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馬車の中でノエル様に好きだと言っていただいた
溢れ始めていた気持ちを抑えることなど出来なかった
「私も…私も、です…」
思いが通じ合った喜びにたくさんキスをされてしまい、私は自分でも分かるぐらいに真っ赤になってたと思う
課題のために調べ物をしないといけない
分かってはいるんだけど…ノエル様の視線を受けて落ち着かないし、ドキドキ心臓はうるさいし…
城勤めの方が呼びに来てやっと少し落ち着いた
でも、夕飯を陛下達と共にすることをすっかり抜け落ちていた私は自分が制服だったことに気が付いた
それを理由にお断りは…出来ないようで、気が付けば王妃様の私室に案内されていた
カーテシーをしようとしたがその前に王妃様に抱きつかれていた
「きゃぁー!可愛い!ノエル、やるじゃない!」
「…母上、シルビアが引いてます」
「だって、貴方てっきりラットとそういう関係なのかと思って諦めてたのに、こんな可愛い子を連れて来るんだもの。喜ぶに決まってるじゃない!」
「ラットとって…。本当やめてくれる?まあ、皆んなこんな感じだから緊張しなくていいからね。じゃあ、私も着替えたらまた迎えに来るね」
王妃様の腕の中に収まったままの私のこめかみにキスを一つ落としてノエル様は行ってしまった
「ふふふ、また娘が一人増えるのねぇ♪さぁ、支度をしてあげて」
王妃様の合図にわらわら集まった、私より高位ではないかと思われる侍女の方達にあっという間にご用意いただいてたドレスに着替えていた
「娘の母親って本当に羨ましいわ。こうやってドレスを選んであげたり出来るもの。上っ面だけ愛想の良い息子達にはこうはいかないものね。早くノエルの所に嫁いでらっしゃい、シルビアちゃん」
嫁ぐという言葉にあわあわとして、何と返したら良いのか分からずただひたすら指の先まで真っ赤にしてた
ノエル様が迎えに来るまで王妃様が幼い頃のノエル様の様子を聞かせて下さった
驚いたり、笑ったりしながら会話を弾ませ、少しだけリラックスすることが出来た
王妃様のおかげで陛下達にお会いした時も震える事なく挨拶ができ、王族としてでは無くノエル様のご家族として食事を共にして下さり、楽しいひとときを過ごせた
後から考えると怖くなったけど
「緊張すること無かったでしょ。公の場ではもちろん王だけど、家族の前では母親に尻に敷かれる父親なんだ。あ、これ、秘密ね」
帰りの馬車の中で隣同士に座り、冗談を言ったりしながら相変わらず私の髪を弄ったり、会話ごとにチュッ、チュッと頬や頭にキスをするノエル様の口元に、もうダメと両手を当てれば今度は掌にキスされた
その手を取り今度は真剣な顔で私を見つめ
「シルビア…行きの馬車でお互いの気持ちを確認出来て本当に嬉しかった。まだ君は戸惑ったりすることもあるかもしれない。でも、私はもう君以外の人は考えられないんだ。早すぎると思うかもしれないけど、言わせて…。君をいずれ妻に迎えたい。私の全てで君を守ると誓う。シルビア…愛してるんだ…。私の妻になってくれる?」
「ノエル様…」
「返事は急がなくて良い。君の心配事は私が全て何とかする。だから、君はしがらみに囚われずに私の妻になりたいかどうかだけ考えて」
じっと見つめるその眼差しから目が離せなくて、嬉しいのと男爵位を継いで領民達を幸せにする役目のこととか、王子と男爵の娘との身分の差とか、色んな思いや考えが一辺に押し寄せて頭の中や感情がぐちゃぐちゃになり、何故か涙が出た
「任せてくれて良いから。ただ君は私を受け入れて…」
涙が溢れる場所に唇を当てられ、目を閉じれば次に唇にその温もりを感じた
そしてノエル様の腕の中に優しく包まれていた
屋敷の手前でノエル様とお別れし、見送りはいいと言われたのでそのまま屋敷に入った
「お嬢様、どうなされたのですか?」
泣き顔を見たベルは心配そうにしながら、温めたタオルを顔に当ててくれた
「…何から考えて良いか分からないの」
「何が有ったか…お話をお聞きしても?」
「…、まだ、混乱し過ぎて、何をどう話せば良いかも分からない…」
「お辛いことですか?」
「いいえ、そうでは無いの。…ただ、…そうね、ベルの言った通り一つずつ考えてみるわ」
「お困り事でしたら、お力不足かもしれませんが、私をお役立て下さいね」
「ありがとう、ベル…」
寝台に横になり、全てを一度に考えず、自分の気持ちに向き合うことから始めた
出来ることならノエル様と添い遂げたい
でも、領民達は?
身分は?
私一人ではどうにもならないこともある
なら、諦める?
