飛翔英雄伝《三國志異聞奇譚》〜蒼天に誓う絆〜

銀星 慧

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第一章 降龍の谷と盗賊王

第十二話 砦の住人

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「普段、男の人たちは、皆さん砦の外で働いているので、此処では男手おとこでが足りなくて…とても助かります…!」

明明めいめいが袖を捲った着物姿で、額の汗を拭いながら笑顔を向ける。
孟徳は、柄の長い刷子さっしで風呂場の床を擦りながら溜息を漏らした。
「だからって…こき使いやがって…!」

風呂場は、岩肌をそのままくり抜いた様な、大雑把な造りで、大人数でも入れる様な広さがある。
そこを掃除するのは、確かに大変な作業だった。
「仕方がありません。此処にいる間は、僕たちは居候ですから…」
虎淵は苦笑しながら、床に膝を突いて、同じように刷子を手に、床を磨いている。

孟徳は柄の先端に手を添え、その上に顎を乗せると、片手で腰を叩いた。
「ああ、腰が痛ぇ…!」
そう言って、背中を反らせると、不意に呟いた。

「…玉白の奴、待ってるだろうな…」

「孟徳様、玉白殿の事が心配ですか?」
その呟きに、目敏めざとく反応した虎淵が、意味深に問い掛けた。

「別に…ただ、ちょっとそう思っただけだ…!」
孟徳は、再び刷子の柄を取ると、虎淵から目を逸らす様に答えた。
虎淵は目を細め、再び床を磨きながら言った。

「玉白殿の事は、宿の主人に頼みましたから、大丈夫ですよ。あのご主人、ぶっきら棒な方ですが、ああ見えて案外信頼出来そうな人物でした。」
「…………」
孟徳は応えず、黙々として床を擦った。

「精が出るな…!」

不意に、師亜が現れ、入り口に立った。
「俺は少し、出掛けて来るよ。もうすぐ弟たちが戻るだろう、砦の事は、弟たちに任せてくれ。」
「はい!お気を付けて…!」
明明が元気な声で答えると、師亜は微笑を返し、さっと衣を翻すと、その場を後にした。

「あいつ、何処へ行くんだ…?」
去って行く師亜の後ろ姿を見送りながら、孟徳が疑問を投げ掛けた。

「きっと、新しい予言です…」
「予言…?!」
明明の言葉に、孟徳は眉間に皺を寄せる。

「師亜様は、特別な祈祷きとうで、未来を予言する事が出来るんです。」
明明は、屈託くったくの無い笑顔でそう言った。

「うーわ…!胡散臭うさんくさっ!!」
何とも形容し難い目付きで、孟徳は明明を見た。

「俺は、そういうのを信じないたちなんだ…!」
「ふふ…っ」
明明は、ただ笑って返しただけであった。

「"弟たち"と言っていたな…」

「はい、師亜様には、お二人の弟がいらっしゃいます。きっと、もうすぐお戻りになりますよ。」
そう言いながら、明明は水の入った桶を手に、再び仕事に戻った。


やがて仕事を終えた彼らが、風呂場から出ると、砦の入り口辺りが騒がしい。
どうやら、出掛けていた者たちが帰って来たらしく、女子供たちが出迎えている様子だった。

「やあ、明明。兄者あにじゃは居るか?」
長い黒髪の長身の男が、寄って来る童子を抱え上げながら、明明に問い掛けた。
「お出掛けになりました。砦の事を頼むと、おっしゃっていましたよ。」
「…兄者は、また一人で偵察か…」
男はまだ若そうだが、立派な顎髭を持っている。
彼はその顎髭を撫でながら苦笑した。

その後ろから、こちらも長身で、がたいの良い男が入って来る。
彼は更に若く、髭も生やしていない。まだ幼さを漂わせる少年の様であった。

「あれが、師亜の弟たちか…」
孟徳と虎淵は、彼らを遠巻きに見ている。
砦の中に、一体どれ程の人々が住んでいるのかは分からないが、ざっと数百人規模は居ると見える。
砦は谷に囲まれ、自然の要害を利用して造られている為、どれぐらいの広さなのか、その全貌も明らかでは無い。

