婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ

秋空花林

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第一部 ここって乙女ゲームの世界らしい

15

「あそこがギルドだぜ」

 ラナに連れられ来たのは、貧民街よりの、かろうじて中央通りに位置する場所だった。

 見るからに荒くれ者達が、絶えず出入りしてる。時には身なりの汚い子供も混じっていた。

 誕生日に昼前から一緒にギルドに行く約束をしていたのに、もうとっくに時間は午後だ。

 朝は離れにお兄様達が来て、昼過ぎに孤児院に着いたら、今度はリッチに盛大に祝われた。

 その後、ついてこようとするリッチをどうにか振り切ってやっとギルドに辿り着いたのだ。

「ラナ、色々ありがとう」
「いいって、いいって。それより早く行こうぜ」

 オレはラナと共にギルドの扉を開けた。



◇◇◇



 無事、ギルドで登録が終えた後。オレ達は子供でも出来る簡単なお手伝いの依頼を1つこなしてから、孤児院へ戻った。

「リア、お帰り。ケガとかしてない?」

 オレの姿を見つけた途端、リッチが駆け寄って来た。犬の耳や尻尾が見えそう。てか、まだいたんだ。

「無事登録して、簡単な依頼を1つ完了させたよ」

 もらったばかりのギルドカードを見せる。スタートはランクFで、依頼をこなす事でランクアップするらしい。

「わぁ、リアも立派な冒険者だね!すごい」

 シレネがキラキラした目でオレのギルドカードを見てくる。シレネは素直で、妹みたいで可愛い。

「僕にも見せて」

 リッチが対抗する様に、身を乗り出して来た。

「僕も来月10歳になるんだ、そしたら僕もー」
「なりません」

 リッチの護衛が即座に反対する。

「何故だ?僕だってみんなとパーティを組んでみたい」
「貴方様はここの平民達とは違います。本来でしたら下々の者達より、貴族間の交流をもっと深めるべきなのですよ?」

 護衛は言い方は嫌味だが、言ってる事は正しい。オレみたいな脱貴族願望があるならまだしも、リッチはここに深入りすぎてる気もする。

「そろそろ迎えの来る時間です。行きましょう」
「…わかったよ」

 護衛に言いくるめられて、リッチも渋々頷いた。最後にオレを見てくる。

「リア。僕、来週は用があってココに来れないんだ」
「そうなのか?ちょうどオレも来週は忙しいんだ」
「そうなんだ。再来週まで君に会えないなんて、寂しいよ」

 何故かギュッと手を握られた。

 え?何この状況?

 ラナやシレネがキラキラした目で何かこっちを見てるし。護衛は射殺さんばかりに睨んでくる。

 ぶんぶん、と手を振ってみたけど、リッチが手を離す様子は無かった。

「………オレもリッチと再来週会えるの楽しみにしてるから、気をつけてな」
「っ!うん分かった。リアも元気でね?」

 大層嬉しそうな笑顔を振りまいて、リッチは帰って行った。

「…何だあれ」
「お前の事が好きなんだろ?」
「リッチはリアにメロメロよね!」
「…は?」

 え?待って。
 
 知らず、頬が熱くなる。

「オレ男って言ったよね?」
「あぁ聞いた」
「愛に性別は関係ないよ!」

 ラナは何でもない様に。シレネは目をキラキラさせて、そんな事を言って来た。

 せ、性別関係あるよね?

 まぁ、でも。よく考えたらさ、リッチは良いとこの貴族ぽいし。護衛もしっかりしてるし。きっとこれ以上、仲良くならなければいいよな?

 なんて。

 そんな風に思ってる時もありました。

 まさか、この1週間後あんな場所で再会するなんてー。



◇◇◇



「ヴィラ。彼が貴方の婚約者のジェード・ネフライト様よ」
「お誕生日おめでとう。ヴィラトリア嬢。初めましてだね。会えて嬉しいよ」
「…………」

 本宅で行われた1週間遅れのオレの誕生日パーティー。

 そこで初めて会ったオレの婚約者は。

 金髪に緑色の瞳をした…リッチだった。
感想 40

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