異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

文字の大きさ
123 / 189

超常の存在、神獣

しおりを挟む
 この世界は人類の物か?人類はこの世界の事を知り尽くしているのか? 
 
 そう聞かれると人類は繁栄してはいるが、一部地域につきという言葉を付けるのが正しいだろう。 
 
 魔物だけの大陸、魔物だけの国、修羅界がこの世に現れたかの様な弱肉強食の大陸、自然のみが存在する事を許された暗黒大陸や海底都市、空中都市に地下帝国、わたる事の出来ない海や空からの侵入を拒む大地、強力な磁場と重力変動に守られた大陸や毒の世界または忘れ去られ何もない土地や、移動大陸など様々な大地があり、その大陸で覇権を争っている種族達もいれば、すでに大陸を自らの種族のみで制覇している種族なども存在する。 
 
 地球よりも遥かに巨大な惑星。 
 
 人類の生存権はその一部も一部でしかない。 
 
 そしてこの世界でもっとも尊い種族、神獣種、この広い世界の均衡を保つ為に神が作り出した種族であり、彼らは代替わりを続け、永遠にこの世界を守る種族でもある。 
 
 狼のフェンリル、龍のアルビオン、蛇のケツアルコアトル、猿のハヌマン、兎のアルミラージ、狐のクラマ、猫のキャスパリーグ、鳥のガルダ、馬のスレイプニル、牛のアステリオス、鹿のアクリス、獅子のネメア、猪のカリュドーンと他にも様々な神獣が今この時も生まれては死んでを繰り返し、世界を見守ってきた。 
 
 人類にとって邪神との戦争は、自らの生存をかけた戦いだったが、神獣達にとっては預かり知らぬ事、人間同士が戦争でこの星からいなくなっても、邪神によって滅ぼされても、神獣達には関係がない、また神にとって、その世界が邪神によって壊されても、何万何億とある銀河の一つが果物の様に腐ってしまった。 
 
 神獣と言う抑止力を置いたが、うまくさどうしなかったか?じゃあこの世界はもう一度リセットして初めからやろう程度の感覚でしかない。 
 
 神獣達は神に遣わされたと同時に、自分達で自由に生きてもまたいいのである。 
 
 自らの血を分けた血族で大地を支配しようとも、世界のどこかに隠れ輪廻を繰り返しても、人間に力を貸すも、邪神に力を貸すも、自由にしていいのである。 
 
 そんな超イレギュラーな存在が、神獣種なのである。 
 
 神獣は記憶を引き継ぐが、前の自分を自分とは思わず、物語の一つとして記憶している。 
 
 だから前の自分は、自分であって自分ではないので、輪廻を繰り返しているという感覚がほとんどない、毎回毎回新鮮な性を実感しているので、その代によって信念も心の変化も違うので、悪に染まる事もあれば、正しく生きようとする事もある、だがよっぽどの事がない限り世界を滅ぼそうなどとする存在にはならないし、そう作られている。 
 
 神が何の為にこの世界に神獣を作ったのか?それがわからない、後任の女神も対邪神や世界の均衡を保つ為に作った存在じゃないのなら?何故この世界の創始者の神は神獣を作ったのか?もう今最初にこの世界を見守っていた神はいなくなり、後任の女神が観察しているが、神獣達の存在理由は、そんな女神でも知らないのであった。 
 
 そんなこの世界を超越した、超存在として居続ける、神獣達、彼らは彼らで心の何処かにほしい物があった。 
 
 -???- 
 
 そう、懐かしい、とても懐かしい香りがした。 
 
 だから私はまだ生まれたばかりの体で、過酷な大地を駆け抜けここまできた。 
 
 私が、私であるずっとずっとずう~と前から、ほしくてほしくて、羨ましくて羨ましくてたまらなかったもの、それがそうもう目の前に。 
 
 「ああ、やっぱりにーにー声が聞こえるとおもったら、子猫だ」 
 
 子龍を肩に乗せた男、人間の男が私の近くにきて、私の事をその両の手で包みこんだ。 
 
 「お前の親はいなくなっちゃったのか?連れてってもいいもんなのかなぁ?親が探してたり、ここら辺が活動範囲でほおっておいてるのかな?動物用のミルクあったかな?」 
 
 暖かい手で優しく優しく、私を大切なもの、宝ものの様に慎重にあつかってくれる。 
 
 「みるく飲むかな?てか差し入れにまざってたけど、こっちの世界のかな?日本産っぽくないし、アリス大丈夫だと思う?」 
 
 「くぁ~!!!」 
 
 「なんでお前ちょっと怒ってんの?お前の弟か妹になるかもしれんのだぞ。どっちだ?妹っぽいな」 
 
 「くわぁぁぁぁ!くわわわ!」 
 
 「叩くな!髪もひっぱるなよぉ~、おぉ飲んでる飲んでる、かわゆいのぅ~」 
 
 私は見た目は子猫だが、なんでも飲めるし食べれるのだが、差し出されるがまま哺乳瓶でミルクを飲む、美味しい。 
 
 懐かしい匂い、父母の香、主様の温もり、そう私がほしかったもの。 
 
 愛されたかった。 
 
 ただそばに共にいて、一緒に寝て、食べて、笑い、怒り、安らぎ、そこにいるだけでよかったもの。 
 
 もう離れない、今度はなくさない、私がしっかり守ってあげるのだ。 
 
 主様と共に一緒にいるのだ。 
 
 今度こそずっと一緒に。 
 
 種として命の長さが違くとも、何度生まれ変わりの度にすれ違ったとしても、遠いいつかに必ず交わる時がくる。 
 
 また一緒に過ごせる時が来たのだ。 
 
 だからまた今回の生が終わるまで、また主の側に、温もりを。
しおりを挟む
感想 145

あなたにおすすめの小説

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。 絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」! 畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。 はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。 これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

処理中です...