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9 最終話 進路
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オレの進路の話をしよう。
高2の初めまで絶望的だったオレの成績は、塾とコウちゃんのお陰で大幅に向上した。
お陰で体育教師になれる学部のある大学へ合格する事が出来た。
春からは4年間、親元を離れて進学する事になった。
ちなみに、高校の悪友達も進路が無事に決まった。
スケはバスケが強い大学へ。
カクは服飾関係の専門学校へ。
イッキは経営学科のある大学へ。
3年仲良くやった奴らとも、卒業と共にお別れだ。落ち着いたら、また会おう。そう言ってみんなで、笑顔で別れた。
「スグル!もう準備おわったのー?」
母さんが階下から声をかけてきた。
「もう、終わるー」
最後の荷物に段ボールテープを貼って、下におりた。
母さんが、お茶とお菓子を準備してくれてた。
「早いわねー。あんな小さかったのに、もう明日家を旅立ちのね」
「大袈裟だな」
新しい新居や入学の準備で、明日オレはこの家を出る。荷物が届くまで、一泊位はホテルの予定だ。
「ヒカリくんにもよろしくね」
「分かった」
「あんた達がどんな関係でも母さんは味方よ」
「ぶふっ!」
盛大にオレは茶を吹いた。
な、何で…?
「何年あんた達見てると思ってるのよ」
中学生の頃、コウちゃんがいなくなって激しく落ち込んだ後、オレは性格がコロッと変わってしまった。
全然笑わないクールな性格になってしまった。でも高校生になって、コウちゃんに再会して。また明るくなったオレを見て、何かを悟ったそうだ。
母恐るべし。
「父さんの説得は任せときなさい」
「は、はい」
「無理やりヒカリくんを手籠にしちゃダメよ?」
「するか!」
手籠って。
手籠って。
いつの言葉?
こっちはまだそれどころかー。
「何?まだキスどまり?」
「し、してない!あ」
「何あんた、まだキスもしてないの?」
「もう、やめてくれよ、母さん!」
オレは恥ずかしくなって、自分の部屋へ逃げ込んだ。
階下から、青春ね~とカラカラ笑う母親の笑い声が聞こえて来た。
◆◆◆
僕の進路の話をしよう。
僕は栄養学を学ぶ大学に進学する事にした。
先生はもっと他の学部に進んだらどうかって説得して来たけど。他にやりたい事が見つからなかったから、僕も譲らなかった。
両親は、僕の決めた進路を全面的に応援してくれた。
ただ、家を出る事に対しては、とても渋られた。
病気が完治したと言っても、僕はまだひ弱…と両親は思ってるからだ。
もう普通に体育のスポーツだって出来る。単に体力が無いだけだ。
それなら、と。
学校は違うけど、たっくんも近くに進学するからと、ルームシェアするのはどうかな?って提案したら、ママとパパは喜んで賛成してくれた。
元々お隣さんだし、ママとパパが仕事で遅い時に一緒に過ごしてたから。僕らの両親にとって、たっくん達家族は親戚みたいなものなんだ。
これで、堂々とたっくんと一緒に過ごせる。
たっくんに熱い告白をされて、僕らは改めて付き合う事になった。
男同士だから、みんなには秘密だ。
だからデートも家デートが多い。
なのに。たっくんは、ハグ以上の事はして来なかった。
僕から迫っても、キスをしようとしても、避けられる。
そんな時、たっくんは真っ赤になるんだ。
これまでの彼女とはどうだったか分からないけど。いくらなんでも奥手すぎるよ!
だから。僕はこのルームシェアが楽しみだ。
「ヒカリ?準備はOK?」
「うん、もう終わった」
「夕食にしまょう」
「はーい」
この部屋とも、明日でお別れだ。
明日はたっくんと一緒のホテルに泊まるんだ。
ふふ、どうやってたっくんを誘惑しようかな?
