44 / 75
第三部 乙女ゲーム?高等部編
11
「昼飯どうする?」
「オレ、ちょっと食欲ない」
「そっか、じゃあ、オレ食ってきていい?」
ラナを見送ってから、オレは1人警備室で仕事を続けた。
裏門をチェックしながらも、さっきのスペッサの事を考えていた。
オレはあくまで乙女ゲームのシナリオに沿って、自分が悪役令嬢になって婚約破棄をすればいいと思っていた。
でも、妹の夢を見なくなってから、ここは現実の世界で。オレやこの世界のみんなは、現実を生きてるんだって、実感する様になって。
ただ、必死だった。自分が生き残る為に。
あのまま、令嬢として過ごしていたら、いつか絶対に男だとバレていた。もしかしたら殺されずに済む方法があったかもしれないけど、何かしらの罰は受けなければいけなかったと思う。
それが怖くて。逃げた。
残された人達の事も考えずに。
ジェードとネフリティスはずっとオレを探して。
スペッサは、側近になると言っていた王子や、友人だったジェードを恨んで。
シレネは、いまだに能力がうまく開花してない。
…トンガリ君や、ライバンはどうなったんだろう?
ヴィラの事を大切にしてくれていた2人は、やっぱりスペッサと同じ様に、誰かを恨んでるの?
「リア、どうしたの?」
ふいに声をかけられて、顔を上げると、いつの間かジェードが側に立っていた。
「どうして、ここに?」
「さっき学食でラナに会って。リアの食欲が無いって聞いたから」
そっと、ジェードはオレのおでこに手を添えて、熱は無いな、と呟いてる。
その姿が、少しずつ滲んでいく。
「何で泣いてるの?」
「ジェード…ごめんな」
あの時、婚約破棄したのはオレの我儘なのに。
きっと、あの後、みんなに責められた筈だ。
スペッサみたいに、恨みを買ったやつもいるかもしれない。
「何で、謝るの?」
少し屈んで、オレに目線を合わせてくる。
昔から変わらない、美しい緑の瞳がオレを見つめてる。
全部、言ってしまいたい。
オレがヴィラトリアだって。
生きてるって。
そして、謝りたい。
迷惑をかけたって。
でも。
言える訳ない。
だからせめて。リアとしては誠実でありたい。
「…あの時、黙って出てって悪かったな」
「……」
「怖かったんだ。リッチに引き止められたら、迷ってしまいそうで」
「…っ。じゃあ、僕が行かないでって言ったら、やめてくれてた?」
「……あの時、オレは事情があってどうしても旅に出ないといけなかったんだ」
ジェードが必死にオレの顔を覗き込む。
「事情て何?旅に出ないといけなかった理由って」
「ごめん、それは言えない」
暫く無言でオレの表情を見て。何かを覚悟した様に、ジェードが尋ねてきた。その声は微かに震えていた。
「もう、どこにも行かない?」
「…………約束は、出来ない」
嘘は吐きたく無かった。
情報収集できたら、オレは隣国に戻る。そしたら、もうこの国に戻るつもりは無い。
オレの言葉や雰囲気から何かを察したのか。ジェードは、もうそれ以上は何も言わず帰って行った。
ラナが戻って来てから、再び交代で見張りと剣の稽古を行う。午前中より集中したせいか、日が暮れるのはあっという間だった。
「オレ、ちょっと食欲ない」
「そっか、じゃあ、オレ食ってきていい?」
ラナを見送ってから、オレは1人警備室で仕事を続けた。
裏門をチェックしながらも、さっきのスペッサの事を考えていた。
オレはあくまで乙女ゲームのシナリオに沿って、自分が悪役令嬢になって婚約破棄をすればいいと思っていた。
でも、妹の夢を見なくなってから、ここは現実の世界で。オレやこの世界のみんなは、現実を生きてるんだって、実感する様になって。
ただ、必死だった。自分が生き残る為に。
あのまま、令嬢として過ごしていたら、いつか絶対に男だとバレていた。もしかしたら殺されずに済む方法があったかもしれないけど、何かしらの罰は受けなければいけなかったと思う。
それが怖くて。逃げた。
残された人達の事も考えずに。
ジェードとネフリティスはずっとオレを探して。
スペッサは、側近になると言っていた王子や、友人だったジェードを恨んで。
シレネは、いまだに能力がうまく開花してない。
…トンガリ君や、ライバンはどうなったんだろう?
ヴィラの事を大切にしてくれていた2人は、やっぱりスペッサと同じ様に、誰かを恨んでるの?
「リア、どうしたの?」
ふいに声をかけられて、顔を上げると、いつの間かジェードが側に立っていた。
「どうして、ここに?」
「さっき学食でラナに会って。リアの食欲が無いって聞いたから」
そっと、ジェードはオレのおでこに手を添えて、熱は無いな、と呟いてる。
その姿が、少しずつ滲んでいく。
「何で泣いてるの?」
「ジェード…ごめんな」
あの時、婚約破棄したのはオレの我儘なのに。
きっと、あの後、みんなに責められた筈だ。
スペッサみたいに、恨みを買ったやつもいるかもしれない。
「何で、謝るの?」
少し屈んで、オレに目線を合わせてくる。
昔から変わらない、美しい緑の瞳がオレを見つめてる。
全部、言ってしまいたい。
オレがヴィラトリアだって。
生きてるって。
そして、謝りたい。
迷惑をかけたって。
でも。
言える訳ない。
だからせめて。リアとしては誠実でありたい。
「…あの時、黙って出てって悪かったな」
「……」
「怖かったんだ。リッチに引き止められたら、迷ってしまいそうで」
「…っ。じゃあ、僕が行かないでって言ったら、やめてくれてた?」
「……あの時、オレは事情があってどうしても旅に出ないといけなかったんだ」
ジェードが必死にオレの顔を覗き込む。
「事情て何?旅に出ないといけなかった理由って」
「ごめん、それは言えない」
暫く無言でオレの表情を見て。何かを覚悟した様に、ジェードが尋ねてきた。その声は微かに震えていた。
「もう、どこにも行かない?」
「…………約束は、出来ない」
嘘は吐きたく無かった。
情報収集できたら、オレは隣国に戻る。そしたら、もうこの国に戻るつもりは無い。
オレの言葉や雰囲気から何かを察したのか。ジェードは、もうそれ以上は何も言わず帰って行った。
ラナが戻って来てから、再び交代で見張りと剣の稽古を行う。午前中より集中したせいか、日が暮れるのはあっという間だった。
あなたにおすすめの小説
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
推しの為なら悪役令息になるのは大歓迎です!
こうらい ゆあ
BL
「モブレッド・アテウーマ、貴様との婚約を破棄する!」王太子の宣言で始まった待ちに待った断罪イベント!悪役令息であるモブレッドはこの日を心待ちにしていた。すべては推しである主人公ユレイユの幸せのため!推しの幸せを願い、日夜フラグを必死に回収していくモブレッド。ところが、予想外の展開が待っていて…?
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?