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22 ネタバレからの八つ当たり 3
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酒場でマスターにコーヒーを二つ頼む。
うん。酒以外にもソフトドリンクもありますよーって、カウンターの上にかけてあるメニュー表を教えてくれたので。
冒険者ギルドの酒場にしては品のある壮年の紳士みたいなマスターは、ギルマスとは幼馴染みなんだって。
優しそうな翠の瞳に薄い色の金髪をオールバックにしている。でも体格はガッチリ筋肉質で元Aランク冒険者だそうだ。
……しかし、ソエルの幼馴染みって。それってつまり、大公家関係の人じゃねえの?
「私、レイウッドと申します。ソエルと共にサライエ様のご家族とも懇意にしておりまして。何かありましたら、いつでも頼ってください」
やっぱり。でもまあ、両親の様子を見るに、いろんな人に好かれてるんだな、うちの家族って。
「……じゃあ、とりあえず普通に話して。堅苦しくて。俺はただの冒険者なんで」
「ふふ、分かりました。ただ、元から言葉使いは誰にもこうなので、お許しください」
「うん、それなら別にいいよ。俺も普通に話すね」
そんな会話のあと、アルとさっき購入したガイドブックを広げる。
なるほど、今までに踏破された階層と、そこに棲息する主な魔物とドロップ品、採集物などが記載されている。中には詳細な挿絵まであって、クオリティが高い。
コレならあの値段も納得だ。製本技術や印刷物を見るに、俺みたいな前世記憶持ちや、もしかしたら転移者もいるのかもしれないな。
「えーと『星の欠片は迷宮の主に一五階層の洞窟にある』? 洞窟ってことは、鉱石?」
「らしいな。ただ、レア度が星五。ガイドブックによると最高ランクのレア度で希少ってことだな」
「……あー、だから納入期日がなしだったんだ。依頼主も、めったに見つからないって分かってるんだな」
失敗しても違約金がないからいいやと思ったが、そういう訳か。そんな鉱石を運頼りに探すよりも、すぐに終わる依頼を受けた方が効率がいいもんな。
「でもまあ、それなら逆に俺達向きじゃないか? 俺達は急いで依頼を熟すつもりないし、迷宮を探索しながら、ゆっくり探そうぜ」
「そうだな」
「とりあえず、様子見で一度行ってみようぜ。すげー楽しみ」
「装備も必需品も十分だから、これから行ってみるか。ええと、移動手段は定期馬車か、歩くか」
うーん、馬車でもいいけど歩きもいいな。でもどのくらい時間がかかるのか。
「馬車なら三〇分くらいですが、歩きですと、一時間近くかかりますよ。ただ定期馬車は時間が決まっているので、一便逃すと次までの待ち時間がけっこうあるので、それで歩く方もいらっしゃいますが」
「え、そうなの? じゃあ歩くか。一時間くらい別に苦じゃないし」
俺達の会話を聞いていたレイウッドが、そう教えてくれた。ガイドブックにも書いてあるのに気付いて見ると、さっき出発してしまったようだ。
じゃあ、歩き一択だな。
「ああ、じゃあ行くか。コーヒーご馳走さま」
「ご馳走さま、レイウッドさん。じゃあ行ってくるね」
「お気を付けて、楽しんできてください」
微笑むレイウッドと別れて、煩わしさを避けるためにフードを被り直してから冒険者ギルドを出た俺達は、西門に向かう。
西門でも、すでに大公家から通達があったらしくて俺の素性がバレたが、今更だと思ってスルーした。
もう一々反応するの疲れるもん。
こうして迷宮に向けて、二人でのんびり歩いて行くのだった。
うん。酒以外にもソフトドリンクもありますよーって、カウンターの上にかけてあるメニュー表を教えてくれたので。
冒険者ギルドの酒場にしては品のある壮年の紳士みたいなマスターは、ギルマスとは幼馴染みなんだって。
優しそうな翠の瞳に薄い色の金髪をオールバックにしている。でも体格はガッチリ筋肉質で元Aランク冒険者だそうだ。
……しかし、ソエルの幼馴染みって。それってつまり、大公家関係の人じゃねえの?
