王宮追放された没落令嬢は、竜神に聖女へ勝手にジョブチェンジさせられました~なぜか再就職先の辺境で、王太子が溺愛してくるんですが!?~

結田龍

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千年越し、新たな聖女が誕生だ

第106話

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 だって、素敵になっていくカスタリアをもっと見たいもの。
 そして、ロークが王位をついだ世界も。
 私はこくりとうなづいて、ロークに微笑み返した。


「ちゃんとこの世界に戻ってくるわ」

「……っ、その顔は反則過ぎる……っ」

『イシュカ、そろそろ水の壁が崩されるわ!』


 体からカノンの声が響いた。
 ずっと攻撃を防いでくれていた水の壁が限界を迎えていた。
 一瞬気が遠くなり、また私とカノンの居場所が入れ替わった。


『ヴェルザンディ。今からあなたの泉を浄化するわね』


 カノンがヴェルザンディに声をかければ、攻撃が激しくなった。


『いつでも助けてくれたヴェルザンディへの最後の恩返しよ』

『……そんなこと、いくら愛し子でもできるわけがない!』

『いいえ。ここにいるスクルドとウルズ、そしてイシュカと力を合わせれば、あなたの泉は元の美しい泉の姿を取り戻すわ。そして、あなたを正気に戻すことができる!』

『我はそんなこと望んでない!!』


 ドオオオオオオオオオンンン


 ひときわ強い衝撃波が打たれた。
 水の壁が今度こそ消失した。


『イシュカ、やるわよ!』


 カノンの言葉に意識を集中させた。
 スクルドとウルズに心の中で呼びかける。
 視界の端で、二人の竜神がこくりとうなづいた。

 その瞬間、青白い光が私の全身を包みこむ。
 カノンと一体化した状態で、スクルドとウルズの力が流れる。
 ぐっと心臓が圧迫されて苦しい。
 これまで経験したことがない力が、自分の体に負担を強いる。
 だが、意識を手放さないように詠唱する。

 古い術書に書かれていた、水術の中で最高レベルと言われている浄化の術。
 そして、最高峰の力をもつ聖女しか使えない術。
 失敗は許されない。
 確実にこの一回でヴェルザンディの泉を浄化する。


『やめろ、やめてくれ!』


 私の体から立ち上るオーラに圧倒されてか、一歩も動けないヴェルザンディが悲鳴を上げる。


『変化を嫌うのは人間も神も変わらないのね。でも、もういいの。この時代はいにしえの時代とは違う。わたくしの子孫が治めている。もうわたくしたちも進まなければ』


 カノンがぽつりと呟いたと同時に発動した。


「『浄化波濤カタルシスウェイブ』」


 目を開けていられないほどの、神々しいまでの光が辺りに満ちた。
 光は大きな波となり、泉を侵食していく。
 泉の表面が波打ち、神々しい光を飲み込みながら渦巻いた。


『やめろと言っている!』


 叫んだヴェルザンディが水竜をあやつり、再び数本の水柱が鋭く噴き出し、こちらに向かってきた。
 しかし光が反応し、すぐにその攻撃を無に帰す。


『ヴェルザンディ、わたくしはあなたを助けたいの!』

『なんだ、これ……ふざけるな!』


 ヴェルザンディがやみくもに攻撃を放ってきた。
 先ほどとは違って、ひとつひとつが猛威をふるう。
 光がすぐに対処するから攻撃は当たらないが、こちらの力を削っていく。
 それでも浄化の術をやめる気はない。
 確実に浄化するために、より力を注ぐだけだ。





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