童子たちがはしゃいで、彼らに懐いている様子を見ると、孟徳は鼻白んだ。

「あんな盗賊なんかの、どこがいいんだか…!」
「でも、あんなに楽しそうにしている子供たちを見るのは、久しぶりですね…」
虎淵が、しんみりとした口調で言った。

「お!兄者が連れて来た小僧ってのは、お前たちか…!」
年若い方の男が、二人に目を留めて言った。
男は二人に近付くと、腰にぶら下げた袋を探り、中から動物の形を模した、焼き菓子の様な物を取り出した。
「どうだ、可愛いだろ?どれが欲しい?」
男は人懐こい笑顔で、二人に差し出す。

「へえ、大した物ですね…!」
虎淵はそれを見て、驚きの声を上げた。
孟徳も、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにむっとして、差し出した男の手を押し返した。

「俺たちは子供では無い…!」
「お前みたいな"ちびすけ"が、子供じゃないって…?!」
男は愉快そうに、豪快な笑声を放った。

「俺は"ちびすけ"では無い!孟徳…曹孟徳…だ!!」

孟徳は怒って、男を睨む。
男は構わず、孟徳の顔をまじまじと見た後、にっかりと白い歯を見せて笑った。

「孟徳…中々良い名ではないか…!俺の名は、翼徳よくとく張翼徳ちょうよくとくだ!」 

そう言ってから、男は後ろを振り返り、
「で、あそこに居るのが、兄貴の関雲長かんうんちょう。」
黒髪の長身の男を指差した。

「…じゃあ、師亜の本当の名は…?」
孟徳の問い掛けに翼徳は向き直り、再び笑顔を見せる。

「兄者は、玄徳げんとくだ!劉玄徳りゅうげんとく…!!」

それを聞いた孟徳は、驚きを隠せない表情で呟いた。

劉姓りゅうせい…だと…?!」


雨はいつの間にか上がっていたが、道はまだ泥濘むかるんでいた。
泥を跳ね上げながら、男は急ぎ足で、辺りを警戒しながら歩いている。
やがて、街外れにある、傾きかけた古い空き家へ入って行った。

「やっと現れたか…例の物は、持って来ただろうな…?!」

趙泌ちょうひつは、室内にたたずむ玉白に向かって言った。
玉白はこっくりとうなずき、懐から書簡を取り出した。
趙泌は素早く、その書簡を玉白の手から奪い取ると、くくった紐を解いて、中を確認した。

「…よしよし、良くやった…!これで将軍から報酬が貰えるぞ…!」
そう言いながら、趙泌は書簡を自分の懐へ収め、玉白を見た。
火傷やけどの具合はどうだ?ひでえ事して、悪かったな…だが、わしにはお前ぇしか居ねえんだ…!解るだろう?」
趙泌はそう言うと、玉白の頭を優しい手つきで撫でた。
玉白は俯いたまま、じっと床を見詰めている。

「…お前は、相変わらずだな…!」

突然、何処からともなく男の声が聞こえ、二人は驚いた。
いつからそこに居たのか、部屋の隅の暗がりから、男が現れた。

「師亜の旦那…!!驚かさねぇでくれよ!」
趙泌はほっと胸を撫で下ろした。

「しかし…何でこんな所に…?!」
「お前がそろそろ現れる、きざしがあったのでな…」
師亜は、意味深に含み笑いをする。
初めて見る男の姿に、玉白は戸惑った。
師亜は、ちらりと玉白を横目で見下ろしたが、直ぐに趙泌の方を向いた。

