異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

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復刻メニュー 第一位黄金豚の家系ラーメン

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 八百万 人気メニュー復刻 家系ラーメン 
 
 八百万のラーメン、ラーメン自体について考えてみよう。 
 
 実は豚骨や鳥ガラなどを使って濃厚な出しを作り出す事は、意外と難しい事ではない、 
 
 ラーメン好きが自分でラーメンを作って、お店に匹敵する美味さのラーメンが出来たなんて事も結構聞く話である。 
 
 煮込み時間の長時間化や材料の投入によって美味いラーメンの元は意外と作れたりするが、問題はコストにある。 
 
 大抵のラーメン屋さんが800円と言う安価でラーメンを振舞っている、素材だけの原価400円のラーメン、そこに更に電気代ガス台人件費中には米が無料も考えると、原価率はさらに圧迫される事になる、そもそも考えてみて24時間煮込んで完成する美味さのスープに付きっ切りで相手にしなければいけないだけでも人件費ガス代電気代などは馬鹿にならない、一日8時間もしくは10時間鍋をみても交代して二人は必要になるスープ、時間をかければかける程美味くなるが、水で蒸発して濃厚になったスープに水を足してと考えていくと、どの程度の煮込み時間が一番割にあって美味くなるかが分かれて来る。 
 
 最初の10時間で10美味くなるスープを、今度は20時間で15美味くなるでは時間によって10美味くなるかさらに足して5美味くなるかでは状況が変わってくる。 
 
 まぁつまり一杯に千円二千円もかけて、更には膨大な時間をかければ素人でもそれなりに美味いラーメンが作れるが、大半の個人店は800円に納まるコストと労力や時間を使って尚且つお店に売り上げがしっかり出る様に考え、そして更には800円以上の感動をお客に与えるラーメンを作っている。 
 
 この900円から700円に納まる中で、常にベストを出し、お客さんを感動させ、お客さんを引き留め何度も通いたくなるスープを作る事は非常に難しく、それでいて経営上手でもなければならない。 
 
 ラーメンに千円は高いと考えている人は、時代の物価上昇と個人店の努力をもうちょっと知った方がいいだろう。 
 
 それでは八百万のラーメンを見てみよう。 
 
 使われる骨は黄金豚の骨、これを廃棄品なのでタダでもらって、この骨が黄金に変わる直前のまだ骨に旨味がパンパンに詰まっている骨を、魔道具で36時間、骨が粉の様になるまで煮る、他にも鳥ガラやマグロ節や野菜に肉の旨味特注の昆布の根に果物など様々な物が入っている。 
 
 どろどろで脂でゼラチン状になっているこのスープを、昆布の根や節系の出しでとったスープと合わせて丁度いい濃さまで薄めて、醬油も弱火でコトコト出しやみりんなどと煮た旨味たっぷりの醬油を8時間休ませる事三度繰り返し、尖った味をとり、まろみと甘みの濃い醬油を作り、これと黄金豚のスープと合わせる事で出来るのが、八百万の醬油豚骨である。 
 
 魔道具のおかげで、調理の簡略化が出来、素材たちの強い旨味によって現代のラーメンに引けをとらない家系が完成している。 
 
 以前よりもより完成度が高く、人を引き付ける痺れる美味さのラーメンの完成、斗真の料理人スキルによって何度も作る事で熟練度が上がり、現在のメニューより、より最適解の材料へと進化させ、より美味いラーメンが出来上がった。 
 
 -ラーメンクィーン事 ハイリューン・ヒルデガルド(潜伏)- 
 
 今現在ヒルデガルドを先頭に並んでいるのは、家系ラーメンの虜になった者達、そして後方に並ぶのは、そんな家系ラーメンに興味をもった者達である。 
 
 ヒルデガルドはあの始めての味を、今もまだ思い出す。 
 
 あの強く濃厚で、美味さの暴力といってもいい強烈な旨味、脂の味、それらと絡まる小麦を感じる麺、ほうれん草と海苔、そして米! 
 
 何度も何度も夢を見た、毎回食事はするけど、確かに衝撃的な料理は数あるけども、違うのだ!私が欲しいのは!あのラーメンの!全てを吹き飛ばす様な衝撃!恋焦がれた強烈な旨味の濁流を味わいたいのだ! 
 
 それがついに叶う!またあのラーメンが食べられる! 
 
