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3 再会

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 オレの成績の話をしよう。

 下から数えた方が早い。以上。

「以上じゃないでしょ!あんた将来どうすんの!」

 サッカー三昧に明け暮れていたオレに、とうとう母親の鉄槌が下った。

「あんたもう高校2年生よ!そろそろやりたい事は見つかったの!?」
「体育教師とか」
「その成績で大学行けると思ってんの?塾に行きなさい!」

 鬼ババアと化した母親に、強制的に塾に入れられた。

 塾とサッカー部と友達の付き合い。

 隙間時間で彼女とデート。

 オレのタイムスケジュールは一気に忙しくなった。正直余裕なんか無かった。

 だから塾に通い慣れて、やっと周りを見る余裕が出来た頃。

 ようやくオレはソイツの存在に気づいたんだ。

 背の小さな細い奴。日に焼けてないソイツは年下に見えた。

 見覚えのある顔立ちでー。

 すぐ誰か分かった。



◆◆◆



 僕の成績の話をしよう。

 手術や入院や転校とか。人生色々あったけど。

 幸い何とか勉強はついていけてた。

 でも、将来やりたい事が何にも無かった。

 唯一興味を持った料理は、今では色褪せて、生活する上での最低限な事しかやらなくなった。

 病気も完治したからパパやママにスポーツを勧められたけど。あまり運動神経も良くないし、元々の体力もなくて、なかなか続かなかった。

 進路に迷っていた時、やりたい事が見つからない僕に両親が言ってくれたんだ。まずはやりたい事を見つける為にも、大学に行ってみてはどうかって。いざ、やりたい事が出来た時に進路を狭めない様に。

 だから高校は進学校に進んで、並行して塾にも通っている。

 そんな生活を1年位続けた時に、それは起きたんだ。



 塾の帰り、外に向かう時に後ろから腕を掴まれた。

 グイッて結構強く引っ張られたから、僕はそのままその人にぶつかってしまった。

 同じ学校の奴らもいるけど。こんな乱暴な扱いをする奴は知らない。

 振り向くと最近女子によく噂されてる奴だった。

 背が高くて、イケメンで、クールでカッコいいって言われてる奴。でも、僕は遠くから見かけただけで面識は無かった。

「コウちゃん!」
「っ!?」

 その言葉に衝撃を受ける。
 僕をコウちゃんて呼ぶのは1人しかいない。

 目の前の人物が記憶の中の彼と違い過ぎて、呆然とする。

 僕の記憶の中の彼はもっとキラキラしてた。

 いつも笑ってて、いつもお腹空いたって言って、サッカーが大好きで。

 そう。いつも笑顔だった。

 こんな、クールな表情をする奴じゃなかった。

「た、たっくん…なの?」

 僕の言葉に相手の男の表情が、くしゃりと歪んだ。
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