楽しい気持ちのまま、僕は部屋の扉を閉めた。
たっくんとコウちゃん【高校生編】 完
ーーー
たっくんが自覚した事で、無事に2人は両想いになれました。コウちゃんの想いが実って本当に良かったです。
続きの大学生編は10月下旬に投稿予定です。
2人が大人の階段を昇りますので、これ以降はR18指定となります。
別作品の『壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー』の第三章を本日から始めています。
よろしければ、そちらもお読み頂けたら嬉しいです。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。
高2の初めまで絶望的だったオレの成績は、塾とコウちゃんのお陰で大幅に向上した。
お陰で体育教師になれる学部のある大学へ合格する事が出来た。
春からは4年間、親元を離れて進学する事になった。
ちなみに、高校の悪友達も進路が無事に決まった。
スケはバスケが強い大学へ。
カクは服飾関係の専門学校へ。
イッキは経営学科のある大学へ。
3年仲良くやった奴らとも、卒業と共にお別れだ。落ち着いたら、また会おう。そう言ってみんなで、笑顔で別れた。
「スグル!もう準備おわったのー?」
母さんが階下から声をかけてきた。
「もう、終わるー」
最後の荷物に段ボールテープを貼って、下におりた。
母さんが、お茶とお菓子を準備してくれてた。
「早いわねー。あんな小さかったのに、もう明日家を旅立ちのね」
「大袈裟だな」
新しい新居や入学の準備で、明日オレはこの家を出る。荷物が届くまで、一泊位はホテルの予定だ。
「ヒカリくんにもよろしくね」
「分かった」
「あんた達がどんな関係でも母さんは味方よ」
「ぶふっ!」
盛大にオレは茶を吹いた。
な、何で…?
「何年あんた達見てると思ってるのよ」
中学生の頃、コウちゃんがいなくなって激しく落ち込んだ後、オレは性格がコロッと変わってしまった。
全然笑わないクールな性格になってしまった。でも高校生になって、コウちゃんに再会して。また明るくなったオレを見て、何かを悟ったそうだ。
母恐るべし。
「父さんの説得は任せときなさい」
「は、はい」
「無理やりヒカリくんを手籠にしちゃダメよ?」
「するか!」
手籠って。
手籠って。
いつの言葉?
こっちはまだそれどころかー。
「何?まだキスどまり?」
「し、してない!あ」
「何あんた、まだキスもしてないの?」
「もう、やめてくれよ、母さん!」
オレは恥ずかしくなって、自分の部屋へ逃げ込んだ。
階下から、青春ね~とカラカラ笑う母親の笑い声が聞こえて来た。
◆◆◆
僕の進路の話をしよう。
僕は栄養学を学ぶ大学に進学する事にした。
先生はもっと他の学部に進んだらどうかって説得して来たけど。他にやりたい事が見つからなかったから、僕も譲らなかった。
両親は、僕の決めた進路を全面的に応援してくれた。
ただ、家を出る事に対しては、とても渋られた。
病気が完治したと言っても、僕はまだひ弱…と両親は思ってるからだ。
もう普通に体育のスポーツだって出来る。単に体力が無いだけだ。
それなら、と。
学校は違うけど、たっくんも近くに進学するからと、ルームシェアするのはどうかな?って提案したら、ママとパパは喜んで賛成してくれた。
元々お隣さんだし、ママとパパが仕事で遅い時に一緒に過ごしてたから。僕らの両親にとって、たっくん達家族は親戚みたいなものなんだ。
これで、堂々とたっくんと一緒に過ごせる。
たっくんに熱い告白をされて、僕らは改めて付き合う事になった。
男同士だから、みんなには秘密だ。
だからデートも家デートが多い。
なのに。たっくんは、ハグ以上の事はして来なかった。
僕から迫っても、キスをしようとしても、避けられる。
そんな時、たっくんは真っ赤になるんだ。
これまでの彼女とはどうだったか分からないけど。いくらなんでも奥手すぎるよ!
だから。僕はこのルームシェアが楽しみだ。
「ヒカリ?準備はOK?」
「うん、もう終わった」
「夕食にしまょう」
「はーい」
この部屋とも、明日でお別れだ。
明日はたっくんと一緒のホテルに泊まるんだ。
ふふ、どうやってたっくんを誘惑しようかな?
楽しい気持ちのまま、僕は部屋の扉を閉めた。
たっくんとコウちゃん【高校生編】 完
ーーー
たっくんが自覚した事で、無事に2人は両想いになれました。コウちゃんの想いが実って本当に良かったです。
続きの大学生編は10月下旬に投稿予定です。
2人が大人の階段を昇りますので、これ以降はR18指定となります。
別作品の『壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー』の第三章を本日から始めています。
よろしければ、そちらもお読み頂けたら嬉しいです。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。
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