【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇

夜桜 舞

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私に味方なんていない。

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「追放……ですか?」
「あぁ、そうだ」

突然呼び出されたと思えば追放……か。

私が着々と復讐への準備を進めていると、ある日突然お父様の部屋に呼び出され、テイラン家追放を言い渡された。

「理由をお聞きしても?」
「ヴィル。君はソフィア嬢に嘘をついたようだな?」
「は?」

少し待ってくれ。本当に理解できない。予想以上に理不尽で、バカげた追放理由。
嘘をついただけで生家を追い出されるとは、さすがにソフィアに心酔しすぎでは?
いや、確かにシュエルを助けるために、ソフィアに嘘をついた。それに間違いはない。しかし、それだけである。

「待ってください。私以外にも、人間、生きていれば嘘をつくことがあります。お父様だって、ソフィアさんだって嘘をつくことがある……」
「――黙れっ!!ヴィル、自分が何を言っているのか分かっているのか!?」

弁明しようとするが、途中でお父様に遮られる。

「ソフィア嬢を欺くことは今のこの国では何よりも重い罪だ。それに、ヴィルに裏切られたと、ソフィア嬢は酷く落ち込んでいるご様子……ヴィル、君は国民全員を敵に回したのだぞ!?」

どんなに弁明しようとしても、お父様に遮られ、理不尽に怒られる。
そこで、私が何を言っても聞き入れられないことを悟る。

「……わかりました……準備ができ次第、この屋敷から去ります」

――レイナもこんな風に、理不尽に怒られたのだろうか?

そう思いながら、私は自身の部屋へと向かい、荷物をまとめるのであった。

―――――

「あ、あいつだ!!ソフィア様を欺いた罪人だぞ!!」
「ふん、罪人にしては晴れ晴れとした顔つきじゃない」
「苦しめ!!貴様には味方なんていないんだ!!」

その後、私が城下町の大通りへと行くと、城下町に住む民たちから罵声を浴びせられながら、石やらごみやらを投げつけられる。そして、私は歩きながら、改めてこの国はソフィアに牙を剥いたものには容赦しないんだと再認識する。

そして、身に覚えのない罪を被されたレイナは、酷く落ち込み、悲しかったのだろうと思う。
それでも、レイナは国民を庇った。攻略対象を庇った。ソフィアを庇った。すべて、レイナの心の底からの優しさ。その気になれば、レイナほどの魔法の才能があれば、この国を、この世界を滅ぼせる。でも、ゲームでもこの世界でも、レイナはそんなことしなかった。そんなレイナは、ソフィアなんかよりもずっと、ずっと聖女にふさわしい。

「私には、味方なんていない」

そうつぶやいても、民からの罵声は止まらない。そして、私自身も歩みを止めない。
最後まで、私は足掻く。必ず、レイナを傷つけた奴らに、復讐してみせるのだ。それまで、私は死ねない。ソフィアたちの傷つき、絶望に染まった顔を見るまでは、死ねないのだ。

そう思いながら、私は人気のない路地細い道に入る。今は、一人になりたい。そう考える今の私には、城下町の大通りは適した場所とは言えない。

私が顔を俯けながら路地細い道を進んでいると、私の前に何者かが立ちふさがる。
邪魔だ、と思いながら、顔を上げると、そこには……

「シュエル!?」

シュエルが、私を心配そうな目で見つめながら、立っていたのだった。
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