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第10話 夢は脚本家?
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「それでは、私はこの辺りから刈っていきますね」
庭に出ると、メイド見習いのテレサは草刈鎌を使い、丁寧に草を刈り取っていく。何とも平和でほっこりする光景である。
「では、私はこの辺りから刈っていくとしよう」
「おおぉっ!!」
レーヴェンはサーベルを抜き、まばゆい速さで雑草を切り刻んだ。レーヴェンの前方に広がっていた草が、眨間のうちに消え去り、見事に大地が広がっていった。
「俺も負けてはいられないな」
風魔法を使い、レーヴェンが刈り取ったばかりの草で、俺は宙に魔法陣を描いた。
「――来い、ゴーレム!」
「なっ、なんだそのデタラメな数のゴーレムはっ!?」
「ランス様、凄すぎます!」
複数のゴーレムを同時に召喚するのは非常に難しいことで、通常の魔導師なら5、6体が限度だ。その主な理由は魔力量にある。
しかし、俺の魔力総量は膨大だ。
魔力は肉体ではなく魂に根源があり、魔力をエナジーソウルと表現する地域も存在する。死に戻りしても、肉体の成長はリセットされるが、魂の濃度と経験値だけは蓄積し続けている。そのため、俺の魔力総量は膨大だ。
長寿で知られるエルフ族が、人族に比べて魔法の扱いに長けているのも、この事実と深く関係している。さらに言えば、数千年生きるドラゴンの魔力量は桁違い。それが世界中でドラゴンが恐れられる理由の一つでもある。
ゴーレム百体同時召喚に、さすがのレーヴェンも驚きに目を見開いている。
よしよし、しっかり見ているな。絶好のアピールタイムだ。
「刈り尽くせ!」
俺はゴーレムたちに敷地内の草刈りを命じた。自動による草刈りだ。
「ゴーレム百体召喚だと!? 帝国の宮廷魔導師ですら、このような馬鹿げた数は不可能だ!」
「すごいか?」
「凄すぎだ! 一体何をどうすれば、このような芸当が可能となるのだ!」
子供のように目を輝かせるレーヴェンを見て、俺も嬉しさがこみ上げてきた。
くぅ~~~っ、第一印象は成功のようだ。思わず蒼天に向かって拳を掲げてしまった。
「ランスのお陰であっという間に刈り尽くしてしまったな」
「私一人だと、数日は掛かっていました。ランス様にはどのようにお礼を申し上げればよいのでしょうか」
「そんな、このくらい大したことないよ。ついでだし、あそこの門も直しておくね」
「直せるのか?」
「もちろん!」
レーヴェンの笑顔が見たくて、俺は調子に乗って錬金術で次々に壊れた門や噴水を修復した。時折、屋敷の二階の窓からメイド長のロレッタがこちらを覗き込んでいた。彼女の視線に気付き、彼女の方を見ると、ロレッタは急いでその場を離れた。まるで何か疚しいことがあるかのように。
「……?」
「どうかしたか?」
「いや、何でもないよ」
考えても仕方がないので、俺は気にしないことに決めた。
「それにしても立派な像ですね。とても素敵です」
「しかし、なぜ私なのだ?」
「え、あっ、そ、それは、その……」
困った、どうしよう。
噴水の中央にある天使の像が壊れていたので、新しい像を作成したのだが、その際、うっかりレーヴェンのことを考えてしまい、大天使レーヴェン像を作ってしまった。
「そんなの決まっています。ここが殿下のお屋敷だからです! ですよね? ランス様」
「えっ……と、うん。そうだね」
違うと言いたかったけれど、言うわけにもいかず頷いた。
「どうせなら屋敷も直しておくか」
壊れた屋根や壁の修復もしておこうと考え、俺は再びゴーレムたちを召喚した。
「圧巻の魔力量だな。一体何をどうすればその歳で、そこまで魔道を極められるのだ?」
「そういうレーヴェンだって、相当な魔力量だと思うけど」
力の本質を見極める魔眼を発動させ、レーヴェンの魂を覗いてみる。内側から溢れ出る魔力量は、かなり多いことがわかる。
「たしかに、魔力総量にはそれなりに自信はある。が、私は基本的に魔法が苦手だ。その代わりと言っては何だが、魔力による肉体強化には自信がある」
魔力による肉体強化とは、魂から溢れ出る魔力を一箇所に集めて保持することをいう。イメージしやすく言うと、力を込めた状態だ。
力を込めずに石を投げるよりも、力を込めて投げた方が飛距離が伸びる。複雑な呪文や魔法陣を必要としない肉体強化は、訓練次第で誰でも習得が可能だ。魔力操作ができるようになれば、魔法学を学ばなくても肉体強化が可能になる。
ただし、魔力総量や魔力操作による肉体強化が得意な者とそうでない者では、近接戦闘において大きな差が生じる。レーヴェンが魔力による肉体強化が得意なことは事実なのだろう。だからこそ、彼女は戦場で死神として恐れられたのだ。
「あの時の動きから察するに、ランスは魔力操作も得意なのだろ?」
「うーん……」
はじめて剣帝な師匠に弟子入りした時、彼に言われた言葉を思い出す。
「才能無さすぎ、凡人以下」
と、鼻で笑われたのを覚えている。でも、どんなに苦手なことでも、数百年かけて経験を積めば、ある程度上達することは可能だ。
「残念ながら得意ではないかな。師匠にはきっぱり才能無いって言われたし」
「そうなのか。……試しに私と軽く手合わせしてみないか?」
「!?」
これは待ちに待った告白イベント的な流れなのでは!?