「私、レイウッドと申します。ソエルと共にサライエ様のご家族とも懇意にしておりまして。何かありましたら、いつでも頼ってください」
やっぱり。でもまあ、両親の様子を見るに、いろんな人に好かれてるんだな、うちの家族って。
「……じゃあ、とりあえず普通に話して。堅苦しくて。俺はただの冒険者なんで」
「ふふ、分かりました。ただ、元から言葉使いは誰にもこうなので、お許しください」
「うん、それなら別にいいよ。俺も普通に話すね」
そんな会話のあと、アルとさっき購入したガイドブックを広げる。
なるほど、今までに踏破された階層と、そこに棲息する主な魔物とドロップ品、採集物などが記載されている。中には詳細な挿絵まであって、クオリティが高い。
コレならあの値段も納得だ。製本技術や印刷物を見るに、俺みたいな前世記憶持ちや、もしかしたら転移者もいるのかもしれないな。
「えーと『星の欠片は迷宮の主に一五階層の洞窟にある』? 洞窟ってことは、鉱石?」
「らしいな。ただ、レア度が星五。ガイドブックによると最高ランクのレア度で希少ってことだな」
「……あー、だから納入期日がなしだったんだ。依頼主も、めったに見つからないって分かってるんだな」
失敗しても違約金がないからいいやと思ったが、そういう訳か。そんな鉱石を運頼りに探すよりも、すぐに終わる依頼を受けた方が効率がいいもんな。
「でもまあ、それなら逆に俺達向きじゃないか? 俺達は急いで依頼を熟すつもりないし、迷宮を探索しながら、ゆっくり探そうぜ」
「そうだな」
「とりあえず、様子見で一度行ってみようぜ。すげー楽しみ」
「装備も必需品も十分だから、これから行ってみるか。ええと、移動手段は定期馬車か、歩くか」
うーん、馬車でもいいけど歩きもいいな。でもどのくらい時間がかかるのか。
「馬車なら三〇分くらいですが、歩きですと、一時間近くかかりますよ。ただ定期馬車は時間が決まっているので、一便逃すと次までの待ち時間がけっこうあるので、それで歩く方もいらっしゃいますが」
「え、そうなの? じゃあ歩くか。一時間くらい別に苦じゃないし」
俺達の会話を聞いていたレイウッドが、そう教えてくれた。ガイドブックにも書いてあるのに気付いて見ると、さっき出発してしまったようだ。
じゃあ、歩き一択だな。
「ああ、じゃあ行くか。コーヒーご馳走さま」
「ご馳走さま、レイウッドさん。じゃあ行ってくるね」
「お気を付けて、楽しんできてください」
微笑むレイウッドと別れて、煩わしさを避けるためにフードを被り直してから冒険者ギルドを出た俺達は、西門に向かう。
西門でも、すでに大公家から通達があったらしくて俺の素性がバレたが、今更だと思ってスルーした。
もう一々反応するの疲れるもん。
こうして迷宮に向けて、二人でのんびり歩いて行くのだった。
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15話目の『アルにエスカレートされて』のところ、エスコートじゃないでしょうか…?
承認はしないでもいいです。
いつも楽しみにしてます、頑張ってください。
誤字報告、大変助かります。修正しました。ありがとうございます😆
いつも読んで下さってありがとうございます😄
続き書けるように頑張りますね😆
サエは、基本意地悪されて育ってるので、自己評価低いですよね😅アルは近衛してたくらいなので見た目保証されてるので美形認識もしてるだろうけど(近衛は実力だけでなく見目も良くないとなれないと聞いたような)
その点、元•仮の実家(どうしても実家……とは言いたくないので悩んだあげくのこの表記w)では、妹がお姫様扱いなので美の基準は妹=サエの自己評価低下、という結果に。
これは元•仮の実家にも、こういう考えに育てたことに相当するくらいな『ざまぁ』が必要と思われますね。
お母様が激怒案件です。
「せっかくサエちゃんを可愛く産んだのに❗」とオコです。
アルも怒りつつ、殿下からの評価を下げてくれたからサエがこちらに亡命という名の帰国して結婚出来たので複雑でもありそう。今日出会う魔物、ドンマイ😅💦
サエは義家族のせいで自己評価低い上に無表情になっていたので、可愛いもしくはキレイと言われることがなかった。
あとは前世の記憶のせいで平凡だと思い込んでいるので、実の家族や周りがいくら言っても本気にしなさそう😅
そうそう、近衛騎士は家柄と実力の他に、やっぱり見た目も重視されます。国のトップにつくので、外交とかもありますしね😅
アル達に八つ当たりじゃなくてよかったですね😄
ざまぁもあるといいですが😅
面白いです✨アルのチラッと見えるヤンデレ具合も良いです(. ❛ ᴗ ❛.)
これから 元の国が、ざまぁされる所も楽しみにしています😊
ありがとうございます! アルは自分でも好きなキャラなので😄
続き頑張ります😆