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キミの幻影
12-14
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何故、そう見えたのかは分からない。
夏樹の場合は、今の冬樹のように淋し気ではなく、目をキラキラさせてそれを眺めていたのだから…。
夏樹はその絵が大好きだった。
それは、光輝く水面が印象的な、イルカや鮮やかな魚たちが泳ぐ海中の絵だった。
この家に遊びに来る度に、よくこの絵の前に立ち止まって眺めている夏樹を見掛けた。
『なんでいつもこれを見てるの…?』
夏樹に聞いたことがある。
すると、夏樹は目を輝かせて語るのだ。
『なつき、この絵…だいすきなんだっ。いつか、大きくなったら…こんなキレイな海にもぐってみたいなー』
『へえーっ。じゃあボクが大きくなったら、きっと、なつきをこんな場所へつれて行ってあげるよっ』
『ほんとっ?』
『うんっ』
『じゃあ、まさやっ。や・く・そ・く・だよっ』
そう言って、こちらを振り返った夏樹の笑顔が眩しくて…。それがずっと忘れられなかった。
それから、よく夏樹がその絵の前にいると、自分も横に並んで眺めて見たりしていた。
そうしていれば…少しでも夏樹と気持ちが共有出来るような気がしたから…。
「…あ、雅耶…」
こちらに気付いた冬樹が振り向いた。
その表情は、もう普段通りの冬樹だった。
「向こうは全部戸締り済んだよ」
「あ、サンキュ…。あとはこの部屋の雨戸を閉めるだけだな」
そう言うと、冬樹は窓の方へと歩いて行く。
それを横目で確認しながらも、雅耶は絵の前に立ち止まってそれを眺めていた。
「この絵さー、昔夏樹が好きでよく見てたよな…。俺さ、夏樹と約束したんだ。いつか、こういう海に連れてってやるって…」
そこまで口に出してしまってから気が付いた。
(――俺は馬鹿かっ!さっき、昔の話は禁句だって自分で反省してたばっかりじゃないかっ)
また、冬樹のテンションが下がってしまう…そう思いながらも、恐る恐る振り返ると。
窓際で、驚いたように振り返ってる冬樹がいた。
冬樹は俺と目が合うと、バツが悪そうに目を背けて雨戸を閉めに掛かった。
「…でもさ…、夏樹は…」
「えっ?」
こちらに背を向けたまま、冬樹が呟いた。
「夏樹はもう…海は好きじゃないかも知れないよ?」
「…え?…何でだよ?」
突然そんなことを口にする冬樹に聞き返すと、冬樹は振り返って言った。
「海はさ…綺麗なだけじゃない…。その怖さを知ってしまったから…かな…」
そう言って、冬樹があまりにも儚げに笑うので、俺はそれ以上何も言えなかった。
夏樹の場合は、今の冬樹のように淋し気ではなく、目をキラキラさせてそれを眺めていたのだから…。
夏樹はその絵が大好きだった。
それは、光輝く水面が印象的な、イルカや鮮やかな魚たちが泳ぐ海中の絵だった。
この家に遊びに来る度に、よくこの絵の前に立ち止まって眺めている夏樹を見掛けた。
『なんでいつもこれを見てるの…?』
夏樹に聞いたことがある。
すると、夏樹は目を輝かせて語るのだ。
『なつき、この絵…だいすきなんだっ。いつか、大きくなったら…こんなキレイな海にもぐってみたいなー』
『へえーっ。じゃあボクが大きくなったら、きっと、なつきをこんな場所へつれて行ってあげるよっ』
『ほんとっ?』
『うんっ』
『じゃあ、まさやっ。や・く・そ・く・だよっ』
そう言って、こちらを振り返った夏樹の笑顔が眩しくて…。それがずっと忘れられなかった。
それから、よく夏樹がその絵の前にいると、自分も横に並んで眺めて見たりしていた。
そうしていれば…少しでも夏樹と気持ちが共有出来るような気がしたから…。
「…あ、雅耶…」
こちらに気付いた冬樹が振り向いた。
その表情は、もう普段通りの冬樹だった。
「向こうは全部戸締り済んだよ」
「あ、サンキュ…。あとはこの部屋の雨戸を閉めるだけだな」
そう言うと、冬樹は窓の方へと歩いて行く。
それを横目で確認しながらも、雅耶は絵の前に立ち止まってそれを眺めていた。
「この絵さー、昔夏樹が好きでよく見てたよな…。俺さ、夏樹と約束したんだ。いつか、こういう海に連れてってやるって…」
そこまで口に出してしまってから気が付いた。
(――俺は馬鹿かっ!さっき、昔の話は禁句だって自分で反省してたばっかりじゃないかっ)
また、冬樹のテンションが下がってしまう…そう思いながらも、恐る恐る振り返ると。
窓際で、驚いたように振り返ってる冬樹がいた。
冬樹は俺と目が合うと、バツが悪そうに目を背けて雨戸を閉めに掛かった。
「…でもさ…、夏樹は…」
「えっ?」
こちらに背を向けたまま、冬樹が呟いた。
「夏樹はもう…海は好きじゃないかも知れないよ?」
「…え?…何でだよ?」
突然そんなことを口にする冬樹に聞き返すと、冬樹は振り返って言った。
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