 店にはいってすぐに着席し、水を確保すると直ぐに注文する。 
 
 「硬め!濃いめ!多め!」 
 
 多くの人間が私と同じ頼み方だった。 
 
 そしてついに!ついに目の前に家系ラーメンが!香りを堪能するのもソコソコにまずはスープを一口。 
 
 下で適度に転がし喉の奥に・・・・これは!以前よりももっと旨味を感じる!豊かなまろやかさ!深さの震度が以前より一段深くなっている!そしてそこに脂の甘味と旨味が溶け合い均一に混じりあっていく!そしてやはり脳を揺さぶるこの豚と醬油のダブルタイフーン!!以前の物よりもまさか美味さがこんなにもグレードアップするなんて!他の客も動揺が隠せない。 
 
 「おいおいまじかよ・・・・・」 
 
 「まさか前より美味くなるなんて・・・・」 
 
 「これはいよいよやばいぜ・・・・」 
 
 ただでさえ久しぶりに味わうと言うのに、まさか以前のものを超えた美味さ!そして中毒性の強い豚の味わいに体が傾きそうになるも踏みとどまり、麺をリフトアップさせ、すする!。 
 
 自然と笑みがこぼれる、これなのだ!まっていた一億と2千年前よりまっていたのは、この豚だったのだ! 
 
 ほうれん草と一緒にすする!ああっうんまい!もう何というか!美味いしか言えない! 
 
 そしてついに麺にニンニクを乗せ、ほうれんそうを乗せ、海苔を掴んで麺と一緒にすする! 
 
 懺悔したくなる程に美味い!私はこの美味さを味わう為に自らの神を捨てるかもしれないと思わせる程に、口の中で黄金豚と美味さたっぷりの醬油がエレクトリカルパレードをしている。 
 
 そして米、ニンニクと豆板醤を乗せ、ほうれん草を乗せ、スープでふやけた海苔で包んで米を食う!な・・・・な・・・・ナ・・・・・なんじゃこりゃぁ!!!なんつう美味さなんじゃ!?こちとらハイエルフの姫じゃぞ!?わしゃぁどうなってしまうんじゃ!? 
 
 ハッと我にかえる・・・・何がおこったのか?美味さで一瞬自分が自分じゃなくなる。 
 
 米の硬さが、本当にちょうどええんじゃ!!? 
 
 脳がバグりながらも食う!チャーシューの肉の感じと甘い脂を感じ米を食う!ニンニクに麺とほうれんそうを掴んですする!ニンニクとほうれん草と米を海苔で包んで食う!! 
 
 また不思議な事に、こんなに濃厚で濃いスープなのにスルスルと飲めてしまう、一口飲む、水を飲む、また一口飲み、水を飲む!ついついまた飲む!! 
 
 なんちゅうまろやかで飲みやすいスープなんじゃ!?美味いスープ!濃いスープはどんだけ美味くても塩分的に飲めなくなるはずなのに、気かついたら全部のんでしもうた。 
 
 そして水!これがまた美味い事美味い事。 
 
 そして何とも言えない満腹感、他の料理で満腹になると、もう食べ物は嫌って感じになるけど、何故か胸がすっきりとしたふわふわとした感覚に陥る。 
 
 もういや所か、後2~3日はこの家系ラーメンを味わいたいと思ってしまう。 
 
 周りを見れば、みなスープまで飲み干し、ほっと一息ついたかの様な空気が店全体に流れる。 
 
 そしてぞろぞろと一斉に店を出る。 
 
 外で深呼吸して、空を見上げる。 
 
 さっき食べたばかりなのに、もう家系が食いたい!そんな事思いつつも満腹な腹をさする。 
 
 久々の家系ラーメン、以前より強くそして美味く進化していた家系ラーメン、一口食べれば豚の天使が口の中でパレードをするラーメン、そんなラーメンが、こんなにも美味いラーメンが復刻した今日しか食べれない!?そんな事あっていいのか!?犯罪的な美味さなんだぞ!! 
 
 一度食べたら忘れる事の出来ない、強い美味さの中毒性のある極上ラーメン、それがもう食えない!次いつ復刻してくれるかわからない!?こんなのわたくし耐えられませんわ!似て非なる物を食べてもストレスがたまるだけ!八百万でないと駄目なの!どうにかして定期的に家系ラーメンを作ってもらわなければ! 
 
 といいつつも他の復刻メニューの時も顔を出す、ハイエルフの姫なのであった
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