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71 騎士は魔導師と仲違いしそうになる
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※ロザリンド視点。
魔剣士がとかサブタイトル入れといて全く出てこない。スミマセン。
無言のまま、ひたすら歩く俺達の空気はどことなくピリピリしていた。
先頭を歩く案内役の近衛騎士や両脇と殿の近衛騎士達も気まずそうな気配を感じる。
おそらく、というより確実にさっきのアレのせいだ。
───ユリアナ・マルク・デザイア。
御年15才になる大公子息。
国王陛下の王弟殿下で元第三王子フェリックスの一人息子だ。
俺にとっては従兄弟にあたる。それ故、時々だがこの国に来て顔を合わせていた。
ただそれだけの関係で、特に思うところもない年下の子供扱いだった。
それがここ数年、ヘンに熱を帯びた目を向けてきていることに気付いてはいたが、俺はセイリュウのことで手一杯で放置していたんだ。
しばらく顔をあわせることもなくすっかり忘れていたのだが、昨日ルラック公爵家に来たあと、セイリュウが眠っているときに聞かされた話に驚いた。
「───え、デザイア大公家から俺に婚約の打診が?」
何がどうして、隣国の公爵家の次男である俺への婚約の打診をルラック公爵家に送るのか意味が分からん。
「ああ、一年ほど前からひっきりなしに釣書とともにうちに来ていてな。王城で顔を見かけるたびに声もかけられていた」
「しかしまだ俺はフォルレイク国のオーディン公爵家の人間。オーディン公爵家に打診するならともかくこちらに婚約の打診をするのはお門違いでは?」
至極当然のことを話に出すも、お祖父様は頭を抱えて呻った。
「それが、大公閣下は陛下の弟君だろう? どうやら陛下の口からポロッとお前の養子話が漏れたらしくてな」
ああ、なるほど。
本格的に決まる前に婚約を決めたいというわけか。小ざかしい。
「・・・・・・まだ未確定の内から俺に、ルラック公爵家に取り入ろうという魂胆ですか。相変わらず器の小さい大公閣下ですね」
不敬を承知で言うが、あの陛下の唯一の汚点が大公閣下と公然の秘密として語られるほど愚かで浅ましい王族だ。
そしてその妻と子息であるユリアナも輪をかけた愚か者である。
「儂は頑として拒絶しているがしつこくてな。大公家という家柄、無碍にも出来んので陛下から言い聞かせて貰って一応は落ち着いたんだが・・・・・・」
釘は刺したんだろうが、それで引くようなら苦労はしないな。
「明日の登城では何かしてくるやもしれん。要警戒だな」
「分かりました。気を配りましょう」
そういう話し合いをしていたら目を覚ましたセイリュウがパニックになって泣き出すということになったのだが・・・・・・。
気を配って、更に陛下の方でも手配はしてくれていたはずだったが、アレはおそらく協力者を幾人も持っているのだろう。
先ほど、止める間もなく走り寄って来て、あろうことかエスコートのために差し出された手を受け取る直前にアレに抱き付かれ、セイリュウは固まってしまった。
対処しているほんの少しの間に恥ずかしがり屋のセイリュウのために念のためにと持参したベールを被ってしまい、更にエスコートの手を取らずに馬車から降りてしまった。
セイリュウの雰囲気も固くなり、ひと言も口をきかずにただ前だけを向いて歩いて行くその姿は、俺を認識する前の馬車馬のようにぼろぼろに働いていた頃の空気感に似ていた。
───拒絶された。
そう思わざるを得ない雰囲気だった。
・・・・・・こんなことなら、昨日のうちにユリアナに対しての事情を全て話しておけばよかった。
まさに後悔先に立たず、である。
しかしこのあと控えている謁見を前に弁明する機会はなかった。
だがこのとき、無理にでも話をしておけばよかったとまた後悔することになる───。
※ロザリンド、ピーンチ!
魔剣士がとかサブタイトル入れといて全く出てこない。スミマセン。
無言のまま、ひたすら歩く俺達の空気はどことなくピリピリしていた。
先頭を歩く案内役の近衛騎士や両脇と殿の近衛騎士達も気まずそうな気配を感じる。
おそらく、というより確実にさっきのアレのせいだ。
───ユリアナ・マルク・デザイア。
御年15才になる大公子息。
国王陛下の王弟殿下で元第三王子フェリックスの一人息子だ。
俺にとっては従兄弟にあたる。それ故、時々だがこの国に来て顔を合わせていた。
ただそれだけの関係で、特に思うところもない年下の子供扱いだった。
それがここ数年、ヘンに熱を帯びた目を向けてきていることに気付いてはいたが、俺はセイリュウのことで手一杯で放置していたんだ。
しばらく顔をあわせることもなくすっかり忘れていたのだが、昨日ルラック公爵家に来たあと、セイリュウが眠っているときに聞かされた話に驚いた。
「───え、デザイア大公家から俺に婚約の打診が?」
何がどうして、隣国の公爵家の次男である俺への婚約の打診をルラック公爵家に送るのか意味が分からん。
「ああ、一年ほど前からひっきりなしに釣書とともにうちに来ていてな。王城で顔を見かけるたびに声もかけられていた」
「しかしまだ俺はフォルレイク国のオーディン公爵家の人間。オーディン公爵家に打診するならともかくこちらに婚約の打診をするのはお門違いでは?」
至極当然のことを話に出すも、お祖父様は頭を抱えて呻った。
「それが、大公閣下は陛下の弟君だろう? どうやら陛下の口からポロッとお前の養子話が漏れたらしくてな」
ああ、なるほど。
本格的に決まる前に婚約を決めたいというわけか。小ざかしい。
「・・・・・・まだ未確定の内から俺に、ルラック公爵家に取り入ろうという魂胆ですか。相変わらず器の小さい大公閣下ですね」
不敬を承知で言うが、あの陛下の唯一の汚点が大公閣下と公然の秘密として語られるほど愚かで浅ましい王族だ。
そしてその妻と子息であるユリアナも輪をかけた愚か者である。
「儂は頑として拒絶しているがしつこくてな。大公家という家柄、無碍にも出来んので陛下から言い聞かせて貰って一応は落ち着いたんだが・・・・・・」
釘は刺したんだろうが、それで引くようなら苦労はしないな。
「明日の登城では何かしてくるやもしれん。要警戒だな」
「分かりました。気を配りましょう」
そういう話し合いをしていたら目を覚ましたセイリュウがパニックになって泣き出すということになったのだが・・・・・・。
気を配って、更に陛下の方でも手配はしてくれていたはずだったが、アレはおそらく協力者を幾人も持っているのだろう。
先ほど、止める間もなく走り寄って来て、あろうことかエスコートのために差し出された手を受け取る直前にアレに抱き付かれ、セイリュウは固まってしまった。
対処しているほんの少しの間に恥ずかしがり屋のセイリュウのために念のためにと持参したベールを被ってしまい、更にエスコートの手を取らずに馬車から降りてしまった。
セイリュウの雰囲気も固くなり、ひと言も口をきかずにただ前だけを向いて歩いて行くその姿は、俺を認識する前の馬車馬のようにぼろぼろに働いていた頃の空気感に似ていた。
───拒絶された。
そう思わざるを得ない雰囲気だった。
・・・・・・こんなことなら、昨日のうちにユリアナに対しての事情を全て話しておけばよかった。
まさに後悔先に立たず、である。
しかしこのあと控えている謁見を前に弁明する機会はなかった。
だがこのとき、無理にでも話をしておけばよかったとまた後悔することになる───。
※ロザリンド、ピーンチ!
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