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20 神様ごめんなさい!
しおりを挟む次の日の朝。
朝ご飯を食べて、身支度を整えたら神殿に出発した。
神殿は街の外れにあるんだけど、寂れてるとかじゃ無くて、静謐と言うか、神聖な森の中に建っていた。
「こんな場所にあったんだ・・・僕、初めてここに来たよ」
「・・・・・・確かに生活圏内から遠いからなあ」
僕がびっくりしているとヒョウガさんは気まずそうに言った。
何故?
「いや、最初に保護した時に連れて来るべきだったなと。その、番いだと思ったら外に出したくなくて」
「・・・・・・独占欲みたいな? ヤンデレ?」
「やん・・・?は分からんが、とにかく自分のところに囲い込みたくてなあ・・・本能だな」
「ふーん?」
そんな話し合いをしながら神殿に入ると、神官様が何人か朝のおつとめやお掃除をしていた。
「おはようございます。如何致しました?」
「おはようございます。その、神様にお祈りをしたくて・・・」
「少しばかりの心付けです」
ヒョウガさんはそういってお布施を小さい巾着に入れて神官様に渡した。
「ありがとうございます。このままお進み下さい。お好きな席で大丈夫ですよ」
そういって神官様は離れていった。
僕はヒョウガさんと手を繋いで一番前に座り、目を閉じて胸に手をあてて神様に語りかけた。
『神様、とっても遅くなってごめんなさい。無事に大きくなりました。ヒョウガさんという番いも出来て幸せです!』
『全くだニャー! でも許すにゃ!』
「え?」
思わず目を開けたら辺り一面眩い光が・・・。
「目が、目が---!」
一度言ってみたかった台詞を叫んでみた。
ヒョウガさんもびっくり。
よく見ると神官様達が跪いていた。
なんか大騒ぎの予感・・・。
『久しぶりにゃ。いつ来てくれるのかと首を長ーくして待っていたにゃ。ヒョウガもありがとうにゃ』
「・・・もったいないお言葉です。挨拶が遅れました事申し訳なく」
『構わんよ。見ておったからの。ちなみに猫又は18歳が成人じゃ。まあ、あと数ヶ月で成人するから、こまめにステータス確認するんにゃよ?』
「ハア、そうなんですね。分かりました」
『成人したらまた来るにゃ。お祝いしてやるからにゃ』
「---ありがとうございます。その時は必ず」
『じゃあ、またにゃ。サナもヒョウガも元気で過ごせ』
そういって光と共に声が聞こえなくなった。
サナとヒョウガは顔を見合わせ、後ろを振り向いた。
---跪づき、涙を流す神官様達が目に入った。
「・・・・・・」
「・・・・・・どうするの?」
「・・・急いで帰ろう」
「賛成」
そうと決まれば、善は急げ!
ばっとサナを抱え上げたヒョウガは神官達の間を風のように走り抜けて神殿から出た。
神官様が何やら叫んでいるのを遠くに聞きながら走り去った二人は、家に入ると鍵をかけてソファにぐったりと沈んだ。
「・・・神様、怒って無くて良かったねえ」
「成人の事も知れたけど・・・・・・神官達がなあ」
「・・・・・・アレねえ、神様、もっと何とか出来なかったの? ていうかわざとなの?!」
「さあ。まあ、暫くは煩そうだな。加護を持つ愛し子だって」
「うええ・・・・・・」
「暫く引き籠もるか。あと数ヶ月で成人するからって言ってたし。俺と初夜までイチャイチャしよう」
「ヒエ・・・・・・ヤンデレ発動・・・・・・?!」
サナは期待と不安で震えたのだった。
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