「この娘が、お前の新しい"相棒"という訳か…」
それから、再び玉白に視線を落とすと、膝に手を突き、少しかがんで玉白の瞳を覗き込むようにして言った。

「この男は、信用出来ぬ。あまり長く付き合わぬ方が良いぞ…いつでも、俺の所へ来るが良い。」

男は先程までの冷たい目付きとは違い、目元に柔らかな微笑を浮かべる
男の優しげな眼差しに、玉白は思わず頬を赤らめ、顔を伏せた。

「旦那ぁ…!人聞きの悪い事を、言わねぇでくだせぇ…!!」
趙泌は慌てて両手を広げ、玉白と師亜の前を遮った。

「旦那に、取って置きの情報があるってのに…」
「新しい暗殺者か…?」
「何だ…!知ってたんですかい…!?」
趙泌は、少し落胆した。

師亜はふっと笑い、小男の趙泌を見下ろした。
「どんな奴だ?」
「新しく、呂興将軍の配下になった奴でさあ。奴隷商人の熊みてぇなかしらを、知ってやすかい?その頭をたおしたのが、そいつだって話しですぜ!」

「ほう…あの人買ひとかいの熊を斃したのか…中々の手練てだれではないか、面白い…!!」
師亜はそう言って口角を上げたが、その目は笑っていない。

師亜は、長い衣を翻して出口へ向かった。
そこで立ち止まると、一度振り返った。

「このまちから、早く去った方が良い。命の保障は出来ぬぞ…」

そう言い残すと、素早く夜の闇へ姿を消した。


明かりの無い暗い夜道を、奉先は一人、兵舎へ向かって歩いていた。
坂の途中で後ろを振り返ると、城邑の中心街の辺りに、たくさんの明かりが燈っているのが見えた。
その遥か向こうに、"降龍の谷"と呼ばれる、師亜の砦があるという山岳地帯が広がっている。

剣聖師亜…お前を斃さねば…!

奉先は深く息を吸い、その山々を遠望した。

やがて向き直り、闇に続く道を進むと、道の端に何やら白い物がうずくまっているのが見えた。
目を懲らすと、それは一匹の小さな子猫であった。

「どうした、迷子か?お前の飼い主は何処へ行った…?」

子猫は、弱々しい鳴き声を上げるだけで、動こうとしない。
「腹が減っているのだな…」
奉先は子猫をそっと抱き上げ、自分の懐へ入れた。

夜風はまだ冷たく頬を刺したが、子猫の温もりが、彼の身体を温めてくれる。
奉先は、忘れかけていた心地好さを感じていた。



せん…大きくなっても、ずっと一緒だよね?」

「はい、ずっと一緒です。」
「いなくなったりしない?」
「しませんよ…!」

 奉先は笑って、幼い麗蘭れいらんの手を引き、夕暮れの道を歩いていた。

「麗蘭様が大きくなって、立派な主君になれば、配下として一生お助けします!」
「絶対…約束する?」
「約束します!」
「もし、約束破ったら?」

奉先は、今度は苦笑し、麗蘭を振り返った。
麗蘭は、大きな黒い瞳をきらきらと輝かせながら、奉先を見上げている。

「どんな事があっても、約束は絶対に守ります!」

そう言って、奉先は腰を落とすと、麗蘭を背中に背負った。

麗蘭の小さな手が、奉先の肩に掴まり、背中に温もりが伝わった。
大きな赤い夕日を眺めると、胸に激しく懐かしさが込み上げる。



ふと奉先は、目を覚ました。
奉先が寝ていた場所は、兵舎の一室だった。広い室内には、何人もの仲間が、とこを並べて一緒に寝ている。

気付くと、肩に何者かの腕が絡み付いている。
奉先はぎょっとし、慌てて体を起こした。見ると、とこに陵牙が入り込んでいる。

「おい…!陵牙!俺の寝床で何やってんだ?!」
奉先は、陵牙の肩を激しく揺すって起こした。

「う、うん…?俺の寝床、扉の前だから…寒くて眠れねえんだよ…!」
陵牙は眠そうに目を擦りながら、起き上がる。
指差す方を見ると、成る程、隙間風で扉が鳴っている。

「…つー訳だから、お休みー…」
「ちょ、待て…!おい!」
 陵牙は再び、奉先の寝床に横になる。
「うるさいぞ…!!」
同じ部屋で寝ている仲間の誰かが叫んだ。
「…ったく…!」
奉先は溜め息をつくと、仕方なくその部屋を出た。
廊下へ出ると、足元に付いて来た子猫が、小さな鳴き声を上げながら体を擦り寄せて来た。