剣を交えながら互いの思いを伝え、レーヴェンが二人の身分の違いに葛藤する、まるで宮廷劇のような展開が予想される。そこから始まる第一皇女殿下と無職な平民による、禁断のラブストーリー。二人の愛は世界中に広まり、いつしか演劇の舞台で不朽の名作として語り継がれるだろう。
――ランス! 貴方はどうしてランスなの。
クライマックスで、俺たちは永遠の愛を誓い、くちづけを交わすんだ。
なんて感動的なラブロマンスなんだ。きっと俺たちの物語は永遠に語り継がれるだろう。
俺は決めたぞ。
今回はレーヴェンと幸せな家庭を築く。そして、舞台の脚本も書いてみせる。
それに、絶対に長生きもする。繰り返すループは今回で終わりだ。
「ダメか?」
「――やろう! 今すぐに語り合おう!」
「語り合う? ……よく分からんが、昨日のランスの身のこなしを見てから、ずっと手合わせしてみたいと思っていたんだ」
「それは素晴らしいことだ!」
このチャンス、必ず掴み取ってやる。
頑張るんだぞ、ランス!
俺は自分自身を鼓舞していた。
庭に出ると、メイド見習いのテレサは草刈鎌を使い、丁寧に草を刈り取っていく。何とも平和でほっこりする光景である。
「では、私はこの辺りから刈っていくとしよう」
「おおぉっ!!」
レーヴェンはサーベルを抜き、まばゆい速さで雑草を切り刻んだ。レーヴェンの前方に広がっていた草が、眨間のうちに消え去り、見事に大地が広がっていった。
「俺も負けてはいられないな」
風魔法を使い、レーヴェンが刈り取ったばかりの草で、俺は宙に魔法陣を描いた。
「――来い、ゴーレム!」
「なっ、なんだそのデタラメな数のゴーレムはっ!?」
「ランス様、凄すぎます!」
複数のゴーレムを同時に召喚するのは非常に難しいことで、通常の魔導師なら5、6体が限度だ。その主な理由は魔力量にある。
しかし、俺の魔力総量は膨大だ。
魔力は肉体ではなく魂に根源があり、魔力をエナジーソウルと表現する地域も存在する。死に戻りしても、肉体の成長はリセットされるが、魂の濃度と経験値だけは蓄積し続けている。そのため、俺の魔力総量は膨大だ。
長寿で知られるエルフ族が、人族に比べて魔法の扱いに長けているのも、この事実と深く関係している。さらに言えば、数千年生きるドラゴンの魔力量は桁違い。それが世界中でドラゴンが恐れられる理由の一つでもある。
ゴーレム百体同時召喚に、さすがのレーヴェンも驚きに目を見開いている。
よしよし、しっかり見ているな。絶好のアピールタイムだ。
「刈り尽くせ!」
俺はゴーレムたちに敷地内の草刈りを命じた。自動による草刈りだ。
「ゴーレム百体召喚だと!? 帝国の宮廷魔導師ですら、このような馬鹿げた数は不可能だ!」
「すごいか?」
「凄すぎだ! 一体何をどうすれば、このような芸当が可能となるのだ!」
子供のように目を輝かせるレーヴェンを見て、俺も嬉しさがこみ上げてきた。
くぅ~~~っ、第一印象は成功のようだ。思わず蒼天に向かって拳を掲げてしまった。
「ランスのお陰であっという間に刈り尽くしてしまったな」
「私一人だと、数日は掛かっていました。ランス様にはどのようにお礼を申し上げればよいのでしょうか」
「そんな、このくらい大したことないよ。ついでだし、あそこの門も直しておくね」
「直せるのか?」
「もちろん!」
レーヴェンの笑顔が見たくて、俺は調子に乗って錬金術で次々に壊れた門や噴水を修復した。時折、屋敷の二階の窓からメイド長のロレッタがこちらを覗き込んでいた。彼女の視線に気付き、彼女の方を見ると、ロレッタは急いでその場を離れた。まるで何か疚しいことがあるかのように。
「……?」
「どうかしたか?」
