5 / 6
5
しおりを挟む
陽が傾きかけた校門前。
夕焼けに染まった制服の影が、歩道に長く伸びる。
成瀬くんが、ほんのわずかに眉を歪めて私を見た。
「白瀬さん、……少し、いいかな」
“さん”付け。
昨日まで、名前で呼んでくれてたのに。
……ああ、もう限界なんだ。
噂が耳に入ったのか、千夏に何か言われたのか。
どちらでもいい。
ただ、彼が「距離を取ろう」としているのは明らかだった。
わかってる。
でも、逃がすつもりはない。
「うん。ちょっとだけでいいなら」
私は、にこりと笑って答えた。
⸻
人気のない中庭。
彼は、一歩だけ距離を取って立った。
「……俺、真冬さんの噂を聞いたんだ」
「へえ。どんな?」
声色は変えず、あくまで“無関心そうに”。
でも、心の中ではピキピキと音がしていた。
成瀬くんは苦しげに続けた。
「中学の時、大人と関係があったとか……男を弄ぶのが得意だとか……。
最初は信じなかった。でも……あの時、千夏が君を叩いたの、……たぶん俺のせいでもあって」
彼は頭を下げた。
馬鹿みたいに、真面目に。優しく。
そして、顔を上げて、言った。
「だから、俺……もう、関わらない方がいいと思う。
これ以上、君も俺も傷つけないために」
ふぅん、って思った。
いや、呆れたって言ったほうが正しいかな。
(こっちが遊んでやってたのに、何様?)
インキャが、自分から“幕引き”をしようとしてる。
浅はかすぎて、笑えてくる。
⸻
でも――私は泣いた。
「……そっか。
……じゃあ、私、振られたんだ」
涙を滲ませ、声を震わせる。
目元は濡れても、心は乾いたまま。
彼が戸惑うのが、手に取るように分かった。
「そういうんじゃ……ごめん。
俺、ただ、君に――」
「話があるの。最後に、ちゃんと」
私は彼の言葉を遮るようにして、静かに言った。
「ほんの少しでいいから、うちに来てくれない?」
彼は目を見開いた。
「え、でも……」
「最後だから。ね? ちゃんと、話すから」
語気を強めすぎないように。
でも、“断らせない”温度で。
成瀬くんは、戸惑いながらもうなずいた。
⸻
その夜、私は家を整えて待っていた。
カーテンを閉め、照明を落とし、玄関の靴を一足分だけ揃えた。
ピンポンと鳴ったチャイム。
そして、ドアの外の気配。
「いらっしゃい」
私は柔らかく微笑み、彼を中へと誘った。
玄関のドアが閉まる。
その音が、合図だった。
私は振り返りざま、成瀬くんの胸元に手をかけ、
一気に彼の顔に近づいて――唇を、奪った。
「っ……!」
彼が抵抗しようと体を引くより早く、
私は首に手を回して、そのまま唇を押し付けた。
⸻
「……話って、これ?」
彼が目を見開いて言う。
「うん。だって、最後なんでしょ?」
私の声は甘く、喉の奥で絡むように湿っている。
「……違う、俺は……っ」
「違わないよ。ねえ、成瀬くん。
“最後に”って、言ったの、そっちじゃん」
私は彼の胸に手を当てた。
どくん、どくんと脈打つ心臓が、指先に伝わってくる。
「だったら、最後くらい、気持ちよくしていこうよ」
⸻
押し倒すのは、あっけないほど簡単だった。
彼は抵抗しなかった。
ただ、驚いて、戸惑って、動けなかっただけ。
私は、彼の服のボタンをゆっくり外していった。
「何もしないって思った?
