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本編
16.もっと抱きつきたいのに!
しおりを挟む本格的に夏が始まり、一歩外に出れば一瞬で蒸発してしまうんじゃないかというほどの灼熱地獄でシルバーは勿論のこと俺もすっかり夏バテ気味になっていた。
冷却魔道具が効いている部屋の中から出るのが億劫になるのも無理はない。
だから最近は材料調達で森へ行くにも、まだ太陽が昇りきっていない時間帯の朝に早起きして出掛けているので、早寝早起きが習慣になっている。
シルバーもそれに倣って外に遊びに行くのは朝早くか陽が落ちて涼しくなった頃に変わった。
俺でさえ暑さで参っているのに全身毛で覆われているシルバーは殊更辛いだろう。
そんな最近のシルバーのお気に入りの定位置はラグから少し離れたフローリングの上だ。冷却魔道具で冷やされた床板が気持ちいいのだろう。いつもなら俺にくっついてきてくれるのに最近は俺が抱きつくとスルリと抜け出して少し離れたところに座り直す。さらに言えば寝る時もベッドの上ではなく床の上が定番化してしまった。
分かる、分かるよ。くっつくと暑いもんね。でもあんなに一緒にいたのに、こんな風に距離を置かれると寂しくて仕方がない。
シルバー成分が足りない。
もっと温度を下げればくっついてくれるかなと邪な考えが頭をよぎるが、涼しい温度に慣れすぎると外に出た時にその気温差で体調を崩しかねないので我慢している。
気持ちよさそうにうたた寝しているシルバーを恨めしい気持ちで見つめる。今も本当は仕事が終わって暇になったのでシルバーを構い倒したいのだが、前に同じようなことをして鬱陶しそうに尻尾で叩かれた時のショックが未だに尾を引いている。
ちなみにふわもこラグは流石に俺も暑いので普通の生地のものに模様替えしてあるのだが、それでも床の魅力には勝てなかったようで、相変わらずこっちに近付いてきてくれない。無念。
何とかしてシルバーの気を引きたい。
シルバーに構っても暑くなくて、それでいて二人が楽しめるもの。うんうんと頭を悩ませ続けて数日後。ふと閃いた案はシルバーが受け入れてくれるか正直微妙だが、やってみないと分からない。
「シルバー」
今日も床でゴロゴロしているシルバーに声をかけると、顔は上げずに視線だけでこちらを見上げてきた。
「なぁ、前に俺が湖に行きたいって言ってたの覚えてる?せっかくだから水遊びしに行かねぇ?きっと涼しくて楽しいぞ」
題して『水の中ならどれだけくっ付いても暑くないよね!』作戦である。これなら涼しくて、楽しくて、そして何よりシルバーといっぱいくっつける!我ながらいい作戦を思いついたものだ。
さて、肝心のシルバーは俺の提案にしばらく黙ってこちらを見つめていたが、プイッとそっぽを向いて再び床にうつ伏せてしまった。チッ、やっぱりそう簡単にはいかないか。最近はお風呂にも慣れて大人しく洗われていたけど積極的に水浸しになりたい訳ではないらしい。だがここで諦めるわけにはいかない。
「なー、お願いだよシルバー。朝のうちに出発すればそんなに暑くないだろうしさ。な?な?」
「………」
「頼むよー!どうしてもシルバーと行きたいんだって!庭で水遊びもいいけどさ、どうせなら泳いで遊びたいし競争とか楽しそうじゃない?なぁなぁシルバー」
「………」
「お願いお願い!一緒に行ってくれたらシルバーの大好きなアイス特別に1日2個にしてあげるから!」
「!!」
それまで頑なに動かなかったシルバーは、アイスの単語を耳にした途端ガバッと身を起こした。そして早く行こうと言わんばかりに尻尾を振って玄関へと向かっていく。
恐るべしアイス効果。
