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21 ネタバレからの八つ当たり 2
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「ねえ、アル。この辺り、どうかな」
俺は依頼ボートのAランクを吟味してから、アルに聞いてみた。
指し示したのは、ここから西にある迷宮と呼ばれる魔物の巣。
セイウーチ国は聖女の力で発生しないらしいが、他国では時々、大きな魔力の塊によって異次元化した迷宮という物が生まれるんだそうな。
規模によっては魔物の大量発生の危険があるため、発見次第、国と冒険者ギルドで対策をして、魔導具で出入り口を封鎖して管理するそうだ。
冒険者ギルドは一定レベルの冒険者達を迷宮に出入りさせ、討伐や素材採集などをさせて迷宮内のガス抜きをする。
冒険者は危険が伴うが、ドロップ品や依頼で実入りのいい迷宮をおおむね歓迎しているそうだ。
迷宮は大体が何階層かで構成された迷路で、内部の魔物は倒してもしばらくすると復活して、絶対ではないが倒すと何かしらのアイテムをドロップする。
宝箱や鉱石、薬草、食材などもあって、やはり時間を置いて復活するという謎現象。ゲーム仕様かって思ったね。
前世の俺からしたら、これぞまさにファンタジー! ワクワクするよな!
聖女時代に教養という名の元、あらゆる知識をぶち込まれて大変だったが、こういうのは楽しくて寝不足と戦いながら率先して覚えたもんだ。
いつか、聖女でなくなったら行ってみたい場所No.1だったところ。
そこで採取できる『星の欠片』を納品するという依頼票。それをアルに聞いてみたわけ。
ただ、問題は──。
「俺、迷宮って行ったことないからさ、どういう感じなのかなって。あと、圧倒的にドロップ品や採集するものの知識が足りてない」
そもそも聖女に不必要だったし、深掘り出来るような時間もなかったから、実際に冒険者稼業をする中で知ったものも多い。
「それはまあ、仕方ないだろう。かく言う俺も、迷宮にはさすがに入ったことがないから、詳しいことはギルド職員に聞くか」
「そうだな、それが一番いいな。じゃあ、コレ持って受付で聞いてみよう」
ベリッと剥がして、アルと受付に行き、職員に尋ねる。
「あ、焦げ付いてる依頼ですね。受けていただけるんですか? 助かります。もうずっと誰も受けてくれなくて」
え、焦げ付いてる? つまりだいぶ前から放置されてる依頼ってことか。マジか。
「すみません、俺達、迷宮って初めてで。入るのに必要不可欠なものとか、情報があれば教えて欲しいんだけど」
「あと、迷宮内の採集物などの情報が欲しい。依頼を受けるのにアレだが、この『星の欠片』というのはどういったものなんだ?」
「! ああ、そうですよね。他所からいらして初めての方も多いですので、今までで分かっている分になりますがガイドブックがあります。そちらを一度、熟読いただければ。ええと、一部で銀貨一枚になりますが」
「ああ、助かる。じゃあ一部お願い」
ちなみに銀貨一枚は一〇〇〇Gで、日本円でまんま一〇〇〇円の価値。銅貨は一〇〇円で金貨は一〇〇〇〇円な。分かりやすくて助かる。十進法なのも計算しやすくていい。
ただ、この世界の物価はめちゃくちゃ低いので、銀貨一枚でも4人家族がひと月は暮らせる額で、庶民にはガイドブックはかなりお高いものだ。
もっともそんなものが必要なのは冒険者だけで、迷宮に出入りできる冒険者ランクもB以上。Bランクともなればそこそこ稼ぎはいい。購入なんて余裕だろう。
そういうわけで、依頼を受けたあとガイドブックに目を通そうと、ギルド内に併設されている酒場に向かった。
うん? 呑むんじゃないからな?
席が欲しかっただけだ。
※冒険者シャツ稼業→冒険者稼業
誤字ってました。
俺は依頼ボートのAランクを吟味してから、アルに聞いてみた。
指し示したのは、ここから西にある迷宮と呼ばれる魔物の巣。
セイウーチ国は聖女の力で発生しないらしいが、他国では時々、大きな魔力の塊によって異次元化した迷宮という物が生まれるんだそうな。
規模によっては魔物の大量発生の危険があるため、発見次第、国と冒険者ギルドで対策をして、魔導具で出入り口を封鎖して管理するそうだ。
冒険者ギルドは一定レベルの冒険者達を迷宮に出入りさせ、討伐や素材採集などをさせて迷宮内のガス抜きをする。
冒険者は危険が伴うが、ドロップ品や依頼で実入りのいい迷宮をおおむね歓迎しているそうだ。
迷宮は大体が何階層かで構成された迷路で、内部の魔物は倒してもしばらくすると復活して、絶対ではないが倒すと何かしらのアイテムをドロップする。
宝箱や鉱石、薬草、食材などもあって、やはり時間を置いて復活するという謎現象。ゲーム仕様かって思ったね。
前世の俺からしたら、これぞまさにファンタジー! ワクワクするよな!
聖女時代に教養という名の元、あらゆる知識をぶち込まれて大変だったが、こういうのは楽しくて寝不足と戦いながら率先して覚えたもんだ。
いつか、聖女でなくなったら行ってみたい場所No.1だったところ。
そこで採取できる『星の欠片』を納品するという依頼票。それをアルに聞いてみたわけ。
ただ、問題は──。
「俺、迷宮って行ったことないからさ、どういう感じなのかなって。あと、圧倒的にドロップ品や採集するものの知識が足りてない」
そもそも聖女に不必要だったし、深掘り出来るような時間もなかったから、実際に冒険者稼業をする中で知ったものも多い。
「それはまあ、仕方ないだろう。かく言う俺も、迷宮にはさすがに入ったことがないから、詳しいことはギルド職員に聞くか」
「そうだな、それが一番いいな。じゃあ、コレ持って受付で聞いてみよう」
ベリッと剥がして、アルと受付に行き、職員に尋ねる。
「あ、焦げ付いてる依頼ですね。受けていただけるんですか? 助かります。もうずっと誰も受けてくれなくて」
え、焦げ付いてる? つまりだいぶ前から放置されてる依頼ってことか。マジか。
「すみません、俺達、迷宮って初めてで。入るのに必要不可欠なものとか、情報があれば教えて欲しいんだけど」
「あと、迷宮内の採集物などの情報が欲しい。依頼を受けるのにアレだが、この『星の欠片』というのはどういったものなんだ?」
「! ああ、そうですよね。他所からいらして初めての方も多いですので、今までで分かっている分になりますがガイドブックがあります。そちらを一度、熟読いただければ。ええと、一部で銀貨一枚になりますが」
「ああ、助かる。じゃあ一部お願い」
ちなみに銀貨一枚は一〇〇〇Gで、日本円でまんま一〇〇〇円の価値。銅貨は一〇〇円で金貨は一〇〇〇〇円な。分かりやすくて助かる。十進法なのも計算しやすくていい。
ただ、この世界の物価はめちゃくちゃ低いので、銀貨一枚でも4人家族がひと月は暮らせる額で、庶民にはガイドブックはかなりお高いものだ。
もっともそんなものが必要なのは冒険者だけで、迷宮に出入りできる冒険者ランクもB以上。Bランクともなればそこそこ稼ぎはいい。購入なんて余裕だろう。
そういうわけで、依頼を受けたあとガイドブックに目を通そうと、ギルド内に併設されている酒場に向かった。
うん? 呑むんじゃないからな?
席が欲しかっただけだ。
※冒険者シャツ稼業→冒険者稼業
誤字ってました。
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