異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

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焼肉(内臓)の日

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 今日は焼肉定食の日、焼肉定食を一見うたっているが実は昼の部で内臓を焼いて食べてもらおうと考えている日である。 
 
 あらかじめ今日は内臓料理の日といっているが、八百万の前の列はいつもよりは格段に客足が少なく、怖いもの見たさで並んだ連中の群れが出来上がっていた。 
 
 夜の部の連中は平然と並ぶ中、PT赤いアギトの連中は度胸試しに八百万の列に並んでいた。 
 
 八百万?いつもだったら並ばない、人が多すぎるからだ。 
 
 いくら回転が速いとはいえ、八百万は列が多すぎる、いつもだったらそこ等へんでみんなで済ます食事だが、今日は列が少ないのが目立って、怖いもの見たさでふらふらと全員で並んでみると、なんと話声が聞こえてくれば、今日は魔物の内臓の日らしい。 
 
 それを聞いて列を離れるか考えるが、みんなちょっと興味があるみたいなそぶりを見せ、折角の人気店だと言う事で、このまま並ぶことに。 
 
 内臓・・・・内臓を食わす?この肉のあまる時代に?魚なんかも内蔵はとっぱらうだろ?本当に内臓なんて食えるのか?獣のえさになるくらいじゃないのか? 
 
 いろんな疑問がぐるぐる頭を回る。 
 
 怖がる間もなく自分たちの番が訪れた。 
 
 目の前の小さな女の子に説明される。 
 
 「今日は焼肉の日!といっても魔物の内臓を鉄板で焼いてタレにつけて食べるの!生で食べる刺身なんかもでるけど、ここで注意を一つ!新鮮んでさらに浄化に解毒の魔法が使われてるからうちの内臓は美味しく、生でも食べれるの、他所のお店で生でだされても食べない事を進めるよ!生で食べれるのは家!八百万だけ!!それだけはしっかり覚えてね!それではどうぞ~」 
 
 そう説明されて店に入る。 
 
 「内臓の盛り合わせ、ハツ刺し、センマイ刺し、レバ刺しにユッケ、こっちが焼きの丸ちょう、しまちょう、ハラミにシビレ、ミノ、コブクロ、タン!タンからたべるのをすすめるよ!」 
 
 人数分、山のように盛り合わせ出てきた見たことのない肉の数々、匂いは今のところ全然臭くない。 
 
 「とりあえずタンからっていってたな、タンってどこの部位だ?」 
 
 「馬鹿!タンはこれだよこれ!舌だ!舌!」 
 
 「舌!舌にはみえねぇけど、ちょっときもいな、ほんとにうまいんだろうか?」 
 
 「なんにせよ見た目は肉だ、焼いてくってみる???か?」 
 
 「「おおう」」 
 
 各自でタンを焼き始める。 
 
 じゅわじゅわといい匂いが漂ってくる、頃合いをみて拾い上げて思い切って食ってみると、繊維が縦に割かれるかの様に、サクサクとしおおよそ肉にしては初めての食感に驚く。 
 
 「おい!こいつはうめぇぞ!」 
 
 「ああ!こりゃ馬鹿にできねぇ!」 
 
 「舌ってこんなに美味いのか!とろけるみてぇだ!おい!どんどん焼け!米と一緒でもうめぇぞ!」 
 
 こりこりのコブクロ、歯ごたえのあるミノ!ハラミは普通に肉の見た目だ! 
 
 シビレ、この白いかたまりを焦げ目がつくまで焼くとまた美味い!脂が甘く、ぷるぷるとろとろで米がほしくなる!!! 
 
 「おい!これ!刺し!これも美味い!レバーがサクサクしていい食感だ!焼くとパサつくけど、生なら食えちまうよこれ!」 
 
 「よくレバーは体にいいなんていわれるが、俺も苦手だったんだ。でも生なら食えるぞ!なんでこんな違うんだ!」 
 
 「センマイもハツ刺しもこりこりしていい!こりゃ酒が進むわけだ!なんだよ怖がってたのがバカみたいじゃないか!おれはこれからは夜の部にも通うぞ!」 
 
 「俺もだ!一見内臓の夜の部って入りずらかったが、こりゃ常連たちに隠されてんな!かぁ米もうめぇが、酒が飲みてぇ!!!」 
 
 「わはははっはあは、笑えるくらい美味い!なんだ俺たち知らねぇって事はこんなにも愚かな事なんだなぁ!でも知っちまったら喜びだ!みろ!俺たち以外のテーブルもあっちこっちからうめぇうめぇって声と、あのおっかなびっくりの顔!こりゃダンナにやられたな!夜の部これから繁盛するぞ!」 
 
 「魚だってそうだもんな!いつの間にか生で食えるようになった。もちろん八百万でだけだけどな!生で食いたきゃ八百万にこいってか!こりゃいいや!」 
 
 「しまちょうもうまいけど、この丸ちょうがすげぇうめぇ!」 
 
 「外皮がパイ生地みたいにサクサクのぱりぱりなのに中には脂が溢れてやがる!これにタレ、醤油タレでも味噌タレでもあう!美味い!」 
 
 どこのテーブルも大騒ぎ、内臓がこんなに美味いなんて知らなかったの驚愕の声で埋め尽くされる。 
 
 「内臓も美味いけど、やっぱ米!米と一緒じゃなきゃ!あぐあぐあぐ!」 
 
 「この固めに炊かれた米ののど越しがなんとも!」 
 
 「味の濃いのに米が合う!」 
 
 煙でもうもうとしている店、窓は全開で並んでる客にも影響がでてきた。 
 
 匂いと煙にやられて、内臓だと知ってても並ぶ客が増えてきた。 
 
 店内は美味い美味いの大合唱状態である。 
 
 「焼け!焼け!どんどん焼け!いままで食えなかった分今から食うんだ!嬢ちゃん!こっち盛り合わせと、米大もりみっつ頼む!」 
 
 「あいさー!追加料金に銀貨一枚だよ!毎度!」 
 
 「内臓と言え、銀貨一枚でこの量かよ。安さで他の店かてねぇだろ。八百万」 
 
 「その分夜の部のお酒は高いよ。いい酒ばっかりだからね」 
 
 「聞いたか、いい酒もそろってるってよ」 
 
 「くはぁ~こりゃいままで列みて避けてたのバカみたいだな!こりゃ並んででも食いたくなるわ!!!」 
 
 「夜の楽しみも増えたな、こりゃ今日あたり混みそうだ」 
 
 新たな客の開拓に一歩進んだ八百万であった。
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