前に自分用に作ったのを味見させて以来アイスの虜になってしまったシルバーは、何度もおかわりを要求するようになってしまった。お腹を壊すといけないからと1日1個までの決まりだったのだが、こればっかりは致し方なし。シルバーとのイチャイチャ復活の為には目を瞑るしかない。……いやでもやっぱり一回分をちょっとだけ少なくして誤魔化そう。流石に1日2個は多すぎる。
「今から行ってももう陽が暮れるだろ?また明日にしよう」
「クゥン……」
「うっ……分かったよ。今日は特別にちょっとだけアイス食べてもいいから」
「ワン!!」
クンクン切なそうな声で鳴いてたくせに一瞬で元気になりやがった。現金なやつめ。もしや嘘泣きか?俺がシルバーのあざと顔に弱いことに気づき始めてるな……全く、どんどん悪知恵身につけていくんだから。
*******
次の日。
朝日もまだ顔を見せない早朝にシルバーに起こされてしまった。しかもいつもの顔ペロみたいな優しいやつじゃなくて思いっきり俺の上にダイブする激しいやつ。
「グエッ!!」
完全無防備な状態で鳩尾を踏まれて悶絶する。
そんな俺を心配するでもなく「起きた?もう起きたよね?早く準備しろ」と言わんばかりに腕を甘噛みして引っ張ってくる。
確かに早起きして行こうとは言ったが、窓の外はまだ真っ暗でいくらなんでも早すぎる。お前どんだけアイスが食べたいんだ……と鈍く痛む鳩尾を摩りながら呻いた。
シルバーの強烈めざましで起こされて渋々ベッドから降りて準備を始める。まぁ準備といっても既に昨夜のうちに必要なものはカバンに詰めてあるから、水分補給用の水筒だとかそういうのを冷蔵庫から取り出して簡単に身支度を済ませれば準備完了だ。
ちなみにシルバーからの早くアイスを寄越せという視線が煩かったので、早々にご所望のものを与えておいたら大人しくなった。
こんな朝早くに食べて、あとから暑くなってももう今日は残り一回しかあげないんだからな。そこんとこ分かってんのかなコイツは、と呆れるが口には出さない。
美味しそうにアイスを頬張ってご機嫌なシルバーにわざわざ水を差すようなことは言わなくていいしな。
準備が整い、シルバーと共に湖へ向けて出発する。家の中と比べれば少しムワッとしているが、昼間よりも断然涼しい。この調子なら気温が上がり切る前に湖に着けるだろうと算段をつける。
こうやってシルバーと共に森の中を歩くのは随分と久しぶりだ。最近は言わずもがなだが、夏が来る前は材料調達や散歩などで常に一緒に行動していたのだ。ただ森の中を歩いているだけだが、これだけでも気持ちが浮つくんだからいかにシルバー成分が足りてないかを自覚する。
まぁでも、今だけだよな。
夏が終わってもう少し涼しくなれば、また前みたいにくっ付いてきてくれるかもしれない。
……でも夏の間にこの距離感に慣れちゃってウザがられたらどうしよう。あ、想像しただけでも死にそう。
密かに心にダメージを負って項垂れていると、不意にシルバーがピタリと止まった。
「ん?どうしたシルバー」
シルバーにつられて立ち止まると、突然俺の前に躍り出て背中を向けて地面に伏せた。
「何、もう疲れたのか?」
「ワフ!ワンワン!」
「えー違うの?急にどうしたんだろ……」
俺の言葉に力強く吠えて抗議してきたシルバーは、ぺしぺしと尻尾を地面に叩きつつ、顔だけで俺を振り返り、顎をクンっと上に向ける仕草をしてくる。
「え……もしかして乗れって言ってる?」
「ワフ!」
「ま、まじで?え、いいの?」
まさかのお誘いに思わず両手で口を押さえる。シルバーの背中に乗ったことはあるにはあるのだが、それは家の中かつシルバーが寝転がっている時限定だ。前世の某もののけ系アニメの少女みたいに狼の背中に乗って森の中を颯爽と駆け抜けていく様に憧れていたから、まさかのチャンス到来にテンションが上がってしまう。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