「お前も眠れないのか…?」

そう言って、子猫を抱き上げ懐へ入れる。
その時、遠くに馬のいななきが聞こえた。


「おい!起きろ!」
奉先は、馬当番の男に馬鍬まぐわの柄で叩かれ、目を覚ました。
昨夜、子猫を連れて厩舎へやって来た奉先は、まぐさに潜り込み、いつの間にかそのまま眠ってしまったらしい。
馬当番に追い立てられ、わらまみれたまま外へ追い出された。

「こんな所で、何をしている…?」

そこへ、呂興将軍が配下を従えて現れた。
数人の配下が、うまやから黒竜こくりゅうを引き出している最中であった。
藁塗わらまみれになっている奉先を、将軍はいぶかし気な顔で見ている。

昨夜ゆうべは寒くて、その…寝床を、同僚に奪われて…」
思わず、しどろもどろになって説明をする。
将軍は奉先に近付くと、頭に付いた藁を指で摘んで取った。
それを見て、奉先は慌てて体中の藁を手ではたき落とした。

将軍は、ふんっと鼻で笑い、
「調度良い、お前を呼びに行かせる所であった。」
そう言って、配下の一人に指示し、厩からもう一頭引き出させ、その馬を奉先に与えた。
将軍は黒竜にまたがると、奉先を振り返った。
「わしに付いて来い…!」


朝の空気はまだ少し湿って、ひんやりと冷たかったが、風は心地好い。
将軍と奉先は馬を並べて、屋敷が建ち並ぶ街道を歩いた。
奉先の懐から、子猫がひょっこりと顔を出し、大きな欠伸あくびをする。
将軍が向かった先は、暁塊が宿泊している屋敷だった。

「こいつが、師亜をたおすと申すか?まだ子供ではないか…!」

広間に数人の配下を従えて現れた暁塊は、眉間に深い皺を寄せ、訝しそうに奉先を見ている。

「だが、腕は確かだ。」
将軍は澄ました表情で答えた。
「まあ良い…とにかく、あの小僧に一泡吹かせてやらねば、腹の虫が治まらぬ…!必ず師亜を討ち果たして参れ!」
暁塊は、口角から泡を飛ばしながら、奉先に怒鳴った。

暁塊の屋敷を出ると、二人は再び元来た道を引き返した。
前を行く、馬上の将軍の後ろ姿を、奉先は黙って見詰めていた。
将軍の乗る黒竜は、見た事も無いような素晴らしい毛並みをした名馬だ。
奉先に与えられた馬も、黒竜には及ばないとは言え、立派な馬である。

「何を考えている?」

突然、将軍が振り返った。
「別に…何も…」
「言いたい事が有るのなら、言え。構わぬぞ…」
「将軍は素晴らしい馬を持ち、財力も権力も持っておられる…何故、曹家の財産など…?」
かねは幾らあっても、困らぬであろう…」
将軍は薄笑いを返した。

「わしが金を持っていると…?違うな、金はあの暁塊の様な人間の懐へ入るのだ…地位や名誉は、金で手に入れる物だ。その為に、金が必要なのであって、わしが金を欲しがっているのでは無い…」
将軍は馬を進めながら、独り言の様に言った。

そういうものなのか…?
奉先には、理解しがたい事だった。
世の中金が全てでは無い…とまでは言わないが、必要なだけあればそれで良い。

必要以上に金を欲する人間というのは、何処までも欲が尽きる事は無いのか…
金の為なら、人の命までも奪う…人の命は金より軽い物なのか…

奉先の表情は曇っていた。

「金さえあれば、何でも手に入れる事が出来るのだ…お前にも、その内解るだろう…」

そう言って将軍は、自らの腰にいた一振りの剣を、奉先の前に差し出した。
その剣には、見事な彫刻が施され、正に宝剣であった。

将軍が振り向いた時、辺りを強い風が吹き抜け、将軍の長い髪が風になびいた。
奉先は何も答えず、ただ将軍の鋭い目を見詰め返し、その剣を手に取った。

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