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23 アイントラハトの家族
しおりを挟むそれから、お茶を飲みながら俺自身が知りうる情報を話した。
もちろん巻き込まれ召喚や有原神威の事は抜いた情報だ。
それはほとんどがアルトがあげた報告と一致していて、その確認のようなモノだった。
「・・・・・・大体、報告通りだな。他に何か気になったこととか思い出したことがあれば何時でも言ってくれて構わない。それと、ジェイドは暫く家に泊まっていくだろう?」
「---え、でも・・・」
俺がエルフ(正確にはハイエルフ)なのって、バレちゃマズいんじゃ?
皆に迷惑がかかる。
「心配するな。この邸の使用人は、皆、他言無用の誓約魔法で契約している。それに昔から我が家に仕えている者達だ。公爵家の敷地から出すことは出来んが、邸内は自由にしていい」
紹介しようと言って、応接室に使用人が数人入ってきた。
「筆頭家令のスチュアート、筆頭執事のロバート、侍従長のダニエル、侍女長のエルサだ」
「「「「よろしくお願いいたします」」」」
「こ、こちらこそよろしくお願いします。ジェイド・カムイです」
慌ててぺこりとお辞儀をした。
「ジェイド様は賓客ですので、我々に頭を下げる必要は御座いません。敬語も無しで大丈夫ですので」
にっこりと笑う家令のスチュアートがそう言ったので、長い物には巻かれろの精神で割り切った。
「・・・うん。分かった、よろしく。分からないことがあったら聞くし、間違ってたら教えてね」
「「「「---喜んで!」」」」
微笑んでそう言ったら、何故か皆、やる気を出した。
返事が居酒屋の店員のノリだったのでびっくりしたが。
疑問符を浮かべて首を傾げると、アルト達も一緒に悶えていた。
何故?
分からん。
こうして暫くこの家に滞在が決まった俺は、使用人達が去った後にアルトの家族を紹介された。
アルトの母親で公爵夫人のマリアさん。
白に近い銀髪に金色の瞳の銀狼。
ちなみにお父さんは黒狼で金色の瞳。
アルトと同じ色だった。
長男のアルフレッドは黒狼で金色の瞳。
何と俺と同じ26歳だった。
ビックリ!
次男のシルヴェスタは銀狼でお母さん譲りの美貌と銀髪金曈。
24歳。
俺より年下だった。
---皆、美丈夫美人なので目が潰れる・・・!
そして息子様方、俺よりデカくて皆、年上に見えるんですが・・・。
羨ましいぞ!
そして改めて知ったアルトの家の爵位。
騎士団長なんて凄いなと思っていたら、公爵家だったのよ!
公爵家って、王様の次に大公家でその次ですよね?
聞くと、今は大公家は無くて実質王様の次に偉いおうちって事だよね?
えええ・・・そんな凄い家柄なのに、爆弾抱えて大丈夫なのって聞いてみたら。
「森人は大陸中で護るべき種族って決まりが出来てて、不当に扱うと極刑に処される。王族だろうと違反行為は首が飛ぶよ(物理的に)」
「・・・・・・へ、へえ・・・」
エンドルフィンがにこやかな笑顔で教えてくれた、が・・・。
なんか物騒な副音声が聞こえたよぉ・・・。
怖いよぉ・・・。
無意識にアルトにしがみついてしまって、皆から温かい目で見られていた。
恥ずかしい!
「それにしてもこんなに可愛らしいのに、アルフレッドと同い年ですって?! しかもシルヴェスタとアイントラハトの方が年下って!」
可愛すぎですわ---!って叫んでるけど、大丈夫なのお母さん?!
皆、呆れてるから何時ものことなんだな。
「あの、お近づきの印に、手土産を持ってきたんですけど」
「ええ? 別に気を遣わなくていいのに」
「いえ、俺が持ってきたかったので・・・ええと、これはお父さんに」
そういってお酒を出したら、皆が固まっていた。
あれ?
「・・・えーと?」
「・・・カムイ、今、父さんの事、お父さんって」
「えっ、あ! ごめんなさい。頭の中でそう呼んでたから、つい。失礼でしたよね! フルクベルト様に」
そうだった!
相手は公爵家。
幾らアルトの家族で気さくな感じでもこれは駄目だ。
どうしよう、と涙目になっている俺をどう思ったのか、急にマリアさんが突撃して来てぎゅむっと抱き締めて来た。
「いいのよジェイド君。幾らでもそう呼んで! 私たちの事は家族と思って接して欲しいの! さあ、私の事も呼んでみて!」
---え、いいの?
もうずっと呼ぶことのない言葉だった。
「・・・お母さん・・・」
思わず涙声になってくぐもっていたが、しっかり聞こえたようで、更にぎゅむっと抱き締められて、お胸で窒息死しそうになってアルトに回収された。
一瞬、天国が見えました。
胸って凶器になるんですね。
でもってお母さんくらいの歳の女性からの拘束も外せないんですね、俺。
ステータスの数値は高かったはずなのに、解せぬ。
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