15 / 23
私に味方なんていない。
しおりを挟む
「追放……ですか?」
「あぁ、そうだ」
突然呼び出されたと思えば追放……か。
私が着々と復讐への準備を進めていると、ある日突然お父様の部屋に呼び出され、テイラン家追放を言い渡された。
「理由をお聞きしても?」
「ヴィル。君はソフィア嬢に嘘をついたようだな?」
「は?」
少し待ってくれ。本当に理解できない。予想以上に理不尽で、バカげた追放理由。
嘘をついただけで生家を追い出されるとは、さすがにソフィアに心酔しすぎでは?
いや、確かにシュエルを助けるために、ソフィアに嘘をついた。それに間違いはない。しかし、それだけである。
「待ってください。私以外にも、人間、生きていれば嘘をつくことがあります。お父様だって、ソフィアさんだって嘘をつくことがある……」
「――黙れっ!!ヴィル、自分が何を言っているのか分かっているのか!?」
弁明しようとするが、途中でお父様に遮られる。
「ソフィア嬢を欺くことは今のこの国では何よりも重い罪だ。それに、ヴィルに裏切られたと、ソフィア嬢は酷く落ち込んでいるご様子……ヴィル、君は国民全員を敵に回したのだぞ!?」
どんなに弁明しようとしても、お父様に遮られ、理不尽に怒られる。
そこで、私が何を言っても聞き入れられないことを悟る。
「……わかりました……準備ができ次第、この屋敷から去ります」
――レイナもこんな風に、理不尽に怒られたのだろうか?
そう思いながら、私は自身の部屋へと向かい、荷物をまとめるのであった。
―――――
「あ、あいつだ!!ソフィア様を欺いた罪人だぞ!!」
「ふん、罪人にしては晴れ晴れとした顔つきじゃない」
「苦しめ!!貴様には味方なんていないんだ!!」
その後、私が城下町の大通りへと行くと、城下町に住む民たちから罵声を浴びせられながら、石やらごみやらを投げつけられる。そして、私は歩きながら、改めてこの国はソフィアに牙を剥いたものには容赦しないんだと再認識する。
そして、身に覚えのない罪を被されたレイナは、酷く落ち込み、悲しかったのだろうと思う。
それでも、レイナは国民を庇った。攻略対象を庇った。ソフィアを庇った。すべて、レイナの心の底からの優しさ。その気になれば、レイナほどの魔法の才能があれば、この国を、この世界を滅ぼせる。でも、ゲームでもこの世界でも、レイナはそんなことしなかった。そんなレイナは、ソフィアなんかよりもずっと、ずっと聖女にふさわしい。
「私には、味方なんていない」
そうつぶやいても、民からの罵声は止まらない。そして、私自身も歩みを止めない。
最後まで、私は足掻く。必ず、レイナを傷つけた奴らに、復讐してみせるのだ。それまで、私は死ねない。ソフィアたちの傷つき、絶望に染まった顔を見るまでは、死ねないのだ。
そう思いながら、私は人気のない路地細い道に入る。今は、一人になりたい。そう考える今の私には、城下町の大通りは適した場所とは言えない。
私が顔を俯けながら路地細い道を進んでいると、私の前に何者かが立ちふさがる。
邪魔だ、と思いながら、顔を上げると、そこには……
「シュエル!?」
シュエルが、私を心配そうな目で見つめながら、立っていたのだった。
「あぁ、そうだ」
突然呼び出されたと思えば追放……か。
私が着々と復讐への準備を進めていると、ある日突然お父様の部屋に呼び出され、テイラン家追放を言い渡された。
「理由をお聞きしても?」
「ヴィル。君はソフィア嬢に嘘をついたようだな?」
「は?」
少し待ってくれ。本当に理解できない。予想以上に理不尽で、バカげた追放理由。
嘘をついただけで生家を追い出されるとは、さすがにソフィアに心酔しすぎでは?
