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オレの成績の話をしよう。
下から数えた方が早い。以上。
「以上じゃないでしょ!あんた将来どうすんの!」
サッカー三昧に明け暮れていたオレに、とうとう母親の鉄槌が下った。
「あんたもう高校2年生よ!そろそろやりたい事は見つかったの!?」
「体育教師とか」
「その成績で大学行けると思ってんの?塾に行きなさい!」
鬼ババアと化した母親に、強制的に塾に入れられた。
塾とサッカー部と友達の付き合い。
隙間時間で彼女とデート。
オレのタイムスケジュールは一気に忙しくなった。正直余裕なんか無かった。
だから塾に通い慣れて、やっと周りを見る余裕が出来た頃。
ようやくオレはソイツの存在に気づいたんだ。
背の小さな細い奴。日に焼けてないソイツは年下に見えた。
見覚えのある顔立ちでー。
すぐ誰か分かった。
◆◆◆
僕の成績の話をしよう。
手術や入院や転校とか。人生色々あったけど。
幸い何とか勉強はついていけてた。
でも、将来やりたい事が何にも無かった。
唯一興味を持った料理は、今では色褪せて、生活する上での最低限な事しかやらなくなった。
病気も完治したからパパやママにスポーツを勧められたけど。あまり運動神経も良くないし、元々の体力もなくて、なかなか続かなかった。
進路に迷っていた時、やりたい事が見つからない僕に両親が言ってくれたんだ。まずはやりたい事を見つける為にも、大学に行ってみてはどうかって。いざ、やりたい事が出来た時に進路を狭めない様に。
だから高校は進学校に進んで、並行して塾にも通っている。
そんな生活を1年位続けた時に、それは起きたんだ。
塾の帰り、外に向かう時に後ろから腕を掴まれた。
グイッて結構強く引っ張られたから、僕はそのままその人にぶつかってしまった。
同じ学校の奴らもいるけど。こんな乱暴な扱いをする奴は知らない。
振り向くと最近女子によく噂されてる奴だった。
背が高くて、イケメンで、クールでカッコいいって言われてる奴。でも、僕は遠くから見かけただけで面識は無かった。
「コウちゃん!」
「っ!?」
その言葉に衝撃を受ける。
僕をコウちゃんて呼ぶのは1人しかいない。
目の前の人物が記憶の中の彼と違い過ぎて、呆然とする。
僕の記憶の中の彼はもっとキラキラしてた。
いつも笑ってて、いつもお腹空いたって言って、サッカーが大好きで。
そう。いつも笑顔だった。
こんな、クールな表情をする奴じゃなかった。
「た、たっくん…なの?」
僕の言葉に相手の男の表情が、くしゃりと歪んだ。
下から数えた方が早い。以上。
「以上じゃないでしょ!あんた将来どうすんの!」
サッカー三昧に明け暮れていたオレに、とうとう母親の鉄槌が下った。
「あんたもう高校2年生よ!そろそろやりたい事は見つかったの!?」
「体育教師とか」
「その成績で大学行けると思ってんの?塾に行きなさい!」
鬼ババアと化した母親に、強制的に塾に入れられた。
塾とサッカー部と友達の付き合い。
隙間時間で彼女とデート。
オレのタイムスケジュールは一気に忙しくなった。正直余裕なんか無かった。
だから塾に通い慣れて、やっと周りを見る余裕が出来た頃。
ようやくオレはソイツの存在に気づいたんだ。
背の小さな細い奴。日に焼けてないソイツは年下に見えた。
見覚えのある顔立ちでー。
すぐ誰か分かった。
◆◆◆
僕の成績の話をしよう。
手術や入院や転校とか。人生色々あったけど。
幸い何とか勉強はついていけてた。
でも、将来やりたい事が何にも無かった。
唯一興味を持った料理は、今では色褪せて、生活する上での最低限な事しかやらなくなった。
病気も完治したからパパやママにスポーツを勧められたけど。あまり運動神経も良くないし、元々の体力もなくて、なかなか続かなかった。
進路に迷っていた時、やりたい事が見つからない僕に両親が言ってくれたんだ。まずはやりたい事を見つける為にも、大学に行ってみてはどうかって。いざ、やりたい事が出来た時に進路を狭めない様に。
だから高校は進学校に進んで、並行して塾にも通っている。
そんな生活を1年位続けた時に、それは起きたんだ。
塾の帰り、外に向かう時に後ろから腕を掴まれた。
グイッて結構強く引っ張られたから、僕はそのままその人にぶつかってしまった。
同じ学校の奴らもいるけど。こんな乱暴な扱いをする奴は知らない。
振り向くと最近女子によく噂されてる奴だった。
背が高くて、イケメンで、クールでカッコいいって言われてる奴。でも、僕は遠くから見かけただけで面識は無かった。
「コウちゃん!」
「っ!?」
その言葉に衝撃を受ける。
僕をコウちゃんて呼ぶのは1人しかいない。
目の前の人物が記憶の中の彼と違い過ぎて、呆然とする。
僕の記憶の中の彼はもっとキラキラしてた。
いつも笑ってて、いつもお腹空いたって言って、サッカーが大好きで。
そう。いつも笑顔だった。
こんな、クールな表情をする奴じゃなかった。
「た、たっくん…なの?」
僕の言葉に相手の男の表情が、くしゃりと歪んだ。
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