恐る恐る背中に跨り、控えめに腰を下ろした瞬間、シルバーは何の合図もなく急に立ち上がった。危うく落ちそうになり、慌ててシルバーの首元にしがみつくと、そんな俺をチラリと確認してから歩きだす。
「わっ、わっ、すげぇ……」
シルバーが歩くたびにその振動がお尻から伝わってきて変な感じだ。乗馬の鞍のようなものは当たり前だが無いので、ダイレクトに揺れを感じる。バランスを崩したら落ちてしまいそうで無意識にシルバーにしがみつく力が強くなってしまう。
「痛くないかシルバー」
「ワフ」
シルバーは成人男性を背中に乗せているにも関わらず軽い足取りだ。数分間歩いたあと、俺がこの状態に慣れてきたのを感じ取ったのか少しずつスピードが上がっていく。早歩きから徐々に駆け足に変わっていき、殆ど全速力に近いスピードで走りだす頃には、俺はもうとにかく振り落とされないように必死で、周りの景色を見る余裕なんてなかった。
前世病弱人間を舐めるなよ……
ジェットコースターすら乗ったことないのに、急にこんな安全装置もない状態で舗装されていない道なき道を走り回られたら心臓縮まるわ……!
背中に乗っていただけなのに、目的地に着く頃にはゼーゼーと疲労困憊だった。崩れ落ちるようにシルバーの背中から降りると、労わるように頬を舐められた。
コイツ……絶対途中から走るの楽しくなってきて俺が背中にいるの忘れてたな。
恨みがましい気持ちでシルバーを撫でつつ、そこでようやく辺りを見渡すと、森を抜けた先の少し開けた場所に俺達はいた。数メートル先は崖になっており、周りに障害物は何もない。
「なんでこんな所に……」
疑問が口から出て、シルバーを振り向いたときだった。遠い山の合間から朝陽が少しずつ姿を表していく。空の色が濃い藍色から薄桃色が混じり合い、やがて力強い白い光が世界に朝の訪れを知らせる。
ほんのり肌寒かった身体が、太陽の光によってじわりと温度が上がっていく。その美しい光景に暫し見惚れたあと、隣で同じように朝日を眺めていたシルバーの頭を撫でた。
「これを見せたかったのか」
「ワフ」
「そっか、ありがとな」
もしや俺がさっき落ち込んでいたから見せてくれたのだろうか。迷いなくここまで辿り着いていたのを鑑みると、シルバーは過去にもここに訪れたことがあったのだろう。そしてその景色を俺に共有してくれたのか。
言葉に表せない温かい気持ちで胸がいっぱいになる。朝日に照らされてキラキラと光り輝く白銀の身体にぎゅっと抱きつくと、今回は嫌がられる事はなく、されるがままに目を細めていた。
「ありがとなシルバー。おかげで元気出たわ」
「ワフン」
正直に言うと、ここに来るまでにシルバーに久しぶりに抱きつけて、道中の激しさに目を瞑ればかなり気持ちは回復していた。
しかしシルバーは俺の落ち込んだ理由は知らないから少しでも俺を元気づけようと、とっておきの特等席に連れてきてくれたのだろう。
やっぱりシルバーは優しいなぁ。
嫌がられないのを良いことに、調子に乗って暫くシルバーに抱きついていたが、夜が明けたことで気温も上がり始め段々と暑くなってきたのか、あっさりと離れていってしまった。
なんとも分かりやすい態度にクスリと笑いが込み上げる。
「よし、良いもん見れたしそろそろ行こうか」
「ワフ!」
最後にもう一度シルバーの頭を撫でて、来た道を戻っていく。流石にもう暑いのか背中には乗せてくれなかったが、涼しくなったらまた今度背中に乗せてもらおう。
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