「いや、何でもないよ」
考えても仕方がないので、俺は気にしないことに決めた。
「それにしても立派な像ですね。とても素敵です」
「しかし、なぜ私なのだ?」
「え、あっ、そ、それは、その……」
困った、どうしよう。
噴水の中央にある天使の像が壊れていたので、新しい像を作成したのだが、その際、うっかりレーヴェンのことを考えてしまい、大天使レーヴェン像を作ってしまった。
「そんなの決まっています。ここが殿下のお屋敷だからです! ですよね? ランス様」
「えっ……と、うん。そうだね」
違うと言いたかったけれど、言うわけにもいかず頷いた。
「どうせなら屋敷も直しておくか」
壊れた屋根や壁の修復もしておこうと考え、俺は再びゴーレムたちを召喚した。
「圧巻の魔力量だな。一体何をどうすればその歳で、そこまで魔道を極められるのだ?」
「そういうレーヴェンだって、相当な魔力量だと思うけど」
力の本質を見極める魔眼を発動させ、レーヴェンの魂を覗いてみる。内側から溢れ出る魔力量は、かなり多いことがわかる。
「たしかに、魔力総量にはそれなりに自信はある。が、私は基本的に魔法が苦手だ。その代わりと言っては何だが、魔力による肉体強化には自信がある」
魔力による肉体強化とは、魂から溢れ出る魔力を一箇所に集めて保持することをいう。イメージしやすく言うと、力を込めた状態だ。
力を込めずに石を投げるよりも、力を込めて投げた方が飛距離が伸びる。複雑な呪文や魔法陣を必要としない肉体強化は、訓練次第で誰でも習得が可能だ。魔力操作ができるようになれば、魔法学を学ばなくても肉体強化が可能になる。
ただし、魔力総量や魔力操作による肉体強化が得意な者とそうでない者では、近接戦闘において大きな差が生じる。レーヴェンが魔力による肉体強化が得意なことは事実なのだろう。だからこそ、彼女は戦場で死神として恐れられたのだ。
「あの時の動きから察するに、ランスは魔力操作も得意なのだろ?」
「うーん……」
はじめて剣帝な師匠に弟子入りした時、彼に言われた言葉を思い出す。
「才能無さすぎ、凡人以下」
と、鼻で笑われたのを覚えている。でも、どんなに苦手なことでも、数百年かけて経験を積めば、ある程度上達することは可能だ。
「残念ながら得意ではないかな。師匠にはきっぱり才能無いって言われたし」
「そうなのか。……試しに私と軽く手合わせしてみないか?」
「!?」
これは待ちに待った告白イベント的な流れなのでは!?
剣を交えながら互いの思いを伝え、レーヴェンが二人の身分の違いに葛藤する、まるで宮廷劇のような展開が予想される。そこから始まる第一皇女殿下と無職な平民による、禁断のラブストーリー。二人の愛は世界中に広まり、いつしか演劇の舞台で不朽の名作として語り継がれるだろう。
――ランス! 貴方はどうしてランスなの。
クライマックスで、俺たちは永遠の愛を誓い、くちづけを交わすんだ。
なんて感動的なラブロマンスなんだ。きっと俺たちの物語は永遠に語り継がれるだろう。
俺は決めたぞ。
今回はレーヴェンと幸せな家庭を築く。そして、舞台の脚本も書いてみせる。
それに、絶対に長生きもする。繰り返すループは今回で終わりだ。
「ダメか?」
「――やろう! 今すぐに語り合おう!」
「語り合う? ……よく分からんが、昨日のランスの身のこなしを見てから、ずっと手合わせしてみたいと思っていたんだ」
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俺は自分自身を鼓舞していた。
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