7回目の婚約破棄を成し遂げたい悪女殿下は、天才公爵令息に溺愛されるとは思わない

結田龍

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天才公爵令息は、7番目の婚約者⁉

第12話

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「全てのワイバーンに、できうる限りダメージを与えたい。その上で、できれば半数を撃ち落としたいわ」


 ワイバーンを注視していたクリスティーナが、ちらりと視線を投げかけるとモニカは考え込んだ。


「半数ですね……了解。では、第五撃まで設定します。攻撃目標設定。第五撃まで弾道を設定……」


 モニカの回答に、クリスティーナは口元に笑みを乗せた。
 第三師団の戦空艇に搭載されている大砲は全部で六基だ。第五撃まで設定するということは、五基の大砲を使用するとことになる。万一を考えて、一基を残す選択ができたモニカに成長を感じる。


「閣下、オレたちは甲板で待機する。閣下もカルヴァリーで出撃するつもりか?」


 モニカが設定を進めている時、戦闘部隊の部隊長を任せているマルスが、クリスティーナに問うた。
 戦闘部隊は騎馬兵が馬に跨って戦うように、小型迎撃艇カヴァルリーに跨り、接近戦で戦う。


「もちろんよ。マルス、魔導弾の後に戦闘部隊は出撃よ」

「了解。閣下のカヴァルリーも準備しておく」

「よろしくね。エドワード、わたくしが出撃したら戦空艇は任せるわ」

「了解!」


 互いに頷き合うと、マルスが司令室を飛び出した。
 すぐにモニカの鋭い声がかかる。


「閣下! 距離百を切りました!」

「距離八十で撃って。モニカ、あなたはできると信じているわ」

「お任せください、閣下!」


 クリスティーナが言葉に信頼を乗せると、モニカの表情がぱあっと輝いた。


「距離八十にて射出。カウントを開始します。距離九十三、二、一、九十……」


 モニカがカウントを始めると同時に、戦空艇全体がビリビリと空気を震わす。
 戦空艇に搭載されている大砲がぐるりと動き、ワイバーンの群れに照準を合わせた。
 やがてモニカが操作する計測機器は、魔導弾の魔力エネルギーがフルチャージになったことを指し示した。


「八十五、四、三、二、一、八十!」

「撃て!!」

「魔導弾、射出!」


 戦空艇の大砲から射出された魔導弾は、閃光を走らせ、猛烈な勢いでワイバーンの群れを貫いた。
 ゴウンッ、ゴウンッ、と何度も爆発音が響き渡り、爆煙が空を覆いつくす。


「全弾、命中! 魔導探知機の反応から五体殲滅、残り五体です!」


 報告を聞いて、クリスティーナは軽く拳を突き上げた。
 この瞬間が、胸がスカッとして清々しい。彼女はきゅっと口角を上げた。


「よくやったわ、モニカ!」


 労いを込めてモニカの頭をぽんと撫でた後、クリスティーナは駆け出した。
 うひゃああっ、とモニカの奇声が上がったが、いつものことなので気にせず司令室を出て、甲板を目指す。


「後はお願いね! ……こちら、クリス。戦闘部隊、出撃よ!」

『こちら、マルス。了解! 閣下、空で待ってるぜ』

「ええ、今行くわ!」


 クリスティーナは耳のイヤーカフの通信機で、マルスに司令を出した後、全速力で甲板へ向かう。
 これからひと暴れできるかと思うと、全身の血が湧きたつ。
 甲板に到着すると、クリスティーナのカヴァルリーが一機用意されていた。
 乗りなれた愛機にひらりと跨ったクリスティーナは、操縦桿を操作して上空に向かって飛び出した。




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