? 
 
 いつの日か勇気が出たら、臓物が出ると言う夜の部にもチャレンジしたいと思っているわ。 
 
 そして毎日変わるメニュー。 
 
 今回も私最前線ですわ、だって聞いたんですもの、今日のメニューは三回目のラーメン!! 
 
 一度目は濃厚で白いスープが美しく、鳥の旨味が爆発した塩ラーメン、二回目は家系?と言う豚を前面に押し出したラーメン、未だにあの暴力的な味が忘れられない、出来る事ならもう一度家系ラーメンを食べたいと強く思ってしまう。 
 
 強烈でクリーミーに舌の上を蹂躙していくスープに、ニンニクとご飯のコンボ!海苔の磯の香! 
 
 海苔でご飯を包み、ニンニクを乗せて食べた時の衝撃!勝手に顔が笑みになってしまう! 
 
 くぅぅ!悔しい事に忘れられません! 
 
 もしリクエスト出来るならぜひ!家系ラーメンを!あれは悪魔のラーメンですわ!私以外にも多くの人間を惑わし、一時期はギルド内で家系の話で持ち切りになりました。 
 
 いっそみんなで嘆願書をだして、もう一度作って貰をうと署名を集めている人達もいるとか、わかりますわ。 
 
 わたしくは天丼と家系ラーメンの嘆願書に署名しましたもの!それにお蕎麦!あの香のいいお蕎麦、つゆの美味しいさと絡んで風味よく鼻を抜ける香に、ツンとした辛みのある刺激、ネギの香、そして刻み海苔がまたいい仕事をするんですの!とても素晴らしかったですわ、ぜひまた食べたい!。 
 
 でも今日はラーメン、三回目のラーメン、毎回出て来るラーメンが変わっていると言う事は、今回もきっと違うラーメンが出て来るはずですわ。 
 
 一体どれだけの種類があるのかしら?出来る事ならまた強い豚の風味を味わいたいですわ。 
 
 息を整え後方を見ると、いつも以上に列が長い事に気が付く、やはりラーメンとなると、みんな諦めずに並ぶ人が多いですわ。 
 
 開店して、水を先に確保してから席につくと、すぐ料理が運ばれてくる。 
 
 丼を覗いて見ると、これは・・・・非常にどろっとしている。 
 
 いつもの様なすーっと通るスープではなく、本当にとろとろとしてる。 
 
 これがラーメン?これもラーメン?恐る恐るスープを口にすると、口の中にぶわっと広がる豚の濃厚な風味!それでいて驚くほどまろやかに口全体に広がっていくスープ、醬油の旨味もギンギンと感じながらも、しょっぱ過ぎる事もなく、こくこくと飲めてしまう塩分の濃さ。 
 
 そこに細麺がとろりと絡んで、麺の小麦の心地よさも感じつつ、スープと混ざり合う! 
 
 これはまた家系とも鳥の塩ラーメンとも全然違う流儀のラーメン!豚をガツンと感じつつもまろやかで落ち着いた棘のない塩分が丁度良く、飲みやすい。 
 
 スープをレンゲで飲むまでのなく、麺と絡み一緒に存分に味わう事が出来る。 
 
 チャーシューのしっとりして程よい脂が甘く、美味い。 
 
 あまりの美味さに、あっという間に麺はなくなり、スープだけが残る。 
 
 「替え玉もあるけど、ご飯を混ぜても美味しいよ!ご飯とニンニク!」 
 
 ご飯とニンニク!? 
 
 家系でもやったニンニク・・・・どろっとしたスープにご飯を投入して、ニンニクと紅ショウガを乗せてバクり。 
 
 きたああああああああ!!! 
 
 豚の味わいに強烈なニンニクの旨味!それでいてさっぱりと食べれてしまう紅ショウガ! 
 
 豚の濃いスープは麺とも相性良く、また米とも喧嘩せずに混ざり合う。 
 
 豚と米のワルツ!ネギとこりこりのキクラゲのアクセントがまたいい! 
 
 ああっ豚の!豚の海に溺れてしまうかのような、濃厚な味!それでいて強引ではなくゴージャスな豚さんのエスコート!紳士的にリードされているのに、なんて強烈な美味さ! 
 
 脂の甘味も感じつつ、それでいて程よい塩味でありながら、色々な素材の溶け込んだまろみの豊かな醬油、そこに混ざり合う豚!更にはそこで米が混ざる、この一見味気ない様に感じる米が実は一番の癖もので、スープの旨味をこれでもかと伝播させる役割を担っている!。 
 
 家系とは違う衝撃を放つ、ポタージュラーメン! 
 
 家系では全部飲み干す事も、米と一緒にでも完全には飲めなかったスープが、このとろとろのラーメンでは余す事無くスープもぺろりと食べてしまいましたわ。 
 
 それでいてしょっぱ過ぎる事もなく、水がとても美味しい! 
 
 すっかり平らげたどんぶりを覗いて思う。 
 
 わたくし豚の虜になっているのかしら?それともニンニクの虜になったのかしら?それとも種類の豊富でまだ底の見えないラーメンにハマってしまっているのかしら?。 
 
 ポタージュラーメンを食べる前までは、頭をちらついていた家系ラーメンが、今までは何処か脳の中の遠くに封印されたかのようになっている。 
 
 豚骨で満足したから?ニンニクで満足したから?水を飲みながら考えるけど、今は清々しい程にさっぱりしている。 
 
 次に会うラーメンはどんなラーメンかしら? 
 
 店を出て、太陽を見上げる。 
 
 今日も自分が眩しいわ!
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