【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇

夜桜 舞

文字の大きさ
16 / 23

モブ令嬢の願い

しおりを挟む
「その……貴様が家から追放されたと知ってな。大丈夫か?行く当てはあるのか?」

私を、より一層心配そうに見つめるシュエル。そんな彼は、ゲームの攻略対象。今、彼を頼ってしまえば、彼は時期にソフィアに魅入られ、私を裏切ることになるだろう。

「わ、私は……!!」

何故か私はそう考えてしまい、シュエルを信じたい気持ちと、裏切られたくない気持ちが交差し、私は何とか場をつなげようとした結果、思ってもいないようなことを口にしてしまう。

「私は、あんたなんかに心配される筋合いはない!!」

一度口に出してしまったら止まらなくなってしまい、どんどん口から言葉があふれ出る。

「それに、私はあんたのことなんて、都合のいい駒としか思ってない!!」

違う、こんなことが言いたいわけじゃない。こんなこと、言いたくないのに……!!

「私は、あんたのことなんて、大っ嫌い!!!!」

そこまで言って、シュエルを見ると、シュエルは目を見開き、何も言えない様子でわなわなと震えている。

私は、本当はもう、とっくのとうに限界がきていたのかもしれない。そりゃそうだ。実の親からは自分なんかよりもソフィアを優先させられ、誰一人からも信じてもらえない。それに、私はいまだにレイナが死んだことを受け止め切れていない。もう、私の心は壊れてしまったのかもしれない。そう思うほど、私は今、心にもない言葉をシュエルに言い続けている。

怒って、私を見捨てないで、私を裏切らないで、私を信じて……

「わかったならさっさと私の前からいなくなって!!」

こんなこと、言いたくないのに。本当はもっと、別のことを言いたいのに。どうして、私は素直になれない?私は、シュエルを信じ切れない?

自己嫌悪に陥りそうになりながらも、私の口からは言葉があふれる。なのに、シュエルは何も言わない。私だけが、シュエルに一方的に罵声を浴びせ続ける。こんなの、レイナや私を傷つけた、国民たちからの言葉と同じなのに。私は、自分自身ですら自分を止められなかった。

「なにか、言いなさいよ!!」

少し乱暴な口調になってしまったが、私は今日初めて、シュエルに対して自分が思ったことを口にできたかもしれない。

「じゃあ、なんでヴィルは、泣いているんだ?」
「……え?」

泣く?どうして、私が?

戸惑う私の頬にシュエルは手を伸ばし、涙をぬぐう。
私は本当に、泣いていた。自分では気が付けなかったが、私の目からは大粒の涙があふれ続けていた。

「ヴィル。君はどういう時に、涙を流す?」
「……嬉しい、とき?」
「じゃあ、ヴィルは今、嬉しいかい?」
「……」

嬉しいわけがない。むしろ……

「辛いし、悲しい」
「そうか……じゃあ、どうして今、ヴィルは辛いんだい?悲しいんだい?」
「……思ってもないことを口にしたから。思っていること、伝えたいことを、すべて偽ったから……自分の心を、偽ろうとしたから」
「じゃあ、君は本当は、俺にどうしてほしいんだい?」

ずるいくらいいつもの乱暴な口調とは違い、酷く落ち着いた様子でそう聞くシュエル。そんな彼の質問に、私は正直に答えたいと、そう思った。

「私の、そばにいてほしい。私から、離れないでほしい」
「もちろん。俺は君のそばにいよう。たとえ、君が俺にそばにいてほしいと願わなくなっても、俺は君のそばにいつづけるよ」

そう言って、にっこりと笑うシュエルを見て、私は安心しきってしまい、気を失ってしまったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたくしが悪役令嬢だった理由

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、マリアンナ=ラ・トゥール公爵令嬢。悪役令嬢に転生しました。 どうやら前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したようだけど、知識を使っても死亡フラグは折れたり、折れなかったり……。 だから令嬢として真面目に真摯に生きていきますわ。 シリアスです。コメディーではありません。

我々はモブである。名前は出てない。

ふくふく堂
ファンタジー
世の中、やたらめったらと王子や高位貴族が婚約破棄を突き付けるのが流行っている。それも大概卒業パーティーでだ。親の目を盗んで事を起こすのに最適な場なのかもしれないが、卒業パーティーの主役は卒業生のはずだ。そう、我々卒業生のはずなのだ。 我々は、今こそ、鬱憤を、晴らす!

完 さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。

水鳥楓椛
恋愛
 わたくし、エリザベート・ラ・ツェリーナは今日愛しの婚約者である王太子レオンハルト・フォン・アイゼンハーツに婚約破棄をされる。  なんでそんなことが分かるかって?  それはわたくしに前世の記憶があるから。  婚約破棄されるって分かっているならば逃げればいいって思うでしょう?  でも、わたくしは愛しの婚約者さまの役に立ちたい。  だから、どんなに惨めなめに遭うとしても、わたくしは彼の前に立つ。  さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に

ゆっこ
恋愛
 王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。  私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。 「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」  唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。  婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。 「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」  ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

【完結】可愛いのは誰?

ここ
恋愛
公爵令嬢の私、アリドレア・サイド。王太子妃候補とも言われますが、王太子には愛する人がいますわ。お飾りの王太子妃にはなりたくないのですが、高い身分が邪魔をして、果たして望むように生きられるのでしょうか?

処理中です...