【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ

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バザー開催 3

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気まずい空気になったが、気を取り戻したルカが積極的に声をかけ出して、結果、大勢の住民が訪れてお昼を過ぎた頃に完売となった。

「「「ありがとうございました---!」」」

和やかに帰って行く最後のお客さんに皆で声をかけ、子供達はわいわいがやがや。

「凄いね! こんなに早く完売しちゃった!」
「うんうん。きっとルカ様のおかげだね!」
「「手伝ってくれてありがとう!!」」

子供達が皆して集まって来て僕に御礼を言う。

「そんな・・・僕だけじゃ無くて皆で頑張ったからだよ」
「・・・そうかな?」
「そうだよ。だって、僕は今日、飛び入り参加だったんだよ? お客さんはそんなこと知らないのに、最初からたくさんの人が集まってきてた。皆、バザーを楽しみにしてるんだなって思ったよ」
「そっか・・・!」
「うん。また来月やるんでしょ? 僕もまた来て良いかな?」
「「「「もちろん!!」」」」

そういってからヒューズ達を見ると、うんうん頷いているから大丈夫なんだろう。
良かった。

その後の片付けも手伝ってから皆で遅い昼御飯を食べることになった。

何時用意したのか、マジックバッグにたくさんの料理が入っていて、ヒューズ達が孤児院のテーブルに載らないくらいの量を並べていてびっくりした。

「今日は辺境伯家の料理人が腕を振るったご馳走だよ。遠慮なく食べてね」
「ありがとうございます」
「「「「ありがとうございます!」」」」
「お腹ペコペコ!」
「はいはい、お祈りをしましょうね」

席に着いたところで、アルカエラ神様にお祈りをする。

〈たくさん食べて、大きくなってね! ルカはそのままでね!〉

そんな声が聞こえて、皆は固まった。

「そのままでってどう意味ですか、アルカエラ神様---!!」

ルカの叫びにハッとしたが、すでにアルカエラ神の声は消えていた。
ルカだけが『酷い・・・ううん、僕、そんなに小さくないもん。大きくならなくてもいいもん』なんてブツブツ小声で呟いていたが、周りにはしっかり聞こえていてちょっと同情的になった。

けっこう気にしてたんだね。
ごめんなさい。

子供達も悪気は無かったがけっこう心を抉っていたんだなと、特に歳の大きい子は反省していた。
小さい子はよく分からないながらもルカに料理を分けてあげていた。

「たくさん食べて大きくなってね」
「・・・ふぐっ・・・うん、ありがとう」

情けない顔で御礼を言いながら、頑張って自分の皿を綺麗にするべく、黙々と口を動かしたのだった。


頑張って仕事をしてお腹一杯になると、当然、眠くなる。

「「「「おやすみなさい」」」」
「うん。おやすみ。またね」

半分夢の中の子供達と別れると、ルカ達も馬車に乗り込んだ。

「・・・ルカ?」
「・・・・・・んー・・・」

ルカも気が抜けたのか、船を漕いでいる。
頭がカクカク揺れる。

「・・・・・・」

返事をする間もなく眠ってしまった。

だが、その顔は満足そうだ。

「楽しかったんだな」
「連れて来て良かった」
「これからも色々と連れて行って見せてあげよう。ルカはまだまだ遠慮するからな」
「そうだね。強引なくらいが良いかも」
「今日はゆっくり休ませてやれよ?」
「・・・・・・善処する・・・」

ヒューズの目線があらぬ所を見つめて泳いだ。

善処する気無いな。

ダグラスとイライアスは顔を見合わせて溜息を吐いた。






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