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最終章 いつの間かBLの世界だってさ
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戦いは人間側が優勢だった。
旧校舎側から複数の獣が集まってから倒し、その後また数が一定になるまで休息する。それを繰り返した。
戦いが始まってすでに数刻。
まだ聖職者達が集う様子は無い。彼らが到着すれば共に森へ進行する予定だ。
何度か前線に立ったオレは、ラナと共に回復薬を飲みながら休んでいた。
そこにライバンとギルド長がやって来た。
「皆よくやってくれた!次は騎士団が出るから暫く休んでていいぞ。報酬も割り増しだそうだ!」
ギルド長の言葉にみんなから歓声が上がる。
何が嬉しいって? そりゃ金でしょ!
オレも嬉しくてホクホクしていると、何人かの冒険者達が近寄って来た。
「リア坊~。臨時収入でオレと一晩どうだ?」
「はあ!?」
「いつも帽子被ってたから知らなかったけど、こんな可愛い顔してるなんてな~」
いつの間にか屈強な男達に囲まれている。怖くは無いけどむさ苦しい!
おい、ラナ助けろ!と叫ぶ前に。オレは誰かに腕を掴まれて、囲いから抜け出していた。
オレを掴む逞しい腕が見えて。視線を上に向けると、澄んだ水色の瞳とぶつかった。ライバンだった。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとう、ございます」
「……そろそろシレネが来るかもしれん。ついて来い」
「は、はい。おいラナ!お前も来い」
オレとラナはライバンの後に続いた。
着いたのは騎士調査団が拠点にしてる場所だった。すぐ側にあった魔術師団の拠点にいたスペッサが、オレを見ると険しい顔をして近寄って来た。
「ライバン兄様!何でコイツがここにいるの!?」
「シレネと会わせる約束をした。もうすぐ到着するからここで待機させる」
「な、なんで!?」
スペッサが驚愕して、オレを睨みつけた。
「今度はライバン兄様まで!何で!?どうやってたらし込んだのさ!」
「わ、くるし…」
スペッサがオレの襟首を掴んで締め上げる。背はオレの方が高いのに、怒りのせいか容赦ない力だった。
「やめてください!」
「スペッサやめろ!」
ラナとライバンが慌てて引き離してくれた。オレは首を絞められた影響で咳き込んだ。
「何で?何でライバン兄様までソイツ庇うの?ソイツはー」
スペッサは全部の言葉を言えなかった。途中で、地鳴りが聞こえて足元が激しく揺れ出したからだ。
まるで地を割って、何かが出て来る様な、地響きがした。オレ達も地面の激しい揺れに立っていられなくて、座り込む。
揺れが収まった時、誰かが叫んだ。
「おい、何だあれ!」
騎士の1人が指差した方向を見ると、暗闇の中にぼんやり浮かび上がる何かが見えた。
そいつは森の中に鎮座する大きな何かだった。
すぐにそれを調査、という訳にはいかなかった。
空から陸から、凶暴化した生き物が次々と森から出て来たからだ。
怪しい地響きがして、怪しい何かが現れて数時間後。気づけば、冒険者、騎士、魔術師関係なく全員総力戦になっていた。
「シレネはまだですか!」
「日の出には到着する筈だ!」
ライバンの声に空を見る。いつの間にか、空は少しずつ明るくなって来た。
各地から聖職者達も到着しているが、ほんの少し獣が弱くなる程度でほとんど役に立たない。きっとあのデカいヤツが悪しきエネルギーを放出してるんだ。
幸いまだ死者はいないみたいだが、怪我人はチラホラ出て来ている。気力や体力が続くとも思えない。学生達のほとんどは既に避難させられている筈なのに…。
そんな中、信じられない姿を見つけた。
「ロード様、スペッサ様!何でまだいるんですか!」
戦ってるメンバーの中にまだ学生の2人を見つけた。慌てて駆け寄る。
「俺達は臨時でも調査団だからな。必要なら残る」
「…ほっといてよ。僕、君のこと嫌いなんだ」
…スペッサには相当嫌われたみたいだ。
代わりにライバンが2人に声をかける。
「ロード、スペッサ。お前達も避難しろ」
「しかし…!」
「ライバン兄様、何で? ライバン兄様もその子がいいの?何で僕じゃダメなの?」
「…スペッサは何を言ってるんだ?」
ライバンが来て余計にこじれた。
もうほっておこう、とオレはラナを誘って場所を移動する。こんなクソ忙しい時に構ってられるか!
そろそろ完全に夜が明ける。その時に、正門側から声が聞こえてた。
「聖なる乙女が到着したぞ!」
旧校舎側から複数の獣が集まってから倒し、その後また数が一定になるまで休息する。それを繰り返した。
戦いが始まってすでに数刻。
まだ聖職者達が集う様子は無い。彼らが到着すれば共に森へ進行する予定だ。
何度か前線に立ったオレは、ラナと共に回復薬を飲みながら休んでいた。
そこにライバンとギルド長がやって来た。
「皆よくやってくれた!次は騎士団が出るから暫く休んでていいぞ。報酬も割り増しだそうだ!」
ギルド長の言葉にみんなから歓声が上がる。
何が嬉しいって? そりゃ金でしょ!
オレも嬉しくてホクホクしていると、何人かの冒険者達が近寄って来た。
「リア坊~。臨時収入でオレと一晩どうだ?」
「はあ!?」
「いつも帽子被ってたから知らなかったけど、こんな可愛い顔してるなんてな~」
いつの間にか屈強な男達に囲まれている。怖くは無いけどむさ苦しい!
おい、ラナ助けろ!と叫ぶ前に。オレは誰かに腕を掴まれて、囲いから抜け出していた。
オレを掴む逞しい腕が見えて。視線を上に向けると、澄んだ水色の瞳とぶつかった。ライバンだった。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとう、ございます」
「……そろそろシレネが来るかもしれん。ついて来い」
「は、はい。おいラナ!お前も来い」
オレとラナはライバンの後に続いた。
着いたのは騎士調査団が拠点にしてる場所だった。すぐ側にあった魔術師団の拠点にいたスペッサが、オレを見ると険しい顔をして近寄って来た。
「ライバン兄様!何でコイツがここにいるの!?」
「シレネと会わせる約束をした。もうすぐ到着するからここで待機させる」
「な、なんで!?」
スペッサが驚愕して、オレを睨みつけた。
「今度はライバン兄様まで!何で!?どうやってたらし込んだのさ!」
「わ、くるし…」
スペッサがオレの襟首を掴んで締め上げる。背はオレの方が高いのに、怒りのせいか容赦ない力だった。
「やめてください!」
「スペッサやめろ!」
ラナとライバンが慌てて引き離してくれた。オレは首を絞められた影響で咳き込んだ。
「何で?何でライバン兄様までソイツ庇うの?ソイツはー」
スペッサは全部の言葉を言えなかった。途中で、地鳴りが聞こえて足元が激しく揺れ出したからだ。
まるで地を割って、何かが出て来る様な、地響きがした。オレ達も地面の激しい揺れに立っていられなくて、座り込む。
揺れが収まった時、誰かが叫んだ。
「おい、何だあれ!」
騎士の1人が指差した方向を見ると、暗闇の中にぼんやり浮かび上がる何かが見えた。
そいつは森の中に鎮座する大きな何かだった。
すぐにそれを調査、という訳にはいかなかった。
空から陸から、凶暴化した生き物が次々と森から出て来たからだ。
怪しい地響きがして、怪しい何かが現れて数時間後。気づけば、冒険者、騎士、魔術師関係なく全員総力戦になっていた。
「シレネはまだですか!」
「日の出には到着する筈だ!」
ライバンの声に空を見る。いつの間にか、空は少しずつ明るくなって来た。
各地から聖職者達も到着しているが、ほんの少し獣が弱くなる程度でほとんど役に立たない。きっとあのデカいヤツが悪しきエネルギーを放出してるんだ。
幸いまだ死者はいないみたいだが、怪我人はチラホラ出て来ている。気力や体力が続くとも思えない。学生達のほとんどは既に避難させられている筈なのに…。
そんな中、信じられない姿を見つけた。
「ロード様、スペッサ様!何でまだいるんですか!」
戦ってるメンバーの中にまだ学生の2人を見つけた。慌てて駆け寄る。
「俺達は臨時でも調査団だからな。必要なら残る」
「…ほっといてよ。僕、君のこと嫌いなんだ」
…スペッサには相当嫌われたみたいだ。
代わりにライバンが2人に声をかける。
「ロード、スペッサ。お前達も避難しろ」
「しかし…!」
「ライバン兄様、何で? ライバン兄様もその子がいいの?何で僕じゃダメなの?」
「…スペッサは何を言ってるんだ?」
ライバンが来て余計にこじれた。
もうほっておこう、とオレはラナを誘って場所を移動する。こんなクソ忙しい時に構ってられるか!
そろそろ完全に夜が明ける。その時に、正門側から声が聞こえてた。
「聖なる乙女が到着したぞ!」
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