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42 とりあえず常識を学ぼう 2
しおりを挟む珍しく、もう無理っていうほど食べたカムイは、再び本の山に挑んだ。
それはお昼まで続き、同じように侍女さんにゆさゆさ揺さぶられるまで続いた。
「ジェイド君、聞いたわよ。お茶休憩でたくさん食べたんですって?」
「お母さん、うん。お菓子もサンドイッチも美味しくて、バクバク食べちゃって・・・」
おかげで昼食は軽ーくして貰った。
料理人さんも分かってるからか、何時もよりも少な目。
正直助かる。さすがに食べ過ぎた。
「アレかしら、少しの量をこまめに摂る方が食べられるのかしら?」
「うーん、どうだろう? 元々、そんなに食べないよ、俺。皆が気にすること無いと思うけど・・・。でもお腹空いたら、その時は言うね」
「そうしてちょうだいな」
そんな風に和やかにお昼を食べて、午睡だと部屋に押し込まれて。
気が付いたら爆睡してたっていう・・・。
目が覚めたらもう三時のおやつの時間だった。
「よくお眠りでしたので起こさずにいたのですが」
「ああ、うん、ありがとう。おかげでスッキリした」
朝からずっと本読んでたから、それなりに疲れていたみたいだ。
そんなことを言ったあとに、お昼が軽めだったからかお腹がクウッとなった。
それを聞いた侍女さんがふふっと笑ってお茶の用意をしてくれる。
そうして美味しいお茶とケーキを食べて再び本を読み漁り。
アルトとお父さん達が帰ってくるまで書庫に入り浸った。
「ただいま」
「お帰りなさい」
夕方になり、お父さん達が帰ってきて出迎える。
何かまだたった数日なのにめちゃくちゃ馴染んでるなあ、俺。
「ただいま、カムイ! 何もなかった?」
「お帰り、アルト! うん、特には何も。あ、でもだいぶ本読めたよ。あとめちゃくちゃおやつ食べた」
俺にハグして頬にチュッと口付けるアルトに照れながらそう言うと、お父さん達が反応した。
「えっ! いつもあんなに少ないのに!?」
「ジェイドの食べたはかなり少ないんだけど」
「そうそう。小鳥の餌レベル」
「むう! 失礼な! 適量!」
「あら、本当にかなり多かったのよ。おかげでお昼が少な目になっちゃったくらい」
ぷうっと膨れるとお母さんが助け船を出してくれた。
「へえ。じゃあ夕ご飯も少な目にするの?」
そうアルトに聞かれてちょっと考える。
「うーん、夕ご飯はいつもの量食べられそうな気はする。でもムリして食べないから大丈夫だよ」
「うん、そうして。食べられる分でね。コレでもう少し増えたら嬉しいけど」
苦笑してそう言われたけど……。
「……あれ、もしかしてガリガリで抱き心地悪い?」
「───っぶ!?」
「はあ!?」
そう言ったら皆が吹き出したり焦って、俺はキョトンとする。
「いいいいや、そういう意味じゃなくて」
アルトが一番焦ってるな。大丈夫?
「え、だってよく抱きついてるじゃん、俺達。俺、ほっそいからゴリゴリ骨が当たって痛いかなって?」
「……ああ……そういう……」
がっくりと肩を落として安心したような、でも残念そうな様子のアルトとお父さん達に首を傾げるが苦笑が返ってきただけだった。何だったんだ?
「さあさあ、ここでいつまでも喋ってないでご飯にしましょう! 早く着替えてきてね!」
「はい」
「うむ」
お母さんの鶴の一声でバッと動き出すお父さん達に笑って俺もアルトと一緒に一度部屋に戻る。
アルトの部屋に一緒に入って、俺はアルトに神様から告げられた言葉を思い切って言った。
「あのっアルト、昨日、世界樹のところに戻ったときに神様から言われたんだけど」
「うん?」
「……俺と番ってくれる人には、特別に俺と同じ寿命になるようにしてくれるって」
「───うん」
「でもね、その、相手の気持ちが……俺と同じで、自分から本当に、そうなりたいっていう場合に限るんだって。あの、無理強いじゃなくてね」
「うん、いいよ」
ためらいがちにそう言うと、最後まで言う前に即答したアルトに唖然とする。
「え? だって俺と一緒だよ? めちゃくちゃ長生きになるんだよ? その……お父さん達とも生きる時間が違っちゃうんだよ?」
俺の方が戸惑ってそう言うと、アルトは笑って言った。
「分かってる。でも俺はカムイと生きる方が大事だから。一生一緒だって決めてるから。嫌いになることもないから」
「……っ、そ……んな、いいのかな?」
俺、自分に都合よく受け取っちゃうよ?
俺とずっと一緒でいいんだって、そう言ってるんだよな?
「もちろんいいに決まってる。俺の愛するただ一人の運命の番い」
そう言って抱きしめてくれるアルトに、嬉しくて俺もぎゅっと抱きしめ返す。
「……ありがとう、アルト」
「こちらこそ。愛してるよ、カムイ」
「俺も……愛してる」
お母さんが言ったとおりだった。アルトも喜んでくれた。
俺は幸せを噛みしめながら、使用人が呼びに来るまでアルトに抱き付いていたのだった。
*明けましておめでとうございます。
書き初めというんですかね。
今年もよろしくお願いいたします。
一月中は諸々あって難しいですが、他のもたまに更新したいです。
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