もし、もしも新しく母になる人の子が後を継いでくれるなら…
ノエル様の妻となっても力添えすることは出来る
後は身分…
ノエル様も何とかすると仰って下さってた
ノエル様に自分の気持ち、憂いを正直に話そう
そう決めたら心も身体も安心したのか、いつの間にか瞼を閉じていた
あれから毎日のように授業後はノエル様と過ごした
全てをお話したら、喜んで下さって身分のことは、もう手を打ってあるから心配要らないよと言われた
どういうことかは今はまだ秘密らしい
後は領民のこと
間もなく迎え入れる妹がここでの生活に慣れた頃、爵位の継承の話をしてみようとこの時は希望を持っていた
その彼女が希望どころか嵐となるとは知らずに…
溢れ始めていた気持ちを抑えることなど出来なかった
「私も…私も、です…」
思いが通じ合った喜びにたくさんキスをされてしまい、私は自分でも分かるぐらいに真っ赤になってたと思う
課題のために調べ物をしないといけない
分かってはいるんだけど…ノエル様の視線を受けて落ち着かないし、ドキドキ心臓はうるさいし…
城勤めの方が呼びに来てやっと少し落ち着いた
でも、夕飯を陛下達と共にすることをすっかり抜け落ちていた私は自分が制服だったことに気が付いた
それを理由にお断りは…出来ないようで、気が付けば王妃様の私室に案内されていた
カーテシーをしようとしたがその前に王妃様に抱きつかれていた
「きゃぁー!可愛い!ノエル、やるじゃない!」
「…母上、シルビアが引いてます」
「だって、貴方てっきりラットとそういう関係なのかと思って諦めてたのに、こんな可愛い子を連れて来るんだもの。喜ぶに決まってるじゃない!」
「ラットとって…。本当やめてくれる?まあ、皆んなこんな感じだから緊張しなくていいからね。じゃあ、私も着替えたらまた迎えに来るね」
王妃様の腕の中に収まったままの私のこめかみにキスを一つ落としてノエル様は行ってしまった
「ふふふ、また娘が一人増えるのねぇ♪さぁ、支度をしてあげて」
王妃様の合図にわらわら集まった、私より高位ではないかと思われる侍女の方達にあっという間にご用意いただいてたドレスに着替えていた
「娘の母親って本当に羨ましいわ。こうやってドレスを選んであげたり出来るもの。上っ面だけ愛想の良い息子達にはこうはいかないものね。早くノエルの所に嫁いでらっしゃい、シルビアちゃん」
嫁ぐという言葉にあわあわとして、何と返したら良いのか分からずただひたすら指の先まで真っ赤にしてた
ノエル様が迎えに来るまで王妃様が幼い頃のノエル様の様子を聞かせて下さった
驚いたり、笑ったりしながら会話を弾ませ、少しだけリラックスすることが出来た
王妃様のおかげで陛下達にお会いした時も震える事なく挨拶ができ、王族としてでは無くノエル様のご家族として食事を共にして下さり、楽しいひとときを過ごせた
後から考えると怖くなったけど
「緊張すること無かったでしょ。公の場ではもちろん王だけど、家族の前では母親に尻に敷かれる父親なんだ。あ、これ、秘密ね」
帰りの馬車の中で隣同士に座り、冗談を言ったりしながら相変わらず私の髪を弄ったり、会話ごとにチュッ、チュッと頬や頭にキスをするノエル様の口元に、もうダメと両手を当てれば今度は掌にキスされた
その手を取り今度は真剣な顔で私を見つめ
「シルビア…行きの馬車でお互いの気持ちを確認出来て本当に嬉しかった。まだ君は戸惑ったりすることもあるかもしれない。でも、私はもう君以外の人は考えられないんだ。早すぎると思うかもしれないけど、言わせて…。君をいずれ妻に迎えたい。私の全てで君を守ると誓う。シルビア…愛してるんだ…。私の妻になってくれる?」
「ノエル様…」
「返事は急がなくて良い。君の心配事は私が全て何とかする。だから、君はしがらみに囚われずに私の妻になりたいかどうかだけ考えて」
じっと見つめるその眼差しから目が離せなくて、嬉しいのと男爵位を継いで領民達を幸せにする役目のこととか、王子と男爵の娘との身分の差とか、色んな思いや考えが一辺に押し寄せて頭の中や感情がぐちゃぐちゃになり、何故か涙が出た
「任せてくれて良いから。ただ君は私を受け入れて…」
涙が溢れる場所に唇を当てられ、目を閉じれば次に唇にその温もりを感じた
そしてノエル様の腕の中に優しく包まれていた
屋敷の手前でノエル様とお別れし、見送りはいいと言われたのでそのまま屋敷に入った
「お嬢様、どうなされたのですか?」
泣き顔を見たベルは心配そうにしながら、温めたタオルを顔に当ててくれた
「…何から考えて良いか分からないの」
「何が有ったか…お話をお聞きしても?」
「…、まだ、混乱し過ぎて、何をどう話せば良いかも分からない…」
「お辛いことですか?」
「いいえ、そうでは無いの。…ただ、…そうね、ベルの言った通り一つずつ考えてみるわ」
「お困り事でしたら、お力不足かもしれませんが、私をお役立て下さいね」
「ありがとう、ベル…」
寝台に横になり、全てを一度に考えず、自分の気持ちに向き合うことから始めた
出来ることならノエル様と添い遂げたい
でも、領民達は?
身分は?
私一人ではどうにもならないこともある
なら、諦める?
もし、もしも新しく母になる人の子が後を継いでくれるなら…
ノエル様の妻となっても力添えすることは出来る
後は身分…
ノエル様も何とかすると仰って下さってた
ノエル様に自分の気持ち、憂いを正直に話そう
そう決めたら心も身体も安心したのか、いつの間にか瞼を閉じていた
あれから毎日のように授業後はノエル様と過ごした
全てをお話したら、喜んで下さって身分のことは、もう手を打ってあるから心配要らないよと言われた
どういうことかは今はまだ秘密らしい
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