話をするだけだって?」
小さく笑う。
「そんなの、信じるほうがバカだよ」
⸻
事が終わる頃には、彼はソファにぐったりと座り込み、
私はスマホの画面を見つめていた。
そこには、眠たげな表情の成瀬くんと、私の素肌が映っている。
「ねえ。
別れたいなら、それでもいいよ」
私は、彼の膝に腰かけて、にこりと笑う。
「でも――この写真、“襲われた”って言ったら、どうなると思う?」
成瀬くんが、顔を強ばらせた。
「冗談、だよね……?」
「冗談に聞こえるなら、そう思ってていいよ」
指先で彼の顎をなぞる。
「でもひとつ、条件をつけさせて」
「……なにを」
「“あの子”とは、もう絶対に口をきかないで。
私が“嫌だから”。
ね? それだけ守ってくれれば、全部丸く収まる」
⸻
返事はなかった。
でも、私はもう“勝った”と確信していた。
彼の目から、完全に力が抜けていたから。
私はそっと、もう一度、彼の唇を噛んだ。
「……かわいいね、成瀬くん。
こんなに素直なら、もっと早く襲えばよかった」
⭐︎⭐︎⭐︎
翌朝、私は鏡の前で制服の襟を整える。
鏡の奥で笑う“もう一人の自分”が、囁いてくる。
(今度は、心を溶かしてあげようか)
夜の支配だけでは不十分。
だって、成瀬くんがまだ“後悔”してる顔をしてたから。
だったら、次の一手は——“日常”を奪うこと。
⸻
教室の扉を開けると、ざわりと空気が揺れた。
視線が刺さる。でもそれも織り込み済み。
私は、いつも通りに微笑んで、成瀬の隣の空いた席に腰を下ろす。
「おはよう、成瀬くん」
教室の時間が、少しだけ止まった気がした。
昨日まで彼の隣に座っていた“彼女”が、目を見開いてこちらを見ていた。
当然の反応。
でも、私はすぐに視線を外し、彼女の存在を無視するようにノートを開く。
「これ、昨日の小テストの答え合わせ。一緒にやろ?」
成瀬くんは戸惑いながら、ゆっくりとノートを開いた。
——その距離、昨日より近い。
その視線、もう私から逸らせない。
⸻
昼休み。
私は、購買で買ったサンドイッチを成瀬くんに渡す。
「ほら、昨日お礼も言わずに帰っちゃったから。……あれ、好きだったでしょ?」
彼は一瞬、ギクリとした目をした。
(覚えてたんだ、って思ったでしょ?)
彼女が横から口を開こうとする。
「……真冬さん、あの、ちょっと——」
でも私は、その声を完全に遮るように笑って言った。
「あ、ごめんね。成瀬くん、今日、放課後ちょっとだけ時間ある?図書室で課題のこと相談したいんだけど」
まるで彼女が“他人”であるかのような距離で。
彼は少し迷った末、静かに頷いた。
その瞬間。
彼女の唇が、わずかに震えたのが見えた。
⸻
放課後。
図書室の窓際、ふたり並んで参考書を広げる。
「なんか、こうしてるとさ」
私は頬杖をついて、彼を横目で見る。
「まるで“付き合ってる”みたい、じゃない?」
成瀬くんは咄嗟に何かを否定しようと口を開きかけて——閉じた。
私はそれを見逃さなかった。
(ねえ、ほら。
あの子じゃダメだったこと、私が埋めてあげるよ)
何も言わず、静かに笑うだけ。
でもその“沈黙”こそが、彼の心をじわじわと染めていく。
⸻
帰り道、彼女の姿を見つけた。
駅のホーム。私たちに気づいた彼女が、小さく手を振る。
——でも、成瀬くんはそれに応えなかった。
彼女の表情が、ほんの一瞬で“困惑”から“恐れ”へと変わったのを、私は見逃さない。
そのまま私は、成瀬くんの腕に軽く指を絡めて、囁いた。
「ねえ、最近さ、思わない?
私のほうが……君には、合ってるんじゃない?」
⸻
答えなんて、いらない。
だって彼は、もう答えを“出せない”状態にされているのだから。
⭐︎⭐︎⭐︎
放課後の渡り廊下。窓の向こうに沈みかけた陽が差し込んで、金色の光が彼の制服の肩を照らしていた。
成瀬くんは、一人で立っていた。
だけど、彼の影は、すぐ隣に“誰か”がいるように見えた。
私は、意を決して近づいた。
「……ねえ、久しぶり。ちょっとだけ、話せないかな?」
彼の肩が、ほんの少し揺れた。
だけど、すぐに何もなかったように戻る。
「別に、大したことじゃないの。ただ、最近ちょっと避けられてる気がして……」
自分でも震える声だった。
でも、言わなきゃって思った。
「私、あの日……彼女に手を上げたこと、本当に後悔してる。ごめん」
成瀬くんは、ゆっくりと振り向いた。
でも、その顔には何の感情もなかった。
「……いまさら、何?」
突き放すような言い方じゃなかった。
むしろ、それが余計に冷たくて、胸が痛かった。
「もう、話しかけない方がいい?」
そう尋ねる私に、彼は微かに目を伏せて言った。
「……うん」
その言葉に、私は笑おうとした。
だけど、笑えなかった。
胸の奥がぎゅっと締めつけられて、唇が震える。
でも、それでも、私は彼に近づいた。
「ねえ、お願い……」
そっと手を伸ばす。
彼の腕に触れようとした――その瞬間だった。
「……触んな」
彼が私の手を、振り払った。
それは、本当に一瞬のことだった。
けれど、私の中で“なにか”が音を立てて崩れた。
「……そっか、うん。わかった……」
そう言った声が、今まででいちばん小さかった。
⸻
その場を離れてから、私は校門の影でしばらく立ち尽くしていた。
周囲の声も、空の色も、風の音も、何も入ってこない。
ただ、心の奥に焼きついた――
“触んな”の一言だけが、何度も何度もリフレインしていた。
⸻
もう、彼の隣にはいられない。
私はその日、ようやくそれを受け入れた。
でも、それでもまだ、どこかで願ってしまう。
(……あの子さえいなければ)
(あの子さえ、いなければ——)
夕焼けに染まった制服の影が、歩道に長く伸びる。
成瀬くんが、ほんのわずかに眉を歪めて私を見た。
「白瀬さん、……少し、いいかな」
“さん”付け。
昨日まで、名前で呼んでくれてたのに。
……ああ、もう限界なんだ。
噂が耳に入ったのか、千夏に何か言われたのか。
どちらでもいい。
ただ、彼が「距離を取ろう」としているのは明らかだった。
わかってる。
でも、逃がすつもりはない。
「うん。ちょっとだけでいいなら」
私は、にこりと笑って答えた。
⸻
人気のない中庭。
彼は、一歩だけ距離を取って立った。
「……俺、真冬さんの噂を聞いたんだ」
「へえ。どんな?」
声色は変えず、あくまで“無関心そうに”。
でも、心の中ではピキピキと音がしていた。
成瀬くんは苦しげに続けた。
「中学の時、大人と関係があったとか……男を弄ぶのが得意だとか……。
最初は信じなかった。でも……あの時、千夏が君を叩いたの、……たぶん俺のせいでもあって」
彼は頭を下げた。
馬鹿みたいに、真面目に。優しく。
そして、顔を上げて、言った。
「だから、俺……もう、関わらない方がいいと思う。
これ以上、君も俺も傷つけないために」
ふぅん、って思った。
いや、呆れたって言ったほうが正しいかな。
(こっちが遊んでやってたのに、何様?)
インキャが、自分から“幕引き”をしようとしてる。
浅はかすぎて、笑えてくる。
⸻
でも――私は泣いた。
「……そっか。
……じゃあ、私、振られたんだ」
涙を滲ませ、声を震わせる。
目元は濡れても、心は乾いたまま。
彼が戸惑うのが、手に取るように分かった。
「そういうんじゃ……ごめん。
俺、ただ、君に――」
「話があるの。最後に、ちゃんと」
私は彼の言葉を遮るようにして、静かに言った。
「ほんの少しでいいから、うちに来てくれない?」
彼は目を見開いた。
「え、でも……」
「最後だから。ね? ちゃんと、話すから」
語気を強めすぎないように。
でも、“断らせない”温度で。
成瀬くんは、戸惑いながらもうなずいた。
⸻
その夜、私は家を整えて待っていた。
カーテンを閉め、照明を落とし、玄関の靴を一足分だけ揃えた。
ピンポンと鳴ったチャイム。
そして、ドアの外の気配。
「いらっしゃい」
私は柔らかく微笑み、彼を中へと誘った。
玄関のドアが閉まる。
その音が、合図だった。
私は振り返りざま、成瀬くんの胸元に手をかけ、
一気に彼の顔に近づいて――唇を、奪った。
「っ……!」
彼が抵抗しようと体を引くより早く、
私は首に手を回して、そのまま唇を押し付けた。
⸻
「……話って、これ?」
彼が目を見開いて言う。
「うん。だって、最後なんでしょ?」
私の声は甘く、喉の奥で絡むように湿っている。
「……違う、俺は……っ」
「違わないよ。ねえ、成瀬くん。
“最後に”って、言ったの、そっちじゃん」
私は彼の胸に手を当てた。
どくん、どくんと脈打つ心臓が、指先に伝わってくる。
「だったら、最後くらい、気持ちよくしていこうよ」
⸻
押し倒すのは、あっけないほど簡単だった。
彼は抵抗しなかった。
ただ、驚いて、戸惑って、動けなかっただけ。
私は、彼の服のボタンをゆっくり外していった。
「何もしないって思った?
話をするだけだって?」
小さく笑う。
「そんなの、信じるほうがバカだよ」
⸻
事が終わる頃には、彼はソファにぐったりと座り込み、
私はスマホの画面を見つめていた。
そこには、眠たげな表情の成瀬くんと、私の素肌が映っている。
「ねえ。
別れたいなら、それでもいいよ」
私は、彼の膝に腰かけて、にこりと笑う。
「でも――この写真、“襲われた”って言ったら、どうなると思う?」
成瀬くんが、顔を強ばらせた。
「冗談、だよね……?」
「冗談に聞こえるなら、そう思ってていいよ」
指先で彼の顎をなぞる。
「でもひとつ、条件をつけさせて」
「……なにを」
「“あの子”とは、もう絶対に口をきかないで。
私が“嫌だから”。
ね? それだけ守ってくれれば、全部丸く収まる」
⸻
返事はなかった。
でも、私はもう“勝った”と確信していた。
彼の目から、完全に力が抜けていたから。
私はそっと、もう一度、彼の唇を噛んだ。
「……かわいいね、成瀬くん。
こんなに素直なら、もっと早く襲えばよかった」
⭐︎⭐︎⭐︎
翌朝、私は鏡の前で制服の襟を整える。
鏡の奥で笑う“もう一人の自分”が、囁いてくる。
(今度は、心を溶かしてあげようか)
夜の支配だけでは不十分。
だって、成瀬くんがまだ“後悔”してる顔をしてたから。
だったら、次の一手は——“日常”を奪うこと。
⸻
教室の扉を開けると、ざわりと空気が揺れた。
視線が刺さる。でもそれも織り込み済み。
私は、いつも通りに微笑んで、成瀬の隣の空いた席に腰を下ろす。
「おはよう、成瀬くん」
教室の時間が、少しだけ止まった気がした。
昨日まで彼の隣に座っていた“彼女”が、目を見開いてこちらを見ていた。
当然の反応。
でも、私はすぐに視線を外し、彼女の存在を無視するようにノートを開く。
「これ、昨日の小テストの答え合わせ。一緒にやろ?」
成瀬くんは戸惑いながら、ゆっくりとノートを開いた。
——その距離、昨日より近い。
その視線、もう私から逸らせない。
⸻
昼休み。
私は、購買で買ったサンドイッチを成瀬くんに渡す。
「ほら、昨日お礼も言わずに帰っちゃったから。……あれ、好きだったでしょ?」
彼は一瞬、ギクリとした目をした。
(覚えてたんだ、って思ったでしょ?)
彼女が横から口を開こうとする。
「……真冬さん、あの、ちょっと——」
でも私は、その声を完全に遮るように笑って言った。
「あ、ごめんね。成瀬くん、今日、放課後ちょっとだけ時間ある?図書室で課題のこと相談したいんだけど」
まるで彼女が“他人”であるかのような距離で。
彼は少し迷った末、静かに頷いた。
その瞬間。
彼女の唇が、わずかに震えたのが見えた。
⸻
放課後。
図書室の窓際、ふたり並んで参考書を広げる。
「なんか、こうしてるとさ」
私は頬杖をついて、彼を横目で見る。
「まるで“付き合ってる”みたい、じゃない?」
成瀬くんは咄嗟に何かを否定しようと口を開きかけて——閉じた。
私はそれを見逃さなかった。
(ねえ、ほら。
あの子じゃダメだったこと、私が埋めてあげるよ)
何も言わず、静かに笑うだけ。
でもその“沈黙”こそが、彼の心をじわじわと染めていく。
⸻
帰り道、彼女の姿を見つけた。
駅のホーム。私たちに気づいた彼女が、小さく手を振る。
——でも、成瀬くんはそれに応えなかった。
彼女の表情が、ほんの一瞬で“困惑”から“恐れ”へと変わったのを、私は見逃さない。
そのまま私は、成瀬くんの腕に軽く指を絡めて、囁いた。
「ねえ、最近さ、思わない?
私のほうが……君には、合ってるんじゃない?」
⸻
答えなんて、いらない。
だって彼は、もう答えを“出せない”状態にされているのだから。
⭐︎⭐︎⭐︎
放課後の渡り廊下。窓の向こうに沈みかけた陽が差し込んで、金色の光が彼の制服の肩を照らしていた。
成瀬くんは、一人で立っていた。
だけど、彼の影は、すぐ隣に“誰か”がいるように見えた。
私は、意を決して近づいた。
「……ねえ、久しぶり。ちょっとだけ、話せないかな?」
彼の肩が、ほんの少し揺れた。
だけど、すぐに何もなかったように戻る。
「別に、大したことじゃないの。ただ、最近ちょっと避けられてる気がして……」
自分でも震える声だった。
でも、言わなきゃって思った。
「私、あの日……彼女に手を上げたこと、本当に後悔してる。ごめん」
成瀬くんは、ゆっくりと振り向いた。
でも、その顔には何の感情もなかった。
「……いまさら、何?」
突き放すような言い方じゃなかった。
むしろ、それが余計に冷たくて、胸が痛かった。
「もう、話しかけない方がいい?」
そう尋ねる私に、彼は微かに目を伏せて言った。
「……うん」
その言葉に、私は笑おうとした。
だけど、笑えなかった。
胸の奥がぎゅっと締めつけられて、唇が震える。
でも、それでも、私は彼に近づいた。
「ねえ、お願い……」
そっと手を伸ばす。
彼の腕に触れようとした――その瞬間だった。
「……触んな」
彼が私の手を、振り払った。
それは、本当に一瞬のことだった。
けれど、私の中で“なにか”が音を立てて崩れた。
「……そっか、うん。わかった……」
そう言った声が、今まででいちばん小さかった。
⸻
その場を離れてから、私は校門の影でしばらく立ち尽くしていた。
周囲の声も、空の色も、風の音も、何も入ってこない。
ただ、心の奥に焼きついた――
“触んな”の一言だけが、何度も何度もリフレインしていた。
⸻
もう、彼の隣にはいられない。
私はその日、ようやくそれを受け入れた。
でも、それでもまだ、どこかで願ってしまう。
(……あの子さえいなければ)
(あの子さえ、いなければ——)
0
あなたにおすすめの小説
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
溺愛のフリから2年後は。
橘しづき
恋愛
岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。
そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。
でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる