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2話 誕生日おめでとう

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一人で帰宅途中に寄ったコンビニで買ったカップ麺を完食したと同時に、テーブルに置いていたスマホが振動した。

「………げ………恵美さん」

スマホの画面に表示された電話番号の相手に気が重くなる。

(このまま無視しようか、でも無視すると後で色々めんどくさいなぁ………)

あまり乗らないが、出ることにした。

「もしも……」

「遅いやんか! 電話は3コール以内に出るのが、社会人のルールやで!」

「………まだ僕中学生ですよ。社会人じゃないです」

受話器の向こう側から大声で話しかけてくる相手のピントのずれた指摘にさり気無く突っ込みを入れるが。

「あ? 何言うてんねん! 人間、皆生まれてきたときから社会の一員や! 寝ぼけたこと言うてると霊ちゃんに嫌われんで! ………ってあれ? 何私言いに来たんやろ? 知ってるか?」

「知るわけないじゃないですか。用がないならもう切っていいですか? 夕飯食べ終わって今から風呂に入るんで。じゃあ」

そう言い、電話を切ろうとした瞬間。

慌てた声で、

「ちょ、待ちいや! せっかちやなぁ! まだ私何も話してへぇやん! あ! せやせや! 思い出したわ! 巧君、今日誕生日やろ?」

「………………そうですね」

これまたいきなり何の話だ、なんて恵美さんに聞くのは野暮か。

言われて気がついたが、確かに今日11月5日は僕の誕生日だ。

だが、誕生日が何だというんだ。

そんな事、中3になって喜ぶほど僕は子供じゃない。

あんなもの、小学生がクリスマスになったら枕元にサンタクロースがプレゼントが置いてくれると心を躍らすのと同じくらい幼稚だ。

「実はな、巧君がど――してもって言うなら私からプレゼントがあんねん! どや! 何か聞きたくならへんか?」

「………興味n」

「せやろ! せやろ! 巧君も可愛い所あるやんか! ええやろ! じゃ、そっちに今郵送したから休日だけやからな! 貸したるわ! レビューはまた暇な時に聞かせてな!」

多分、恵美さんには人の話を聴く耳がないんだろう。

言うだけ言って一方的に受話器を切られた。

ガチャンという放り投げられたような音の後に残されたのは、ツーツーという機械音。

(自由人かよ。いや、今に始まった話じゃないけど)

心の中で悪態をつきつつも、さっきの恵美さんの話を思い返す。

(………というか、プレゼントなのに貸すって何だ?)

恵美さんの変な言い回しが気になったが、すぐに僕はその意味を理解した。

電話後、10分。

”ピンポーン”

インターフォンが鳴った。

出ると、そこには幼馴染の見るからに重そうなリュックを背負っている同級生で幼馴染の御堂が無愛想に言ってきた。

「お母さんから聞いていると思うけど……巧、誕生日おめでとう」
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