いや、確かにシュエルを助けるために、ソフィアに嘘をついた。それに間違いはない。しかし、それだけである。
「待ってください。私以外にも、人間、生きていれば嘘をつくことがあります。お父様だって、ソフィアさんだって嘘をつくことがある……」
「――黙れっ!!ヴィル、自分が何を言っているのか分かっているのか!?」
弁明しようとするが、途中でお父様に遮られる。
「ソフィア嬢を欺くことは今のこの国では何よりも重い罪だ。それに、ヴィルに裏切られたと、ソフィア嬢は酷く落ち込んでいるご様子……ヴィル、君は国民全員を敵に回したのだぞ!?」
どんなに弁明しようとしても、お父様に遮られ、理不尽に怒られる。
そこで、私が何を言っても聞き入れられないことを悟る。
「……わかりました……準備ができ次第、この屋敷から去ります」
――レイナもこんな風に、理不尽に怒られたのだろうか?
そう思いながら、私は自身の部屋へと向かい、荷物をまとめるのであった。
―――――
「あ、あいつだ!!ソフィア様を欺いた罪人だぞ!!」
「ふん、罪人にしては晴れ晴れとした顔つきじゃない」
「苦しめ!!貴様には味方なんていないんだ!!」
その後、私が城下町の大通りへと行くと、城下町に住む民たちから罵声を浴びせられながら、石やらごみやらを投げつけられる。そして、私は歩きながら、改めてこの国はソフィアに牙を剥いたものには容赦しないんだと再認識する。
そして、身に覚えのない罪を被されたレイナは、酷く落ち込み、悲しかったのだろうと思う。
それでも、レイナは国民を庇った。攻略対象を庇った。ソフィアを庇った。すべて、レイナの心の底からの優しさ。その気になれば、レイナほどの魔法の才能があれば、この国を、この世界を滅ぼせる。でも、ゲームでもこの世界でも、レイナはそんなことしなかった。そんなレイナは、ソフィアなんかよりもずっと、ずっと聖女にふさわしい。
「私には、味方なんていない」
そうつぶやいても、民からの罵声は止まらない。そして、私自身も歩みを止めない。
最後まで、私は足掻く。必ず、レイナを傷つけた奴らに、復讐してみせるのだ。それまで、私は死ねない。ソフィアたちの傷つき、絶望に染まった顔を見るまでは、死ねないのだ。
そう思いながら、私は人気のない路地細い道に入る。今は、一人になりたい。そう考える今の私には、城下町の大通りは適した場所とは言えない。
私が顔を俯けながら路地細い道を進んでいると、私の前に何者かが立ちふさがる。
邪魔だ、と思いながら、顔を上げると、そこには……
「シュエル!?」
シュエルが、私を心配そうな目で見つめながら、立っていたのだった。
297
あなたにおすすめの小説
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
悪役令嬢の私、計画通り追放されました ~無能な婚約者と傾国の未来を捨てて、隣国で大商人になります~
希羽
恋愛
「ええ、喜んで国を去りましょう。――全て、私の計算通りですわ」
才色兼備と謳われた公爵令嬢セラフィーナは、卒業パーティーの場で、婚約者である王子から婚約破棄を突きつけられる。聖女を虐げた「悪役令嬢」として、満座の中で断罪される彼女。
しかし、その顔に悲壮感はない。むしろ、彼女は内心でほくそ笑んでいた――『計画通り』と。
無能な婚約者と、沈みゆく国の未来をとうに見限っていた彼女にとって、自ら悪役の汚名を着て国を追われることこそが、完璧なシナリオだったのだ。
莫大な手切れ金を手に、自由都市で商人『セーラ』として第二の人生を歩み始めた彼女。その類まれなる才覚は、やがて大陸の経済を揺るがすほどの渦を巻き起こしていく。
一方、有能な彼女を失った祖国は坂道を転がるように没落。愚かな元婚約者たちが、彼女の真価に気づき後悔した時、物語は最高のカタルシスを迎える――。
モブの声がうるさい
ぴぴみ
恋愛
公爵令嬢ソフィアには、幼い頃より決まった婚約者がいる。
第一王子のリアムだ。
いつの頃からか、ソフィアは自身の感情を隠しがちになり、リアム王子は常に愛想笑い。
そんなとき、馬から落ちて、変な声が聞こえるようになってしまって…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる