主にショートのいろんな小話集【R18版】

エウラ

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6ー1【訳あり騎士は囲われる(仮)】真面目(風)イケメン騎士団長攻め×真面目美人騎士受け(受けイラストあり)

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【異世界、魔法あり。季節は四季がある。人当たりのいい(猫かぶり)年上イケメン騎士団長攻め×訳あり真面目年下美人騎士受け。女性もいる世界。同性婚も普通。ここまで書いててタイトルがしっくりせず(仮)ですみません】
受けイラスト(眼帯代わりのバンダナなし)





俺はサイカ。生家はちゃんと家名もある高位貴族だったが、生まれた瞬間にその両親に捨てられた。
出生届すら出されなかった。俺は死産として処理されたそうだ。

それを知ったのは、俺の養母の死に際のとき。

十五になっていた俺は、捨て子だった俺を実子のように育ててくれた養母が病床で最後に教えてくれたその話を、正直、信じていなかった。

俺の生家の使用人だったという養母いわく、俺の家門は特殊で、生まれてくる子供には、身体のどこかに家紋が現れるという。それがその血筋が受け継ぐ特殊な能力を持つ証なのだと。
それが生まれたばかりの俺のどこにも見当たらず、両親は俺を出来損ないと見限って、死産扱いにしたのだという。

実際、用意されていた立派なお包みではなく、色褪せたボロボロの生成りの布地で包んで、教会の墓地の前に捨て置かれたそうだ。

たまたまそのとき、婚姻のために、仕えていたその家から辞職し故郷に帰る養母がその様子を隠れて見ていた。
そして誰もいなくなったことを確認して、俺を抱えてこっそり故郷に連れ帰り、養子として育てたと。

幸いにもかなりの田舎で、貧しいが気のいい男爵家だった養母の家族は、領地の領民達と家族ぐるみの生活で人望が厚かった。
王都から、誰とも知れない乳飲み子を拾って帰った養母も俺も、喜んで受け入れてくれた。

彼女の許嫁だという平民の男も受け入れてくれて、婚姻して婿入りし、実の父のように可愛がり育ててくれた。
やがて二人に子ができ、直系の跡取りになる嫡男が生まれても、それは変わらず。

だから俺は、自分の生まれや実の両親なんか、全く気にすることもなく生きてきたんだが。

『聞いたからって、別に何もしなくていいの。ただ、あなたのルーツを知っていて欲しくて。自分が知らなかったせいで、トラブルになったり辛く嫌な思いをしないで欲しくて』

──愛してるわ。大切な私の子。そう言って微笑んで、眠るように逝った養母。

俺の名前を付けてくれた、日だまりみたいな優しい養母。

『サイカってね、才華って意味なのよ。才能に溢れるあなたにピッタリでしょ』

捨てられた出来損ないの俺にそんな大層な名前をくれた養母を喜ばせたくて、独学で剣と魔法を鍛え、できうる限りの勉強もした。
家の後継には男爵家の実子である義弟がいるから大丈夫だろうと、王都の騎士団への入団試験を受け、見事に合格したときに発覚した養母の病。

すでに手遅れで、長くはないと。

これから親孝行をしようとした矢先の悲痛な出来事。それでも養父を始め、領民達全員が騎士団入団を喜んでくれた。

それから養母が儚くなるまでは、あっという間だった。

養母の葬儀を終えた俺は、入団式まで間がなかったため、あとを養父と義弟、義祖父母達に任せて、すぐに入団予定の王都の第三騎士団の詰め所に向かった。

城の正門にいる兵士に第三騎士団の入団許可証を見せると、一人が確認をして事務員らしい文官に言付ける。すると、少しして第三騎士団の団章を襟元に付けた二十代後半くらいの男の人がやって来た。
明るい金髪を後ろで三つ編みにしていて、ちょっと垂れ目な翡翠色の瞳が優しげな雰囲気を醸し出している。

「やあ、君が今回入団予定の最後の一人だね。私はリオール・スナミナス。第三騎士団の事務官だよ。サイカ・オリエールくんであってるかな?」

かけられた声も柔らかで、人当たりがよさそうな感じだ。
俺は自己紹介をして頭を下げた。

「はい。サイカ・オリエールです。遅くなりまして、申し訳ありません」
「いえ、聞いてますよ。お母君が亡くなられたとか。残念でしたね。ご葬儀は──」
「済ませました。それでギリギリに……すみません」
「とんでもない。気を落とさず、これから第三騎士団で頑張って下さいね」
「ありがとうございます」

じゃあ、行きましょうかと先導するリオールのあとに続いて城の中の城壁に沿って歩く。

騎士団の詰め所は王城の敷地内にあるが、王都の城壁外に行くことの多い第三騎士団は、城の北側、魔物の出現が多い森により近い場所に配置されていて、城の正門からぐるりと迂回して移動しなくてはならない。

出陣するときは裏門にあたる北門から行くので、最短でいけるのだが、城下街への出入りは移動距離があって面倒らしい。
だから第三騎士団員は正門に行かずに北門から出入りすることがほとんどなのだとか。

騎士団は第一から第三まであり、第一は近衛騎士団と共に王侯貴族や外国の貴賓達の警護を、第二は王都内の警備が主な仕事で、この二つは大半が貴族出身だ。
そして第三は主に魔物の討伐だった。

魔物相手だから、平民も多く、貴族も下位の子爵や男爵家。しかし相応の実力がないと合格できない。騎士団も、役立たずに割く人も時間も金もないのだ。最初から使える人材でなければいけない。ゆえに、第三騎士団は少数精鋭の騎士団なのだ。

そんなところに入団試験を受けにきたときの、俺に対する第三騎士団の騎士達の反応は何とも言えなかった。

俺は、第三騎士団の宿舎に案内されながら、入団試験を受けに来たときのことを回想した。


◇◇◇


───今から一月前のこと。

定期的に行われる第三騎士団の入団試験は、年に二回、春と秋にある。今は秋だ。
第一と第二は一般人の募集がないため、俺みたいな下位の貴族や平民が騎士になるためには、第三騎士団のこの試験を受けなければならない。

募集要項としてはシンプルで、この国での成人である十五になっていること。持病がないこと。身元保証人がいること。それくらいだ。

身元保証人は、過去にスラムの生活に嫌気がさして、衣食住を求めて入団して命を落とすというヤツが多数いたり、そんな彼らを肉壁に使うような不心得者に対応するために、新たに設けられたものらしい。
それに、怪我で勤められなくなった場合や亡くなったときの連絡先にも使われる。
このおかげで、そういう応募者も減り、結果亡くなる者も減ったが、常に人材不足というわけだ。

俺は当然、養父母の家が身元保証人だし、持病もない……んだが。

「えーと、サイカ・オリエールくん? その、左目は……」
「ああ、はい。生まれつき、ちょっと……。でも戦闘に支障はないです」

そう、実は俺の左目は、ちょっと普通じゃなかったんだ。それでいつも眼帯を付けているんだけど。
もちろん、見えないとか視力が低いとかの理由ではない。
ただ、眼帯を付けていると、結局左側が死角になるから、それで入団試験に支障があるかもしれないなとは思っていた。

「そう、なんだ? えっと、どうしようかな? 誰かに──」
「──どうした?」

俺もマズいかな、と不安になったとき、第三者の声が後ろから聞こえて驚く。
気配なく背後を取られた。思わず横に飛び退くと、その人は一瞬目を瞠ったあと、笑った。
プラチナブロンドの短髪に、碧い切れ長の瞳で二十代前半くらいに見える。かっちりした、高そうな団服が、一騎士ではないことを物語っている。

「驚かせてすまない。私は第三騎士団団長のウォルフガング・ディザードだ。何やら困っているようだったんでな。何かあったのか──って、見れば分かるか」
「団長! ええ、オリエールくんの左目のことでちょっと……」

やっぱり。しかも団長って……。暇じゃないだろうに、なぜここに?

受付の騎士が敬礼をしようとしたのを手で制して、おそらく俺の問題点をどうするか、団長が考え込んだ。

「──ふむ。じゃあ、えっと、オリエールくん。ちょっと別室で話を聞かせてもらってもいいかな?」
「あー、はい。構いませんけど」
「じゃあ、君は引き続き、受付を頼む。オリエールくんはこっちね」

そう促されてついていくと、そこはなぜか団長室で、中には団長と同じような服装で、おそらく副団長だろう男の人がいた。

「おい、ウォルフ。どこに行ってたんだよ。それにその子、誰だ?」
「今日の入団試験に来た子だよ。訳ありっぽいから連れてきた。あ、この男は副団長で、スコーピオ・ロマネスね」
「ああ、雑な紹介通り、副団長のスコーピオ・ロマネスだ。よろしく」
「よろしくお願いします。サイカ・オリエールです」

やっぱり副団長だった。黒髪を後ろで縛っていて、ちょっとつり目の薄い紫色の瞳で、二十代後半くらいの男の人。
戸惑いつつも、お互いに自己紹介をすると、団長がソファを勧めてきたので座る。
二人も向かい側のソファに座ると、早速俺の眼帯の話になった。

「ふむ、資料を見たところ、特に怪我で見えないとか元々見えないとかではないんだな? 傷を隠しているわけでもない、と」
「はい。家族からは、人前では外さないようにと言われていまして」

ぱっと見ならヘンに思われないらしいんだけど、よく見ると、あることに気付かれるんだ。だからなるべく隠せって言われている。
家族以外は知らないし、理由も濁されているけど。

「うーん。身元保証人はオリエール男爵家か。君、養子なの?」

団長が、受験者の資料を捲りながら、穏やかに聞いてくる。
この人、団長っていうわりに、威厳とか堅苦しいところがなくてすごく人当たりがいいな。

「ええ。捨て子だった俺を養子にして、実の子同然に育ててくれたんです。だから騎士団に入って、恩返し……親孝行がしたいんです。あの、実技試験で問題ないことを証明します。だから、その」

書類選考の時点で弾かないで欲しい。そう思って、ジッと団長を見つめていると、団長が口を開いた。

「今その眼帯を取って、私達に見せることは可能かい?」
「えーと、家族からは信頼できる人ならいいと言われているんですが、あの、もしお見せして、やっぱり試験は受けられないとなったときに困ります」

他言無用とお願いしても、こっちは田舎の貧乏男爵。団長達はおそらく、高位の貴族だろうから、約束を守らなくても何も言えない。
義家族に不利益なことになるのは避けたい。

「それはそうだな。ヨシ、その目が何であれ、試験は受けてもらおう。実力主義の第三騎士団だからな。頑張ってくれ。とりあえず、今は他言無用にしよう。というわけで見せてもらえるかい?」
「……はあ、分かりました」

なんか上手く乗せられた気がするけど、試験を受けられるならいいか。
それに俺の直感が、彼らは善だと言っている。警戒は必要だが、信用できると。
だから、見せてもいいかな。

俺は眼帯の結び目に手をかける。眼帯と言っているが、俺の場合は左目から頬の辺りまでをバンダナのような布でぐるっと覆っているので、顔半分が隠れているようなものだった。
だからか、布を取り払った顔を初めて見た二人は、息を飲んだようだった。

──うん、自分じゃ気にしたことないんだけど、どうやら俺の顔は美人と言われる類いの顔らしい。
それもあって、わざと大きく、バンダナで隠せと言われているんだ。

晒された左目は、前髪を長くして隠しているから、よく見えるように手でかき上げて押さえる。二人とも食い入るように見ていたが、ふと、団長が動いて、俺の目の前に来てギョッとする。

反射的に顔を後ろに反らそうとして、大きな手で頬を掴まれて、動けなくなった。
そしてさらに、左目を覗き込む。俺は瞬きを忘れて、至近距離の団長の顔を見つめるしかなかった。

「……これは……すごいな」

そう呟きながら、団長の右手の親指が、俺の左目の目尻にある泣きぼくろを撫ぜたような気がして、ボッと顔が熱くなった気がした。

いやいやいや、何でこんなに色っぽいんだ、この人!?

若干パニックになっていると、副団長も寄ってきて、ジッと左目を覗き込んできて、美麗なイケメン騎士二人に迫られているようで、俺はどうしていいか分からず、涙目になって震えた。

「……あの、もう、いいですか?」
「──ッ! すまない。つい……。もう大丈夫だ。ありがとう。眼帯を戻していいよ」
「はい」

急いで元のようにまき直すと、コホンと咳払いした団長が言った。

「確かにその目は珍しいが、今のように覗き込んでジッと見なければ分かりづらいとは思う。あとは、何かでその目に変化は出るのかい?」
「あ、えーと、魔法を使うときにうっすらと発光するみたいです。だから隠さないと目立つようです」
「そうか。これは提案なんだが、今日、合格したら、特殊な魔法を付与した眼帯、ええと、バンダナを支給するから、次からはそれを使ってくれるかい?」
「え、いいんですか? そんなの、こちらからお願いしたいです! ありがとうございます、俺、頑張りますね!」
「うん、ぜひ一発合格してくれ。じゃあ、試験会場へ案内させよう」

そう言って団長は別の騎士を呼んで、俺に退室の許可を出す。
俺はもう一度、振り向いてお辞儀をして、案内係の騎士のあとを、ルンルン気分で着いていった。

俺がいなくなったそのあと、二人が深刻な顔で話し合っていることも知らずに。

「絶対、合格してやるぞ!」

待っててね、義母さん、義父さん達!







一方、サイカの去った第三騎士団団長室。

「───まずいぞ、。最初に顔を見たときは目を疑ったが。あんな見事な銀髪と銀の瞳は、あの家の血筋でも、見たことがない」
「……まさか入団試験ここで目にすることになるとは……。あの噂は本当だったんだな」
「私は早急に動かねば。ああ、彼の試験の時は立ち合いたいから、ちょっと時間をずらせ、スコーピオ」
「分かった。では俺は試験会場へ向かう。そちらも上手くやってくれよ」
「任せろ」

そんなやり取りが密かに行われていた。










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