101回目の人生で、俺が初めて好きになった相手は破滅確定の皇女殿下!?

葉月

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第31話 死の連鎖

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 夜が更けた頃、荷馬車がポセル村から数百メートル離れた場所に停まっていた。周囲には平民に扮した帝国兵の姿があり、その手には剣やライフルが握られていた。

「報告します。村人たちは皆眠っており、村は完全に静まり返っております」

 斥候からの報告を受けた隊長らしき男は、小さくうなずき返していた。

「各員武装して、速やかに村へ移動。暗闇に紛れ、村人たちを速やかに排除せよ」
「「「了解」」」

 兵士たちは低い姿勢を保ちながら、迅速に移動を開始した。ポセル村は瞬く間に帝国兵に囲まれてしまった。物陰に潜む兵たちは互いに合図を送り合い、民家に足を踏み入れていく。

 寝ている村人たちを急襲するつもりのようだ。

「よろしいのですか?」と危機感を覚えたクローが尋ねるが、「問題ない」と俺は答え、素早く窓から室内が確認できる木まで移動した。

 おばさん(村人A)の家に侵入するのは二名。一人はナイフを片手に持った実行者で、もう一人はライフル銃を抱えたサポート役だ。寝室に入ったナイフの男は、掛け布団の上から力強くナイフを振り下ろした。

 ――グサッ!

 躊躇せずにナイフを振り下ろした男は、自分が今刺した相手の顔を確認しようと掛け布団に手を伸ばす。

 ――転瞬。

「ぐぅッ……!?」

 男は、自分が殺したと思っていた相手に首を掴まれた。

 驚きと恐怖に目を剥いた男が再びナイフを振り下ろすも、男の首を掴んだその手が離れることはなく、

「――――っ!?」

 手足を放り出し、蒼白い顔でもがき苦しむ男の体が、ベッド脇に置かれていた花瓶に触れた。

 ガシャンッ!

 けたたましい音が静寂を切り裂き、サポート役の男が慌てて寝室に駆け込んできた。

「なっ、なんだこりゃ!?」
「だ……すぅ、けっ―――」

 ――ゴキッ。

 サポート役の男は、実行役の男がゴーレムに首をへし折られる瞬間を目撃してしまった。

「くッ、くそっ!?」

 男は抱えていた銃を構え、ゴーレムに向かって引き金を引いた。轟音とともに火花が飛び散り、一瞬室内が明るくなる。撃ち出された弾丸は土の体躯を貫いたが、ゴーレムが動きを止めることはない。

「く、来るなァッ!?」

 ゴーレムに痛覚はない。核を破壊されない限り、ゴーレムが活動を止めることはない。迫りくるゴーレムに向かって、立て続けに銃弾が撃ち込まれる。

「た、弾っ」

 帝国式ライフル銃は最大で二発まで装填可能だ。三発目を撃ちたい場合は、新たな弾を装填しなければならないのだが、焦ってしまえばうまく弾倉に装填できない。

「あっ、あああああああああああああああああああああああああ――――」

 男がゴーレムに掴まれ、その体が不気味な音を立てた。口、鼻、耳、そしてその他の箇所から血が噴き出し、折れた骨が内臓に突き刺さった。男はゴーレムに抱きしめられる形で息絶えていた。

 直後、乾いた銃声とともに村のあちこちから一弾指、強烈な光が放たれた。同時に、耳をつんざくような悲鳴の数々が響き渡り、ポセル村は一瞬にして地獄絵図となった。

「さすが主、村の至る所にゴーレムを配置していたのですね」
「攻めてくることが分かっていれば、この程度問題ない。待ち伏せほど有利なものはないからな」
「しかし、この村の住人はどこへ行ったのでしょうか?」

 クローが当然の疑問を口にした。

「彼らなら、俺が用意した地下シェルターに避難済みだ」

 俺がポセル村の人々に懇願したことは一つ。その時が来たら、俺が用意した避難場所に避難してほしいということだ。そんなことならと、ポセル村の人々は快く避難してくれた。

「なるほど、そういうことでしたか」

 納得した様子のクローだったが、まだ気になる点があるらしい。

「どうかしたか?」

 家屋から飛び出してくる帝国兵たちは恐怖に顔をゆがめていた。そんな彼らを逃しはしないと、ゴーレムたちも家屋から飛び出してくる。

「うわああああああああああああああああああああああああああああああ」

 捕まえては容赦なく命を奪うゴーレムたちは、もはや殺戮兵器である。

 クローはその光景を不思議そうに見つめていた。

自動オート操作ですね」
魔動マニュアルは面倒だからな」
「ですが、ゴーレムたちは帝国兵だけを正確に殺しまわっているように見えます。ゴーレムに使い魔我々のような自我はありません」
「その通りだ」
「ではなぜ、ゴーレムたちは正確に帝国兵だけをターゲットにしているのでしょうか?」
「というと?」

 クローの言いたいことは理解していたが、自分の考えを述べることは重要な行為だ。だからこそ、俺は使い魔の成長を見守ることにした。

自動オートの場合、ゴーレムに与えられる命令は通常一つ限りです。しかし、あのゴーレムたちは少なくとも二つの命令を同時に実行していました。一つ目が待機。二つ目が帝国兵の抹殺。帝国兵の抹殺命令は、帝国兵を理解しなければならないはずで、従って、自我のないゴーレムには不可能です。ですが、ゴーレムたちは帝国兵だけを抹殺しています。なぜでしょう?」

 よくぞそこまで自分で考えたと一旦クローを褒めてやり、彼の疑問に答えることにした。

「俺がゴーレムに下した命令は一つだ」
「一つ……?」
「視界に映るものを殺せ……とな」
「!?」

 このため、俺はゴーレムの視界を掛け布団で覆った。村人だと錯覚していた帝国兵は、確実に息の根を止めることに成功したかを確認するため、必ず掛け布団を剥ぐ。その習性を利用した。

 あとはその音を聞いた兵たちが駆けつけ、ゴーレムは再び命令を実行するという仕組みだ。そのために、村の家畜なども一緒に避難させていた。

「死の連鎖……。なるほど。さすが我が主。感服いたしました」
「では、移動するか」
「御意」

 お次はセドリックたちだ。
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